ネプテューヌEX ~とある青年のエクスペリエンス~ 作:S・TOM
「アハハハハハ! 凶暴化したモンスターなんてどうってことないわね!」
私、『ノワール』とユニは凶暴化したモンスター達と戦っていた。ネプテューヌから元凶の情報を聞いたうえに、職員からの報告を受け元凶がいる場所であるこの森に来ていた。ネプテューヌが女神の姿だったのはちょっと驚いたけど、それだけ真面目な場面だったって事ね。あの子、シリアス苦手なのよね~。
それにしても、こんなに早く元凶を捕まえられるなんて、私ってばホントついてるわね! 私はモンスター達の攻撃を避けながら、元凶を見つけようと辺りを見渡す。こんなにモンスターがいるってことは、確実に近くにいるはずよ。そうしているとモンスター達が私を周りを囲む。周囲の景色がモンスターで覆い尽くされてしまい、元凶を探す事ができくなってしまった。
「ああもう! 私に勝てないからって邪魔しないでくれない――かしら!」
私はモンスター達に向かって飛んでいき、数体のモンスターをまとめて斬った。他のモンスターの数匹が襲い掛かってくるが難なく次々とかわした後、隙をついてソードで攻撃してモンスターを一掃する。これぐらい余裕よ!
モンスターが消えて周囲の景色が見えてきた。ユニの方を見ると私の方に集めたからかモンスターは少なく、当然ユニは手こずる事なくモンスターを倒した。妹の方に視線を向けてた私を見て、モンスター達は隙を突く様に背後から襲い掛かってくる。
「――甘いわね」
私はモンスター達の方へ振り向くと、攻撃をする時間を与えずにソードを振って風を起こす。そして起こした風で怯んだモンスターへと走り出し、次々とソードでモンスター達を斬り倒した。
「ふぅ、これで全部かしら? 私にかかればモンスターなんでイチコロよ」
もう私達の周りには何もいない。モンスターが全て倒され消えた事を意味していた。
「お姉ちゃん、さっきまでの嫌な気配が消えたわ。もしかして逃げられたんじゃ……」
気配が消えた事に気づいたユニが不安になる。
「何言ってるの? 私達から逃げ切れるわけないでしょ」
「えっ?」
まだ遠くには言っていない。少しばかりだけど気配を感じられる。私は気配を感じる方向を向く。
「あそこから気配を感じるわ。どうやらモンスター達を時間稼ぎに使って逃げようって魂胆ね。まぁそれも無駄に終わったけど」
私達は気配を辿って飛んでいく。必ず捕まえて目的を吐かせてやるわ。
――――――――――――――――――――――
ルーガスは森の中を駆け回っていた。モンスターに襲わせた相手があのラステイションの女神だという事に気づき、見つからないようになんとか逃げようと必死になっていた。
「クソッ、クソッ、何でだ!?」
モンスターを凶暴化させたルーガスにとって、これは大きな誤算だった。モンスター達を使ってラステイション襲撃という彼の目論見は、女神達によって崩れ去ってしまった。そしてラステイションの女神に追われている状況を知った今、女神に倒されるモンスター達を時間稼ぎに利用して逃走を図っていた。
「森を抜けりゃあ……あのクソッタレの女神から逃げ切れば、また再起はある! 逃げ切って、必ず殺してやる!」
目の前の道から光が見えてきた。もうそろそろ森林が終わるな。ルーガスは女神から逃げ切れる事を確信する。そしてルーガスは森林を抜け――
「ハハハハハハ! やっとクソ女神から逃げ切れ――」
女神と対面してしまった。必死になって逃げ切ろうとした、二人の女神と。
「見つけたわよ、ルーガス」
ルーガスは二人の女神から逃げるように一歩、二歩と後ずさる。このままでは確実にやられる、ルーガスの脳内にそんな考えがよぎった。
「あいつがルーガス……すっごくわかりやすいわね」
容姿で分かるものなのか、俺は? ルーガスは歯ぎしりをする。
「残念ね。私達から逃げようとしたんでしょうけど、普通に考えて出来るわけないでしょ?」
ブラックハートはコケにするように言う。それに腹が立ってきたが、それよりもルーガスはこの状況を打開する方法を模索していた。
「本当からここで潰してやりたいんだけど、貴方には聞きたい事が山ほどあるのよ。おとなしく言う事を聞くなら、痛くしないわよ?」
こいつ、俺を舐めてやがる。ブラックハートの見下すような態度にルーガスはアタマに来ていた。そうだ、ここでぶっ殺すのがいい。それが一番手っ取り早い。
「誰がてめぇなんかに……舐めんじゃねぇぞ、ブラックハートォ!」
ルーガスにはもう、目の前の女神を殺す事しか考えられなくなっていた。
「お姉ちゃん! アイツ何か仕掛けてくるわ!」
ブラックシスターの言うとおり、ルーガスは短機関銃を取り出し女神に目掛けて乱射し始める。しかしまともに照準を定めてないため、撃ち出された弾は外れるか避けられるなどされて女神には当たらずにいた。
「やけになったわね。こうなるとちょっとめんどくさいけど、無理にでも連れて行くしかないわね」
ブラックハートは撃ちまくるルーガスに向かって飛んでいく。ルーガスは女神が近づいてくるのに気づき、ブラックハートの攻撃を避けて短機関銃で撃とうとする。だがブラックシスターの援護射撃で阻まれてしまい、後退を余儀なくされた。ルーガスは今度はブラックシスターに狙いを定めるが、そうはさせないと姉のブラックハートが追撃を仕掛けてくる。
「ちぃっ!」
ルーガスは舌打ちをした後、地を蹴って空を飛びブラックハートに銃撃する。それに対しブラックハートは上空へ飛び、銃弾を避ける。
「これで終わりよ!」
そして今、ブラックハートのソードがルーガスへ振りかかった刹那――
「――えっ?」
ブラックハートの攻撃は何者かに弾かれ、その衝撃でブラックハートは飛ばされてしまった。
「お姉ちゃん!? くっ!」
ブラックシスターは突如起きた出来事に動揺するが、すぐさま銃の照準を合わせる。そしてルーガスへと撃つが、撃たれた弾丸は真っ二つ、または弾かれてしまい目標には当たらなかった。
「そんな! アタシの弾丸が……」
どうやってルーガスは銃弾から逃れたのか。本人は風圧に耐えるのに必死で、銃弾を弾く余裕はないはずだ。ならば何故?
ブラックシスターが思考している内に、ルーガスは地面にぶつかってそのまま動かなくなった。
「ああもう! 誰よ、私の邪魔したの!」
攻撃を弾かれて飛ばされたブラックハートは不満そうに叫ぶ。すると黒い霧がルーガスの近くに集まり、徐々に人の姿へと形成していく。
そして黒い霧が晴れると、黒のポニーテールに黒のジャケット、黒のズボンと何から何まで黒ずくめの青年が姿を現した。その青年の手には黒刃の刀があった。その刀で黒姉妹の攻撃を防いだのだろう。
「あ……アンタは?」
ブラックシスターは思わず青年に問う。明らかに普通ではない登場の仕方をしたため、ブラックシスターの内心は困惑や動揺でいっぱいだった。
「名乗る必要はない」
青年は投げかけられた問いを一蹴すると、倒れているルーガスへ目を向け腰を下ろす。
「そいつをどうするつもりなの? ちょっとでも怪しい動きしたら……」
銃を突きつけ警告するブラックシスターを無視して青年はルーガスを見つめる。倒れているルーガスを見ると意識は失っていないようで、傷ついた身体を起こそうとしていた。
「てっ、て……てめぇ、は――」
「ルーガス。これからの計画には、お前が必要だ」
青年がそう言うとルーガスの周りから黒い霧の渦が出て、ルーガスを覆いかぶさる。そして霧が散らばると、もうそこにルーガスの姿は無かった。
「えっ!?」
それを見た黒姉妹は驚くが、青年は気に留めず手にある刀を腰の鞘に納めた。
「貴方、ルーガスに何したの?」
青年は問いかけるブラックハートを冷たい目で見る。その目を見たブラックハートは息をのんだ。
なんなの? 今の威圧するような目つき……ブラックハートの中でそんな思いが出てくる。
「答える必要はない。さらに俺は、お前達と戦う気も一寸もない」
「何よそれ……私達を馬鹿にしてるの?」
ブラックハートの怒気を含んだ言葉に、青年は首を振った。
「そうじゃない。今はまだ、戦う時ではないという事だ」
「戦う時?」
青年の意味深な発言に黒姉妹は引っ掛かりを感じる。
「その時が来れば、俺達と剣を交える事になるだろう。それではさらばだ、ブラックハート」
俺達? まだ他にも仲間がいるのか? それを問い詰めようとすると、青年は黒い霧に包まれ消えてしまった。
「……何だったの、今のは?」
ブラックシスターはさっきの出来事に茫然としていた。黒い霧から現れた青年が、ルーガスと一緒に霧になって消えた。その現象を即座に理解する事はブラックシスターには出来なかった。
「あーあ、やっと追い詰めたって思ったのに。まさか他にも仲間がいたなんて思ってもいなかったわ」
対するブラックハートは余裕そうに喋るが、わずかに辺りを見渡すなどやはり動揺を見せていた。
「どうするの? 逃げられたんじゃ目的も聞けないわ」
「そうね。とんだ時間の無駄になっちゃうけど、これ以上アイツらを探す事はできないわね」
ブラックハートは少し熟考し、溜息をついて話す。
「ラステイションに帰りましょ。他に情報が無い限り、時間を無駄にするだけよ」
ブラックハートとブラックシスターは女神化を解き、人間の姿になる。
「さぁ、仕事はまたいっぱいあるわよ。気合入れなさい、ユニ!」
「うっ、うん!」
二人はやり残していた仕事を片付けるため、急いでラステイションに帰って行った。
黒姉妹、うまく書けたかなぁ……
というかオリ主の出番ないけど、まぁいいや。二次創作を読んでる人は大抵、原作キャラ目当てで読んでるもの(オリキャラ目当てもあるけど)。