今年は色々あったなぁ……来年も執筆ガンバロー!
今回は視点が1人称で書きました。まだ様子見ですが……
前回までのあらすじ。影人猛打賞→今鳥撃沈→播磨撃沈。以上
放課後、2年生廊下にて。
「あのクソ七三おやじめ!練りけしでネリネリして遊んでただけだというのに、放課後に呼び出ししてまで説教するとはよ!無駄な時間くっちまったじゃねーか」
けしカスを寄せ集めてひっそりと作っていたというのに、あの厭味ったらしいじじぃは……俺が不良だとか、サングラスは外したまえだとか、播磨の腰ぎんちゃくうんぬんとか。まったく関係ねーことばっか語って。職員室でなければ飯綱落としを食らわして、地面に突き刺さしてやるところだな。
良く耐えたぜ俺。
――――影人に注意したのは2-D担任加藤。
我がクラス2-Cの扉の前に到着しましたとさ。俺の席に置いてある鞄を取って、帰るとしますかねー。
今日は晶と古本屋のバイトがあるから寄り道しないで帰らないと。
「鞄、鞄っと……」
クラスに入り、自分の席まで直行する。清掃も終わったようで、誰もいないと思っていたが数人の男子が机を並べて……会議?よくわからんが話し合ってるみてーだな。
……にしても拳児のやつ昨日から変なんだよなぁ。昨日から注意深く拳児をみていたが、塚本と話している男子を視察してたと思ったら……今度は塚本が拳児を見ていたり―――――いや、あの目は播磨じゃなく、他の人物を見ていた気がしないでもないが。
またあの拳児《バカ》がヘマをやらかさないことを祈るだけだな。
「おっ、影浦じゃねーか。ちょうどいいとこにきたな」
「あん?お前はたしか…………えーっと……」
もう用はなかったので、扉に手をかけ帰ろうとしたとこを赤髪がかかった茶髪で思わず撫でたくなりそうな、ジョリジョリ頭のやつが話しかけてきた。誰だっけ。いたよーな、いなかったような……違うクラスのやつかも。放課後だし、違うクラスから遊びに来たんだな、きっと。
「ジョリティーでいいや。なんのよう?」
「ジョリティーって誰だよ!?俺の頭を見ていってんの!?菅だよ、菅柳平!名字だけでもいいから覚えてくれって!」
「すがりゅーへい?……長いからお前のことはジョリティーと呼ぶ。異論は認めん。あ、その頭触らしてもらってもいい?」
「微塵も覚える気ないよな?!しかもお前ぜってー俺の髪型からあだ名をとったよな!!触らせなせねーからな!俺の名前を呼ばない限りぜってー触らせないから!!」
「名前を呼ばないといけないのか。じゃいいや。さいなら」
「そこまで俺の名前を呼ぶのが嫌なのかよ!!そして帰ろうとすんな!!!」
触らせてくれそうになかったので、帰ろうとしたのに髪型だけじゃなくて顔も真っ赤になったジョリティーが、ドスドスと大股で寄ってきて俺の肩を掴んで阻止された。
「あっはっはっは。やっぱり影浦は面白いねー!西本君、これなら彼を俺たちの仲間に入れてやってもいいんじゃ?」
「そうダスな。影浦君、こっちに来てほしいダス」
メガネ君2号が笑いながら俺の肩に手を回してきた。
西本……あいつ同じクラスだったのか。てっきりクラスに飾ってあった大仏様と思ってたぜ。
――――影人、失礼。
「まぁ、まずは座って」
大仏様に言われた通り、大仏様から向かって斜め手前の席に座る。ジョリティーとメガネ2号も俺が座ると、他の席に着席し大仏様の声に耳を傾ける。
んー、こいつら以外のメンツは……金髪君とその他男子2名。俺を合わすとここにいる男子は合計で7人か。
「影浦君。君を僕らの仲間に入団するに相応しいかちょっとした質問をするダス」
「……なんの仲間だ?」
「それは質問に答えてから教えるダス」
変な宗教とかの勧誘ではないみたいだから……別に答えるだけならいいか。俺がこいつらの仲間に入るか入らないかは俺の意思だしな。
――――西本願司。実家がビデオ屋。
「君に彼女はいるダスか?」
「……いたらこの学園生活ももっと楽しくなるんだろうな。16年間生きてて彼女なんて一人たりともいたことねーよ!」
「意外なんだな……君は女性のバストは大きい方、それとも小さい方どっちが好みだすか?」
「なんだその質問は…まぁ、いい。そうだな……別に俺はどっちでもいい。だが、あえて言うなら美乳派だ」
「おいおい、影浦よ。男はやっぱDっしょ!おっきいおっぱいには男の夢と希望とロマンがたっぷりと詰まっているのさ!」
「は……わかってねーな金髪君よ。ただでかいだけじゃダメだ。俺はさわり心地、形、感度。この3つを重視する!」
「ぬぉお……い、言うじゃねーか」
「ほうほう、影浦は手に収まるくらいのがちょうどいいと」
「中々に良い答えダスな。次の質問いくんだな。影浦君は年下派?それとも年上タイプ?もしくは同年代なのかな?」
「うーむ……年齢か。年が離れすぎてもダメだが、俺は年上の包容力がありそうなおねーさまがいいな。優しく可愛がってくれそうな人ならなおよし」
「おおっ、わかってるねぇ影浦。いいよなー年上の人って!年下の子もいいだろうけど、俺もお姉さんタイプだぜ」
「ま、これはあくまで好みだからな。じっさいに俺が誰を好きになるかどうかはその時までわからんしな」
「なるほどなるほど……これが最後の質問だす。影浦君、君は女性の体に興味があるかな?」
「愚問だな。俺とて健全な高校男子。興味があるに決まってんだろ!」
むしろここで興味がないと言ったやつは男じゃない。もしいたとしたらそいつはホモだ。阿部さんに掘られる気満々だ。
「ここで隠そうとしないで正直にさらけ出すとは……そんな君にはこれを進呈するダス」
そっと、大仏様からなにかケースみたいなのを渡される。
……なんだこれ……DVDみたいだが……ッ!!!
「こ、これはっ!!」
『魅惑の美人女教師~誰もいない放課後の教室で~』……レアものじゃねーか!
「い、いいのかこんなすげーもんもらって!」
「もちろんダス。君みたいなエロスを持ったさ迷える子羊はわすたちの仲間に入るに相応しいダス」
「ということは……」
隣に座ってるジョリティーが、やっぱ西本は実家がビデオ屋なだけあるわ!と興奮してた。
あの大仏様実家がビデオ屋なのか……今度バイトの帰りに探して寄るとするか。
――――影人、変人でもお年頃である。
「影浦影人君。本日より君をワスたちエロ会議《ミーティング》に参加することを認めるダス!」
『おおお!!』
周りから歓迎される。ジョリティーからは背中をバシバシ叩かれ、今鳥からはD以上の情報があったら教えてくれよなと手でDの文字を作り言ってくる金髪君。メガネ2号は記念撮影と言って、俺のサングラスを取ろうとするが、伸ばしてきた手をするりとよけ、代わりにメガネのフレームを人差し指で弾いてやり後方にメガネを飛ばしてやった。
俺の素顔を許可なく取ろうとするなんざ100年早い。
――――晶には許可なく取られているが、本人は気づかず。
「なにをするだとかはよくわからんが、よろしくたのむ。大仏様よ、なにか困ったことがあれば俺に言いな。可能な範囲で手を貸すからよ」
「……わすは大仏に似てるとは言われるダスが、これからも大仏呼ばわりするのは嫌なんだな。わすは西本願司ダス」
「人の名前を覚えるのは得意じゃないんだ。ま、善処はする」
目を開けてるのか開けてないのかわからないから、表情が読み取りにくいやつだな。
だが、この大らかさがあるからなのか会議ではこいつがまとめてそうだ。
「っといけね。これからバイトがあるんだった。今日はお先に失礼する」
「なんだ、もう行っちまうのか。まだこれから語りまくろうと思ってたのによ」
「わりーなジョリティー、それはまた今度な」
「頭を触るな!」
片手を上げて、反対の手でジョリティーの頭をジョリジョリさわりクラスを出ようとする。
「あ!そうだ影浦、聞きたいことがあるんだけどさ……お前と高野って付き合って…るのか?」
が、またもやメガネ2号に引き留められた。
……俺と晶ってそういう風に見られてるのか?金髪君もジョリティーもその他男子も……大仏様はさほど興味はなさげに見えるが……
「さっきも言っただろ。俺はこの16年間彼女はいないと」
それだけを全員に伝え、やつらがなにか言い出す前に俺は教室を出た。
もちろん、さっき大仏様から受け取ったムフフなビデオは鞄にしまったさ!バイトが終わってからの楽しみが増えたぜ!!
「はい、もしもし影浦ですが……刑部先生?…………は?拳児がバイクに乗ったまま、トラックに撥ねられ全治10日の怪我?……バイト先に送れると連絡してから向かいます。…………今度は交通事故かよ……あいつ不幸でも呼び寄せる体質なのか?」
古本屋の店長と晶にほんの少し遅れると連絡を入れてから、俺は学校から直接拳児が入院してる矢神病院までやってきた。
拳児の病室に入り、様子を見に来たのだが割と平気そうだった。頭を強く打ったみたいで頭のとこだけ包帯をグルグル巻きにしてるが、こいつはこれ以上頭を怪我しても下がりようのないバカだから問題ないだろう。
「赤信号だというのにブレーキを踏まずにアクセルを回すたぁ……お前一度教習所行って免許取り直してこいよ」
「いやぁよぉ、その前になんかすっげー良いことがあってだな……なんだっけ……?」
事故に会うまでのほんの少しの出来事は記憶が曖昧になってるようだな。拳児のことだから、塚本絡みだとは思うが。
「はぁー……トラックに撥ねられたというのにその程度で済んでよかったな。だが、俺も晶も毎度言ってるがバイクに乗る時はヘルメットを被れと言ってるだろうが。もしも今回被っていれば、記憶が飛ぶことはなかっただろうよ」
「う、うっせーな。絃子みてーなこと言ってるんじゃねー!」
……刑部先生にも言われたのね。
今刑部先生は、拳児の主治医の先生と話に行ったみたいで今ここにはいない。俺が会った時は普段の刑部先生だったが、俺に連絡してきた時は少し声が震えていたような気がした。いつもは拳児に対しつっけんどんな態度を取る人だが、さすがに従姉弟兼同居人が事故にあったのだから心配になったんだろうな。
「ま、案外平気そうでよかった。お前が入院してる間、学校での配布物は俺が持ってきてやる。授業に出られない分のノートとかは晶に頼んでおいてやるから、お前はさっさとその怪我を直して復帰してこい」
「おう、なにからなにまですまねーな」
「なに気にすんな。もしも俺が風邪とか引いたときは……頼むぜ?」
「もちろんよ。男播磨拳児、親友に恩を売られたら必ず借りを返す男だぜ!」
律儀なことで。学校のやつらがこの播磨を見たら別人だと思うだろうな。不良と恐れられる男が親友なんて言葉を使ってるんだからよ…
「それじゃ俺はこの後バイトがあるからお暇するわ。また暇な時に見舞いにくる」
「……こんな俺のためにありがとな」
自嘲気味に言う拳児に対し俺は――――
「このようなこと今に始まったことじゃないだろ。それに俺が好きでやってることだ。次俺が来るまでにはキョゲー!と奇声を上げ盆踊りを踊れるようになるまでには回復しとけよ」
半分冗談を交えて、見舞いの言葉を送ってから退室した。
「ありがとな。親友」
病室に一人になった播磨は誰に言うわけでもなく、感謝の言葉を呟いていた……
「あれー?影浦君だ。こんなところでどうしたの?」
「……塚本か。お前こそどうし――――その花……なるほどな。拳児の見舞いにでもきたのか」
病室から出て、渡り廊下を歩いていると両手に花束を抱え、私服姿の塚本とばったり遭遇した。
「すっごーい!どうしてわかったの?」
「超能力でお前の心を読み取った」
「ホント!?影浦君ってエスパー少年なの!?」
「嘘だ」
「嘘だったの!?」
「……騙されんなよ」
ひっどーい!と頬を膨らませる塚本。喜怒哀楽が激しいやつだな。
しかも、この反応素だ。雰囲気がどことなく拳児と似てる辺り、ある意味お似合いなのかもしれない。
「俺もお前と同じだ、拳児の見舞い。ただ、俺の場合は学校帰りだけどな」
「そうなんだー……あ、そういえば播磨君と影浦君って友達同士なんだよね?」
「あいつとは親友ともいえる間柄だ。……って、こうしちゃいられん。悪いが塚本、これからバイトなんだ。播磨のやつお前が見舞いに来てくれて、めっちゃ喜ぶだろうから少しでも長い間あいつと話してやってくれ」
「?播磨君が?よくわからないけど、播磨君が心配だし元気が出てくれるようにがんばってみるよ!影浦君も晶ちゃんとのバイトがんばってね!」
タッタッタと塚本は走っていった。
…………あれ?なんで塚本のやつ俺が今日晶と同じバイトだってこと知ってるんだ………まぁ、いいか。
――――影人。天満の名前は播磨と高野を除き、2-Cの中で唯一覚えている。
「ちわーっす、すんません。おっくれましたー」
「きたね。年上の癒し系お姉さん好きの影浦影人君」
「ぶっ!!な な な、なにを言ってんだ!」
「別に、鎌をかけただけだけど?ホントなんだ」
「嵌めやがったな!?」
「私はただ網を張っただけ……それに引っかかったのは影人から。それじゃ、今日もよろしく」
「…………食えない女」
――――薄々影人のタイプに気づいていた晶だった。
播磨入院回。そして影人がエロソムリエたちの仲間入り。影人の好みが発覚。だって男の子だもの。
サブタイにも書きましたが、バイクに乗る時はどんな近場であろうと、必ずヘルメットを着用しましょう。播磨だからほんの少し記憶が飛ぶ程度で済みましたが、現実だとシャレにならないので必ずヘルメットは忘れずに。ノーヘルはダメゼッタイ!