プロから見たSAO攻略   作:ベルクーリ2世

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 また、編集、調整の回です。前回に続けると少し長いので。


第25話 クリスタル・インゴット

 第五〇層 アルゲード

 

 本部には、カイトもグリゼルダもまだ戻っていなかった。そこで、近くのギルド直営喫茶店にいくことにした。ここは、本来は料理店だ。マスターは夜はシェフになる。料理スキルをコンプリートしており、洋食、フレンチ、イタリアン何でもござれである。かなりの名店で、キルメンには別に席が用意されている。

 キリトはプリン・ア・ラモードと紅茶を、シャルとシリカはクレームドスフレとコーヒー、紅茶を注文した。キリトは辛いものが大好きだが、甘いものもかなり好きである。要するに食い意地が張っている。「子供舌」であるが、その割に味には結構うるさい。何せ料理スキルコンプリート間近の、アスナがついているものだから、外食ではなかなか満足しない。この店は数少ない例外である。

 

 「俺、今回、上手くやれたかな。」

 

 「非の打ち所がなかったわよ。完璧じゃない。ただ、バトルヒーリング800って、あなたどれだけ攻撃受けてきたの。あたしは、一番驚いたのはあれ。」

 

 「俺はレベル上げの時に、回復結晶いっぱい持って、わざと攻撃受けてただけ。相手の攻撃、ほとんど避けてるのに300近くある、カイトやシャルの方がよっぽど異常だよ。どれだけ戦ってきたのかって。」

 

 「あたし、途中どうなるかって、思ってたのに、お二人とも余裕たっぷりで、本当、凄すぎます。」

 

 「いや、数が少し多いだけで、全員ヘナチョコだから。ほとんど戦わずに、終わったのは俺にしては上出来かな。」

 

 「謙遜しちゃって。似合わないわよ。」

 

 「でも、いまさらだけど、カイトって凄いよな。あんな悪女にまで、一目惚れさせてるんだから。」

 

 「感心するのはそこ?全くぅ。あたしは、嫌だったな。一体どれだけ、あんなのがいるのよって思っただけでうんざり。」

 

 「でも団長さんの名前が出ただけで、ビビってましたね。本当に凄い。」

 

 「オレンジにとって、カイトは天敵みたいなものだからなあ。あ、そうだ、シャル、アスナには、俺から話すからシャルは何も言わないでね。」

 

 「あら、アスナに聞かせたらまずいようなことって、何かしてたかしら?」

 

 「もう、分かってるだろう?」

 

 「はい、はい。言わないわよ。でも聞かれたら、答えるから、諦めてね。」

 

 「えーっ!」

 

 「あのぅ アスナさんって?」

 

 「閃光のアスナって知ってるでしょ。キリトの彼女なの。結婚も秒読み、かな。」

 

 (かわいそうだけど、早く現実を知った方がいいわ。)

 

 「有名な方で、もちろん知ってますけど・・・」

 

 大ショックのシリカが気になるのは、もちろん、そのあとの部分だ。

 

 「シャルはシリカとは今日会ったばかりなのにそんなことまで言うなよ。」

 

 (あなたを助けてあげてるのに、相変わらず鈍感ねえ。)シャルは呆れている。

 

 「ねえ、シリカちゃん。あなた、このままウチに入団しない?」

 

 「おいおい、そんなこと勝手に・・・」

 

 「キリト、あなたがシリカちゃんに入団勧めるつもりだったんでしょ。でも、あなたがそんなこと言ったら・・・ね。だからあたしが言ってあげてるんじゃない。」

 

 「まいったなあ、その言い方、カイトそっくり。」

 

 「あのう、嬉しいんですけど、あたしなんかレベル低いし、その・・・」

 

 「今日1つ上がって45だっけ。確かに最前線に行くにはきついけど、それ以外にもやることはいくらでもあるさ。」

 

 「そうよ。この間なんか、カイトとあたしの結婚披露宴でアイドルユニットまで出したもの。シリカちゃんも可愛いからきっと声がかかるわよ。」

 

 「あの、インビクタスって攻略組最強のトップギルド・・・ですよね?」

 

 「トップっていうのはね、ただ戦闘が強いだけじゃなくて、経済力もビジュアルも人気も全部トップっていうのがうちの団長の方針なの。平均年齢以外はね。」

 

 (このギルドって、何かすごそう。あたし、ついていけるかなあ?)

 

 「大丈夫だよ。女性がいるギルドって、大きなところではウチだけじゃない。だから、そういうところに入りたい女の子は自然にウチに来ることになるのさ。きっと楽しいと思うよ。」

 

 「何が、自然に、よ。あたし以外はみんなキリトに付いてきた子じゃない。」

 

 「な、何を。大体、シャルは最初っからカイトについてて、ずっと男の子だったじゃないか。」

 

 「えーっ?!」驚くシリカ。

 

 「その話は長くなるからまた今度。おっ、カイトもグリゼルダも帰って来たって。じゃそろそろ行こうぜ。」

 

 

 ギルド「インビクタス」本部

 

 「やあ、はじめまして、シリカちゃん。僕が団長のカイトです。他にも話はあるだろうけど、揃ったところでまずはピナを生き返らせようか。あまり待たせちゃピナにも悪い。」

 

 「はい、じゃあ。」

 

 シリカは「ピナの心」と「プネウマの花」を取り出して並べる。「ピナの心」に「プネウマの花」から溢れる一滴の雫がかかると・・・

 

キュゥウウ! 

 

 小さなフェザーヒドラが可愛く啼いた。蘇生成功だ。

 

 「ピナーッ!」シリカはピナに抱きつく。ピナも嬉しそうだ。

 

 「うわーっカワイイ!」「こんなの初めて見た!」「凄い、本当に生き返った。」

 一同は感嘆の声。

 

 

 「ありがとうございます、キリトさん。本当に何から何まで。それにシャルさんも。」

 

 「あたしはただ、見てただけだから。良かったわね、シリカちゃん。」

 

 「はじめましてシリカちゃん。グリゼルダよ。ねえ、その子も言葉分かる?」

 

 「はじめまして、グリゼルダさん。ええ、分かります。あの、グリゼルダさん、あたし、ずっとお会いしたかったんです。」

 

 「あら、光栄だわ。そんなこと言われたの、初めてよ。わたしのラムレイもね、言葉がわかるのよ。」

 

 ラムレイは縮小サイズで、グルゼルダに従っている。

 

 「あっ これがラムレイですか。カワイイー。」

 

 「大きくもなれるの。ねえ、シリカちゃん。」

 

 「はい?」

 

 「フェザーヒドラって確かもっと大きいはず。その子はきっとまだ子供だわ。いい餌をあげればきっと大きくなるし、強くなるわ。」

 

 「そんなこと・・・できるんですか?」

 

 「ええ、この子も随分強くなったわ。専用のアイテムも装着してるし。」

 

 「でも大きくなったら一緒に寝られないかも・・・」

 

 「心配ないわ。この子みたいに小さくなれるはずだから。」

 

 「あの、いろいろ教えてください。グリゼルダさん。」

 

 「ええ、ビーストテイマーの仲間ができてわたしも嬉しいわ。」

 

 「今の話は、シリカちゃん。君の入団を前提としたものと考えていいのかな?」

 

 カイトがにっこり笑って問いかける。

 

 「でも、本当にいいんですか?レベル低いし。」

 

 「全く問題ないさ。キリトからも言われただろうけど、何もいきなりボスと戦えってわけじゃない。ビーストテイマーというだけでも貴重だ。その上キリトとシャルが推すんだもの、僕からも入団をお願いするよ。」

 

 「そんな、恐れ多いです。でもせっかく、そう言ってくださるんですから、お世話になります。」

 

 「良かったな、シリカ。団長も君のこと凄く気にいったみたいだ。」

 

 「キリト、そういう発言は控えるように。ありがとうシリカ。みんな、シリカは今日からインビクタスの一員だ!」

 

 「大歓迎だ!」「良かったなシリカちゃん。」「キリトよぉ、また、お前ぇ女の子連れてきたな。」「また、とはなんだよ。クライン。」「キリトくん、後で、お話はたっぷり、聞かせてもらいますからね。」

 

 こうして、シリカのインビクタスへの入団が決まった。全員大歓迎だった(アスナも歓迎はしている)。

 

 「あの、グリゼルダさん。」

 

 「なあに、シリカちゃん。」

 

 「一つだけ気になるんですけど、キリトさんが、団長があたしのこと気に入ったって言った時、ストップかけましたよね。あれだけが、どうしてかわからないんですけど。」

 

 「あれはね、ああ言っておかないと、後でシャルに怒られるからよ。大丈夫。キリトの言ったとおりだから。」

 

 (あの団長を叱るなんて・・・シャルさんて凄いっていうか、何だか怖い。)

 

 「テーミス」のほかに「インビクタスのお姉さん」の異名を持つグリゼルダ。彼女に気に入られたシリカは何の心配もなくここでやっていけそうだ。

 

 

 

 第六一層 セルムブルグ カイトとシャルのホーム

 

 

 先に帰っていたシャルが、カイトを迎える。エプロン姿も板についてきた。その姿でも美しいシャルの体のラインはくっきりと見える。

 

 

 「お帰りなさい、あなた。お風呂にする?ご飯?それとも わ・た・し?」

 

 

 (何なんだ。この超反則技は!どっかで、見たような気もするが、それでも全く抵抗できない。)

 

 カイトはそのまま、シャルを抱き上げ、ベッドルームに直行だ。

 

 「ちょ、ちょっとカイトぉ いきなりそんな・・・・」

 

 このところ、ちょっと間が空いていたので、行為の後は二人共、満足感たっぷりである。

 

 「ひどいよ。カイトったら、不意討ちなんて!」

 

 シャルが心にもない抗議をする。

 

 「不意討ちはどっちだ。こんなに可愛い若妻にあれをやられて、即、押し倒さない男がいたら、僕はそれだけで尊敬するよ。きみ、あんな強烈な反則技、どこで習った?」

 

 「あのね、高校の先輩に何でもできる、そう、アスナみたいな人がいて、その人、生徒会長だったんだけど、日本では新婚の奥さんはこうするのよって。ほら、あたし、日本人なのに、生活がアレだったから、日本のことあまり知らないでしょ。だからその人に習ったんだよ。」

 

 (カイトはピンと来た。シャルが通っていた高校は知っている。)

 

 「なあ、シャル、その先輩って、その、家業が普通じゃないだろ。」

 

 「うん、何でわかるの?」

 

 「しかも今の当主はその娘。」

 

 「ええっ 知ってるの?!」

 

 「ああ、名前も珍しいからな『盾無』だったな、確か。」

 

 「当たりだよ。リアルに戻ったらカイトを紹介したいな。」

 

 「向こうも僕を知ってるよ。お互い会ったことがないだけだ。しかし、シャルに何、教えてくれてんですか、盾無さん。」

 

 「でも、嬉しかったでしょ?」

 

 「もちろん。シャルだってそうだろ?」

 

 「へへぇー・・・うん。 あの、盾無さんてさ、超優等生なのに、一歩、学校から出ると、これが面白い人なんだ。」

 

 「それは知らなかったな。それにしても、世の中狭いもんだ。」

 

 

 

 約一週間後

 

 第五〇層 ギルド「インビクタス」 本部 団長室

 

 カイトSide

 

 (ううむ、この六〇層からって、六一層以外はひどいな。面白くもなんともない。)現在最前線は第六四層だ。カイトは第五五層グランザムのバカでかい血盟騎士団本部が目障りで仕方がない。

 (みんな知ってるんだからな、あいつは。仕方ないか。まあ、あそこに先回りする気にもならないしな。しかし、あの層に希少なインゴットが出るという話は耳よりだ。ようし、鉱脈が枯れるまで掘り起こしちゃる。ヒースクリフめ、でっかい団長室で、ふんぞり返っていればいい。実利はこちらがいただく。)

 

 キリトはエリシュデータに釣り合うもう一本の剣を欲しがっていた。リズベットの店で最高の剣を買い、それを使っていたが、彼に言わせると「まだ軽い」ということだった。リズベットに「もっといい剣は打てないのか」とまた、喧嘩を売るようなことを言い、例によって口論になったが、第五五層に「クリスタル・インゴット」なる希少なインゴットがある、という不確定情報だけを頼りに、西の山に出かけていった。カイトに言わせると運だけで、インゴットをせしめて帰ってきた。

 これを素材にしてリズベットが念を入れて片手剣を打ったところ、「ダーク・リパルサー」なる、エリシュデータとほぼ互角の剣が生み出された。つまり、魔剣クラスの剣である。リズベットはこれ以前に親友アスナのためにやはり魔剣クラスのレイピア「ランベンライト」を作成している。つまり、既に二本の魔剣クラスの剣を作成しているわけだ。

 ランベンライトを作った時カイトは「どの層でもいい、ギルドが費用は半分援助するから、君の好きな所に新しい店を出しなさい。」という報奨を与えた。リズベットは第四八層リンダースを希望した。水車やレンガ作りの建物が印象的な素朴な村であり、リズベットの飾らない、それでいて暖かみのある人柄を表している選択と言えた。鍛冶スキルはランベンライト作成前にコンプリートしている。マスターメイサー、であった。ギルド御用達の鍛冶の中でもほかにマスターメイサーはナーザとあと一人を数えるのみだ。ナーザもその後作業場を第四八層に移した。仕事の都合上、同じ層に仕事場がないと連携に差し支える。

 中でも、リズベットとナーザは、マスターメイサーである以上の才能がある。もっといい素材があれば、超ド級の剣や槍を量産することも可能なはずだ。超チート軍団の強化もやや頭打ちであり、武器のさらなる強化くらいしか手段がなくなっていた。

 

 さて、キリト自身はこれで二刀流は完備に近く、大いに結構なのだが、折角、インゴットを入手できたのに入手方法が、極めて運任せのいい加減なもので、後からこれに倣うことができにくい。

 このインゴットが出る西の山には、白い竜がボスとして頑張っているのだが、こいつを倒してしまうと、ドロップするアイテムは極めて平凡である。したがって、倒し切ってはいけない。これがまず一つ。

 問題のインゴットは、この白竜の巣を掘って採取する。つまり竜の排泄物だ。それは仕方がないのだが、その巣がやけに深い穴なのだ。ザイル、ハーケンなどが欲しいが、このアインクラッドでは「ほとんどワンタッチでできる」か「全くできない」のどちらかで中間がない。つまりオリジナルの「モノ」はほとんど作れない。しかし、仮に火薬などが存在したら、カイトが爆弾作りまくりで、ボスなど次々と爆殺してしまうであろう。なるほどこれは、やむを得ない仕様だ。目下の問題は、そういう道具もなく、いかにしてこの白竜の穴から脱出するか、である。

 キリトとリズベットが脱出したのは、無茶苦茶な方法で、まず、キリトが壁を縦に走って登ろうとした。(あのうつけが!)とカイトですら思った。キリトは「もう少し助走距離があればいけた。」などというが、こんなことができるわけがない。実際には夜があけて、お帰りになった白竜さんの背中に乗せてもらって、脱出したのであるが、散々痛めつけられた相手を「乗せてくれる」わけがない。つまり、乗れたのは偶然にすぎない。現に、そのすぐ後に、二人とも放り出されている。

 インゴットを大量に取得するには、もっと確実に穴から脱出する方法が必要だ。(仕方がない。僕とシャル以外には無理だ。)この二人なら「三角跳び」の応用で次々と壁を蹴って、行けば出るのは難しくない。インゴットの取得にはマスター・メイサーの同行が不可欠だったが、リズベットとナーザが交代で同行した。彼らだけがこれを素材として剣を作るからである。しかし、僕とシャルはナーザかリズベットを抱いてこれをやらなければならない。まず僕がやってみた。当然、シャルに頼む時はリズベットに行かせた。

 取ってきたインゴットを素材として、リズベットとナーザはいずれも入魂の仕事をしてみせた。リズベットはシャルとグリゼルダのために、それぞれ「ダークリパルサー」を作り(計2本)ナーザはオルランドのために「聖剣デュランダル」をクーフーリンのために、「ゲイ・ボルグ」を作った。作った者もその使用者も全員満足した。中でも、ナーザ、オルランド、クー・フーリンの旧「レジェンド・オブ・ブレイブス」の面々は長きに渡る夢が実現したことで、手を取り合って感涙にむせんだ。そして、聖剣デュランダルを得たアドバンテージは大きく、これ以後、オルランドは攻略組上位プレイヤーとして、常時ボス戦にも参加することになるのである。

 

 超チート軍団は主力メンバーの武器の刷新によりさらに強化された。(あとは日本刀向きのインゴットが見つかれば)カイトはクラインらと共にそれを心待ちにしていた。 

続く

                                                

 、

 

 

 

 

 

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