鉱山と大洋に森林、大量の資源に恵まれて発展してきた貿易街ヘルメートの一軒家に住むエルフの青年、フリードリッヒはベッドから体を起こして窓を開けて雲一つ無い大空を見ると微笑みを浮かべる。ーー春と梅雨の合間の時期、特に今日のような絶えず暖かい陽と涼やかな風と濃緑色の若葉を付けた街路樹が音を鳴らすのを肌で感じられる日はさっぱりとした気分にさせられる。
「今年の新緑祭もたいそう賑わうんだろうな。さっさと紅鱗亭にいかねえとマスターにどやされるか?」
この街のギルドと呼ばれるシステムがある。紅鱗亭もその一つ普段は要人警護や、盗賊や魔物などの討伐依頼を冒険者に斡旋しているが、毎年この時期に行われる『新緑祭』(名前の由来は新しく大樹に芽吹いた若葉の様に商売に活気を付けようとの事らしい)の開催にも一役買っているのだ。
「思えばこの一ヶ月間、ずっとこき使われっぱなしだったな……」
無論、そこには今後の商売もかかっているので気合を入れて準備にとりかからせられる。ステージ作りの土木作業から装飾用素材集めとしてやらされた魔物討伐まで、今日からの三日間の為にやらされてきた事が怒りとともに蘇ってくる。ーーちくしょう、祭が成功すりゃ客が来るようになるからってあんな人の使い方があるかよ。
「おーい、いい加減に起きないと朝ごはん勝手に作っちゃうよ?」
そんな不満を漏らしていると、ドアの向こうで適当に何回もノックをしているのは弟妹分のアルマとカールだろう。ーー初めて祭に参加するからだろうか、いつもより起きるのが早い。
彼は一言返事を返すと猫のような身のこなしでベッドから飛び起きていそいそと食卓へ向かった。
「今日は俺の知り合いと一緒にいってもらうわけだが、絶対にはぐれるんじゃないぞ?」
心配性の兄貴分はドアの前で二人に向かって念をおしている。それを聞いている二人はもうそんな歳でもない、もう聞き飽きたといった感じで適当な相槌を打っている。
「こっちの心配するのもいいんだけどさぁ、そっちも自分の仕事を頑張ってね? 多分そっちいくからさ」
「もちろんさ、このための仕事だったんだからな。ちゃんと拍手とか送ってくれよ? そっちもそうだがこっちも楽しまなけりゃ損だからな」
勢いよくドアを開けるフリードリッヒの顔はニヤリとしている。ーー彼も一年ぶりの祭を楽しみにしていたのだ。
鉱山と大洋に森林、大量の資源に恵まれて発展してきた貿易街ヘルメートの一軒家に住むエルフの青年、フリードリッヒはベッドから体を起こして窓を開けて雲一つ無い大空を見ると微笑みを浮かべる。ーー春と梅雨の合間の時期、特に今日のような絶えず暖かい陽と涼やかな風と濃緑色の若葉を付けた街路樹が音を鳴らすのを肌で感じられる日はさっぱりとした気分にさせられる。
「今年の新緑祭もたいそう賑わうんだろうな。さっさと紅鱗亭にいかねえとマスターにどやされるか?」
この街のギルドと呼ばれるシステムがある。紅鱗亭もその一つ普段は要人警護や、盗賊や魔物などの討伐依頼を冒険者に斡旋しているが、毎年この時期に行われる『新緑祭』(名前の由来は新しく大樹に芽吹いた若葉の様に商売に活気を付けようとの事らしい)の開催にも一役買っているのだ。
「思えばこの一ヶ月間、ずっとこき使われっぱなしだったな……」
無論、そこには今後の商売もかかっているので気合を入れて準備にとりかからせられる。ステージ作りの土木作業から装飾用素材集めとしてやらされた魔物討伐まで、今日からの三日間の為にやらされてきた事が怒りとともに蘇ってくる。ーーちくしょう、祭が成功すりゃ客が来るようになるからってあんな人の使い方があるかよ。
「おーい、いい加減に起きないと朝ごはん勝手に作っちゃうよ?」
そんな不満を漏らしていると、ドアの向こうで適当に何回もノックをしているのは弟妹分のアルマとカールだろう。ーー初めて祭に参加するからだろうか、いつもより起きるのが早い。
彼は一言返事を返すと猫のような身のこなしでベッドから飛び起きていそいそと食卓へ向かった。
「今日は俺の知り合いと一緒にいってもらうわけだが、絶対にはぐれるんじゃないぞ?」
心配性の兄貴分はドアの前で二人に向かって念をおしている。それを聞いている二人はもうそんな歳でもない、もう聞き飽きたといった感じで適当な相槌を打っている。
「こっちの心配するのもいいんだけどさぁ、そっちも自分の仕事を頑張ってね? 多分そっちいくからさ」
「もちろんさ、このための仕事だったんだからな。ちゃんと拍手とか送ってくれよ? そっちもそうだがこっちも楽しまなけりゃ損だからな」
勢いよくドアを開けるフリードリッヒの顔はニヤリとしている。ーー彼も一年ぶりの祭を楽しみにしていたのだ。