続きを期待してた方々はもうしわけないです。今現在別のSSを投稿したり(なんの作品かどこでかは秘密です!)原作のアニメと漫画を見直してたりとしてダラダラとしてたら……いつの間にか2か月も……
ダイオラマ魔法球が欲しい今日この頃(現実逃避)
投稿が不安定な日々が続きますが、これからも書いていきますので。
今回はサブタイ通りです。長くなりそうなので前半後半にわけました。
前回のあらすじ。なぞのおねーさん登場。影人ほっぺにチューされる。影人ファーストキス(頬)
以上。
某月某日朝。……もとい、影人が妙にあんなことをされ石化が解かれた後のことなのだが。
自分に向けられる好意に気付きにくい影人はアレはお礼であって、自分を好いているわけではないと勝手にそう完結させていた。
こういう決めつける人間程後々後悔し易いのである。
「x^(二乗が変換打ちできないのでこれで代用)3-3x+4の因数分解は」
「x+1を因数に持つ。A.(x+1)(x^2-4x+4)だから(x+1)(x-2)^2。これであってるだろ?」
今朝の事がクラスメイトの連中にバレたりでもしたら……特に今影人の隣で教科書を持ちながら登校し、問題を出している少女――――同年代の異性で一番付き合いの長い高野晶には特に。
「正解。完璧な回答だね」
「因数分解はできないとやばいしな。次の問題よろ」
――――晶が昨日勉強会でやったことを影人に報告しつつ、登校しながら軽く勉強する二人。
風船ガムを膨らませ、鞄を肩に担いで学校に向かう。これが徒歩で行く場合の影人のいつもの登校スタイルである。相手が自分に話す時は相手の目をちゃんと見て話す。聞き手として上手な影人は晶の顔を見ているはずなのだが……
「影人。なんかあった?いつもと何か違うような……」
そう、今日の影人は極力晶の顔を見ずに話していたのだ。学生とは思えないほどの洞察力と観察力の高い晶と顔を合わせると僅かな表情の違いで見抜かれてしまうからと思ったのだが。今回はそれが裏目に出てしまったようだ。
なんにせよ、相手が悪かったということだろう。晶が影人の様子がおかしいと気付いたのは、今朝出会ってからほんの数分だったのだから。
「……そうか?俺は普段通りだが?」
「今間があった。いつもの影人なら半ギレ気味で返すはず」
「そんなことでキレねーから。仮にいつもと様子が違っていたとしてもだ。そういう日だってあるわ」
隣から影人の顔を見ようとするが、影人は顔をさらに晶とは反対の方向に逸らす。
これがいけなかった。晶の疑惑は8割から10割に、確信へと変わった。
鷹の目みたく晶の目は鋭くなり影人の前に立ちふさがり。
――――高野だけに鷹の目。…………すんません。
「動かないで」
「?!お、おい晶なにを「静かに」……」
影人の両頬を抑えじぃっと瞳を見る。
その心の内を見透かれそうな晶の瞳に影人はたじろぎ、また顔を逸らそうとするがピシャリと言われて黙り込む。晶のなすがままにされ、お互いその場で止まり見つめあう。
見つめ合うというよりは晶が睨む……至近距離で見ればさらに情報が引き出せるかもしれないかと踏んだようだ。
「……」
「……(ち、近い……誰かに押されたらキスしちまいそうなほどだぞ。……そういや晶の顔をこんな近くで見たことってねーよな。あんま意識したことないけど晶って顔立ち整ってるよな。無表情とか言われてるみたいだが、俺はそんなこと思わないんだけどな。晶だって楽しい時は頬が緩むときもあるし、怒ってる時は今みたいに眉が少し寄せ気味になってるし)」
もしも晶が心を読めていたら、晶は感極まってキスでもしてしまいそうなことを影人は晶の顔を見返しながら考える。
他人相手には感情を表情に出さないが親友、心を許した相手には表情の変化を表に出す。それでも変化は乏しいのだがそれなりに鋭い影人は晶の些細な表情の違いには気づくのだ。
「……」
「(……まだ終わらないのか。道行く人、主に学生だがチラチラとこっち見てやがるし。こっち見んなと威嚇してやりてーが、こんな状況下じゃそれすらできねーしな。早く晶の気が済まないものか…)」
「あ、脂汗」
「そりゃ脂汗もかくわ!こんな超至近距離で見つめれりゃ誰だって汗の一つは二つかくわ!」
晶の指摘に半ギレ気味に返す。
「ほれさっさといくぞ!」
頬を抑えられていた晶の手から逃れ、ズンズンと先に進んでいった。
なんとかこの場を凌げたと内心安堵する影人であったが
「ふむ、あの反応は想定済みだったけど今までの影人からしてなにかあったのは間違いないみたい。……調べてみようかしら」
そう言って、駆け足で影人の後を追う晶であった。
その後は影人もいつもの調子に戻り、晶と他愛もない会話をしつつ登校。
午前中の授業、影人は携帯を堂々と弄ったり、授業後の10分程度の合間の時間は隣子がなんとか話題を探そうとして影人に話しかけたり、それに美奈が混じって会話したり等……早い話がいつも通りの日常だった。
そして昼休み。
「烏丸のやつぅううううう!また天満ちゃんを誑かしやがってえええええ!」
「まだ言ってんのかオメーは。壁にあたりちらすな、壁に。それに言っておくが烏丸からじゃなく塚本姉からだろあれは」
播磨と影人は昼食を買ってなかったので購買まで買いに行き、屋上で食べようとしてるらしい。
が、影人が教室に飲み物を置いてきたらしいので一度教室に戻ってから…とのこと。
2年の廊下まで戻ってきており、今影人は行き場のない怒りを壁に向けている播磨を宥めている。
……なんで播磨が八つ当たりをしているかというと、播磨が登校し始めてから影人と晶はあるアドバイスをした。そのアドバイスというのは天満を昼飯に誘ってみろ。積極的にいかなければ天満には伝わらないと言ったのだ。
かなり的を射てるアドバイスなのだがそれがすぐにできたら誰も苦労はしない。未だに播磨は天満を誘えず。
播磨が誘おうとしても言葉に詰まったり、言葉を発することができても絶妙すぎるタイミングで邪魔が入ったり……時既にちらしずし――――もとい時既に遅し。天満が烏丸を誘った後だとか非常に間の悪いことが連発で起きているのだった。
そして今日も言わずもがな、失敗したのである。
「まーまだチャンスはあるんだしめげずに押していけや」
ペタペタと播磨の拳の跡がついた壁の補強をさりげなくする影人。
――――どこから道具を取り出したのかは謎。
「そ、そうだな!まだ機会《《チャンス》》はあるんだ。明日こそは天満ちゃんを!」
「(あ、その台詞はあかん。失敗フラグが立った)その意気だ。……ん?」
今までの成績と播磨の性格からして、次回も成功するわけないと影人は思っていた。それに以前も似たようなやり取りをしていたので、云わば『明日からは本気だす』と同じようなものである。
「どう八雲。花井先輩またいる?」
「うん。いるみたい…(扉閉まってるのに花井先輩の声が視える……)」
「あちゃー、こうも八雲が来るときに限っているのね。どうする?八雲(それにしても八雲教室覗いてないのになんで花井先輩がいるってわかったんだろ?……まぁいっか)」
2年生の廊下には珍しい一年生コンビが2-Cの扉の近くに入ろうか、入らないかと迷っていた。
この二人には当然見覚えのある(ただし名前は覚えてない)影人は無視して教室に入るのもどうかと思ったので
「なにやってんだお前ら。2‐C《《うち》》に用か?」
一声かけることにした。
「あ……影浦さん。こんにちは…」
「先輩こんにちはー。ちょうどいいところに!」
律儀にお辞儀をする八雲と元気よく挨拶をし人懐っこい笑みを浮かべるサラ。
そんな正反対な二人に影人はおうと短く返事をし、んでどうしたんだ?と聞きなおす。
播磨は影人が茶道部に入部したことは知っているが、八雲とサラのことは知らず影人の後ろで誰だこいつら?と思いながら3人の話を黙って聞くことにした。
「先輩、八雲の代わりに八雲のお姉さん渡してもらいたいものがあるんですけど」
「塚本姉に?」
「さ、サラ…私が行くから影人さんに迷惑は…」
天満と同じクラスの影人に頼めば八雲が花井と接触することもないだろうと考えたサラは、片目を瞑り手を合わせる。だが八雲は自分の先輩である影人にパシリ紛いのことをさせるわけにもいかず、自分が行くと名乗りを上げた。
八雲の手にある紫色の布で包まれた長方形の箱らしきものを見て影人は把握できた。大方、塚本姉が弁当を忘れそれに気づいた塚本妹が届けにきた……こんなとこだろうと。
……播磨は播磨で影人の塚本姉発言にピクっと反応する。そして八雲を睨む……凝視する。天満に妹がいることは知っていたが、本人をこの目で見るのは初めてだからだ。
「そんなことで迷惑なんてことはねーよ。気軽に頼んでくれりゃ引き受けるからよ。……けど塚本姉にか。残念だが教室にはいないぞ」
「「え?」」
「塚本姉はクラスのやつと一緒にランチタイムだ。戻ってくるにしても昼休みが終わる前だろうしな」
「なーんだお姉さんいないみたいだね」
「うん…でも姉さん、ご飯だけでどうするんだろう。カレーは私が持ってるのに…」
「は?カレー?え、弁当に?」
カレーを持ち歩くなんてめっちゃ匂いが充満するし、普通は持ってこないだろうと。お前が普通を使うなと言われるであろう影人ですら、思うのだ。誰だって変だと思うだろう。
「そうなんですよー。八雲のお姉さんったらどうも八雲の分のご飯を持ってたらしくて」
「……塚本妹はルー入り弁当二つもってるわけと」
「……はい」
それはまた…と同情の交えた視線を八雲に送る。
――――播磨、完全に空気。
「苦労してんだな……ってことは塚本妹飯抜きってことになるのか?」
「えっと、購買で買おうかなって……」
「今から行ってもなにも残ってないだろうな。今日は特に人がごった返していたし」
「そうなんですか……今日くらいお昼抜いても」
「ダメだよ八雲。午後からは体育があるんだから、しっかり食べないと」
購買になにも売ってないだろうと告げられた八雲は昼を抜こうとしたが、サラにメッと人差し指を立てられ飯抜きはダメだと言われる。
そうだった…とサラに言われ、午後から体育だったことを思い出す。
さすがに昼抜きで体育は途中で貧血を起こして倒れてしまうかもしれないことを考えると、なにかしら口に含みたいようだ。
学食でも利用しようかと思いついた八雲だが――――
「ふむ……なら一緒に昼飯食わないか?」
思いがけない影人の提案に八雲とサラはえ?と首を傾げる。
今までだんまりだった播磨もだった。
「この後屋上でこいつと昼飯を食べる約束しててな。お前らもどうだ?それに大目に飯を買ってな。俺の好きなもんしかないが、それでよけりゃ二人にやるが」
「え、私の分もですか?」
「あぁ。先輩が後輩に飯くらい奢るのはなにもおかしくないだろ。俺らと食べるのが嫌なら断っていいぞ」
「そんなことはないです……ですけど…」
「さっきも言ったが遠慮はしないでいい。人の好意は素直に受け取るもんだぜ?」
「そうだよ八雲。せっかくの先輩からのお誘いなんだし」
後輩二人がどうするかと話し合う中、影人は拳児にも確認を取る。
「てなわけだけど、別にいいよな?二人くらい増えたって」
「いいけどよ……俺はいないほうがいいんじゃねぇか?あの2人をビビらせちまいそうだし」
「そんな心配はトイレにでも流しちまいな。俺が話してる間、塚本妹とディッシュはお前を見て怖がる素振りを見せていたか?」
「……ねぇな」
そう。普通の女子ならば不良である播磨と影人を見たら、萎縮したり露骨に避けたりする。
しかし、ついこの間影人に助けられた八雲とサラは第一印象や噂はあまり当てにならないということを知った。
影人の後ろにいた播磨を見て2人がまず思ったことは怖いではなく……
サングラスコンビ……である。
最凶の魔王にパートナーがいる。学校内でグラサンを着用してる不良ペアがいる。などなど八雲たちのクラスで話題になっていたことがあった。その時はまだ影人と知りあっていなかったため、
そんな人たちがいるんだ…くらいしか思わなかったが、自分たちの先輩であり同じ茶道部の部長である晶から影人のこと、播磨のことを聞いたり、影人と話してるうちに不良と言われるほど悪い人じゃない…ということが確定してしまったのだ。
なので、二人の播磨の人物像は見た目は壊そうでも根は優しい人。もしくは影人に劣らず変わった人……変人なのかである。
――――二人の中で影人は変人だと確定している。
「それに塚本妹と友好関係を結んで置いておけば、それを機に塚本姉とお近づきになれるかもな」
ニヤリと口元が釣り上がり悪代官のような顔になり、播磨の耳に手をあててコソコソとそんなことを囁く影人。
「!!(天満ちゃんの妹さんと知り合っていれば、そのことを話題にもできるし天満ちゃんと話す口実にもなる!烏丸を出し抜ける!!!)おう!俺も付いてくぜ!!」
播磨の脳内では八雲を通じて、天満と仲良く過ごしているビジョンが出来上がっていた。
現状とはかけ離れた妄想で、不良と恐れられている人物とは思えないくらいにだらしない表情になっていた。
その強い意志が篭った(あと下心)返事に影人は満足気にする。……表情には出してないが、今影人は計画どおりっ……!と裏の顔を出さないようにと必死で我慢していた。
「決まりだな。そっちはどうするか話まとまったか?」
「はい、ゴチになりまーす!」
「ご馳走になります…」
「購買で買ったもんだから過度な期待はするなよ。そんじゃちょっくら教室から飲みもんとってくるからお前らは先に行っててくれや」
この場を播磨に任せ、元気良く返事するサラと控え目に少し申し訳なさそうにしつつもちょっぴり嬉しそうにしていた八雲を引き連れ、3人は注目を浴びつつも廊下を歩いて行った。
「えーっと、先輩?いったいどこに向かってるんですか?」
「んぁ?屋上だ」
「屋上って立ち入り禁止になっているんじゃ…」
影人の誘いに乗ってしまった後輩二人は一抹の不安を抱えながらも影人との昼食を楽しみにしていた。
――――この場の播磨の場違い感がすごい。
というわけで播磨、八雲&サラコンビとの初邂逅でした。
姐さんの探偵フラグが立ちました。
播磨と天満の昼食フラグが折れました。
後輩二人との昼食フラグが立ちました。
というわけで次回は屋上でヤクモンとサラリンと昼食回です。
次回が終われば原作3巻に突入します。
影人と播磨に動物フラグが立ちました。