ミッドチルダの英雄(ヒーロー)   作:ロシアよ永遠に

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18禁?何のことやら。


ミッドチルダの母親(親バカ)

暗く、そして鬱蒼とした空気が一室を支配していた。照らすライトは電球が古いのか時折チカチカと点滅し、備えつけられた鉄の扉に至っては、長い間高い湿度に侵された為か、茶色く、表面が錆びてきていた。

こうまでなっていると、長い間放置されていたのだろうと、その古めかしさを察するだろうが、その錆びた扉を一度潜れば、外観とは違う世界が広がっていた。

広々とした室内の八方は整えられた鉄製の壁面。所々から生えているケーブルは、部屋の中にあるコンピュータに接続され、絶えず電力を供給している。所々には巨大なポッドが設置され、内包された青く透明な液体が、コポコポと水泡を立てている。下部から照らされる光が液体を反射し、室内は自ずと青いライトに照らされているように見えた。

 

「ふっ…!ふはは…!」

 

一人の男が狂気的に笑う。

目は見開かれ、瞳孔はどこか逝っちゃってる感じも否めない、琥珀色の瞳。口は三日月のように釣り上がり、人特有の八重歯がギラリと光る。

 

「面白い…面白いじゃないか!!私の【ガジェットTypeEX『私と君と彼と彼女とアレとソレとコレとがナニをして生まれた結晶はきっとアメイジング号』第777式スリーセブンでラッキー】を破壊するとは!」

 

キーボードを打ち込む彼の手は、目と同じくイっており、目にも留まらぬ速さでキーを打ち込んでデータを纏めていく。

 

「ドクター。そろそろお食事を…」

 

「ウーノ!次は装甲材質をガンタリウムに!動力はハイパーデュートリオンエンジンだ!装甲に関しては、ドクターJに連絡を取りたまえ!量に関してはコレに記してある!」

 

「あ、…はい。」

 

「ククク…!脱獄して目標が破壊しかなかったが…、早くもこのような越えるべき相手を発見するとは…!私もよくよく運が良い!!」

 

目の前のモニターに映るは、の【ガジェットTypeEX『私と君と彼と彼女とアレとソレとコレとがナニをして生まれた結晶はきっとアメイジング号』第777式スリーセブンでラッキー】を破壊した少女。

ブランクが多少あるとは言えここまで容易に破壊されたとあっては、次元世界に名を轟かせた『ジェイル・スカリエッティ』の名が廃ると言うもの。

 

「私は必ずや君を下して見せよう!名も知らぬ少女よ!ククク…フハハハ…ハァ~ッハッハッハッ…ゴホッゴホッ!」

 

むせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ギシギシと、背を預ける寝台が揺れる。

 

乗る彼女の息は荒く、激しい動きをしているのがよく分かる。

 

碧銀の前髪は、額に滲んだ汗によって肌に張り付き、上昇した体温は頬を赤らめていく。

 

それは幼くも艶めかしさすら感じられた。

 

「もっと…もっとです…!」

 

火照った身体。

 

バクバクと身を打ち鳴らす心臓の鼓動。

 

荒くなる息。

 

繰り返し行われる同じ動作が堪らなく刺激に繋がっていく。

 

そしてそれは彼女に限界をもたらそうとしていた…。

 

「くっ……!も、もぅ……!はぁぁっ…!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「バーベル100キロ上げ…限界は777回ですか。…以前に比べて少し更新しましたね。」

 

額に滲む汗を拭いながら、ガチャリと固定したバーベルに目をやる。

一年前までは50キロが限界だったが、今では100キロは楽に上げられる。

コレが成長期か、と喜びを噛み締めつつも、もっと力を付けられると前を向いた。

これも先祖であるクラウスの悲願のため。

覇王の拳を以てして、ミッドチルダの悪を屠ること。それが使命であり、自らの望み。そう思って鍛えに鍛えたこの身体。暇さえあればトレーニング。有事の際は、武装形態で悪をしばき倒す。

 

「それにしても…。」

 

昨日の出来事に思いを馳せた。

学校で出会ったクロノ・ハラオウン提督。

目を閉じれば、あの優しい表情がありありと思い浮かぶ。その度に、心臓の鼓動が早くなり、また会いたい気持ちに呑まれそうになる。

 

「はっ!?いけません!?煩悩退散煩悩退散!!」

 

そう言うと、スクワットを始めた。汗と一緒に煩悩も出してしまわなければ!

雑念は動きを鈍らせる。戦いは一意専心である。集中できなければ、やられるのはこちらであること。それだけが戦う中で彼女の闘争心を加速させていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、

 

集中が途切れるのは、何も精神的なものだけではない。

 

「体が…思ったように動きません…。」

 

はっきり言おう。アインハルトは現在疲労により、身体の動きが鈍重になっていた。というのも、先の煩悩を取り払う為にスクワット1,000回、腹筋500回、腕立て、指立てそれぞれ700回こなし、その直後にアラートがかかったのだ。

 

「おかしいです…あの程度の運動で音を上げるような身体では…!」

 

そう思う暇も与えないうちに、アインハルトは飛び退く。その数瞬後には、巨大な鉄の拳がクラナガンの本通りに突き刺さり、大規模な瓦礫を作り出す。

本日相対するのは…

 

『フフフ…ハハハ…!』

 

狂ったような笑い声が、拡声器越しに響く。女性の声だ。

 

『I LOVE 娘!否!愛娘!私の愛娘をこき使う管理局!ぶっ潰れちゃいなさい!!アッハハハハ!!』

 

天下の大魔導師であり、条件付きSSランク保持者、プレシア・テスタロッサである。

原作では愛長女とともに虚数空間へと消えていったが、ここはそんな過去は飛んで逝っているので、気になさらない方向で。

操るのは、傀儡兵。サイズは18メートル級。魔導師としても科学者としても優秀な彼女にとっては、朝飯前どころか、昨日の夜食前である。

 

『私だって…もっと愛でていたいのよぉっ!なのに魔導炉の研究班はやれ残業しろ、やれ休日出勤しろ!あまつさえ二人は与り知らぬ所で管理局入り!果てに妹は多忙な執務官!姉は無限書庫司書!あぁ!アリシアに至ってはフェレットにちょっかいかけられていないか心配で…ゴホッゴホッ!』

 

口元を抑え、咳き込んだことで胃からこみ上げてくる赤い液体を受け止める。手にこびり付いたソレを見て、自嘲染みた笑みを浮かべてしまう。

 

『ふっ…!これは娘達が心配で胃に穴が空いた血?それともさっき飲んだトマトジュースかしら…?』

 

「御苦労…なさっているのですね…。」

 

『わかってくれるかしら!?…でも、もう私は戻れないところまで来ているのよ!!』

 

背中に搭載された巨大な砲門。それがスライドし、肩に担ぐように固定される。

 

『私の作り上げた【アリシア・フェイトよ永遠に!溢れんばかりの愛をぶつけんが為に、傀儡兵に名前を刻み込んじゃったわ号】で全てを破壊し、再生するのよ!!そう!こんな筈じゃ無かった過去を取り戻すの!!』

 

魔力が集束し、その砲門の大きさから放たれる砲撃の威力は推して知るべし。

これは少々マズいことになった。このまま発射させてはクラナガンへの被害は計り知れない。かといって破壊すれば、その集められた魔力が暴発し、周囲に少なくない被害を及ぼすだろう。

だが、アインハルトにとって後者は難しい選択となる。身体が思うように動かないとあっては、破壊すらままならない。どちらにせよ万事休す。

 

『LOVE!熱線砲!魔力充填120パーセント!ふふふっ…地上本部の次は本局よ!土手っ腹に風穴を開けてやるわ!』

 

「まてぃっ!!」

 

トリガーを引こうとしたプレシアを、突如として男性が制止する叫びが響いた。

プレシアはレーダーを、アインハルトは気配のする方を見やる。

ひときわ高い、ミッドチルダ中央銀行の屋上。太陽の逆光で姿はわからない。しかし風に靡くマントは陰でよく分かる。

 

「このクラナガン…否!ミッドチルダで狼藉を働く魔女よ!私が鉄槌を下そう!」

 

『何奴!?』

 

「時と空の番人クロノス、とでも名乗ろう!!プレシア・テスタロッサ…!世界はいつでも、こんな筈では無かったことばかりだ!!その哀しみに立ち向かうか否かは貴女の自由…!しかし、それに他者を巻き込んでいい権利など、何処にも!いつも!誰にもありはしない!!」

 

『何を言うかと思えば…!貴方に何がわかるの?娘達を…愛することが出来ないもどかしさとやるせなさ…!それが誰にわかるというの!?』

 

「私も2児の父として、その気持ちはわかる!しかしそれで憂さを晴らし、娘達が喜ぶとでも思うか?否!断じて否である!!」

 

『くっ!何番煎じかわからないような台詞を…!ならまずは貴方が消えなさい!』

 

砲門をクロノスと名乗る男に向け、トリガーに指をかける。集束した魔力が解き放たれようとしている。これだけの大口径。当たればただでは済まない。

 

『私の愛!!受け止めなさい!!』

 

「それは娘達に注ぐのだな!デュランダル!!」

 

取り出したるは青を基調とし、槍を彷彿させるかのようなストレージデバイス。そして周囲を浮遊する四機の剣を模したリフレクタービット。

 

『LOVE!熱線砲!』

 

「凍て付け!!」

 

赤い魔力の奔流、そして青の氷の奔流がそれぞれぶつかり合う。周囲に広がる爆風にも似た衝撃により、ビルのガラスは割れて吹き飛び、並木は薙ぎ倒され、アインハルトは吹き飛ばされていく。

 

『くっ…!押し切られる…!?私の愛が…足りないと…!?』

 

「…これで終わりだ…!」

 

ぶつかり、周囲に爆ぜる氷の奔流をリフレクターで集束し直すことにより、拡散する一方のLOVE!熱線砲を押し切っていく。

そして遂にはその砲門を氷塊へと変貌させていた。

 

『アリシア…フェイト……』

 

「エターナル・コフィン!!」

 

放たれたトリガーヴォイスにより、氷塊は砕け、放たれて内包する魔力を減衰させてしまった傀儡兵は、その少ない魔力の行き場を無くした回路等のパーツが連鎖爆発を起こし、巨大を瓦解させていく。

 

『そう…これで終わりなのね……何もかも。』

 

「終わりでは無いさ。…少なくとも、今回の件で魔導炉研究班のブラックな部分がある可能性が露呈した。掛け合って監査を入れよう。そうすればそちらの労働体勢も改善される可能性はある。」

 

『…信じても…?』

 

「番人の名に誓って。」

 

『…貴方のような人が…あの子の義兄で…よかっ…』

 

その言葉は紡がれることは無かった。手や足は爆散し、制御とバランスを失った巨体は、背後のビルに身を預けるように倒れた。ツインアイの光は消え、その力を失ったことを示唆する。

一人の母親の、ただ狂おしいまでの愛がこの事態を引き起こしたことに、クロノスは同情を禁じ得なかった。

 

 

 

 

 

 

 

「…あれ?…私、今回の件で活躍なし、ですか…?」

 




機体スペック

アリシア・フェイトよ永遠に!溢れんばかりの愛をぶつけんが為に、傀儡兵に名前を刻み込んじゃったわ号

全高 18,5m
重量 72,3t

プレシア・テスタロッサの狂気的な娘達への愛よって生み出された変態兵器。
動力炉に、出力がアースラ並みの魔力炉を小型化して搭載しており、その兵器の威力は高い。
背面にはLOVE!熱線砲を搭載しており、魔力炉直結なので、威力は恐ろしく高い。しかも、プレシアの愛情によって威力が高まるという、スゴいんだかスゴくないんだかよく分からない機能がある。

武装

頭部フォトンバルカン
腕部半固定式フォトンライフル
胸部有線式フォトンランサーホーミングシフト
LOVE!熱線砲









…おかしい、なんでこんな物を書いたんだろう…
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