ネプテューヌEX ~とある青年のエクスペリエンス~ 作:S・TOM
早く送られてきたキャラを出したい……。
画面の前の君、ネプテューヌだよ! ここ数話から影が薄くなってるけど、この作品の主人公だから! そこんところ、忘れないでね! さて私は今どこにいるかというと……ノワールの国、ラステイション! 何でここにいるかは前話と前々話を見てね。説明するのめんどくさいし!
「ここがラステイションか、すっげぇ人いるんだな」
そう言ってあちこち見渡すのはカイト。プラネテューヌ特命隊っていうのに所属していて、その指令でラステイションに来ちゃったらしいよ。いや~まさか私もここに来るなんて思っても見なかったよ。
「ラステイションは産業が盛んな国で、貿易の中枢になっているの。だからここには人が多いし、活気に満ちているわ」
カイト達に説明してドヤ顔になるノワール。何だか嬉しそうだね~。
「わぁ~、やっぱり機械がいっぱい……早く見て回りたいなぁ」
ラステイションにある沢山の機械に妹のネプギアは目を輝かせています。本人は特徴がないって言ってるけど機械が好きで、自分で『Nギア』を作ったんだ。そして隣にはユニちゃんとデビッドがいるよ。
「相変わらず機械に目が無いわね……ていうかアンタ、何でアタシ達の隣にいるのよ?」
「えっ、駄目なのか?」
ユニちゃんに声を掛けられたデビッドはきょとんとした顔で聞く。三人共、すっかり仲良くなってるね。
「……いや、別に駄目ってわけじゃないわよ」
デビッドに返された途端しおらしくなるユニちゃん。こういう所はノワールにそっくりだなぁ。私の方はというとあいちゃんにコンパ、それにエリナがいるんだ。ところで――
「なんか近くないかなぁ、エリナ?」
私のすぐそばにはエリナがいた。何かと私を助けてくれるんだけど、これも私の人望のおかげかな?
「パープルハート様をお守りするためです。研究所がこの国と繋がっていたという事は、パープルハート様を狙う愚か者が潜んでいる可能性があります」
「そうなんだ、エリナってしっかりしてるね~……それで、腕を組んでるのも私を守るためだったり?」
そう、エリナは私の腕を組んでいた。私の事が心配してくれてるのは嬉しいけど、ちょっと行き過ぎてる気がするなぁ?
「えっ、腕を組んで……ひゃう!?」
私の腕を組んでいた事に気づいたエリナは慌てて腕を放すと、そっぽを向いてしまった。あの反応だと気づいてなかったんだね。
「はぅ~エリナさんの顔が真っ赤になってるです、大丈夫ですか?」
真っ赤になってるエリナの顔を見たコンパが心配する。ていうか顔赤くなってるんだ。
「い、い……いえ大丈夫、何も問題ないわ」
「そんなに真っ赤にして、大丈夫なわけないでしょ」
心配させまいと誤魔化すエリナだけど、真っ赤な顔を見たあいちゃんにツッコまれる。ひょっとして、照れてるのかな?
「エリナの言う通り、ここに俺達を狙う奴がいるかもしれない……気が抜けないだろうな」
あっ、そうそう。彼を紹介するのを忘れてたよ。名前はウェイン。カイト、デビッド、エリナと同じ特命隊のメンバーなんだ。そしてもう一人、私と一緒にいるのが……ってあれ?
「ねぇ、誰か欠けてない?」
私の記憶が正しければ、十一人はいたはずなんだけど? 今、十人しかいないんだけど?
「えぇっ? 誰かって……あっ」
「一、二、三、四、五、六、七、八、九、十……あれ? トレビスさんがいないですよ」
私の言葉に気づいたあいちゃんと人数を数えたコンパは誰がいなくなったか分かった。
「そうだよコンパ! 後一人、トレビスがいないんだよ!」
「おいおい、いないってそれまずいんじゃねぇの!?」
トレビスがいない事に慌てるデビッドを筆頭に、皆が彼を見つけようと周りを探し始める。どこにいったのかな~?
「……あっ、あそこにいたわ!」
どうやらユニちゃんが見つけたようだね。指した方を見ると、トレビスが数人の兵士と話していた。
「あれはラステイションの警備員ね。何をやってるのかしら?」
ノワールが疑問に思っていると、トレビスはラステイションの警備員に頭を下げ、すぐさま私達の方へ駆け寄った。
「すまないな皆。警備員に足止めをさせられてしまった」
「足止めをさせられたって……何を話してたの?」
質問したノワールに対し、トレビスは何だか気まずそうな顔をした。なんかあったのかな?
「職務質問だ」
「はい?」
トレビスの予想外の答えにノワールだけでなく、他の皆も呆然とした。もちろん私も。
「職務質問って怪しい奴に受けるアレだよな? それを受けられたって……」
「確かに怪しい恰好してるとは思うけれど、まさか職質されるなんてね」
デビッドとあいちゃんが思わず呟く。うわっ、トレビスが怪しいって言葉に反応して落ち込んじゃってるよ。
「うーん、まさかだとは思うが、何回も受けたりしたのか?」
ウェインは聞きにくい事をさらっと聞いた。何言ってるのさ、いくらトレビスが怪しくてもそんな事は――
「あぁ、これで五回目だ」
うっそ、五回も? またまた明かされた衝撃の事実に私達はもう驚くしか無かった。
「さっきから周囲の目線が気になる……何故だ、何故なんだ?」
周りを見ると通りすがりの人達が、不審者を見る様な目でトレビスを見ていた。
「……トレビスさんがかわいそうになってきたです」
「そうね、なんだかものすごい罪悪感を感じるわ」
「トレビスさん、苦労しているんですね……」
トレビスが職質を何回も受けた事を聞いて、あいちゃん達が申し訳なさそうな顔をしていた。そういえば休んでる時、全力でトレビスから避けてたね。
「えっと……ごめんなさい、うちの警備員が迷惑をかけたわね。貴方の事は私から直々に伝えておくわ」
同じく罪悪感を感じたノワールはトレビスにそう言葉をかける。ドンマイトレビス、君の事を応援してるからね!
まぁ、そんなこんなでラステイションを見て回ったんだけど、いや~平和ですなぁ。怪しい所なんてどこにもないよ。まぁそれってつまり、何も見つからなかったって事なんだけどね。
「デビッドから聞いた通り、ラステイションって色んな機械があるんだな。見てて飽きないな~」
「あれらの機械は一体どういう構造で動いているのだろうか……是非調べてみたいものだ」
あまりにも平和だから、カイトとウェインが観光気分になっているよ。ラステイションに来るのは初めてなのかな、あの二人?
「おっ、あれってガンショップじゃねぇか? 行ってみようぜユニ、ネプギア!」
デビッドがガンショップを見つけて、ネプギアとユニちゃんを誘おうとしていた。おやおや、もしやデートですかな?
「ガンショップですか……はい、分かりました!」
「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!?」
我が妹がデビッドと一緒に行こうとすると、ユニちゃんが二人を呼び止める。
「あの、えっと、アタシ達遊びに来たわけじゃ……ないから、その」
ユニちゃんは二人に何か言いたそうだけど、上手く話せず言葉を詰まらせていた。あぁ、これはアレだね。
「……少しの間だけよ?」
やっぱり、ユニちゃんの素直になれない所が出たね。口ではああ言ってるけど、少しどころじゃないのが顔に書いてあるよ。
「トレビス、あんたその黒いコート脱いだらどうなの? そのままじゃものすごく怪しまれるわよ」
「悪いな、このコートには調査に必要な道具が山ほどある。簡単には脱げないんだ」
それであいちゃん達は、トレビスと一緒に会話していた。確かに今の恰好じゃ怪しまれるよね。
「そうなんですか? どんなのが入っているんですか?」
「そうだな……まずは拳銃、防衛に必要な物だ。次に端末、これは現在位置の確認や資料の記録に使用する。そしてこれはキーピック。鍵の解錠に使う物だ。さらに――――」
コンパがコートの中について聞くと、トレビスはコートから道具を取り出して説明し始めた。おお、色んな道具が次々と出てくるよ。
「パープルハート様」
出会ってからずっと私の側を離れなかったエリナが声をかけてきた。見るとエリナの顔が少し赤くなっていた。
「この近くにカフェがあるんですが……もし良かったら、一緒にお茶しませんか?」
おお、真面目だったエリナからお茶のお誘いを受けちゃったよ。こういうのって嬉しいものだね~。
「……何? この緊張感の欠片もない空間」
ただ一人、場の雰囲気に置いて行かれたノワールがボソッと呟いた。あぁ、これはぼっちになる――ねぷっ、ノワールがこっちを睨みつけた!?
――――――――――――――――――――――
ネプテューヌ達がしばらくラステイションを見て回っていると、青いニット帽にサングラスをかけた男が歩み寄ってきた。
「ブラックハート、いやその姿の時はノワールだったか?」
男にそう聞かれるとノワールは不機嫌そうな顔をする。その反応から察するに、その男とは知り合いらしい。
「貴方のその態度は相変わらずね、バクスター」
バクスター。そう呼ばれた男とノワールの声を聞いた八人は一斉に視線を向けた。ネプギア、ユニ、デビッドはガンショップに行っておりいない。
「ノワール、バクスターって一体誰なんだ?」
初対面の界人はノワールにバクスターについて聞く。
「特殊班のリーダー……と言っても分からないわね」
ノワールは一息入れると、界人達に説明する。
「ラステイションの軍隊に特殊班っていうのがあるの。戦闘能力は随一だけど、性格に難ありの兵士ばかりで周りはもちろん、私も手を焼いているのよ」
「その特殊班を作ったのはお前だろう……俺はその特殊班のリーダーをやっている」
自身は特殊班のリーダーである事を話すと、後ろにいるネプテューヌ達を見る。
「後ろにいるのはプラネテューヌの女神、それと特命隊の奴ら……なるほどな」
ネプテューヌと界人達の姿を見たバクスターは納得する。何か知っているのだろうか?
「それで、私に何の用なの? 悪いけど、私達は調査で忙しいのよ」
「調査というのはあの研究所の事だろう?」
バクスターに研究所の事を出され、ノワール達は驚いてしまった。情報を見つけてから時間は浅いのに何故? ノワールの頭の中にそんな疑問が思い浮かぶ。
「グラウト……プラネテューヌ特命隊の隊長から聞いた。ラステイションに繋がる隠し通路を見つけたんだって?」
ノワール達が呆気にとられている中、トレビスはバクスターの問いかけに答える。
「ああ。俺達は今、研究所からここに入り込んだ研究員がいないか探している。バクスター、それらしい人影を見かけたか?」
あの研究所はつい最近まで使用された形跡がある。もしかしたら今、道が繋がっているラステイションに身を隠しているのかもしれない。そう思ってのトレビスの質問に、バクスターは首を振った。
「いや、見かけてない。俺も探している所だが、ここには研究員も大勢いるからな。見つけるのは困難だろう」
そこまで言うとバクスターは咥えていた煙草を取って煙を吐いた。
「ああ、お前達に言っておく事があったな。プラネテューヌから協力要請を受けた」
バクスターの言葉にネプテューヌや界人達は驚いた。
「プラネテューヌって俺たちがいた所じゃねぇか。いつの間にそんな事が……」
「えっ、何でそんな事になってるの?」
「目撃情報が、他所からも出ているからだ」
ネプテューヌの疑問にバクスターは説明する。
「ラステイションやルウィー、リーンボックス周辺の研究所でも凶暴化させてる奴が目撃されている。いや、それ以前に凶暴化の被害は全域で出ている。その範囲から見て、他国への協力要請は妥当だろう。特命隊の隊長が言うに、この事はあちらの教祖も了承済みだそうだ」
「イストワール様も知っているのね。それにしても、他でも目撃情報が出ているなんて気づかなかったわ……はぁ」
情報を集める諜報員でありながら、他所でも目撃情報が出ていた事を知らなかったアイエフは軽くショックを受けた。
「ゲイムギョウ界全域で目撃されているのね……分かったわ、プラネテューヌからの要請を受けるわ」
「やっと進むのか。凶暴化の現象が起きていた時は何も進展は無かったが、それが収まった途端にこれだ。案外、女神は頼りにならないな」
女神に対するバクスターの嫌味に、ノワールやアイエフ達は少しばかり顔をしがめる。しかしそれだけでは無かった。今の発言を女神への侮辱に感じたエリナは剣を出し、今にもバクスターに攻撃を仕掛けようとしていた。
「おいエリナ、一体何を――」
武器を構えているエリナに、界人が気づいたその時。
「ユニとネプギアって銃の事よく知ってるな~聞いてて楽しかったぜ!」
「何言ってるのよ、銃を使うからにはこれぐらい知ってて当然よ」
ネプギア、ユニ、デビッドの三人がガンショップから出てきた。三人の話し声に反応してネプテューヌ達は三人の方へ振り向いた。
「あれ? 皆さん、どうかしましたか?」
姉達からあまり良くない雰囲気を感じたネプギアは何があったのか聞く。
「お姉ちゃんに隣にいるのって、特殊班の……?」
「おいおいみんな、一体どうしたんだ――」
明るい表情で界人達に近づくデビッドはバクスターを見た瞬間、その場に立ちすくんだ。
「……デビッド?」
界人に声をかけられたデビッドは我に返り、すぐさまバクスターから目を逸らした。いつものお調子者から一転、気まずそうな表情を見せるデビッドに界人達は困惑する。一方バクスターは何食わぬ顔で、立ち尽くすデビッドを見ていた。
「デビッドさん、顔色が悪いですよ?」
「ちょっとどうしちゃったのよ? そんな顔するなんて、アンタらしくないわよ」
曇った表情を見てネプギアとユニが気遣うが、デビッドは二人に顔を合わせようとしなかった。
「バクスターを見た瞬間、デビッドの表情が変わったな。どうしてだ?」
デビッドの豹変に界人は疑問を抱いた。
「あの礼儀知らずと接点があるんじゃないかしら? 何かは分からないけれど」
エリナの言う『礼儀知らず』とはバクスターの事を指している。さっきの発言を根に持っているのだろう。いや、それよりもデビッドだ。バクスターはデビッドと何か関係があるのだろうか? デビッドがバクスターを見た時、驚きと気まずさの混じった表情をしていた。二人の間に一体何が?
界人があれこれ考えていると、どこからか爆発音が聞こえた。
「なっ、何だ今の!?」
界人達は音の聞こえた方に振り向くと、街から煙が上がっていくのが見えた。
「あそこは確か市街地……街の人達が危ないわ!」
ノワールが街の状況を危惧していると突如デビッドが走り出し、街へと一直線に向かった。その姿はまるでこの場に耐えられず、逃げるようだった。
「あっ、デビッドさん!?」
「……ああもう、仕方ないわね!」
ネプギアとユニは顔を見合わせ頷くと、武器を具現化させて後を追うように駆け出した。そして界人やネプテューヌ達も何か起こったのか調べるため、街へと向かった。
「市街地の方で襲撃が起きたか……そしてここでも」
残ったのはバクスターだけだった。手に取っていた煙草をもう一度咥えると、気配の感じる方へ振り向く。すると多数のモンスター達がそこにおり、バクスターに敵意を向けていた。
「凶暴化モンスターか。随分と厄介な物を押し付けてくれるな」
凶暴化。その影響を受けたモンスターはかつて、兵士やクエストに出向いた者の犠牲者を生み出し続けていた。凶暴化の現象が少なくなって二週間が経つが、まさかここで出くわすとは思ってはみなかった。
「さて、殲滅戦と行くか」
それでもバクスターは恐れず、二丁の拳銃を取り出してモンスター達へと近づいて行った。目の前にいるモンスターを全て倒すために。