ネプテューヌEX ~とある青年のエクスペリエンス~   作:S・TOM

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2週間ぶりの投稿。遅くなった……


第11話 ロボット

俺達はトレビスから聞いた情報を隊長に伝えに寮へ帰った。モンスターの凶暴化とは直接関係ないが、閉鎖されている研究所が無断で使用されてるとなればそれはもう一大事だ。

 

俺が勢いよく隊長室の扉を開けると、隊長であるグラウトが驚いた表情でこちらを見遣る。

 

「お前は第4班! 何故ここに?」

 

「実は諜報員から重要な情報を聞きました」

 

エリナは隊長に一礼をした後、閉鎖された研究所についての情報を話し始める。それを聞いた隊長は焦る様な表情になる。

 

「今の情報が事実だとしたら、とてもまずいな。もしそこがモンスターの凶暴化と関係があるのなら、放っておくわけにはいかない」

 

「その諜報員はその後、研究所を調査するって言ってました。こちらから手を打つのなら今しかない」

 

ウェインにそう言われると隊長は椅子に寄り掛かり、天井を見上げる。焦っていた表情は徐々に落ち着いた表情へと変わっていた。

 

「私達に行かせてください。このままではまた被害が起きてしまいます」

 

隊長はしばらく熟考した後、エリナの志願を聞き入れる。

 

「分かった。第4班は研究所へ向かえ。私の方でも研究所についての情報を集める」

 

俺達は隊長の言葉を聞くとすぐさま寮を出て、研究所への道を辿り走っていく。待ってろ研究所!

 

――――――――――――――――――――――

 

ネプテューヌだよ! 私は今、あいちゃんに連れ出されて森に来てるんだ。やっとごろごろできると思ったのに、あいちゃんが「サボってないでとっとと行くわよ」とか言って、教会から引っ張り出したんだよ! ひどいよね。無理やり連れてかれる私の身にもなってよね!

 

「まる聞こえよ、ねぷ子」

 

……あっ、聞こえてたんだ。ネプギアにもコンパにも。

 

「大体、そうなったのはねぷ子が悪いんでしょ? 一休み入れてると思ったらだらけてばかりで、全然仕事しないじゃないの。イストワール様もかんかんになって怒ってたわよ」

 

え~? そんなに怒る事してないけどなぁ~って何でネプギア顔を逸らしてるの?

 

「この道を抜ければ研究所に着くわ。あの情報が本当なら何か裏があるわ」

 

するとコンパが道の奥から何かを見つけて指を指した。

 

「あっ、あそこに誰かいるですよ」

 

それをよ~く見ると……ノワール! 突然登場したかと思えば、すぐにフェードアウトしたぼっちのノワール!

 

「だからぼっちじゃないわよ!」

 

私のぼっち発言を聞いたノワールが即座に否定する。心の声だったんだけどね……。

 

「あっ、ユニちゃん!」

 

妹のネプギアがノワールの隣にいる子を見るとすぐさま駆け寄った。

 

「その声はネプギア? アンタどうして……」

 

「久しぶりだね! 最近ずーっと会ってなかったから心配してたんだよ」

 

ネプギアがそう言うとユニちゃんの顔が赤くなった。

 

「そんなのアタシには必要ないわよ! それにアタシは、アンタの事なんて心配してなかったわよ! 勘違いしないでよね!」

 

聞かれていない事を話すユニちゃん。こういう素直になれない所が、ノワールに似ているんだよね。

 

「ネプテューヌはここで何してるの? 私達は忙しいから、貴方になんか構ってられないわ」

 

「もう、ノワールったら冷たいなー。そんなんだから友達できないんだよ?」

 

「はぁっ!? そんな事ないわよ! 私にだって友達が……っていやいやいや!」

 

ノワールは首を振って高揚した気分を落ち着かせると、気を取り直して私達に警告する。

 

「何をしているかは知らないけど、ここは危険よ。詳細不明の無人兵器が、ここを徘徊しているわ」

 

えぇーっ!? そんな話聞いてないよ! あいちゃん、何やってるのさ!

 

「無人兵器!? わぁ~見てみたいな! どんな仕組みで動いているのかな? 楽しみだね、お姉ちゃん!」

 

あっ、ネプギア機械好きだったっけ。目を輝かせてこちらを見てるよ。いや、私は別に楽しみじゃないんだけど……むしろ不安だらけだよ!

 

「ここに無人機が? そんな情報は入っていませんでしたが……」

 

疑問に思ったあいちゃんがノワールに聞く。なんて入っていないのさ! バカー!

 

「ついさっき入ったばかりよ。見た事のないロボットがここで何度も目撃されているわ」

 

うわぁ、今のでネプギアの目がさらにきらつかせちゃってるよ。ユニちゃん、若干引いた目でこちらを見ているよ……というか、そんなに危ないんならさっさと帰ろうよ!

 

「ノワール様。私達、それとは別の事でここに来たんです」

 

あいちゃんはそう言ってノワールに研究所について話した。

 

「研究所が使われてる? 確かずっと前に閉鎖されていて、誰も近寄らなかったはずよ。なのにどうして?」

 

「わかりません。ですがもしかしたらここを徘徊している無人機と、何か関係があるかもしれません」

 

ノワールはあいちゃんの話を聞くと目を閉じて何かを考え始めた。

 

「あの研究所って確かマジコンとか違法な兵器を製造している事が発覚して、それで業務停止になったわね……まさか――」

 

ノワールが何か思いつくと、突然遠くから爆発音が聞こえた……なんか嫌な予感がするんだけど。

 

「向こうから爆発!? 悪いけどネプギア、アンタと付き合ってる暇はないわ!」

 

「あっ、待ってユニちゃん!」

 

ユニちゃんはネプギアの呼ぶ声を無視して、爆発音の聞こえた方に向かっていった。あーあ、ネプギア落ち込んちゃってるよ。

 

「私も行くわ。いい? ついてくるんじゃないわよ!」

 

ノワールも私達にそう言ってユニちゃんの後を追うように森の奥に入って行った。

 

「……って言われると、逆についていきたくなるんだよな~これが」

 

もはやお約束だね。私も行っちゃうよー!

 

――――――――――――――――――――――

 

研究所に向かう俺達は今、森の中を辿っていた。目的地まで後少し、森を抜ければすぐ目の前にあるだろう。だが突然、デビッドが不安げな声を上げる。

 

「おい……何か聞こえねぇか?」

 

「何かって何よ?」

 

デビッドの言葉に疑問を持ったエリナが聞き出した。

 

「いや、なんていうか……『ウィーン』っていう音が聞こえる気がするんだ」

 

ウィーン? そんな音は聞こえな――いや、聞こえる。ほんのわずかだが、確実に聞こえる。

 

「俺達を狙うような視線を感じる。モンスターじゃない!」

 

身の危険を感じたウェインは立ち留まると辺りを見渡して敵を探し始める。

 

「ちょっと、何で止まるのよ!? もう少しで――」

 

どこからか撃たれる銃弾に気づき、エリナは間一髪で銃弾をかわした。その後エリナは自身へと落ちてくる物を剣で真っ二つに斬る。斬られた物はエリナの間を通ってそのまま地に落ちた。

 

「……まだいるぞ!」

 

何かの存在に感づいたウェインがそう叫んだ通り、今度は数発のビームが飛んできた。俺達が次々とビームを避け、かわされたビームは木や地面へと突き抜けていった。

 

ミサイルを全てかわしおえた俺達の前にロボットが現れる。それも一体だけではなく、三体で現れたのであった。さっきエリナが斬った物の正体は、目の前にいるのと同じロボットだった。

 

「なっ、なっ、なぁ~?」

 

突然の事態にデビッドは言葉を紡ぐ事ができず、気の抜けた声を漏らした。

 

「何これ!? こんなのがいるって聞いてないわ……」

 

エリナも目の前にいる見たことがないロボットに困惑している。それは俺も同じだ。

 

「…………」

 

ウェインは焦りを見せる事なく、ただ黙って目の前のロボットを見ていた。相変わらずこいつの考える事は分からない。

 

こうして警戒しているとロボットの一体が俺達に狙いを定め、右腕の機銃で射撃する。飛んでくる銃弾をかわすと別の一体が俺達に迫って行き、体当たりを仕掛けようとしていた。

 

俺達三人は体を引いて避ける一方、ウェインは向かってくるロボットへと飛んでいく。そして機体の上に乗ると、ロボットの動きを封じ込もうと剣で頭部をぶっ刺した。その攻撃が功を成したのかロボットはあちこちをふらつき、遂にはバランスを崩して倒れてしまう。倒れたロボットはパチパチと火花を散らすと、そのまま爆発した。

 

「やるじゃねぇか、ウェイン!」

 

ウェインがロボットを倒した事にデビッドが感嘆の声を上げる。こっちも負けてられないな。俺も弾が飛んでこなくなった隙にロボットへ駆け出していき、脚部を斬ってロボットの体勢を崩す。俺はそのまま剣でロボットに斬りかかるが、装甲が固いせいで斬れずに弾かれてしまう。

 

「ちぃっ、生半可な攻撃じゃダメか!」

 

崩れ落ちたロボットは立て直り、今度は左腕のビーム砲で俺に照準を合わせて撃ち出す。俺は向かってくるビームを剣で受け止めるが、あまりの威力に吹き飛ばされダメージを負ってしまった。

 

それでも俺は体勢を立て直しロボットに飛んでいく。撃ってくる銃弾をかわして、ロボットの頭部へと剣を突き刺した。刺した傷から火花が散るのを見ると、俺は剣を抜き、急いでロボットから離れる。十分に距離が離れた後、ロボットの頭部が爆発してガラクタの様に崩れ落ちた。

 

「さっきのは痛かった……だけど倒したぞ」

 

残りは一体。ふと三人の方を見ると数体のロボットに苦戦していた。

 

「……おいおい、まだいたのかよ?」

 

呆れてそんな言葉が出てしまった。俺は急いで救援に向かおうとするが、目の前に二体のロボットが立ちはだかった。

 

剣を構えるとロボットは俺から遠ざかって機銃を放った。近距離では不利だと言う事を認識したのだろう。

 

「遠くから仕留めようって事か、面白いな」

 

心の中から湧いてくる高鳴りを感じながら、俺はロボットを目掛けて走り抜ける。そしてロボットの前に飛んで頭部に斬りかかるが、ロボットは屈んで俺の剣を避けた。攻撃を外して無防備になった俺を、ロボットは見逃さなかった。屈んだ体勢でロボットは俺を目掛けてビーム砲を放つ。俺はまた剣で防ごうとするが身体が思うように動かず、体勢を整えられない。

 

「駄目だ、喰らっちまう!」

 

飛んでくるビームはそのまま一直線、俺の剣にぶつかった。

 

 

 

 

 

さっきと違いダメージは受けなかった。理由は剣とビームの間から炎が湧き出ていたからだ。湧き出る炎が、ビームを相殺していた。

 

剣を見ると刃が紅く染まっていた。隊長と戦った時もそうだった。あの時は爆風を利用して勝ったが、今度は炎だ。どうやって倒す。

 

俺は着地すると剣を大きく振って風を起こす。すると風が炎に変わり、火花を散らしながら消えて行った。

 

「なるほど。この剣は今、炎を起こせるのか」

 

それを確認すると、俺は地面を斬って炎を撃ち出す。炎は地を這いながらロボットの方へと前進する。危険を感じたロボットはステップで炎をかわしたが、もう一体は違った。避けようとしても間に合わず、向かってくる炎をまともに食らってしまう。そのロボットは一瞬にして焼き尽くされ、炭になって消えた。

 

「す、すげぇ……」

 

自分で出したのにも関わらず、俺はロボットが燃えつきたのを見て驚愕する。こうして気を取られていると、炎を避けたロボットが俺にビームを放った。俺は飛んでくるビームを剣で斬りかかると、剣は見事にビームを斬ってしまった。

 

「斬れる……よしっ、これなら!」

 

俺は確信してロボットへと駆け出して行った。これなら倒せる、必ず。紅く染まっている剣で脚部を斬ると、見事に切断してロボットは体勢を崩してしまう。

 

「今度は立ち直れないぜ、ガラクタ」

 

そう言い捨てて俺は胴体を斬った。固かったロボットの装甲だが、今の剣で斬れない物では無かった。

 

斬られてロボットは機能停止して、今にも爆発しそうだった。俺は爆発寸前のロボットを蹴って自身との距離を離す。そしてロボットは、剣の切り口から炎を吹き出しながら爆発した。

 

三人の方を見ると何とかロボットを全て倒したようだった。あっちも終わったのか。

 

「おーい、こっちは終わったぞ」

 

俺は三人に声をかけて近づく。よく見ると三人は怪我は少なくとも、疲れた様子だった。

 

「つ、疲れたぁ~……」

 

デビッドはそう言ってその場にへたり込む。こっちは五体……いや六体か? まぁ、倒したからいいか。

 

「界人! 貴方その傷……」

 

俺の様を見たエリナが心配そうに見る。すると今まで感じなかった傷の痛みが走った。

 

「ううっ! さっきビームを食らっちまって……」

 

「少しじっとしてなさい。治してあげるわ」

 

エリナがそう言うと、徐々に俺の中の痛みが引いていき傷も治っていった。これ、何の魔法だ?

 

「エリナ、お前何やった?」

 

「何って、治療よ。実は私、回復魔法を習っていたの。貴方達にはまだ教えてなかったわね」

 

魔法だったのか。それなら納得……できるのだろうか。

 

「デビッド、ウェイン。貴方達は……必要ないわね」

 

「ええっ、何で!?」

 

まぁ、そうなるだろう。傷ついた様子もないし、これなら戻る事なく研究所に行けるな。

 

そう考えていると草の音と共に誰か来た。ロボットではない、人間だ。

 

「こ、これ……アンタ達がやったの?」

 

黒のツーサイドアップに黒のワンピースで、銃を構えた少女は目の前の状況に驚いていた。

 

「どうしたのよ、ユニ? そこに何があったの――」

 

後ろからもう一人、ツインテールの少女がやってくる。その少女も俺達を見ると言葉を失った。

 

「おーい、ノワール! 私を置いていこうたって、そうは行かないよー!」

 

『ノワール』? ツインテールの名前か。ツーサイドアップは『ユニ』と呼ばれていたし……いや、それよりもこの声。聞き覚えがあるぞ。

 

そして森の奥から見覚えのある少女が出てきた。紫色のショートカットに白いパーカー。

 

「あれ? 君は誰? どっかで会ったような気がするんだけどなー」

 

あっちは忘れているようだな。だけど、こっちは覚えている。

 

「ネプテューヌ、だよな?」

 

「……えぇーっ!? 何で私の名前知ってるの?」

 

こうして俺は再び、紫の女神と出会った。

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