ミッドチルダの英雄(ヒーロー)   作:ロシアよ永遠に

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思い付きで、夜のテンションで書き上げてしまいました。反省はしているが後悔はしていない。
あと、本編の時系列とかそう言ったのは気にしないでくださいな


ミッドチルダの英雄(ヒーロー)

アインハルト・ストラトス

正式名称 ハイディ・アインハルト・ストラトス・イングヴァルト

とりあえず長いのでアインハルトでいいや。

ともかく、彼女について説明しよう。

ミッドチルダにある聖王教会運営のST.ヒルデ魔法学院中等科の1年生。齢にして12歳。

碧銀の髪と、蒼と紫の虹彩異色が特徴の極々普通の中学生だ。

その物静かな性格から、ぶっちゃけあまり友達はいない。

が、彼女自身友達を必要ともしない。

それは、彼女の裏の顔、と言う物が起因していた…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミッドチルダ中央銀行

時空管理局のお膝元、その首都たるクラナガンに構えるひときわ巨大な銀行であり、そのたたずまいは地上本部に次いでの巨大さとも言える。

というのも、第一管理世界、と言うこともあるのだが、勿論そこからあらゆる管理世界への次元港が存在し、物資や人が流れていく。そのまた逆も然りで、物と人が流れれば、それに応じて通貨も流れるもの。この中央銀行はそうしたあらゆる次元世界の為替を請け負う大本でもあり、レートを調整する場でもあるのだ。

そして、金が集まるところ…

 

「オラァ!早いとこバッグに金を詰めやがれ!」

 

Vz 61スコーピオンを両手に構え、乱射する二人組の男。

響き渡る悲鳴。

轟く銃声。

早い話、銀行強盗である。

 

「っへへ。コイツが成功すりゃ、遊んで暮らせるってもんよ!」

 

「俺達、こうやって強盗仕掛けるの、何人目なんでしょうね?」

 

「知るかよ!金が手に入りゃそれで良いのよ!後は知ったこっちゃねぇ!」

 

せっせと金を詰める銀行員。

外からは管理局陸士隊。その108隊の隊長たるゲンヤ・ナカジマが拡声マイクを使い、装甲車から投降を呼びかけている。

 

『おめぇらは完全に包囲されている!大人しく武器を捨てて投降しやがれ!田舎の母ちゃんが泣いてるぞ!』

 

「おとーさん…それ、言ってみたかっただけでしょ?」

 

『おうよ!犯人に語りかけるのにこの台詞は外せねえってな!』

 

何とも締まりのない父と娘(ギンガ)の会話が、拡声マイク越しに伝わってくる。

 

「うっせー!娘持ちのリア充がナマ言ってんじゃねぇ!!」

 

.32ACP弾がばらまかれ、装甲車のセラミック複合装甲へ着弾する。が、そこは装甲車。自動小銃で貫くことは出来ない。

 

『ちきしょう!ウチ(108)の装甲をキズモンにしやがって!』

 

ゲンヤは怒りのままに無線機をかっさらうように手に取る。

 

『航空戦力要請!爆撃!面制圧!』

 

『ナカジマ三佐!?駄目ですよ!人質の人まで…!』

 

『おう!高町の嬢ちゃん!おめぇさんの十八番の全力全壊の出番だぜ!』

 

『字が違います!全力全【開】です!』

 

『読みは一緒だろうが!早いとこ、星を軽くぶっ壊す砲撃頼むわ!』

 

『星の光です!!』

 

などと、無線越しに出たエースオブエースと漫才を繰り広げる最中、一つのざわめきが一角を支配する。

碧銀の腰まで届く長髪をツーサイドアップにし、身には白と、髪色に合わせたライトグリーンの戦闘衣装。顔はバイザーで隠されているので分からないが、体つきからして女性だろう。集まるマスコミや野次馬、果ては包囲する陸士隊をも掻き分けて、銀行から距離を空けている包囲網の空白を歩いて行く。真っ直ぐに、

銀行の正面玄関まで、

迷うことなく、

一直線に。

 

『そこの人!止まりなさい!危険よ!』

 

拡声マイクをゲンヤから強奪したギンガは、停止を呼びかける。しかし、そんなものはどこ吹く風と言わんばかりに、歩く速度を変えること無く、ただ進んでいく。

 

『へっ!阿呆が手ぶらで来ましたぜ!』

 

『何ィ!?手ブラ!?何処だよオイ!?どこにそんな痴女が!?』

 

『い、いや、武器も持たずにって意味で…』

 

『…………紛らわしいんだよぉ!!』

 

進む女性へ八つ当たり気味に銃弾をばらまく。先程言ったが、セラミック複合装甲にこの程度の銃弾はほぼ無意味に近い。しかし、生身の人間に対しては充分すぎるほどの殺傷力のあるもの。誰もが血の雨が降る、と予想して目を瞑る。

 

「ハァァァッ!!」

 

しかしその予想は辛くも崩れ去る。彼女はまるで目の前を飛ぶハエか何かを叩き落とすかのように掌底で銃弾を撃ち落とした。目を瞑らずに見ていた人が後に供述したところ、

『舞を舞ったかのように回ったら、銃弾が全て落とされていた。…何を言ってるかわからねーと思うが…(ry』

 

「あ、アニキ!アイツヤベぇッス!!マジモンッス!!」

 

「っだったら!このパイナポーで!」

 

強盗は懐からパイナップル―マークⅡ手榴弾―と取り出し、安全ピンを引き抜いて窓から投擲する。それは放物線を描き、女性に向かって飛んでいく。このままでは女性がミンチになってしまう!

 

「旋衝波!」

 

しかしあろうことか飛んできたパイナップルを引っ掴むと、流れるように、そして見るものを惹き付けるような美しい動きで投げ返した。その軌道は、ビデオの巻き戻しをしているかのように元来た道を戻っていく。

 

「た、退避!!」

 

慌てて窓から離れる強盗。戻ってきたパイナップルは窓際にコロコロと転がり、その時が来た。

 

瞬間、破裂音にも似た爆発音が銀行と、その周辺を支配する。飛び退いた強盗は爆風で吹き飛び、ゴロゴロと床を転がり抜ける。銀行員も衝撃と爆音で条件反射で耳を塞ぐ。

 

「えぇい!奴は化け物か!」

 

「子分!撤退するぞ!これだけありゃ、暫くは遊んで暮らせるぜ!」

 

バッグの半分程まで積まれた札束を確認すると、バッグを引っ掴んで裏口へ向かう。裏口には脱出用の車両が止めてある。速度にチューニングが施されているので、余程の高速戦型空戦魔導師が来ない限りは逃げ切れる自信がある。

 

しかし、裏口への道のりは、

遠く、

儚く、

厳しいものになった。

 

目の前のコンクリの壁が破砕される。削岩機でも持ってきたのか、と言わんばかりに勢いよく破片が飛び散り、軽く二メートル四方の大穴が開いた。

 

「何処へ行こうというのですか?」

 

バイザー越しながらも、その威圧的な視線はヒシヒシと感じられる。強盗も及び腰になったのか、じり…っと一歩下がる。

 

「女か…!だから甘い…!」

 

動いたのは子分だった。懐のホルスターからコンバットナイフを抜き取る。鋭利な刃先のそれを、まるで切り裂きジャックがしていたかと思うようなヤバい表情で、ナイフの刀身を舐める。

 

「俺のナイフが騒ぐのさ…貴様を…こぉろぉせぇとぉっ!!ぶるぁぁぁぁっ!!」

 

まるで猿か何かのようだ。しなやかな動きで右に左に。動きを悟らせないように飛び跳ねて、段々と距離を詰めてくる子分。しかし、女性は動じない。しっかりとバイザー越しに見据え、仕掛けてくるであろうタイミングを見計らう。

 

「シャァァァッ!」

 

目の前に現れたかと思えば、跳躍。頭上からの奇襲を仕掛けてくる。子分も視線がこちらにないことを確信して、勝ったと口元をつり上げる。

しかし、

左手の手甲がそれを許さない。

ゆっくりと、世界の時の流れが変わったかのように、そして色彩が取り除かれ、周囲の色がグレーに見えた。手の甲のプロテクターが、刃の腹に添えられる。そのまま、まるでドアか何かを開けるかのように、緩やか且つ静かに切っ先を逸らした。

そして、刃の先が彼女からズレた瞬間、世界の色と時の流れが戻る。気付いたときには彼女の右掌底が顎を的確に捉える。

 

「ほぎゃっ!?」

 

変な悲鳴を挙げて、打ち込まれた掌底の勢いで縦回転する。

 

ボギャァ!!

 

そして、女性に背中が向いた瞬間、硬い靴底に蹴り飛ばされ、吹き飛び、見事なまでに壁へと突っ込み、張り付いた姿は道路で車に轢かれたカエルのようにも見えた。

 

「なっ!!子分ッー!!」

 

流れるような受け流しとカウンターが子分に炸裂した。悲痛な強盗の叫びが銀行に木霊する。

 

「な、何をするだァーーーーッゆるさんッ!!」

 

再びスコーピオンを構える強盗。さっきよりも距離は近い。これなら撃ち落とすことも容易では無いはずだ。

…いや、もっと楽に脱出する方法があった。

たまたま取り残された客なのだろうか?近くの壁際で震えていた幼い少女をつかまえると、おもむろにスコーピオンの銃口を頭に突きつける。

紅と翠のオッドアイが怯えを見せ、涙を浮かべている。

しかし、それでも女性は冷静だった。

 

「やることなすこと、全てが三下ですね。」

 

「あ″ぁ″!?」

 

「来なさい三下、銃なんか捨てて、人質なんて解放しかかってきなさい。楽に殺してはつまらないでしょう。ナイフを突き立て、私が苦しみもがいて死んでいく様を見るのが望みなんでしょう?そうじゃないのですか三下。」

 

「お前を殺してやる!」

 

「さあ、女の子を放しなさい!一対一です!楽しみをふいにしたくはないでしょう?……来なさい三下……怖いのですか?」

 

「こ、殺してやる!ガキなんて必要ねぇ!……ヘヘヘ…ガキにはもう用はねぇ!へっへへ……ハジキも必要ねぇや……HAHAHA……!誰がテメェなんか…!テメェなんか怖かねぇ!!……野郎ォぶっ殺してやらぁぁぁぁぁ!!!」

 

追い詰められた相手ほど、扱いやすいものはない。少しの挑発で激高する。

女の子を解放した強盗は子分と同じようにコンバットナイフを構え、突っ込んでくる。

さっきの子分と違い、直線的で短絡的な動き。

見え見えの動きに対処できないほど彼女は落ちぶれてはいなかった。

突き出されたナイフをしゃがんで避けると、左手の掌底を飛び上がり様に顎へと打ち込む。踏み込んだ分、余計にカウンターをもろにくらい、仰け反る。しかし、女性の追撃はまだ終わらない。仰け反った強盗の頭を掴むと、そのまま地面に叩きつける。コンクリの床は砕け、彼の頭はモロにめり込んだ。暫くピクピクと痙攣していたが、暫くすると気を失ったのか、動かなくなった。

 

「制圧完了…。…と、そうです。」

 

人質にされていた女の子に歩み寄ると、目線を合わせ、優しく語りかける。

 

「大丈夫ですか?怪我は?」

 

「ぁ……大丈夫…です…」

 

「それは何よりです。大丈夫なら、外の管理局の方を呼んできてください。悪い人達を捕まえて貰いましょう。」

 

「あ!はい!」

 

そう言うと、恐怖が取り除かれたのか、元気に外へと走って行った。その姿を見て口元を緩めた彼女は、腰に携えた簡易的な転移装置を展開し、銀行からその姿を消した。

 

 

 

 

 

 

 

 

『今入りましたニュースです!中央銀行を占拠していた犯人二人が逮捕されたとの情報が流れてきました。人質と財産に被害は無く、犯人は重傷を負ってはいるものの、命に別状は無いとのことで、管理局の方では意識が戻り次第……』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日

ST.ヒルデ魔法学院中等部

 

「ねぇねぇ聞いた?」

 

「聞いた聞いた!昨日の強盗、スゴかったよね!質量兵器を持っていたし。」

 

「でも、それを制圧したのって一人の女の人らしいよ!」

 

「それも聞いた!スゴいよね!あぁ…!そんな勇猛な女性になら抱かれたい!」

 

「アンタ…そっち系なの?」

 

 

 

 

 

 

 

「今日の授業は…ぁ…体育あるのに体操着を忘れてしまいました…。」

 

アインハルト・ストラトス

裏の顔はクラナガンを密かに守る、知る人ぞ知るで英雄ある。




覇を以て和を成す、というクラウスの意思を、変な方向に捉えてしまったアインハルトちゃん。もしかしたら、これがある意味ベスト…なのかもしれない。





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