ネプテューヌEX ~とある青年のエクスペリエンス~   作:S・TOM

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第12話 研究所

ロボットを倒した俺達は、後から来た少女達と遭遇した。女神のネプテューヌに妹ネプギア、諜報員のアイエフにナースのコンパ。そして会ったことのない姉妹。合計6人、俺達を合わせると10人。キリのいい人数だ、どうでもいいが。

 

「やあやあ久しぶりだね! また君と出会うなんて思ってもみなかったよ!」

 

「そうだな、俺もまさかここで出会うなんて思ってなかったぜ。またあの華麗な動きが見れるのかぁ~」

 

パープルハートの戦いっぷりをまた見れる。そう思うと胸を躍らせられる。早く見たいものだ。

 

「ほぇ~中身はこうなってるのか」

 

声の方を向くとデビッドとネプギアがロボットの残骸を調べていた。あいつら……いやネプギアってあんな事ができたのか。

 

「それにしても、ネプギアはすげぇな。こんな複雑な構造も難なくばらしちまうなんてよ」

 

「そんな、大したことないですよデビッドさん」

 

見た感じ、いい雰囲気になってるな。互いの気が合えば案外、仲良くなれるのか?

 

「ちょっと! あんたネプギアと何やってるの!?」

 

デビッドに突っかかる様にユニが叫ぶ。

 

「何って……一緒にロボット調べてんだけど? あっ、お前まさか……」

 

そう言いかけるとデビッドはにやけ顔になる。

 

「やきもち、焼いてたりする?」

 

「ッ!!」

 

おちょくられたユニは銃を具現化させてデビッドに照準を定める。

 

「今の言葉、取り消しなさい……でないと!」

 

「わぁーっ!? うそ、うそ、冗談だって! 悪かった、悪かったって!」

 

ユニから黒いオーラを感じたデビッドは慌てて詫びる。調子に乗って怒らせちまったな、デビッド。

 

こちらの方はというと、エリナがネプテューヌの姿に困惑している所だった。変身前の姿を見るのは初めてなのか。

 

「えーと……あの、その……貴方が女神、ですか?」

 

「うん! プラネテューヌの女神と言ったらこの私、ネプテューヌだよ!」

 

自信満々に答えられたエリナはネプテューヌの姿をまじまじと見る。

 

「そう、なのですか……」

 

エリナは釈然としない思いに駆られていた。まぁ、仕方ないよな。

 

「この子が女神なのは本当よ」

 

そう言うのはノワール。どうやらこいつも女神らしい。

 

「仕事もせずに毎日ゲームしてたりどこかふらついてたりするけど、これでも国を治める女神なのよ」

 

褒め言葉と受け取ったのか、ノワールの説明を聞いたネプテューヌは照れる。

 

「いやぁ、そう言われると照れるよ~」

 

「……褒めてないわよ」

 

ノワールは脇で小さくツッコんだ。

 

「仕事もせずに、毎日ゲームしたりどこかにふらついたり?」

 

エリナはノワールの言葉を繰り返す様に呟いていた。女神、パープルハートを信仰しているエリナにとってこれはきついだろうな。

 

「……素敵」

 

えっ? 今、何ていったんだ?

 

「素敵です、パープルハート様! あの凛々しい姿のパープルハート様に、そんな一面があったなんて……何て素敵なんでしょう! 私、感激です!」

 

お、おい。どうしたんだエリナは? 素敵? そんな馬鹿な。というかエリナの目が輝いてる……何でだ?

 

「でしょ! 分かる人には分かるんだよ、私の魅力は!」

 

エリナに褒められ、ネプテューヌは得意気になる。それでいいのか女神。

 

「駄目ね。完全に虜になってるわ……ぐーたら女神なのに」

 

エリナの様を見たアイエフは呆れてしまう。アイエフの隣にはコンパとウェインもいた。

 

「まさかエリナにこんな一面があったとは……知らなかった」

 

ウェインはそう言いいながら携帯のカメラでエリナを撮る。

 

「――ッ! 何で私のスマホで撮ってんのよ!?」

 

手に持っているのが自身のスマホだという事に気づき、アイエフはウェインからスマホを奪い返す。ウェイン、お前なにやってんだよ。

 

「それでノワール。お前がラステイションの女神、なんだよな?」

 

「……呼び捨てなのは気になるけど、そうよ。私がラステイションの守護女神、ブラックハートよ」

 

女神であるノワールは自身を『ブラックハート』と名乗った。まさか女神二人と出会うなんてな。

 

「ネプテューヌとは、どんな関係なんだ?」

 

「ノワールとは友達で、時々遊びに来てるんだよ」

 

「そうそう、私達は友達……って何言ってるのよネプテューヌ!?」

 

割り込んだネプテューヌの発言にノワールは顔を赤くしてふためく。

 

「あれ、違った?」

 

「全然違うわよ! いや、全然違わないわね……いやいや! 私達はシェアを奪い合う関係で、友達じゃ、いや四人で集まってゲームした事もあったわね……えっと、じゃなくて――」

 

おいおい、なんだか支離滅裂な事言い出したぞ。どうすればいい? とりあえず、話を変えないとな……。

 

「ところで、どうしてラステイションの女神がここに? ネプテューヌ達は俺達と同じく、研究所に向かっていたらしいが」

 

「えっ? 私がここに来た訳?」

 

問いかけられたノワールは我に返り、ここに来た訳を話す。

 

「私とユニは、ここを徘徊する無人兵器を倒すためにここに来たんだけれども……まさか貴方達に先を越されるなんてね」

 

無人兵器……ああ、あのロボットの事か。残骸を見るとネプギアに解体され、内部の構造が露わになっていた。

 

「ネプギア。このロボット、どこで作られたかわかる?」

 

「このロボットは……ラステイション製だよ」

 

ユニに製造元を聞かれたネプギアは答えた。ラステイション製? そのロボットが? ノワールの方を見ると目が点になっていた。

 

「ラステイション、って私の国じゃない! 傭兵組織が作ったロボットが、何でラステイションで……」

 

ノワールの口から覚えのない言葉が出て来る。傭兵組織? 何だそれは? 俺を同じ事を思ったのか、デビッドがユニに傭兵組織についてを聞く。

 

「ユニ、傭兵組織ってなんだ?」

 

「何で当たり前の様に話しかけてるの……会ってまだ数分よ、アタシ達」

 

さも当然の様に話しかけるデビッドにユニは呆れるも、傭兵組織について話し始める。

 

「傭兵組織っていうのは戦争するように仕向けて武器や自分達を売り込んだ戦争屋よ。組織自体はとっくの昔に壊滅したんだけど、その残党がアタシ達の教会を占領したり、対女神用兵器を造ったりしたのよ」

 

戦争屋か……この世界でもそんな物騒な奴らがいるもんだな。

 

「戦争を起こそうとしたり、女神様を消そうとした恥知らず達よ……傭兵組織は」

 

いつの間にか正気に戻ったエリナが俺に語りかける。その目には傭兵組織に対する軽蔑が見えた。

 

「つまり、このロボットは傭兵組織の残党が作ったのか?」

 

「ええ。前に見た時は一体だけだったのに、まさか量産されてたなんて思ってもみなかったわ」

 

それに付け加えて、ラステイション製だ。ノワールの表情が曇るのも無理がない。

 

「ねぇねぇ、何で私が空気になってるの? 主人公だよ、私」

 

ネプテューヌ。お前の主人公発言、それで何度目だ?

 

「何度目って、まだ二回目だよ……誰? 私の心読んだの」

 

そんなの知らねー。俺はネプテューヌの言葉を聞き流し、アイエフの方を見る。

 

「トレビスが言ってた研究所と何か関係があるのかもしれないわね。すぐ目の前に研究所が見えるわ」

 

目の前って……本当だ、研究所が見える。俺達は研究所の近くでロボットと戦っていたのか。

 

「私達も一緒に行くわ」

 

俺達と同行する事を発言したのはノワールだった。

 

「本来なら研究所に行く予定なんてなかったけど、アイエフの話を聞いたからには見過ごすわけにはいかないわ。女神として」

 

そういうノワールの顔は引き締まっていた。国を治める女神としての義務感を感じられる……ネプテューヌと違って。

 

「えぇ~行くの~?」

 

これがプラネテューヌの女神の発言である。それでいいのか女神、まぁいいけど。

 

かくして俺達はネプテューヌやノワール達と一緒に研究所に向かう事になった。

 

「……私の出番、結局無かったです」

 

そうだなコンパ、ドンマイ。

 

――――――――――――――――――――――

 

研究所の中は綺麗だった。機械類は錆びておらず、正常に作動している。散らばっている部品類は見当たらず、レポートらしき用紙もきちんと整理されていた。その上電気や水道も通っている、ずっと前に閉鎖された研究所とはとても思えなかった。

 

「ここってずっと前に閉鎖されてたんだったよな? 何でこんなに綺麗なんだ?」

 

研究所の様子にデビッドの声は上ずっていた。廃墟のはずの研究所が綺麗なので、逆に怖くなってるのだろう。

 

「そうね。ここに近づいた者はいないはずなんだけど……まさか本当だったとはね」

 

アイエフはトレビスから伝えられた情報を確信する。研究所を見渡す目は一層厳しくなっていた。

 

「……誰かいないんですか?」

 

無人の研究所を見てコンパは呟く。この研究所に入ってから今に至るまで、研究員らしい人影は見当たらなかったのだ。

 

「それなら好都合よ。さっさと情報を掴んでここから出ましょう」

 

ノワールの言葉に従い、俺達は別れて資料を調べる事になった。さっそく俺も資料を読み始めるが、大半が研究とは関係ない物で、有力な情報は中々見つからなかった。

 

それは他の皆も同様だった。苦い顔で資料を探す姿が目に見えていた。その一方、ネプギアは何やら端末をケーブルに繋げ、操作して情報を探していた。さっきも思ったが、ネプギアってこういうの得意なのか?

 

「見つけたわ!」

 

突然、ユニが声を上げた。何か見つけたのだろうか。ユニは見つけた資料を姉のノワールに渡す。俺達はネプギア以外、ノワールの方へ集まると、ユニが見つけた資料に視線を注ぐ。資料に載っていたのはさっきのロボットの設計図だった。

 

「私に隠れてこんな研究しているなんて、いい度胸してるじゃないの」

 

資料のロボットを見たノワールが言う。案の定ここで製造されてた様で、手に持っている資料がそれを物語っていた。

 

「これって、前に会った物と少し違うわね。ウィルスも出なかったし……」

 

「それもそうね。これは前のロボットを改良して製造した物らしいわ」

 

ユニの疑問にノワールは説明して答える。そのロボットを見張り役に利用したっていうわけか。資料をめくるとさっきのより小さく、人に近い形のロボットが描かれていた。

 

「これは……さっきのと似ていますね」

 

資料のロボットを見たエリナが呟く。

 

「さっきのロボットを小型化して、屋内での活動を可能にした物ね」

 

屋内での活動……たしかにあの図体じゃここでは戦えないな。

 

「なぁ、そのロボットってもう製造とかされてるの?」

 

何か嫌な予感を感じたデビッドはノワールに聞く。

 

「製造は……まだね。される前に見つけてよかったわ」

 

それを聞いたデビッドは安堵した。また資料をめくると今度は獣形のロボットが描かれていた。

 

「これ、危険種のフェンリルに似てないか?」

 

描かれているロボットを見たウェインが言う。そう言われると、確かにフェンリルに似ているな。

 

「資料によると、このロボットはフェンリルを元にして造られたらしいわ」

 

フェンリルを元にして……か。危険種を元に造られたこのロボットは相当ヤバいな。幸い、まだ造られてないようだ。

 

「皆さん、見てください!」

 

俺達が資料に没入しているとネプギアが声を掛け、皆の視線を自身に寄せた。

 

「うん? ネプギア、それなぁに?」

 

ネプテューヌは妹が持ってる端末に映る地図に疑問を示す。

 

「おい、地図に載っているのって……」

 

デビッドは端末の地図に映されている都市に驚く。次々とエリナ達も気づき、驚きの表情になった。

 

「はい、『ラステイション』です」

 

ラステイション、ブラックハートことノワールが治める国。経済活動が盛んに行われており、四国一のシェアを得ている。端末に映されてる地図は、研究所とラステイションを繋ぐ隠し通路だった。

 

「なるほど、そういう理由だったのね」

 

ここが自身の国と繋がっている事を理解したノワールは、目を伏せて納得した様な表情をした。そして目を開けるとノワールはキリッとした顔になる。

 

「ラステイションと繋がっているって言うのなら見過ごせないわ……隠し通路を確保するわよ」

 

ノワールがそう言った直後、奥の扉が開き、一人の男が入ってくる。ノワールとユニは反射的に自分の武器を出し、入室した男を睨めつける。

 

「まっ、待ってください! 私は敵ではありません!」

 

男は即座に両手を上げ、敵意がない事を見せる。燃える様に赤い髪に黒いコートを纏った男を、俺達は知っている。

 

「貴方はトレビス! ……ノワール様、彼は私達の味方です」

 

その男は新人の諜報員、トレビスであった。アイエフから目の前の男が味方である事を聞いたノワールとユニは武器を下す。

 

「貴方、名前は?」

 

「私の名はトレビス。プラネテューヌの諜報員でこの研究所を調査している所です」

 

トレビスは自己紹介を終えると、女神であるノワールがここにいる事に疑問を抱く。

 

「貴方は……ブラックハート、ですよね。国の長たる貴女が何故ここに?」

 

ノワールはこの周辺でロボットが徘徊していた事、そして隠し通路の事をトレビスに話した。トレビスは目を伏せてしばらく考えた後、目を開けて話す。

 

「……この奥に別の出口らしき扉がありました。もしかしたら、それが隠し通路に繋がるのかも知れません」

 

トレビスの報告を聞き、ノワールは頷くと俺達に声を掛ける。

 

「聞いたわね、貴方達。私達はこれから、ラステイションへの隠し通路に向かうわ。武器の準備、しっかりやりなさいよ」

 

「――って、何でノワールがメインになってるのさー!?」

 

ネプテューヌのツッコミは無視して、俺達は隠し通路の捜査をする事になった。

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