すくーるらんぶる!   作:カーディナル

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陛下!続きがかけたでGESUよ!
本編だけじゃなくオマケだってあるんだZOY!


【人は】メープル味も好き【見かけによらない】

「……?」

 

「あれ?」

 

後ろで女子生徒×2がゆっくりと顔を上げる感じがする。なんとかギリギリ間に合ったみたいだな。

……こうやって割り込んだのはいいんだが、どうしよ。後先のことまったく考えてなかった。とりあえず、後ろの二人を安心させるために声をかけてみるか。

 

「おい……生きてるか。生きていたら返事をしな」

 

「へっ?あ、は、はい!」

 

「…………(←状況を良く飲めずにいる)」

 

この二人に噛みつこうとして飛びかかってきた野犬を片腕に噛み付かせたまま、振り向かずに声をかけておく。一方はなんとか反応できたみたいだけど、驚きを隠せてないみたいだな。もう一方は無反応だし。

 

「グウ!?(なんや兄ちゃん!ええカッコを見せようとしたいのかしらんが、この誇り高きレトリバー様に挑むとは命知らずやんけ!!)」

 

俺の腕に噛みついたまま目を見開く野犬。この一吠えにこんな多くの意味が含まれているのか。なんでこの犬の喋り方大阪弁なん?

 

 

――――野犬の種族はカーリーコーテッドレトリーバー。

 

 

うぅ……喋るんだったら腕から離れてほしいんだけど。歯が当たって痛いし、涎が服についてベタついているし……うへぇ、もうこのまま逃げ出せるなら逃げ出したいんだけど。けどここまで来たわけだし、そんなカッコつかないことはしたくないし。なんとかして追っ払ってみるか……今にも膝が爆笑しようとガクガク震えそうだけど。

 

 

「に……!ニャー、ニャー!(この匂いは!神社の時の人間!)」

 

「伊織……?この人のこと知ってるの……?」

 

な、なんだ?猫の鳴き声が聞こえたから、左腕にぶら下がってる野犬を引きはがそうと頭を抑えつけたまま振り向くと黒髪の女の子が腕の中で抱いている黒猫が俺の方に腕を出して、腕の中から逃げ出そうとしてこっちに飛びかかろうとしていた。

 

「え、なに神社?……ん?額に傷跡…黒猫」

 

この猫どっかで…………いつだっけなー。額に傷、黒猫。この二つの特徴なんて近場にゃそうそう生息してないはずだから出会っていたら、忘れるはずないんだが……

 

 

――――人の名前だけでなく、猫のことすらうろ覚えである(伊織と影人の出会いは9話参照)」

 

 

「ガウッ!(隙あり!兄ちゃん覚悟せいや!)」

 

「ぬおっ!?し、しまっ――――」

 

野犬の癖に妙に賢い。こっちの意識が野犬から後ろの黒猫に向いてるほんのちょっとの隙を見つけ、押し倒してきた!

いやあああああああ!猛獣が!畜生風情が!!迫ってくるうううううう!!!

 

「バウ!ガウガウ!!(おおっ!この味……香り、今まで舐めてきた人間の中でも極上やないか!!)

 

ベロベロベロベロベロベロ

 

「……ッ!……!?」

 

おわっぷ。や、やめ、やめろっての!俺はホネでもなきゃてめーらの餌でもないから!

なんなの?俺って動物からしたらそんなに美味そうなの?香り高いの?ねぇ、どうなの?

 

「……あ、あのー」

 

「こ、これって助けたほうがいいのかな……」

 

……ハッ!後ろにいた二人がいつの間にか持ち直し、俺を挟み込んだ形で両隣にいてこっちを心配そうに見てる……だと?

 

「このぉ…………なめんなーーーー!!!」

 

自分より年下っぽいしかも女の子が見てる手前、情けない姿を見せられるかってんだ!しかもギャラリーだっているんだぞ!グラサンが犬の唾液でベタベタになりながらも、犬の胴体を掴み片足の裏を腹に当て、巴投げの要領で遥か後方へと放り投げる。動物虐待なんじゃないかって?これは戦闘防衛であって虐待ではない。

 

 

――――相手をなめるのなめると舐めるをかけたわけではない。念のため。

 

 

「ワオオオオオォォォォーーーーン(なんてこったい\(^o^)/)」

 

なんか最後の最後ではっちゃけた感のある叫び声だったな。

 

「ふぃー、なんとかな…………うげぇ、なんで俺はこうも動物に舐められるのかね」

 

野犬のせいでできた服の皺を伸ばしつつ立ち上がる。動物に好かれる体質といっても、やつらからは美味しい餌として見えるのかね俺。

 

「あの!助けてくれてありがとうございました!」

 

「……あ、ありがとうございました」

 

「……礼を言われたくてやったわけじゃない」

 

金髪の子と黒髪の――――おそらくこの子が塚本(妹)だろう。これくらいは俺でもわかる。

下の名前は…………………………や、や、や……やーも?

 

「うぇへぇ、気持ちわるぅ。グラサンのおかげで目は無事か……って、いつまで見てんだてめーら!見せもんじゃねーんだぞ、散れ!!」

 

未だにこっちを見てる野次馬たちにここから立ち去るようにと片手を横に振り払った。

ぶつぶつとなにか言いながらも野次馬たちは去っていき、いつもの中庭の雰囲気に戻った。

 

「サングラスの人……もしかして、2年の影浦先輩ですか?」

 

思いだしたかのように言う外人さん。

 

「たしかに俺は影浦だが…なんで知ってるんだ?」

 

「一年生の中で有名ですよ、影浦先輩のこと。あ、私1-Dのサラ・アディエマスです!先輩って呼んでいいですか?」

 

「あ、あぁ。別に構わないが」

 

テンション高い子だな。日本語も上手だし、フランクだし…外国人ってみんなこんな流暢に喋れるもんなのか?

それよりも俺って一年に知れ渡ってるほど有名なのか。グラサンかけてるからなのかもしれないけど、グラサンだけで特定できるなら拳児だって候補に入るだろうに。

それに先輩って呼んでいいって、許可する前に影浦先輩って呼んでじゃん。

外人後輩とは反対に黒猫を抱いてる子は大人しいな。けど俺……いや、外人後輩と俺に話しかけようとする雰囲気がするな。

 

「…アディエマスさん。先輩、助けていただき本当にありがとうございました……犬は苦手で…」

 

そう思ってたら話しかけてきたな。見ててこっちが申し訳なくなるほどしょぼんと肩を落とし、頭を下げてくる。腕の中にいる猫はそんな主人の心境を読めずにこっちをジーッと見てきてるし。

俺は鰹節の匂いでもするのか……?でもそれだと犬が寄ってくる理由にもならないし。

あ、匂いと言ったら俺今野犬の涎で顔がベトベトだったな。えーっと、ハンカチハンカチ

 

「そう畏まらないでいいって。私たちは同じクラスメイトでしょ?困った時はお互い様。それと私のことはサラでいいよ、塚本さん」

 

「あ……よろしく、サラ。私のことは八雲で…一つ上の学年に姉がいるから」

 

「うんっ!こちらこそよろしくね八雲!」

 

女同士は仲が良くなりやすいとは聞くが、こうも早くお互いの名を呼べる仲まで進むとは。某魔法少女が言っていたな、相手の名前を呼べるようになりゃ友達みたいなこと。

っと、あったあった。俺の趣味にゃ合わないハンカチだけど使えりゃまったく気にしない性質なんでね。

 

「…!そのハンカチ……もしかして、眼帯の人……」

 

「ん、眼帯?何で俺が眼帯も付けてることを知ってんだ――――あ」

 

ウサちゃんハンカチで顔を拭いてると塚本(妹)が今まで探していたものを見つけることができたと言わんばかりにこっちを見ていた。

黒猫、神社、眼帯、女の子。これらでやっと思い出すことができたわ。俺と塚本(妹)ってこれが初めての会話じゃなかったんだな。ここんとこ濃すぎる毎日のせいで忘れてた。

どうりでこのキューティーなハンカチを買った覚えがないわけだ。そもそも俺ハンカチなんて買わないし。

 

 

――――なにかしらワードで関連付いてないと思い出せない男である。

 

 

「これはまた奇妙な縁だな。あの時は世話になった」

 

「そんな私こそ。(そういえば、まだ名乗ってない…)1-Dの塚本八雲です。…また会えることができて嬉しいです……」

 

「どうやら有名になってるようだからやんなくていいかもしれんが、一応。2‐C影浦影人。クラスから分かると思うが、あんたの姉塚本天満のクラスメイトだ」

 

「あれれ?先輩に八雲、知り合いなんですか?」

 

ようわからんが塚本(妹)は俺のことを探していたみたいだな。ハンカチ返しそびれたからなー。よっぽど大事なもんなのだろう。

外人後輩は少しだけ驚いたように俺と塚本(妹)を交互に見た。

 

「まぁ、ちょっとした世間話を交わしただけだ。それよりも二人ともこれから時間あるか?ちょうど良い機会だし、少し茶でもしないか?」

 

「それってデートのお誘いですか?二人同時になんて……先輩って隅に置けない人なんですね~」

 

「で、デート……」

 

にまにまと楽しそうに猫っぽい笑みを浮かべる外人後輩にデートという単語に免疫がないのか顔を真っ赤にし俯く塚本(妹)

自分で言っておいてなんだが、この言い方じゃそう捉えられてもおかしくないわな。俺はただこの学校で後輩ができたのは初めてだから、親睦を親睦を深めたいだけなんだがな。

 

「なわけあるか。ほぼ初対面に近い異性をどこかに誘おうとするのはデートじゃなくてナンパだろうが。二人同時にならなおさらな」

 

「ま、まさか先輩が私たちを助けたのはナンパをするこうじt「塚本(妹)どうだ?良い茶ご馳走すんぜ?」あぁっ!無視しないでくださいよっ!冗談ですから!八雲も私をおーいてかないで~」

 

まだ顔のほてりが収まってない塚本(妹)だが、コクンと小さくながらも頷き、校門とは反対方向に歩いていく俺の後をゆっくりとついてくる。

金髪後輩も塚本(妹)が誘いに乗ったのを知ると、慌てながらコケそうになりつつも走って塚本(妹)の隣に並んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はい、とーちゃーっく」

 

「ここ茶道部の……勝手に入っていいんですか?」

 

「勝手にもなにも、俺は部員だ。出入りは自由」

 

「え……影浦さんが茶道部員……?」

 

「高野先輩が言ってた男子生徒の新入部員って影浦先輩のことだったんだ。……予想外だなぁ」

 

「おい、何が言いたい」

 

俺が茶道部員だということを半信半疑である後輩共をひと睨みしてから部室に入る。金髪後輩はそう怒らないでくださいってばーと一歩退きながらも笑顔で、塚本(妹)はごめんなさい!意外だったので……とブンっと聞こえる勢いで頭を下げてきた。ついさっきまで腕の中にいた黒猫(伊織という名前らしい)はどっか行った。校内に入るのはまずいと思ったのか、気が付いたらいなくなってた。

 

 

この二人が信じられないのも無理はないか…そんなの本人である俺だって信じられないくらいだからな。晶に勧誘されてなかったらまず部活そのものすらに入部する気なかったんだからな。

 

「ん?高野先輩って……後輩1号、晶のこと知ってんのか。あ、適当にそこら辺のイスに腰掛けておいてくれや」

 

制服を脱ぎ、窓側のカーテンレールのシャーがないとこに上着をかける。そんでもって去年から鞄に入れっぱにしてあった消臭剤でシューする。

この引き金を引く感じが好きなんだよなー。必要以上に噴射させたくなる。

 

「はい、私も先週から茶道部に入部しましたから。高野先輩から影浦先輩のこと聞きましたし。それと後輩1号はやめてくださいよ、サラです。そんな怪人の区別をする呼び方じゃなくてサラと呼んでください」

 

「じゃ、ディッシュで。こっちの方が呼びやすい」

 

「そっちの皿じゃないです!なんでわざわざ英語発音にする必要があるんですか!?ゼッタイそれよりサラのほうが呼びやすいでしょ!」

 

「コーヒー豆、コーヒー豆っと……あったあった。カフェオーレとミルク抜きカフェオーレとホットアイスコーヒー。どれが飲みたい?」

 

「無視しないでくださいよ!それになんですかそのコーヒー押し!?他にお茶とか紅茶とかのチョイスはないんですか!?それにミルク抜きカフェオレとかただのコーヒーじゃないですかっ!」

 

「ホットアイスコーヒー……それ温くなったコーヒーじゃ」

 

 

アンティーク風の棚から持参していたコーヒー豆を取り出す。

ふむ、ディッシュのやつ中々キレのあるツッコミじゃないか。塚本(妹)も控え目ながらもなにか光るもんを持ってそうだ。

 

 

――――影人、茶道部にいる時はカフェオレしか飲まない。

 

 

「残念ながら俺が淹れられるのはカフェオーレ、もしくはカフェラッテの2つのみだ。なぜなら俺は緑色をしたお茶が嫌いだからだ」

 

「お茶が嫌いなのになんで茶道部に入部したんですか……取り合えずカフェオレで」

 

「カフェオレとカフェラテ……どっちも同じじゃ……私もカフェオレでお願いします」

 

 

――――ちなみに正確に言うとカフェオレとカフェラテの違いは豆の種類である。

 

「カフェオーレ2つオーダー入りました~っと。俺がこの部に入部した理由はこの部の部長である晶に勧誘されたからだよ」

 

使用する水は水道水のを注いでっと。ミネラルウォーターでもいいんだが、これだと金がかかるし市販の水よりカフェオレには水道水のほうが合う。マグネシウムやミネラルといった成分が含まれてるから、ミネラルウォーターだとコーヒーの風味が下がっちまうからな。

 

「直接高野先輩から誘われたんですかぁ。……それにしてもさっきから気になっていたんですけど、高野先輩と影裏先輩はどういうご関係で?」

 

「……私も気になるかも」

 

テーブルんとこのイスに座ってる二人に背を向けてるから表情とかは見えないが、4つの瞳が俺に向けられていることはわかる。

牛乳を入れてかき混ぜる手を止めずに、隠すことでもないため脚色せずに事実を話す。

 

「なにを勘ぐってるのかは知らんが、晶とは中学ん頃バイト先で知り合った友人だ。そこで会うまではお互い名も知らぬ別々の中学に通っていたしな」

 

ピッとスプーンの先端に付いてた滴を払って二人に向き直る。

二人の顔を見ると、俺の答えに安堵したのかテーブルの表面を指で擦ったり、姿勢を正したりと落ち着きを取り戻していた。

……なんなんだいったい。

 

「!影浦さんっ!腕が……」

 

ガタンっとイスが後ろに倒れそうになる勢いで塚本が立ち上がり、手を口元に持ってきたまま俺の腕を切羽詰ったように見ていた。

え、なに?腕?

 

「あれま、真っ白白だったワイシャツがワインカラーみたく鮮血な色に染まって」

 

腕をみると、制服の袖口から出ているワイシャツが赤くなっていた。触れてみると血が流れてから時間が経っていないのか、触れた指に血が付着した。

 

 

――――ワイシャツだけに…………オイ、笑えや。

 

 

「なに他人事みたいに言ってるんですか!早く治療しないと!」

 

野犬に噛まれた方の腕をディッシュが掴み、強制的にイスに座らされた。

痛みがなかったから、全然気にならなかったわ。怪我のことよりもこの血がこびり付いたワイシャツの選択のほうが俺にとっては問題だ。これ一日で取れるかねぇ……

 

「影人さん、腕を捲ってください。……傷口がこんなに深く…」

 

捲れと言われたのは俺なのだが、俺がする前に隣に立ったディッシュが肩までワイシャツを上げてくれた。イスに座ったまま俺の前でどこからか取り出したのか、医療キットを膝に乗せ、患部をじっと悲痛な顔で見る塚本(妹)。ディッシュも血がドクドクと未だに流れてるのを見て、ひどい…と呟いていた。

 

「はぁ……お前ら、今私のせいでこんなに……だとか考えてねーだろうな」

 

自然とため息が出てしまう。こいつらに怪我した腕を見られたのは失敗だったな。

こう、かわいい後輩たちにしょぼくれた面を見せられると、こっちまでブルーな気分になる。

 

「だって、もしあそこで私が追い払えていたらと思うと…」

 

「サラは悪くないよ!…野犬に怯えてた私が」

 

……優しすぎる性格ってのも不便なもんだな。

 

「はいはいはい、そこまでっ!この話はこれで終わりだ。忘れよう、はいっお前らは3秒後に怪我のことを記憶から抹消される。3、2、1!忘れたー!」

 

話を強引に終わらせる。こうでもしないとこいつらはいつまでたっても引きずるだろうしな。

 

「でも……」

 

それでもまだ納得がいってなさそうなに渋る塚本(妹)。

意外と芯が強いというか、責任感が強いというか……

 

「――――早く治療してくれ」

 

「え……」

 

暗い表情のまま俯き加減で俺の手を優しくさすっていた塚本(妹)の顔が上がる。

 

「さくっと消毒して、グルグルっと適当に包帯でも巻いてくれや。それで貸し借りはなし。これで俺はすっきりすっかりと回復!お前らは負い目を感じないですむ!みんな幸せ!!」

 

んっと腕をもう少し塚本(妹)の前に差し出す。ちょっと恥ずかしいが俺は顔をそらさずに塚本(妹)の瞳を見つめ返す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

影人の言葉に虚を突かれた八雲とサラであったが……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はいっ……!」

 

今日までの高校生活の中で初めてと思われる笑顔になる八雲と、今日だけでこれから長い付き合いになる親友と先輩ができたことに優しいシスターのような顔になるサラであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




たった二文字だけだというのにサラの名前を覚えられない……もとい覚える気のない影人でした。そして、ようやく茶道部メンバーが影人との邂逅を果たすことができました。
原作だと、八雲とサラが親友になる話の最後がちょっと不思議だなーっと思ったんですよね。なんで八雲は教室で寝てたのか、夢かと思ったのかーとか。まぁ、そこんとこは色々と解釈できると思うんですけどね。



そしてこっからはおまけなんだZOY





























影人の腕の応急処置が終わり……現在は3人でテーブルに三角形の配置で囲い、まったりと影人の淹れたカフェオレをメインに茶菓子を摘まんでいた。

「このカフェオレ、時間が経ってるはずなのに風味が下がってないですねー。私が淹れたのだとここまでの味は引き出せないですよ」

「それにはちょっとしたコツがいる。今度時間がある時にでもレクチャーしてやろうか?」

「先輩さえよければ是非教えてほしいです!その代わりと言ったらなんですが、私独自の紅茶の淹れ方を教えて「あ、俺紅茶はゴゴティー派だからいいわ」……私の紅茶は市販の紅茶に劣るって言いたいんですか」

「……」

出会ってから数時間も経ってないというのに、影人とサラのやり取りは以前から付き合いがあったのではないかと錯覚してしまうくらい相性が良いと八雲は思った。
茶道部員でない自分がまだここにいてもいいのかと、カチャンとティーカップを置き考えてしまっていた。
自分もサラのように影人と動物のことやなぜあの時はサングラスでなく、眼帯を巻いていたのだとか話したいことはたくさんあったのだが、部外者である自分、自分から話しかけてもいいのかとどうすればいいのかわかっていなかった。

そんな寂しそうでいた八雲をサラはいち早く察し、話題を変えた。

「それよりも八雲。どこか部活に入部してるの?」

「う、ううん。まだ決めてない…」

急に話を振られたので少し言葉が詰まっていながらも返答する八雲。
まだ入部が決まってないと知ったサラは身を乗り出して八雲の両手を握る。

「それじゃぁさ、茶道部に入部しちゃいなよ!」

「え……」

予想だにしないサラの提案に戸惑う八雲。八雲はこれまで様々な部活に体験入部してきたが……とあるメガネのせいで部活中に大騒ぎを起こすので入部の話がパーになってたので八雲に取っては悪い話ではないだろう。
それに――――

「そうだな……塚本(妹)が良けりゃ俺は構わん。現状部員数は規定のギリギリだしな。部長である晶だって二つ返事でOKサイン出すはずだしな」

今まで探していた人がいるのだ。友人であるサラも入部しているので八雲にとってかなり好都合な環境である。八雲自身、これと言ってお目当ての部活はなかったので、なにかしらの部活に入部はしておきたくもあったため、八雲の返事は――――

「茶道部に入部…します」

決まっていたも同然だった。





 
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