ミッドチルダの英雄(ヒーロー)   作:ロシアよ永遠に

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原作に今のところ出番皆無組が出て来ます。
ちょいちょい登場する…かも?


ミッドチルダの変態(マッドサイエンティスト)

ST.ヒルデ魔法学院

聖王教会運営の、その名の通り聖王信仰を主とする学校であり、魔法能力の開花と勉学向上を目的とした学校である。

まぁこの辺は本編を読んでいる貴兄諸君ならば説明せずとも前情報は得ているだろう事で割愛。わからないなら…まぁG○○gle先生辺りに聞くと良い。

 

さてさて、本日の話に移るとしよう。

 

本日は晴天。四月も半ば。暖かな日差しが校舎と、そして登校する生徒を迎え入れる校門を照らす中。

アインハルトは両手で平たい学生鞄を持って校門をくぐる。行き交う生徒に『御機嫌よう』と挨拶していく姿は、凜凜しくもクール。端整な顔立ちもありとても目に留まるもの。

それならば友人の一人や二人いるだろうと思うだろうが、彼女自身の性格や、その見た目から高嶺の花と思う生徒もいるのだろう。

もちろんアインハルト自身は気にしてはおらず、いつもの無表情に近い顔でスタスタと教室へ向かう。

 

「………。」

 

無言である。これでは話題性も無く取っ付きにくいのも当然なのかもしれない。まるで機械のような動作でせっせと教材を机に入れていく。

…しかし、

教材を入れたら、鞄が空っぽになってしまった。普通ならば、それがどうした?とどこかの借金次元獣ハンターのように呟いてしまうだろう。しかし、それはあくまでも普通の話。

 

「…お弁当、忘れてしまいました…。」

 

変わらぬ表情でポツリと、まるで蚊が鳴くような声で呟いた。母が作ってくれた弁当を家に忘れてきてしまった、と言うのだ。

コレはマズい。いや、母の作る弁当は普通に美味いのだが、状況的にコレはマズい。

弁当が無ければ購買に行けばいいじゃない、と昔の偉人は言うだろう。しかし、だ。正直言うと、今月のお小遣いは少々厳しい。というか、既にほぼすっからかんだ。

 

(おかしいですね。確かに今月分はこの間まであったはずなのに…。プロテインやトレーニング器具を買い込んだくらいでなくなるものなのでしょうか?)

 

これだ。

明らかに他の生徒とは価値観とか観点が違ったのだ。

コレを年頃の少女なら、やれプリクラや、やれネイルや、やれリップや、やれ服を買うや、そういったファッションとか友人との一時に充てるのだろう。

しかし、アインハルトはその一線を画していた。将来腹筋でも割るのか?はたまた筋肉モリモリマッチョマンの変態と化したいのか?それほどまでに筋肉を欲しているようにも感じる。

 

『筋肉筋肉ゥ~!筋肉イェイイェイ!!』

 

…どこかで彼があちら側へ引き込もうと呼んでいる。

いかん、こちらへ逃げ込め!→*

 

…まぁどちらにせよ、アインハルト自身の金銭感覚、及びお金の使い道が少しズレているのには変わりは無い。

 

気落ちしたまま四時間目を終えた中等部。この時間帯はいくら大量の朝飯を食べてきていたとしても、体内時計の性か、腹が減る感覚に見舞われてくる。

もちろんアインハルトも例に違わず、本人にしか聞こえない腹の虫がキュルキュル鳴っているわけだ。

 

「くっ…!この程度の空腹…!覇王流666式鍛錬法『饑餓断破』の取得に比べれば…!」

 

先祖のクラウスからの記憶での鍛錬法に、空腹をものともしないで過ごす法がある。それが饑餓断破。コレを極めれば数日間は飲まず食わずで過ごすことも容易い、なんともエコなものなのだが…。

それはさりとて、もちろん取得をするためには空腹にならなければならず、その中で空腹感を消せたならば成功なのである。

 

とりあえず閑話休題

 

しかし、彼女は12歳。絶賛育ち盛りだ。今はとにかくしっかり食べて、しっかり動いて、しっかり寝る。そうすることで体も大人へと近づいていく。そして成長にはエネルギーが必要なもの。覇王流を以てしても、ここまで空腹感を誤魔化せないものなのかと戦慄する。

 

「水で…空腹感を…!」

 

そう決めた彼女は、腹の虫と闘いながら水飲み場へと足を運んでいった。

 

 

 

 

OTZ

現実とは非常です。

 

目の前で風に揺れるその木材から加工された真っ白のヒラヒラした紙切れ。その文字が恨めしいと思ったことは無い。

地に膝と手を着き、項垂れる彼女の後ろ姿は哀愁漂い、木枯らしが吹いているようだ。

 

『水飲み場 故障につき使用禁止』

 

 

 

思えば既に昼休みも半分を過ぎていた。

空腹感が脳の回転を鈍らせているのが実感出来る。ボーッとして集中力が散漫だ。これでは授業を受けても頭に入るかどうか…。

 

「考えても…詮無きことですね…。」

 

出来るだけ動くことを抑えて、エネルギー節約に努めないと。そう意気込んで勢いよく立ち上がる。

が、

頭がボーッとする。

座っていた状態から勢いよく立ち上がる。

それにより引き起こされる結果は恐ろしいほどに明らかだ。

 

「あれ…?世界が…歪ん…で…?」

 

目が回る、とはこのことなのか。視界がぼやける、と言うことは焦点が合わない。妙な浮遊感にくわえ、平衡感覚が著しく低下しているのが実感できる。これは…マズい。

立ちくらみに加え…

 

(貧…血……?)

 

そこでアインハルトの意識はブラックアウトした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目が覚めたら、白い天井が目に映った。

身体にかけられた布の感触、背を預ける柔らかなクッション。目だけを動かすと、周囲は仕切るためのカーテン。

…どうやらベッドか何かに寝かされているようだ。

 

…たしか…私は…

 

ゆっくりと身体を起こす。未だ抜けきらない脱力感が鬱陶しいが、そこまで気になるほどでは無い。

 

「気が付いたか。」

 

ベッドサイドから声をかけられる。黒い髪に黒い服。全身黒ずくめ。カッターシャツの白と、タイの青、あとは肌色だけが違う色なくらいで、とにかく黒いという印象しかない。

 

「あの…あなたは…?」

 

「あぁ、申し遅れたな。僕はクロノ・ハラオウン。管理局員さ。」

 

「クロノ・ハラオウン…て!次元執行隊の提督!?」

 

「…まぁ、役職で言えばそうなるか。」

 

ハラオウンという苗字はミッドチルダのみならず、管理局の関係する次元世界ではかなり知れ渡っている。母親リンディは総務統括官。彼の義妹たるフェイトは管理局屈指の執務官。そして彼自身は次元執行隊の艦隊を率いる提督。恐ろしいほどに役職が高い一家として恐れられていた。

 

「どうやら貧血だったようだな。…まさかダイエットに昼食でも抜いたか?」

 

こんなことを妻のエイミィが、女性にはなった言葉だと気付いたら、張っ倒されているだろう一言。女性にダイエットについて尋ねるなどと、デリカシーの欠片も無い。

 

「い、いえ。単純にお弁当を家に忘れただけなんです…それで…。」

 

しかし、アインハルト自身はそう言ったことに対し疎いところもあって、特に気にはしていなかった。

 

「で、でも、管理局の提督の方がどうして学校に…?」

 

「いや、ただ、小等科の生徒に講堂で講習をしてね。その後、校内を見学させて貰っていたら、案の定君が倒れていた、と言うわけだ。」

 

後は想像通り、保健室まで運び入れベッドに寝かせた、ということ。

 

「すいません、自己管理不足でした。」

 

「その辺りは気にすることは無い。…と、そうだ。昼食を忘れたのならコレをあげよう。」

 

自身の座る丸椅子の横に鎮座していたコンビニ袋。その中から銀のレトルトパウチ状の袋に詰められたゼリー状の飲料物、皆が知る名ならば、『ウィダ○インゼリ○』。栄養補給の観点から、日々多忙だろうクロノにとっては愛飲しているものだ。

 

「えっ?で、でも…。」

 

「いやなに。昼食にでも、と思っていたんだが、校長が弁当を用意していてくれたんだ。だから結果として必要なくなってね。だから目の前に昼食を忘れた生徒が居たら渡さない理由は無いだろう?」

 

「しかし…。」

 

やはり遠慮してしまうところもある。雲の上のような存在であるハラオウン提督に、しかも今日出会ったばかりのような自分に対してここまでして貰い、戸惑わないなどとそこまで図太い神経は持ち合わせていないアインハルトは、言葉を濁して受け取ることを迷っている。

 

「僕が構わないと言ってるんだ。…それに、育ち盛りの子供が遠慮などらしくも無い。遠慮はもう少し成長してからするんだ。」

 

そう言うと、アインハルトの手を取ってウ○ダー○ンゼリーを包ませる。細身でありながら、しっかりと鍛錬をしているのであろう両の手の、硬く分厚い男性の手。それに触れられて、アインハルトは少しどぎまぎして顔を赤らめてしまう。

 

「こ、子供扱いは…!」

 

「…そうだな。歳としては大人と扱って欲しい頃合だろう。しかし、今回の件に対しては大人に甘える、と言うことも大事だぞ。」

 

言うだけ言うと、クロノは立ち上がり、仕切りカーテンを捲りあげて外に向かう。

 

「あ、あの…!」

 

「…ん?」

 

「そ、その…ありがとうございました…。」

 

ようやく口に出来た礼。消え入りそうな声になりながらも呟いた声は、しっかりと目の前の男性の耳に届いていた。

 

「…次からは、弁当を忘れるんじゃ無いぞ。」

 

背を向けたままでそれだけ呟くと、カーテンを潜って立ち去っていく。手の中に包まれたゼリー状飲料物と、揺られるカーテンが、来訪者の余韻を残していた。

 

「ハラオウン…提督…、ですか。」

 

人柄については聞いたことは無かったが、アレだけの役職に二十代にして上り詰めたのだ。もっと寡黙で、それでいて冷徹な感じがあるのかと想像してはいたが、人当たりも良く、優しげな人物だったとは意外も意外だ。

 

「また…会えたらいいですね。」

 

そう呟いた彼女の口元は人知れず緩み、待ち人を待つ恋人のようにも見えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、

 

『フゥハハハハハ!!ビバ脱獄!!そして破壊!!私の頭脳は世界一ィィィィィィッ!!出来んことはないィィィッ!!』

 

クラナガンの町で暴れるのは、青く、そして巨大な機械。数年前に押し迫ったガジェット。それが手足を生やして巨大化している様子。

しかしその形を一言で言おう。

 

サ○。

○クである。

 

色こそはガジェットのものではあるが、そのずんぐりした身体に、チューブ状に伸びた手足。いろいろとマズい方向に走っている。

 

『ドクター、楽しそうですね。』

 

『当然ですわウーノお姉様。もう最高評議会もなくなり、檻を脱した以上、ドクターを縛る物など何も無いのです。ならばドクターがしたいことを陰に日向に支えてなんぼじゃなくて?…まぁ私としては、あの管理局の冥王をケチョンケチョンにしてギャフンと言わせれたら良いんですけど。』

 

どうやら操縦するのは脱獄してきたスカリエッティとナンバーズ投獄組のようだ。あの監獄から抜け出してくるなどと、呆れを通り越して感心する。

間の抜けた青サ○はその外見とは裏腹に、巨大さを活かした破壊力と、伸びた手足によるリーチの広さで猛威を振るっている。

 

『サ○とは違うのだよ!○クとは!』

 

マジックハンドにも似たアームの中から、レーザーバルカンが連射される。威力自体は小さいが、その弾幕は駆けつけた108陸士隊の装甲車を爆散させるのには充分だった。

 

どこかで男の悲鳴が聞こえた

 

『見ろ!人がゴミのようだ!!』

 

『あぁ…楽しそうなドクター。ス・テ・キ。』

 

楽しんでいるところでそのコクピットがぐらりと揺れた。

 

『な、なんだ!?何事かね!?』

 

『脚部アポジモーターに損傷。』

 

『なんと!?このルナチタニウム装甲を破損させたと!?映像を出したまえ!!』

 

コクピットのメインモニターには股間部に取り付けられたサブカメラからの映像が入る。

碧銀の、小さな何かが足先にて何かをしている。

 

zoom

 

碧銀の部分は髪の色だ。

 

zoom

 

右手を…足先に突き刺している。

 

『なんとぉぉぉっ!?生身の人間が、かね!?』

 

『脚部の動力をサブモーターに切り替え。』

 

冷静にオペレートするのはトーレ。戦闘ではトップクラスとあって、状況判断に長けているようだ。

 

「街での蹂躙に破壊。見逃すわけには参りません。」

 

くしゃりと左手に持つ栄養補助食品のゼリーの容器をつぶし、その勢いで口に流し込む。

それを飲み込むこと数秒後。

 

 

 

 

 

 

 

 

!!

 

「ハァッ!」

 

あふれ出る力をそのままに、空高く飛翔。その跳躍力は、青サ○を越えるほどに。

 

『な、何なんだね君は!?私は興味が…』

 

「貴方達に名乗る名はありません!」

 

オープンチャンネルで興奮気味に尋ねるスカリエッティを一蹴するアインハルト。右手を手刀に構え、魔力を注ぎ込んでいく。

髪と同じく碧銀の古代ベルカの魔法陣が、空高く、そして神秘的な輝きを放ちながら展開される。

 

「覇王!!」

 

それは無慈悲に、

 

「断!!」

 

そして容赦なく、

 

「空!!」

 

その名の通り、

 

「拳!!!」

 

空を切り裂き、悪を断ち、そして○クを縦に一閃。二等分に。

 

「成敗ッ!!」

 

爆散する胴長のアレ。その爆風に紛れて数人の人影が放物線を描いて、彼方へと消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『速報です!脱獄していたジェイル・スカリエッティが巨体ロボを製造、破壊活動を行っていましたが、爆散して行方不明になったとのことです。…しかし彼も中々方向性がわかりませんね。あの頭脳を他の面で活かせないのが不思議で仕方ないですよ。』




一口メモ

覇王流666式鍛錬法『饑餓断破』
昔、クラウスが修行と称して山籠もりをし、遭難して空腹感に悩まされ、境地に達した際に会得した奥義。
心頭滅却という諺もあるように、空腹感を同じ要領で断つという、微妙な奥義である。




本小説のオリジナル奥義だから、真に受けちゃ嫌よ?
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