×月1日 天気:☀ 気温:おだやか
気分が暗い。空はあんなに青いのに。
これではまるでジェンガ姉妹ではないか。くそう、改二になるまで北方海域を蹂躙だ。
埒の無いことを思いつつ、艦娘達の兵舎を巡る。
増員計画に則って増築が繰り返される兵舎は現在も工事中だ。
石畳の無い剥き出しの地面を忙しなく妖精さん達が行き来していた。
・ワ・<マタコウジシマスガ
・ワ・<ヨクアルコト
・ワ・<クチジャナクテテヲウゴカシヤガレデスガ?
・ワ・<ヤンナルネ……
俺の前を通り過ぎる度にため息を漏らして行きやがるので、今度労いの品を間宮さんに注文しておくことにする。
最近徐々に溢れた各所の不満を解消するのに奔走しているが、一番ストレス溜まってるのは書類作成で眠れない俺なので意地でも楽はさせない。
せめて海域全部開拓して上位勢でローテぶん回せるようになるまでは激務を辞めるつもりはない。
土台が出来上がってきた新兵舎に入隊する艦娘のリストを確認する。
「駆逐が五人に重巡が一人……レア勢か……」
鬼の如く深海棲艦しばいてたおかげか、向こうでは拝めなかった希少なレア艦達が配備される運びとなった。
こういう機会がある度に小規模改築を繰り返すくらいなら、いっそ施設全体を大型改修してしまえという塩梅である。
日差しの熱にすら疲労を感じる有様だが、どうにか破綻させずに完了の目途が建った。
南方海域や中部海域の攻略を目指す上位陣。改二や練度向上を目指す以下全隊員。その全てから白い目で見られてきたが、ようやく解放される。
もはや何故ここまでのめり込んで来たのかすら忘れかけてきたところだった。
これはゲームでも無いし遊びでも無い。現実です。とばかりにこの世界に放り出されてから、我武者羅に力を蓄えることだけを目標としてきた。
だけど……、もういいよね? もうゴールしてもいいよね? 適当にやってても皆が何とかしてくれるくらいには練度上ったからね、実際。
改めてこれまでのことを思い出し、歪んだ視界を目で覆った。
・ワ・<テイトクナイテマス?
・ワ・<イジメ? ミナゲ?
・ワ・<ナミダジャナクテアセヲナガスデス
・ワ・<ナイワー
あれ、別の意味で泣けてきたぞぅ……。
弱ったところに突き刺さる無慈悲な言葉の刃に、俺はおもむろに空を仰いだ。
世界って、残酷なんだなあ。
そんなことを思う今日のこの頃であった。
●
『艦隊これくしょんの世界について解った事
この世界で目覚めた以上、逸早く情報を集め現状を把握しなくてはならない。細かい情報でもとにかく書き込んでいくこと。
・五月雨は思ったよりもドジ率が高い
・艦娘を運用する組織である“軍”は、主に海域の確保を目的としている
・日本国単体ではもはや資源が枯渇状態であり、早期の輸送ルート開拓が望まれている
・資源枯渇のせいか、軍艦およびその他兵器の運用が困難
・そのせいで“軍”自体の維持も半ば摩耗しているため、提督に与えられる権限は海域開拓、資源確保の度合いで大きく異なるようである
・貧困状態で国内事情も厳しい様子
・金剛他提督ラブ勢にイチャつかれるが身体能力の違いからか命の危険がある
・艦娘は“兵器”と分類されているが、その素体の一部は生身の人間である
・駆逐艦でも見た目より頑丈。俺が軽々と持ち上げられるレベル
・深海棲艦の存在は謎とされているが、噂などの情報は提督の間で交換されている模様
・書類に記載してある年数だと、現在は20xx年○月1日となっている
・提督及び艦娘で構成される艦隊を統率する組織としてされているものの、“軍”との繋がりは強くなく。ほとんど現場対応になる
・そのくせ鎮守府の改修工事などには申請が必要だったりする
・妖精さんの生態は謎。・ワ・<シラヌガホトケデス
・五月雨の艦装を身に纏ってみたが重すぎて足首をぐねった
・提督の仕事は鎮守府の“運営”なので、思ったよりも仕事が多い
・艦隊戦については門外漢なので、ひたすらレベルを上げて物理で殴るをモットーに運営して行く
・球磨と多摩がヤバい
・大井がクレイジー過ぎてヤバい
・不幸姉妹がジェンガでヤバい
・加古がところ構わず寝てるので時々いたずらしている
・五月雨が可愛い
・というか全員可愛い
・怪我して帰ってくると不安になるので、とにかく練度向上を優先させる
・今日は――――
………………
…………
…… 』