ネプテューヌEX ~とある青年のエクスペリエンス~   作:S・TOM

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特命隊メンバーのキャラ案、もうすでに何通か送られてきています。皆さん、ありがとうございます。


第14話 二人の騎士と現状

界人達がラステイションに到着した頃、一人の少年が隊長室の扉を叩いた。「入れ」と隊長から入室の許可を得ると、少年は扉を開けて室内に入る。隊長室の様子は依然と整頓されているが、隊長の意識は向いている机だけは無数の書類で散らかっていた。少年は机の有様に驚くも、すぐに気を取り直して報告する。

 

「パープルハート様が例の研究所に出向きました」

 

グラウトは机の資料から少年の方へと視線を向けた。

 

エメラルドグリーンの髪に中性的な顔立ち。金のラインが掛かった紫のコートを纏った姿で少年は立っていた。名は『白皇寺レイ』。10代という歳で女神を補佐する騎士となり、その職務を果たしていた。同じ若くして騎士となったグラウトも、レイの活躍に期待を掛けていた。

 

「そうか。パープルハート様もあの事を知ったらしいな」

 

レイの報告にそう返した後、手に取った資料にまた目を向けた。

 

「例の研究所は過去に犯罪組織マジェコンヌが使用していた物だ。マジコンや違法兵器を製造していた事が発覚し、研究員全員が逮捕され、研究所も業務停止の末路を辿った。その後研究所は閉鎖され、そのまま忘れられていったが……まさか今になって浮かび上がるとはな」

 

グラウトの説明を聞いて、レイは固唾を呑む。一刻も早く、研究所の件を解決しなければならない。そう考えた。

 

「第4班が調査に出向いたっきり戻ってきていない。何か連絡があればいいが――」

 

グラウトがそう言いかけた矢先、机にある電話が鳴った。すぐさま電話を取ると「私だ」と言い、自身がグラウトという事を表明する。

 

「第4班のウェインです。俺達は今、ラステイションにいます」

 

「ラステイションだと?」

 

ウェインの言葉にグラウトは驚く。何故、調査に出向いた第4班がラステイションにいる? そういう疑問がグラウトの脳内に浮かんだ。ウェインの声はレイには聞こえていないが、グラウトの発した言葉であらかた察した。

 

グラウトが理由を聞くと、ウェインはこれまでの経緯を話し始める。研究所の周りにロボットがいた事や、ネプテューヌやノワール達と出会った事。研究所には電気や水道が通っていた事、そしてラステイションに繋がる隠し通路が存在していた事も全てグラウトに報告した。

 

「……そうか。パープルハート様も一緒にいるんだな」

 

「これから俺達は女神達と一緒にラステイションでさんさ……調査します。もしかしたら、ここに目撃された奴がいるかもしれません」

 

グラウトは許可するとウェインとの通信を切った。ウェインから聞いた情報を自身の頭に入れると、ペンを取り出してメモ張に書き始める。

 

「第4班は何と言ってましたか?」

 

「研究所からラステイションへと繋がる隠し通路を発見したそうだ」

 

おもむろに発した言葉にレイは驚愕した。隠し通路だって? ずっと閉鎖されていた研究所に、そんな物があったのか?

 

「第4班はパープルハート様やラステイションの女神と一緒に隠し通路を通り、ラステイションに到着したと言っていた。女神様と一緒なら、何も問題はない」

 

「そうですか。しかし、大丈夫なのでしょうか?」

 

女神達や第4班を心配し、不安になるレイ。嫌な予感がしていた。この件はまだ終わらない。いや、まだ始まったばかりかもしれない。これから女神達に一体どんな事が待ち受けているのだろうか。近いうちに、最悪の事態が女神達に降りかかってくる。そんな気がしてならなかった。

 

「大丈夫だ」

 

グラウトは不安にかられるレイにそう言い放った。

 

「たとえ前に困難が立ちはだかっても、女神様はその壁を何度も乗り越えてきた。マジェコンヌに捕らえられた時も然りだ」

 

何の迷いもなく断言するグラウトの言葉にレイの不安が和らぐ様な気がした。

 

「国のために奮闘するパープルハート様を補佐する事。それが私達にできる事であり、騎士としての務めでもある。レイ、共にその務めを果たすぞ」

 

グラウトの激励を受けてレイは力強く頷いた。一体何を迷う事がある。自分のやるべき事は分かり切ってるではないか。自分の身にどんな事があろうと女神様を助ける、そのために自分はここにいるんだ。レイはそう思い直すとテーブルの前に立ち、グラウトに資料を渡す。

 

「他にマジェコンヌが使用していた研究所のリストです。ここでも目撃情報があります」

 

レイがそう伝えるとグラウトは顔をあげ、すぐさま渡されたリストを見る。そうだ、目撃したのは一回だけではない。もう既に目撃情報が数回も出ているのだった。

 

「目撃範囲が広いな……ゲイムギョウ界全域で活動しているのか?」

 

渡された資料を見てグラウトは呟いた。資料に載っている研究所は一か所だけにとどまらず、ラステイションやルウィー、さらには海を隔てたリーンボックスの周辺にまて及んでいた。

 

「はい。この事は各国にも知れ渡っており、これから調査を始めるそうです」

 

グラウトはレイの説明を聞き、手を顎に当て熟考する。凶暴化の現象はプラネテューヌに限らず、各国でも起きている。それならば自分達だけで行動するよりも、各国と協力して行動する方が得策ではないだろうか。

 

「他国も動くとなれば、プラネテューヌ内で収まる案件ではないな。ラステイション、ルウィー、リーンボックスに協力を要請しよう」

 

「分かりました。各国の職員に連絡を入れてきます」

 

レイは一礼をすると隊長室から出ようと、扉の方へと歩き出す。そして扉を開けようとノブに手をかけようとした瞬間――――

 

「うわわぁっ!?」

 

「きゃあっ!」

 

室内に甲高い悲鳴と落ちる音が響き渡った。レイが慌てて振り向くと、部屋の中心に二人の少女が倒れていた。一人は二つ結びにした紅髪に白いYシャツとネクタイ、もう一人は紫の長髪に黒いパーカーの姿をしていた。

 

「いってぇなぁ~……またワープ失敗かよ」

 

「またクロちゃんが座標をずらしたわね! もう、何回お仕置きしても懲りないんだから~」

 

「俺じゃねぇって。せっかくお前の言う通りに飛ばしてやったのによ、お前こそ指定する座標を間違えたんじゃねぇか?」

 

「そんなわけないでしょ……ってあれ? 座標がずれてない?」

 

三人?はそんな会話をしつつ、起き上がって辺りを見渡す。そして三人?の隣には、魚の様な何かが宙に浮かんでいた。

 

「ここはねぷっち達の部屋じゃないな……おや、君たちは?」

 

「うぅ、誰かいるのか海男?」

 

紅髪の少女が腰を抑えながら宙に浮く魚、『海男』に聞く。グラウトとレイは目の前にいる紅髪の少女が誰かを知っていた。その少女はゲイムギョウ界の忘れられたはずの女神だった。二人の騎士も忘れていたが、数か月前の事件でその存在を思い出した。

 

「……間違いない、目の前にいる少女の名は」

 

 

 

『オレンジハート』。またの名を、『天王星うずめ』という。




今話で登場した白皇寺レイはクリステルさんの作品「新次元ゲイムネプテューヌNEXT」の主人公です。
クリステルさん、ありがとうございました。
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