東方project~ほんとはただ寝たいだけ   作:真暇 日間

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 連続投稿十六話目です。


00~とある吸血鬼との出会い

 

 

 

 

 

 暴挙。いやまさにこの宝石をぶら下げた木の枝のような翼を持つ吸血鬼らしき娘のやったことはその一言につきるだろう。

 普通なら、世界の壁を越えるには手順と言う物がある。俺ですら基本的には世界の壁をぶっ壊すようなことはしないし、通る必要があるなら壊すのではなくすり抜ける。あるいは近くに門を一時的に作るか近くにあるなら門を使って抜ける。その方が疲れないからだ。

 だが、この娘はそんな手順もセオリーもまるっと無視して壁をぶち抜いて世界を抜け出した。記憶を読ませてもらった限りでは確かに破壊に特化した力……と言うか、破壊することしかできない代わりに破壊することにかけては何者にも劣らないような能力を持っているようだが、よくもまあ初っぱなであの壁をぶち抜けたもんだ。

 ……なお、俺の知り合いには世界すら騙して『そこにいるのが普通』として当たり前に壁を抜けたやつもいるが、それはもう例外ってことでいいだろう。実際例外扱いだし。

 

 さて、この少女……少女と言うには幼すぎるか? 幼女……童女? ……少女でいいか。それ以外は犯罪の臭いがする。少女はどうするか。本来ならさっさと元の世界に送り返して放置するんだが、いくらなんでもあの記憶を読んだ上で放置したりはできんよなぁ……。

 面倒ではあるが、仕方無い。軽く繋がりを残しておいてやるかね。俺の得意分野ではないが、それでもできなくはない。世界の法則と無数の伝説や人間などからの認識を利用し、組み合わせ、必要ないものを減弱させて必要なものを強化する。所謂『概念使い』に属する術だ。

 今回は『鏡』を使った術を用いる。

 

 まずは前段階として、多くの者が持つ鏡に対しての認識及び概念の確認をする。

 鏡の認識としては、『あらゆる物を正確に映し出す』。『左右を逆にする』。『異界に通じる門となることがある』。『真なる姿を映す』……ってところだろう。

 概念としては『反転』、『複写・複製』、『門』、『真実を映す』、『回廊』。他にもまだあるがこんなところでいい。

 

 今回使う概念は『複写』と『門』、『回廊』、『真実を映す』、『反転』の五つ。認識の方は『門となる』と『真実を映す』、『正確に全ての物を映し出す』を使って概念の強化をする。必要ではないがしておいた方が後々楽になるからな。

 今回のことで重要なのが、相手は吸血鬼であると言うこと。本来ならばお互いの映った姿を鏡同士で入れ換えればいいんだが、吸血鬼はそもそも鏡に映らない。だからこそ『鏡はすべてを映し出す』と言う概念と認識を合わせて強化したわけだが、恐らくそれでうまくいくだろう。

 映らないものを無理矢理に映すと言うことは、映ったものはすなわち虚像であると言うこと。虚像であるならばそれを単体で動かしたところで実像及び実体には影響はない。故に、こちらの姿を映さず相手の姿の虚像を操って会話をすることができるわけだ。

 一種の(ゲート)ではあるが、通るものは形のない意思だけとなれば作るのは用意。虚像を操るのも、あくまで虚像だけを操り実体を合わせて動かすなどの呪詛を混ぜ込まなければ大した消費もない。

 意思さえ届けてしまえば対話も意思疏通も簡単だし、そもそも俺はあらゆる言語を世界経由で理解しているから問題ない。わからないのは精々束姉さん作オリジナルマシン語くらいなものだ。あんなもんわかるかボケェ。

 

 ……さて、物は出来上がったわけだが、これをいったいどうするかが問題だ。勿論纏めて元の世界に送り返すことは確定しているのだが、わざわざ鏡だけを送ったとしても吸血鬼ならば使わないだろう。使うより先に壊される可能性もある。壊されたら壊された時だと諦めるのもありだが、そんなにすぐさま壊されるのも勿体無い。割と頑丈に作ってるわけだしな。

 とりあえず気を引けるように、多少装飾を豪華にしておこう。本当に鏡部分だけ送りつけるわけにもいかないしな。全身を映せる縦に長い長方形にして、木製の枠をつける。銀製にしたら間違いなくただの嫌がらせにしかならないし、それでいいだろうと思う。

 枠の装飾は……俺に美的センスを求めるのが間違いだと言うことはわかっているので適当に良さそうな蔦が絡み合うような枠に宝石っぽいものを片側七つ、上から虹と同じ並びになるように配置していく。不釣り合い極まりない? 俺もそう思うが気にするな。このくらいの子供(ただし人生経験は皆無に近い)がどんなものを求めるかとか俺知らないし。

 とにかくこれで装飾終わり。金箔張るとか純金製で作るとかそんなアホなことするつもりはないし、木目の美しさを楽しんでくれ。そんな感性が育っていればの話だが。

 

 ……しかし、破壊の力を押さえるか制御できるようにならないと、またいつか今みたいにこっちにまで出てくることになるかもしれんな。出たのが俺の近くならさっさと送り返すんだが、俺以外の奴の近くに堕ちたら最悪魂ごと貪り食われたり、女として恐らく永遠に後悔し続けるような目にあわされたり、普通に殺されたりすることもある。

 ちゃんとした英雄だったりすればちゃんと元の場所に返してくれるかもしれないが、ここには反英雄も多い。ついでに言うと英雄ってのもなかなかにイかれてる奴の集まりだったりもするし、本当に危険だ。ついでにめんどい。

 最悪その辺りだけでも教育しようと心に決めつつ、開けられた世界の穴を逆に伝ってこの少女が元いた世界の元いた場所の元いた時間軸に戻しておいた。

 

 ……吸血鬼が居て、しかも鏡に映らないってんだったら、間違いなくその世界には魔法があるからな。それが無いんだったら俺の分御霊でも鏡に憑依させれば話は済んだんだが、魔法があるとなると魔法をある程度以上身に付けている奴どころか素養があるだけの一般人にすら見抜かれかねないからな。俺って一応神だし。IS動かせるようになってから若干信仰までされてたし。しょうがないね。

 

 あ、ちなみにちー姉さんと束姉さんも信仰されてた。これは別に驚かないな。わかりきってたことだろうし。

 

 

 

 

 

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