はぁ………俺は、通学路であることを分かってながらも、そんな溜め息が出るほど、昨日のASTの人材の微妙さは酷かった。
いや、一人一人は悪くないんだ。
ある奴は槍を持たせたら結構強かったし、とある銃がまったく当たらない奴は弓をジョークで持たせたら途端に命中率が上昇した。
それでも…そるは天才とは言えても天災の精霊に太刀打ちすることは不能だ。
しかも、精霊に普通の武器は効かねぇらしい(昨日の帰りに調べた)し…魔力で強化とか訳分からねぇ。
いや、なんとなく魔力という物質…エネルギー?で物体を強化して、精霊という常識外の存在にダメージが通りやすくなるって事だろうが………これまでの戦闘結果からして、多分ほとんど効いてない。
つまり、俺の【緋弾】も効かない………いや、もしかしたら【天弾】も効かないかもしれないな。
天弾が効かないとなると、俺にはどうしようと無いが…いや、まだ検証はされていない。効かないと決め付けるのはまだ早すぎる。
………よし、もうこの思考は一度放棄しよう。
学校生活を送る上で、なおかつ俺が緋弾であることをこれ以上多くの人間に知られない為にも、こんな秘匿事項だらけの事を考えるのはよそうじゃないか。
それに、今目の前に俺の個人的感想では一番めんどくさい奴が居るしな。
「五河士道」
「鳶一か。おはよう」
「おはよう。士道」
周囲から恨みの籠った視線を向けられるが、殺気は無いため無視。
鳶一レキ。俺はこいつを、今のところ一番めんどくさい奴兼、良く出来る奴と捉えている。
まず、めんどくさいと言うのは、コイツは学校では人気のため、コイツと一緒に居ると視線を向けられ、隠れにくい。
だが、ASTの俺が教えてる奴等の中では三位以内に入る奴だからな…邪険にも出来ない。
コイツはメリットとデメリットが釣り合っていて面倒だからな。
デメリットが大きいならさっさと逃げて無視して嫌われた方が良いし、メリットの方が大きいなら好感度を上げておく方が良い。
だが、メリットとデメリットが釣り合っているこいつの場合、邪険には出来ないが好感度を上げすぎるのも面倒………ほら、めんどくさいだろ?
まぁ、とりあえずは今のこの好感度を維持しますかね。
「で、何か用か?」
「特に用は無い」
「そうか」
これで会話は終わる。
これはこれでコイツのメリットとも言える………か?
まぁ、話がほぼ確実に短いから間違っても色恋沙汰だとは思われない。
それは一人で居る事が個人的に一番楽な俺としてはメリットである。
こんな有名人の色恋沙汰とか、相手にも新聞部とかの魔の手が迫る事は確実だからな。
後は、特に重大なイベントも小さなイベントも何も無かったため、割愛させて頂こう。
ー校舎内ー
つくづく思うのだが、何故俺の席はレキの真後ろなのだろうか。
あと、、今日は俺の対極側………通路側一番後ろには、いつもと違い、分かりやすく新たに設置された席がある。
前者はまぁ、割とどうでも良い。
だが後者は………一波乱の予感がするぜ。
俺がそんな事を考えているうちに、先生が入って来る。
「お、おはようございます!今日は、転校生が居ます!」
先生がそういうと、クラスの全体がざわめきだす。
まぁ、転校生なんて来ない事の方が多いしな。それが男だろうが女だろうが性別は問わずに、来たらざわめくだろう。
さて………来る奴は男か女か?
「先生!男子ですか!女子ですか!」
一人の生徒が、うるさいが、ほとんどのクラスメイトの気になっていた事を質問する。
「男子です」
すると、男子達がため息を吐き、女子達は歓声を上げる。
一体何が良いのやら。というかお前ら、一応HRなんだから落ち着こうぜ?
「先生、もう入って良いですか?」
「あ、はいどうぞ!」
!?
ちょっと待て……今の声アイツか!?
俺アイツに『もう、教える事はない』的な感じで肝心な所だけ教えずに(教えたら勝てなくなる気がした)逃げたんだぞ………殺されるかもしれん。
殺し屋の恨みって怖いからな………
「あ、どうも。遠山金次です」
大当たりだ………そして大外れだ。
アイツが…俺の唯一の弟子が来やがった。
遠山金次が。