ネプテューヌEX ~とある青年のエクスペリエンス~   作:S・TOM

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第9.5話 第三班

プラネテューヌ特命隊。それは凶暴なモンスターを倒すために、隊長のグラウトが結成した部隊。特命隊には約二十人以上の隊員がおり、それぞれ四人の班で分けられている。異世界から来た『高坂界人』も特命隊に入り、エリナ、デビッド、ウェインと共にモンスターを討伐していた。そして界人達の他にも、当然ながらモンスター討伐に精を出している班がいた。

 

一人の男が二段ベッドから目を覚ます。黒髪にガッチリとした体格の男はベッドから飛び降りると、レザージャケットを着て部屋から出た。この男の名は『ソル』。ラステイションから来た隊員であり、第三班に在籍している。三班の部屋から出たソルは、朝食を取るため食堂へ入った。

 

起床時間になって人がたくさんいる食堂で、まずソルが目を向けたのはテーブルに座っている、一人の少女だった。ピンク髪にピンクのパーカーと、ピンク色が特徴の小柄な少女。そんな少女が座っているテーブルにはいくつも重ね合わせた皿で埋もれていた。

 

「ごちそうさま……って言っても、これじゃ少し足りないなぁ~」

 

何皿も食べていながらなお、少女の腹の中は満たされなかった。その事に不満を感じている少女は、ソルに気づくと目を輝かせて駆け寄る。

 

「ソル、何か食べ物ちょうだ~い!」

 

「何言ってやがる、あるわけねぇだろ」

 

食べ物をせびる少女にソルはきっぱりと断る。またか……こいつは一体どれだけ食うんだ? ソルの脳内でそんな思いが浮かぶ。

 

第三班の少女『サクラ・S・ハルケン』は小さな見た目からは想像できないほど大食いだった。常に何かを食べており、食堂ではいつも特大盛を何回も頼んでいる。それでも何故か太る事はなく、逆に空腹を訴えるなど「お前の胃袋はブラックホールか」と言いたくなるぐらいの大食いだった。断られたサクラはふくれっ面になるも、また新しいのを頼もうとすぐにカウンターへと向かっていった。

 

「……チビなのに胸はデケェ。バスト80は越えてるな」

 

走ってる時に揺れていたサクラの胸を見て、変態的な事を呟くソル。呟いた後、ソルはハッとなって周りに人がいないか確認する。幸い、周りに人はおらずソルの独り言は誰の耳にも入らなかった。今の発言を誰かに聞かれてたらまずい、ソルはそう思うと共に安堵する。

 

朝食を食べ終えたソルはカメラを手に、寮の中を歩き回っていた。部屋には他の隊員がおり、中には班が異なる者が仲良く話している所も見かける。

 

「凶暴化の件って、今どうなってるんだろうな?」

 

ソルが声の聞こえた方を向くと、テーブルで二人の青年が話しているのが見えた。今の声はカイト。彼が所属する第四班は、結成から一日で犯人を見つけたという。

 

「さぁ、分からないな。君達が見つけた犯人をラステイションの女神が倒したって情報から、何の音沙汰もないからね」

 

カイトの問いに答えたのは第二班の『赤前(あかさき)黒斗(くろと)』。黒のポニーテイルに赤のTシャツ、そしてフード付きジャンパーを着た青年だ。

 

「俺が言うのは難だが……早いな。結成から一日目で凶暴化させてる犯人が見つかるなんて」

 

「それでボク達への指令が減ったか、というとそうじゃない。凶暴化モンスターが減った反動なのか、各地でモンスターが大量発生しているようだ」

 

「昨日の指令と言ったら、大量発生したモンスターの討伐だったからな。まぁ、そう簡単に収まらないか」

 

「ボクはそれでいいと思う。一週間足らずで仕事が終わるなんて勘弁だからね」

 

カイトと黒斗の会話を聞き終えたソルは、止まっていた足を動かし歩き始めた。黒斗の言った通り、今、各地でモンスターの大量発生が起きていた。もちろんプラネテューヌ周辺でもその現象が起きており、大半は特命隊が対処していた。

 

「はぁ~眠い……」

 

ソファーにだらしなく寝そべっている女性を見たソルは足を止める。乱れたビジネススーツに金髪のポニーテイル、名は『緋室(ひむろ)(りん)』。ソルやサクラと同じ第三班に所属している。

 

「こんな所で寝てるんじゃねぇよ、馬鹿か」

 

「えぇ? だってまだ眠いのにリジーに起こされたんだも~ん。仕事があるわけでもないし、好きに寝かせてよぉ~」

 

寝ぼけた顔をした凛は自身を起こした『リジー』への愚痴をこぼした。指令が来たらどうするつもりだ? ソルが考えてる事を察したのか、凛はこう付け加える。

 

「仕事の事なら問題ないって。そこんところはきっちりと分けてあるし、すぐに切り替えられるから大丈夫よぉ~」

 

本当に大丈夫か? ソルはだらけてる凛に呆れながらカメラのセッティングをしていると、隊長から支給された端末が鳴り出した。ジャケットから取り出して確認すると、モンスター討伐の指令が来ていた。街近くにある工場でモンスターが大量発生しているとの事。

 

「おい凛、さっそく指令が来たぞ――」

 

振り返ると凛は既に起き上がっており、乱れていたスーツは整えられていた。

 

「分かってるわよ。あたしはリジー呼んでくるから、アンタはサクラを呼んできて。よろしく」

 

凛はソルに伝えた後、リジーを呼びに寮の外へ出て行った。身だしなみやきびきびとした動作を見るに、公私の切り替えが早いというのは本当の様に見える。ソルは凛に頼まれた通り、サクラを呼びに食堂へと向かった。

 

こうして、第三班の仕事が始まる。

 

――――――――――――――――――――――

 

とある工場の入口で兵士達が集まっていた。そのうち緑髪の少年、白皇寺レイはモンスターが大量発生している工場の前に立ち、その建物を見据えている。彼の後ろでは対策に励む兵士達の姿があった。

 

「公務員の退避は完了したが、工場にいるモンスターの数は尋常じゃないな。これで七件目だ」

 

レイは工場を見て呟いた。モンスターの大量発生が、とても高い頻度で起きている。レイ達もその原因について調べてはいるが手がかりは掴めず、捜査は困難を極めていた。

 

「副団長、工場の包囲が完了しました」

 

頭を悩ませてるレイに一人の兵士が報告をする。包囲というのは中にいるモンスターを出さないよう、レイが指示した物だった。兵士の報告を聞いたレイは、向き直って指示を告げる。

 

「そうか……知っているとは思うが、この中にいるモンスターの数はとても多い。もし漏れ出す事があれば一大事になる。全員に、工場から決して目を離すなと伝えろ」

 

「了解!」

 

指示を受けた兵士は踵を返し、すぐさま持ち場に戻った。レイは再び工場に目を向けると、モンスターの討伐について考え始める。工場へ突入するとして、数えきれないほどのモンスターを全て倒す事はできるだろうか。レイ自身は多数のモンスターを一掃できる実力を持っているが、他の兵士達はそうではない。無暗に突撃して、返り討ちに遭うような事になれば本末転倒だ。それではどうすればいいか――などと考えているレイの隣を、ふと誰かが通り過ぎた。

 

「おい、立ち入りは許可してないぞ! 工場の中はモンスターで……」

 

レイは通りかかった人影の方に目を向けると、見覚えのある人物が眼前に立っていた。

 

「ここよ、目的地の工場は」

 

「ほぇ~ものすごく大きいねぇ~」

 

「この工場の中はモンスターで溢れているのか、全滅させるのに時間がかかるな」

 

「…………」

 

立っている四人の内、三人は工場を見上げ、後一人は下を向いてカメラを弄っている。

 

「お前達、指令を受けてここに来たのか?」

 

レイが声をかけると四人は一斉に振り向いた。間違いない、こいつらは特命隊の第三班だ。

 

「えぇ、そうよ。あたし達は隊長からの指令でここに来たの、副団長」

 

レイの問いに答えたのは金髪にスーツ姿の凛。色白でスタイルのいい美人だ。四人が隊長であるグラウトの指令で来た事に納得したレイは、一息入れてから話す。

 

「入口のフロアにはモンスターはいない。公務員を避難させるため、我々がこちらで対処したからだ。しかし、それで精一杯だった……奥に進むとモンスターが沢山いる。あまりにも数が多すぎて、予想がついていない。気を付けてくれ」

 

「うん、分かったよぉ~」

 

気を抜けた返事をしたのは小柄のサクラ。片手にはうまい棒が握られており、彼女は包装を破いて食べ始めた。その姿にレイはやや不安を感じたが、すぐに消し飛んでいった。

 

「それじゃあ、あたし達は工場の中を片付けてくるから、それまで警備よろしく」

 

凛はレイに向けて二本指を立てた後、三人と一緒に工場の中へ入っていった。

 

――――――――――――――――――――――

 

モンスターを討伐するため、中に入った第三班は至る所を見回しながら歩いていた。

 

「何もいねぇな、モンスターはどこに行った?」

 

「ここらへんは片付けたって副団長が言ってたわ。それが限界らしかったけど、公務員の避難も兼ねてたから仕方ないわね」

 

凛の発言を聞いた後、ソルは目線をサクラの方に移した。工場に入った今でもうまい棒を食べており、緊張感は感じられない。寮の外へ出てからここまで、サクラはずっと菓子を食べていた。うまい棒を食べ終えると、包装を捨てて魚肉ソーセージを取り出した。いつになったら満腹になるんだ? ソルの脳内にそんな思いが渦巻く。そうこうして進んでいくと、数体のビットとM-3が目の前に現れ、道を阻まれた。

 

「やっとモンスターのお出ましね。ソル、サクラ、ちゃちゃっと倒しなさい」

 

「は~い」

 

凛に討伐を指示されたソルとサクラ。サクラは食べようとしていた魚肉ソーセージをしまい、背負っているハンマーを手に取る。ソルは拳銃と二枚刃のチェーンソー『デュアルソー』を具現化させ、サクラと一緒に前に立った。そして二人は武器を構えて駆け出し、モンスターに攻撃を仕掛ける。体当たりしてくるビットをサクラはハンマーを打ち込むと、そのままふっ飛ばして倒す。一体を倒したサクラはさっきの風圧で動けないビット数体を見つけ、それぞれ一撃で撃破した。ソルの方は左手のデュアルソーで近くのビットを切り刻みながら、右手の拳銃で離れた位置にいるビットを銃撃する。周囲のビットを全て倒し終えた二人は、残ったM-3数体とビットに攻撃を仕掛ける。しかしその攻撃は避けられてしまい、距離を離した一体のM-3が電磁波を繰り出した。二人は電磁波をかわし、サクラがM-3に近づこうと駆け出す一方、ソルはデュアルソーと拳銃を消し、今度はスナイパーライフルを具現化させて構える。

 

「距離が離れたわね……それなら」

 

モンスターと二人の差が開いたのを見た凛は、手から黄色い光を出し、その光をサクラへと向ける。その影響なのか、サクラの身体が黄色に輝いたかと思うと、彼女の走るスピードが上がりM-3との距離が縮まった。サクラはモンスターを一撃で粉砕する破壊力を持つ反面、動きが鈍く、遠距離にいる敵に攻撃する手段を持っていなかった。その事を理解していた凛は補助魔法『アボイドサポート』をかけ、サクラの素早さをあげたのだった。近づいたサクラは電磁波を飛んでかわし、M-3に向けてハンマーを振り下ろす。彼女の動きに反応しきれないM-3はハンマーで叩き潰され、粒子となって消えていく。

 

別のM-3がサクラに向けて電磁波を繰り出すのを一発の銃弾が阻んだ。それと同時に銃弾は胴体を貫き、M-3は粒子となって消滅する。撃ったのはスナイパーライフルを構えるソルだった。M-3が消滅した事を確認すると、サクラの周りにいる数体のビットを撃ち、サクラを援護する。

 

「ソル、ありがと~」

 

周りにビットがいなくなり、自分を手助けしてくれたソルに感謝すると、サクラはM-3に思いっきりハンマーを振った。M-3は自分に振りかかるハンマーをかわそうとするが、凛の補助魔法でサクラは素早さが上がっていた。そのため、物凄い速さで振りかかるハンマーに、M-3は避けられずに粉砕された。

 

「凛~終わったよぉ~」

 

モンスターを全て倒し終えたサクラの知らせを聞き、凛は「うんうん」と頷いた。

 

「そうね。ここにはもういないだろうし、奥に進んじゃいましょ。ただし、先走るのは駄目よ」

 

凛がそう呼びかけた後、四人は次のフロアへ進んでいった。

 

――――――――――――――――――――――

 

「おいおい、大丈夫なのか? あいつらを中に入れさせて」

 

特命隊の第三班が工場に入って数分。レイの耳元に兵士二人の会話が聞こえてくる。

 

「いいんじゃないのか? 副隊長は何の反対もなく通したぐらいだから」

 

「あいつら、見るからにガキだぞ? そんな奴らがこの中のモンスターを倒せるなんて――」

 

「おい、それを言ったら――」

 

レイは兵士の言葉に反応し、こそこそと話している二人組を睨みつけた。それに気づいた二人は怯え、すぐさま話をやめた。

 

「しまった、歳なら副隊長もそうだった……」

 

兵士の一言にレイは呆れて視線を外した。部下にああ言われては示しがつかない、そう思い溜息を吐く。

 

「……もっと努力しなければ」

 

兵士達に聞かれない声でレイはぽつんと呟いた。

 

――――――――――――――――――――――

 

奥まで進んだ第三班は無数にいるモンスターに目を見張らせる。一目見ただけで、明らかに百は超えている。一体、何をどうすればこれほどまでにモンスターが湧き出てくるのだろうか。

 

「今日もあんな数を相手にするのか……勘弁しろよ」

 

「大丈夫だよぉ~、一匹は大して強くないからぁ~」

 

目の前にいるモンスターの群れを見てもサクラは悠然としており、アップルパイを頬張っていた。ソルも愚痴りはするものの、特に焦る様子を見せていない。彼らに限らず、特命隊にとって普通のモンスターは難なく倒せる物だった。

 

「あそこにいるモンスターを倒せば終わりね。ソル、サクラ、それにリジー。あたしはここで援護するから、全部倒してきなさい」

 

凛は自分が後衛に回る事を三人に伝える。それを聞いた三人は前方に立ち、モンスターの群れの方へ歩き始めた。ソルはデュアルソー、サクラはハンマー、そして黒髪で深緑のシャツを来たリジーは大型ナイフを取り出した。近づいてくる三人に気づき、モンスターが雄叫び声を上げると三人は一斉にモンスター達へと駆け出していく。

 

雄叫び声を上げ、大勢で襲い掛かるモンスター。リジーはモンスターの攻撃をかわし、モンスターの頭部をナイフで切り裂いた。一体、また一体とモンスターを倒し、リジーは素早い動きでモンスターを翻弄していく。次にソルは多数のモンスターを薙ぎ払い、突進してくるモンスターを片付けていく。デュアルソーの常に回転する刃は、モンスターの動きを止めるのに機能していた。そのせいかソルへの攻撃は後一歩の所で届かず、モンスターは消滅していった。サクラはハンマーを振り回し、周囲にいるモンスターを一瞬で倒す。飛び掛かるモンスターを上空に打ち上げ、落ちてきた所を前へふっ飛ばす。飛んでいった先には数十のモンスターがおり、叩きつけた衝撃で巻き添えとなって消えていった。

 

「三人共やるわね。まっ、当然だけど」

 

三人の戦いっぷりを見て感心する凛。そんな彼女に、一体のフェンリルが飛び掛かった。振り降ろされた爪は地面を突き刺し、クレーターを作る。コンクリートは割れ、瓦礫が周囲に飛び散るがフェンリルは違和感を感じた。敵を倒した感触がない、フェンリルは割れた地面から離れ、煙幕が晴れるのを待った。煙幕が晴れるとフェンリルは目を見開く。凛の姿はどこにも見えないのだった。

 

「こっちよ」

 

フェンリルが声の聞こえた方を振り向くと、二個の雷撃が飛んできた。思わぬ攻撃にフェンリルは回避できず、両目に雷撃を喰らってしまう。目を押さえたフェンリルは痛みに苦しみながら、やみくもに爪を振り回す。

 

「危険種フェンリル……生憎だけどあたし、力任せな猪に負ける気はしないのよ」

 

悶えるフェンリルの真上に展開された魔法陣、凛が指を鳴らすと魔法陣から無数の雷が振りかかる。雷を受けたフェンリルは断末魔に似た叫び声を上げながら、粒子となって消えていった。フェンリルを倒した凛は再び、三人が戦っている場所に視線を移し、モンスターへ向けて雷撃を飛ばす。モンスターは雷撃を受け、怯んだ隙を三人に突かれ倒された。

 

「それにしても、一向に減らないわね……どうしてかしら?」

 

倒し続けても尚、減る気配のないモンスターに疑問を感じた凛は三人を援護しながら目星となる物を探す。もし見つける事ができたのなら、今起こっているこの現象を解決できるかもしれない。

 

「このまま行けば、明日は筋肉痛ね……!?」

 

そんな事を言っていると一発の砲弾が凛の横を通り過ぎた。対象を外した砲弾は爆発し、着弾した壁を崩す。

 

「今の砲弾……また危険種ね」

 

砲弾で崩れた壁を見つめる凛は、フェンリルとは別の危険種だという事に感づく。すぐさまモンスター達に視線を張り巡らせると、昆虫の様な四本脚に砲台の載った兵器が混じっているのを見つけた。名称「R4i-SDHC」。砲台の照準は、サクラに向けられていた。

 

「サクラ、かわしなさい!」

 

「えっ?」

 

凛の忠告を受けたサクラは気の抜けた声を出したが、自身の所に砲弾が飛んでくる事に気づく。サクラは今いる場所からとっさに離れ、砲弾から逃れる一方、周囲にいたモンスターは砲弾に気づかず、爆発に巻き込まれていった。

 

「爆発? 一体何が!?」

 

突然の爆発音に、ソルとリジーの意識がR4i-SDHCに集中した。するとR4i-SDHCは今度、照準をリジーに移し砲弾を発射する。

 

「そっちに飛んだわよ、リジー!」

 

「分かってる」

 

リジーは飛んでくる砲弾を飛び越え、落ちる先にいるモンスターへナイフを振り下ろす。モンスターは足場となった後、真上からナイフを突き刺され消滅した。コンクリートの床に着地したリジーの背後では砲弾による爆発が起き、煙幕が噴き上げる。

 

「グオオオォォ!!」

 

雄叫び声と共にフェンリルが煙幕を突き破って出てくる。それに気づいたリジーは後ろに遠ざかり、フェンリルの攻撃を回避する。距離を取ったリジーはワイヤーを飛ばし、フェンリルの前足に巻き付けると、自身の方へ引っ張ってフェンリルの体勢を崩した。倒れこんだフェンリルを見てリジーはすぐにワイヤーを手放す。そしてフェンリルへと駆け出し、顔面にナイフを突き刺して倒した。

 

「これから雨が降るわよ、下がりなさい!」

 

凛の呼びかけを聞き、三人は凛の元に集まる。その途中、サクラは飛んできた砲弾をハンマーで打ち返し、ソルは腰のミサイルポッドを発射してモンスターを牽制した。モンスターの群れから抜け出した三人は、真上に群れを覆うほどに大きい魔法陣が展開された事に気づいた。

 

「はい、これでおしまい」

 

モンスター達を覆うほどの魔法陣から無数の雷が降り出した。その雨は物凄い勢いで降り、危険種を含むモンスターを焼き尽くしていく。

 

「すっげぇ……モンスター共が一瞬で消えやがった」

 

「これぐらいできないと特命隊は務まらないわ」

 

雷撃でモンスターの群れを一掃した事をさも当然の様に言ってのける凛。これで大量発生したモンスターの討伐は完了したのだったが、ふとリジーが煙幕の中から何かを見つける。

 

「なぁ、あれは何だ?」

 

――――――――――――――――――――――

 

第三班が工場に入ってから数十分。とてつもない衝撃音が聞こえたが、彼らがやってくれてるのだろう。兵士達のざわめきが絶えないが、レイは動じずただ工場を見守っていた。

 

「おい、出てきたぞ!」

 

工場の入り口から第三班が出てきた。四人に気づいた兵士の声に反応し、他の兵士達も続いて目視する。レイは四人に近づき、中にいたモンスターについて問う。

 

「全部片付けたわよ。数は多かったけれど、あんなのじゃ苦にならないわ」

 

凛は余裕そうに告げた。レイは凛の手にある物に気づき、今度はそれが何なのかを聞く。

 

「その手に持っている物はなんだ? 何かのディスクらしいが……」

 

「これが大量発生の原因よ」

 

返ってきたのは意外な答えだった。この割れているディスクが原因だと? レイの呆気にとられた顔を見て、察した凛はディスクについて説明する。

 

「このディスクはモンスター達を呼び出す装置みたいな物。あたし達が見つけた後も、どんどんモンスターを呼び出してね。とっさに割ったら機能しなくなったわ」

 

割れているのはそういう理由だったのか。今の説明に納得したレイはディスクを手に取る。モンスターを討伐した四人はレイに挨拶した後、この場から去っていった。

 

これを調べれば確実に手がかりが掴める。レイはそう確信し、兵士達に引き上げを命じた。

 

――――――――――――――――――――――

 

仕事が終わり、寮に帰ってきた第三班。寮の中に一歩入った瞬間、凛はふらついてソファーへ飛び込んでいった。

 

「終わった終わった~、今日はもう無理~」

 

自堕落な言葉を吐き、ソファーに寝転がる凛。その姿は、どこぞの主人公にそっくりだった。サクラは腹を満たすために食堂へ行き、リジーは第三班の部屋へと向かっていった。

 

一人残ったソルは辺りをよく見渡し、カメラを取り出す。

 

「よし……行くか」

 

撮影準備を終えたカメラを構え、意気込んだソルは外へ出向いて行った。

 

――女子を盗撮するために。




今回は募集で送られてきたキャラが主役でした。
「サクラ・S・ハルケン」は懐石料理さん(ID:78571)
「ソル」はNGさん(ID:115103)
「リジー」かけソバさん(ID:62654)※
「緋室凛」はエイゼルさん(ID:56014)
「赤前黒斗」は澪刹弥凪さん(ID:28685)
が考えてくださったキャラです。
皆さん、ありがとうございました
メンバーはまだ募集しているので、もしよかったらダイレクトメッセージで是非送ってください。

※名前、外見は私が考案しました。
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