ネプテューヌEX ~とある青年のエクスペリエンス~   作:S・TOM

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第26話 女神&ヒーローvs上位危険種

避ける。防ぐ。切返す。楓とアルドは凶暴化モンスターの猛撃に対抗する。

 

「ヴァストブレイズ!」

 

楓は太刀を振るい、一瞬にして無数の斬撃を飛ばす。斬撃は突撃してくるモンスターを粉微塵にし、楓に近づかせる事なく消していった。

 

次に楓は、真下の地面からモンスターが来る事を察知し、高く飛び上がる。同じ攻撃は二度も当たらない。楓がいた地面は崩れ、そこから現れたモンスターが楓に襲い掛かる。

 

「ストリークレイン!」

 

太刀を槍に変え、真下に無数の突きを繰り出す。楓の槍はモンスターの体を貫き、見事に返り討ちにした。そして崩れた地面から遠ざかり、沸いてくるモンスターと対峙する。

 

「パワーナックル!」

 

力を込めた拳で殴りつけるアルド。さっきとは違い、モンスターにダメージを与えており、しかも徐々にその威力を増していた。

 

「はぁああああ!」

 

モンスターを思いっきり吹き飛ばすと、アルドはすぐに距離を取って力を溜める。アルドには力を溜める事で、性能を強化させる機能が付いていた。モンスターに攻撃が通じたのは、その機能による恩恵だった。

 

「とう!」

 

力を溜め終えたアルドの全身が光りはじめる。それはアルドが、フルパワーになった合図だった。アルドはまるで、ワープしたかの様な速さでモンスターの群れに近づき、蹴りでまとめて吹き飛ばす。この一撃で吹き飛ばされたモンスターはやられ、空中で粒子に分解された。

 

凶暴化したモンスター数体を一瞬で倒したアルドだが、直後に光が消えていく。これで自己強化はゼロになり、さっきの俊敏さとパワーは無くなってしまった。フルパワーは非常に強力だが一時的な物であり、維持できる時間も非常に短い。そのため、アルドはヒットアンドアウェイで力を溜め、フルパワーでモンスターを一掃する戦法を取っていた。

 

「勝てるな、この戦い」

 

それでもアルドは余裕綽々だった。倒せる確信があったのだ。自分と楓はここまで、凶暴化モンスターを数多く倒している。あと一息だ。

 

「よし、来い――」

 

その時だった。後ろからドシンと着地する音が聞こえた。

 

「――ッ!」

 

アルドが咄嗟に振り向くと、そこには巨大なモンスターが二体いた。禍々しい体色に大きな翼。名前は八百禍津日神。上位危険種に分類されるモンスターだ。

 

「な、何だと!?」

 

自信家であるアルドも思わず、二体の八百禍津日神に目を見張った。もちろん倒せない事はないが、凶暴化モンスターが複数いる中での出現となれば状況は不利に傾く。

 

「グォォオオオオゴォォオオオオオ!!」

 

大迫力な雄叫びを上げて、二体の八百禍津日神はアルドに襲い掛かる。対してアルドも八百禍津日神に突撃し、パンチやキックなどの打撃技を繰り出した。

 

「ぐはぁ!」

 

しかし効果は薄く、逆に八百禍津日神からパンチを食らってしまう。それによって吹き飛んだアルドだが、ぱっと受け身を取って着地した。パワードスーツによって、アルドは受けたダメージは少なく済んだ。しかし二体の八百禍津日神が出現した事で、形勢は逆転してしまった。

 

「アルド!?」

 

重い衝撃音を耳にし、アルドの方を振り向く楓。そして八百禍津日神がいる事に気づき、危機感を抱いた。

 

(まずいわね。凶暴化したモンスターの群れに八百禍津日神が二体。これは早めに片付けなきゃいけないわ……)

 

「グボオォ!」

 

考え事にふけ、棒立ちになった楓にフェンリルが飛び掛かった。

 

「――あっ!」

 

しまった、八百禍津日神に気を取られて気づかなかった! 咄嗟に太刀を振るおうとすると、一発の弾丸がフェンリルを貫く。貫いた弾丸は減速する事なく、八百禍津日神に着弾した。

 

「グゴォ……!」

 

八百禍津日神はダメージを受けたようで、少しだが後退した。

 

「急いで来てみればこの様か。女神様の前でみっともない恰好するな」

 

弾丸が飛んできた方向を見ると、撃った猟銃を捨て、二人に悪態をつくマシロの姿があった。

 

「はっ!」

 

マシロだけでは無い。黒斗も脚を思いっきり振り回し、周囲のモンスターを一蹴する。

 

「おお、モンスターがたくさん! それに、何かデッカイドラゴンもいるよ!」

 

広場にいるモンスターの群れを見て、ネプテューヌが驚く。

 

「凶暴化モンスターに、あれは八百禍津日神……あんなのが一体どうして?」

 

「んなことはどうでもいい。この町の為にも、ここにいるモンスターをぶっ倒すだけだ」

 

「そうですね。ボク達がやるのは凶暴化モンスターの討伐、それだけです」

 

うずめと黒斗は前に立ち、戦闘態勢を整える。

 

「楓!」

 

友達の名前を呼び、高く跳躍する大きいネプテューヌ。楓の隣に着地すると、二本の大剣を構える。

 

「お待たせ! 怪我とかないよね?」

 

「ええ、大丈夫よ。来たくれたのね、大きいネプテューヌ」

 

「もちろんだよ! 友達が困ってるのを黙って見過ごせる訳ないよ!」

 

笑顔で掛け合った後、大きいネプテューヌと楓は気を引き締めて、モンスターと対峙する。

 

「っ! パープルハート様、パープルシスター様!」

 

建物を突き破り、ネプテューヌとネプギアに襲い掛かるウルフとチンピラキャット。その間にマシロが割り込み、体術で二人を襲おうとするモンスターを返り討ちにする。

 

「ふん!」

 

吹き飛ばしたウルフとチンピラキャットに向けて、マシロは手榴弾を投げた後、即座に猟銃で手榴弾を撃つ。弾丸が当たった手榴弾は爆発し、ウルフとチンピラキャットを纏めて焼き尽くした。

 

ウルフとチンピラキャットを倒すと、突き破られた建物からまたもやモンスターが登場する。

 

「こちらは私にお任せください。女神様には指一本も触れさせません」

 

二人の女神にそう言い、マシロはモンスターに猟銃を突きつける。それを見たネプテューヌはうんうんと頷き、

 

「みんな、やる気満々だね。よーし! それじゃあ私の本気、見せちゃうよ!」

 

ネプテューヌの身体が光に包まれる。それはネプテューヌが女神化する合図だった。光が晴れ、パープルハートとしての姿が現れた。

 

「変身完了。最初から全力で行くわ」

 

明るく可愛らしい声色から一転。落ち着きのある、凛とした声色を発する。女神化した姉を見て、ネプギアもまた光に身を包ませ、パープルシスターとなった。

 

「マシロさん、私も一緒に戦います!」

 

「パープルシスター様……了解しました」

 

パープルシスターはマシロの隣に並び、M.P.B.L.をモンスターに向けた。

 

「くろっち、俺は変身する。驚くなよ」

 

「変身? 一体何の――」

 

黒斗が言い終わるより先に、うずめの身体が光に包まれた。変身……まさか女神化か? 光が消え、うずめは変わった姿になって現れた。

 

「変身かんりょー! ビシッ!」

 

「……えぇっ?」

 

男らしい声から一転、途端に女の子らしくなったうずめの第一声。オレンジの髪に白のレオタード。その姿はまるで、パープルハートと同じ女神の様だった。大きく変わったうずめの姿に、黒斗は驚きを隠せないでいた。

 

「やっぱり驚いちゃってるねー、くろっち」

 

「あっ、えーと……。貴女、うずめさんですか?」

 

黒斗が聞くと変身したうずめは頬を膨らませた。

 

「もう、失礼しちゃうなー。うずめはうずめだよー。オレンジハートって名前でもあるけどね」

 

「オレンジハート……?」

 

変身したうずめ、名前はオレンジハート。黒斗はその名を聞いて首を傾げる。まさかうずめさん、女神なのか?

 

「うん、オレンジハートだよ。一緒に頑張ろうね、くろっち」

 

「え、えぇ……はい」

 

色々と変わったオレンジハートに戸惑う黒斗だったが、気を取り直してモンスターを見据える。

 

『ゴォォォォォオオオオオ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙!』

 

今まで警戒していたモンスターが一遍に動き出し、敵に襲い掛かる。同時にパープルハートも動き出し、一直線にモンスターの群れに飛び込む。

 

「せいっ!」

 

剣を大きく振り切ると、前方のモンスターが両断された。パープルハートは連続で剣を振るい、モンスターを蹴散らしていく。

 

「ガゥウルゥ!」

 

「邪魔よ!」

 

フェンリルが襲ってくるが、怯む事無く剣で切り刻む。他のモンスター達も突撃してくるが、パープルハートの相手にはならず、次々と斬られていった。

 

「ハアァ!」

 

モンスターの群れを抜けたパープルハート。思いっきり剣を振るい、八百禍津日神の皮膚を斬る。

 

「ググ、ガアッ!」

 

パープルハートの強力な一撃を受け、深い傷を負った八百禍津日神。大きく後ずさり、パープルハートに向けて威嚇する。

 

「ヴォオオオ!」

 

もう片方の八百禍津日神が雄叫びを上げ、パープルハートに突撃を仕掛ける。だが、それをアルドが許さなかった。

 

「たあぁ!」

 

八百禍津日神に飛び掛かると、その頭部に拳を叩き込む。事前にパワーを溜めていたため、彼のパンチは八百禍津日神を大きく怯ませた。

 

「っ、ブライン!?」

 

「今の僕はアルドだ! 女神パープルハート、このアルドも加勢するぞ!」

 

豪語するアルドを見て、パープルハートは微笑んだ。

 

「分かったわ。一緒に倒しましょう、アルド」

 

二人は改めて構え、攻撃から立ち直った八百禍津日神を見据える。一方――

 

「わあぁー!」

 

オレンジハートが音波を繰り出し、モンスターを攻撃する。攻撃は強力な物になっており、モンスターを一撃で消滅させた。

 

「瞬刃連脚!」

 

黒斗も負けじと連続蹴りを放つ。蹴りは刀の様な切れ味を持ち、モンスターの身体を容易に切り裂いた。

 

「……撃つ!」

 

マシロは魔力を込めた弾丸を猟銃に入れ、照準を合わせて撃つ。弾丸は一直線に飛んだかと思えば軌道を曲げ、モンスターの周囲を飛び回る。

 

「ググゥ……!」

 

予測できない弾丸の動きにモンスターは翻弄される。弾丸はモンスターを弄んだ後、立て続けにモンスターを撃ち抜いていった。

 

「やあっ!」

 

マシロが放った弾丸で数が減ったところを、パープルシスターが突撃した。M.P.B.L.を華麗に振り回し、モンスターを両断していく。無尽蔵に増えるモンスター、だがその度に、パープルシスターの剣とマシロの弾丸によって蹴散らされていった。

 

「ねぷっ! 楓、何そのデッカイの!?」

 

ズシンと重い音が鳴った。大きいネプテューヌは振り向くと、楓の持ってる武器に驚く。それは大剣、という域を優に超えていた。持ち主の楓を大きく上回り、モンスター数十体を一振りで蹴散らせる事ができそうだった。

 

「この武器なら直ぐに終わらせられるわ……ネプテューヌ。しばらくの間、時間を稼いで!」

 

「おっけー! みんな、もう少し行っちゃうよ!」

 

五人は楓の頼みを聞き入れ、大所帯で攻めるモンスターを迎撃する。

 

「てりゃあー!」オレンジハートが拳で殴り。

 

「フンッ!」黒斗が足技で蹴り。

 

「そらそらっ!」大きいネプテューヌが二刀流で斬り払い。

 

「当たって!」パープルシスターがM.P.B.L.で貫き。

 

「ほらっ!」マシロが猟銃で撃ち抜く。

 

「準備できたわ、離れて!」

 

楓の声を聞いて、五人は一斉に離れる。

 

「せーっ……の!!」

 

岩のように重い大剣を持ち上げ、勢いに任せて振り回す。大剣は遠心力で一回転し、周囲にいる全てのモンスターを纏めて斬り裂いた。

 

「うわぁ、あんなにいたモンスターが消えちゃった……」

 

斬られたモンスターが一斉に消え、辺り一面に何もいなくなった事に驚くオレンジハート。

 

「楓、今の凄かったよ! まさかあんなにおっきい剣を出せるなんてさ」

 

宙に浮いた五人が着地し、大きいネプテューヌが楓に駆け寄る。

 

「いえ、大した事ないわ。これはそう楽々と扱えるものじゃないし、攻撃が成功したのだって貴女達がいたからよ。私一人じゃ出来なかったわ、ありがとう」

 

大剣を腕輪の形に戻し、楓は五人に礼を言った。

 

「……っ」

 

「マシロさん!? 大丈夫ですか?」

 

パープルシスターが、崩れ落ちそうになったマシロを支える。見るとマシロの表情はとても疲弊していた。

 

「大丈夫です……貴女様が気にする事ではありません」

 

パープルシスターから離れ、常備しているネプビタンを飲むマシロ。さっきまでの疲労の色は薄れ、マシロの体調は回復した。

 

五人の戦闘が終わり、アルドとパープルハート。

 

「ゴォウゥ!」

 

八百禍津日神がパンチを繰り出した。パープルハートは剣でパンチを防ぎ、弾き返す。

 

「グウゥ!」

 

攻撃を弾かれて怯む八百禍津日神。その隙を突き、パープルハートが八百禍津日神に突撃する。

 

「ヴィクトリースラッシュ!」

 

すれ違いざまに剣を振るい、V状に斬りつける。この攻撃で八百禍津日神は大ダメージを追い、体勢を崩した。

 

「まだ終わらないわ」

 

パープルハートは剣を持ち直し、またもや八百禍津日神に飛び込んでいく。

 

「ガアアァ!」

 

好き勝手させるかと、八百禍津日神は腕を振り払い、パープルハートに攻撃する。しかし、パープルハートの姿は消え、八百禍津日神の攻撃は空振りに終わった。

 

「ネプテューンブレイク!」

 

八百禍津日神があちこちを見回してると、提唱と共に無数の斬撃が振りかかる。パープルハートは周囲を飛び回り、各方向から八百禍津日神を斬り刻んでいた。その攻撃はあまりにも速く、八百禍津日神には防ぎようがなかった。

 

「ググ……オォウ――」

 

斬撃が止み、パープルハートが八百禍津日神の前に現れる。しかし八百禍津日神は既に力尽きており、ゆっくりと地面に倒れた。

 

相手にしてた八百禍津日神が倒れた事を確認し、パープルハートはもう一方を見る。

 

「ハアアッ!」

 

八百禍津日神を相手に、強化された身体で戦うアルド。しかしアルドの攻撃は全く効かず、苦戦を強いられていた。

 

「ガァアアウ!」

 

苦戦している様を見かねて、パープルハートが飛び出す。八百禍津日神が振り降ろした拳を斬り、アルドへの攻撃を阻止した。

 

「大丈夫、アルド? 苦戦しているなら私も戦うわ」

 

「いや、別に苦戦という程ではない……だが礼を言う、パープルハート!」

 

自分を助けたパープルハートに礼を言うアルド。八百禍津日神は斬られた片腕を押さえ、憤怒の眼で二人を睨み付ける。パープルハートはそれを気にせず、アルドに話しかける。

 

「アルド、貴方の大技ならあのモンスターを倒せるかしら?」

 

「もちろんだとも。この僕を誰だと思ってる?」

 

「……そうだったわね。それじゃあ、締めは貴方に任せるわ!」

 

パープルハートが八百禍津日神に突撃し、アルドのために時間を稼ぐ。素早い動きで飛び回り、八百禍津日神を錯乱させる。次に斬撃を繰り出し、胴体に傷をつけていく。

 

「グヴォォォォオオ゙オ゙!」

 

八百禍津日神を反撃しようと片腕を振り回す。だがパープルハートはその攻撃を難なくかわし、逆にもう片方の腕に大打撃を与えた。

 

「今よ、アルド!」

 

「任せろ!」

 

パープルハートが引き寄せている間、力を溜め続け、フルパワーになったアルド。呼びかけに答え、高速で八百禍津日神に突撃する。

 

「グゥウ!?」

 

こっちに接近してくるアルドを見て、八百禍津日神は攻撃を防ごうとする。だが両腕はパープルハートによって使えず、胴体から頭部にかけてガラ空きの状態に陥っていた。

 

「フルパワーナックル!!」

 

ガラ空きの胴体をアルドの拳に貫かれ、大穴が空いた。八百禍津日神はそのまま、粒子となって消えていく。

 

「……僕達の勝ちだ!」

 

アルドは殴った拳を天へ突き上げ、勝利を宣言した。

 

――――――――――――――――――――――

 

「やあ、お帰り。凶暴化モンスターを倒してきたんだね」

 

一匹、残っていた海男が、戻ってきた八人に気づく。

 

「おう。凶暴化つっても大した事無かったぜ」

 

「そうそう。あそこには凶暴化モンスターよりも、ヤバいのがいましたからね……」

 

黒斗は傍目でネプテューヌとブラインを見る。凶暴化モンスターよりヤバいのを倒した二人だった。

 

「見事に決めたね、ブライン! さすがは正義の仮面ヒーロー、アルドだよ!」

 

「あのぐらいの事、僕には造作もないさ。それよりもネプテューヌ、君だってカッコよく決めたじゃないか」

 

「あったりまえじゃない! 何だって私、女神で主人公だもん!」

 

「そうか! それなら当然だな!」

 

『イエーイ!』

 

ハイテンションになった二人は、掛け声と共にハイタッチする。二人の笑顔はとても純粋な物だった。

 

「…………」

 

その光景を鋭い眼光で見つめるマシロ。手には猟銃が握られており、ブラインに狙いをつけていた。

 

「あの、マシロさん? 何をしているんですか?」

 

「邪魔者の排除です。一刻も早く、パープルハート様にひっついている馬鹿(ブライン)を取り除かないといけません」

 

「邪魔者!?」

 

マシロの言葉を聞いたネプギアは驚き慌てる。

 

「マシロさん、落ち着いて! ブラインさんを消そうなんて考えないでください!」

 

「ぎあっちの言う通りだ。話してみると結構いい奴だぜ、ぶらっち」

 

「うず……」

 

マシロは名前を言いかけた後、黙りこんだ。構えていた猟銃を下げ、二人から顔を背ける。うずめが女神だった事を知って、マシロは気まずい心情になっていた。

 

「申し訳ありませんでした。パープルシスター様……オレンジハート様」

 

ネプギアとうずめに対し、マシロな丁寧な口調で謝った。

 

「凶暴化モンスターを倒した事だし、そろそろ帰ろうよ……って言いたいけど、クロちゃん疲れちゃってるんだよね」

 

「今頃かよ! 街に着いたら何か食べさせてやるっつったのに、ほったらかしやがって! いい加減ここから出しがれ!」

 

今までほったらかしにされたクロワールが、大きいネプテューヌに文句を言う。

 

「はわわわわわ! ごめんクロちゃん、ねぷのーとからは出せないけど、直ぐに何か食べさせてあげるから!」

 

大きいネプテューヌは慌ててクロワールを宥める。

 

「みんな! プラネテューヌに帰る前に、ここで何か食べていかない?」

 

「いいわね。さっき沢山動いたから、もうお腹すいちゃったわ」

 

「それじゃあ何か食べたら、この街を歩き回ろうよ!」

 

ネプテューヌの一言により、この街で食事する事になった。

 

「待ってください、うずめさん」

 

「ん? どうした、くろっち」

 

ネプテューヌ達と一緒に行こうとするうずめを、黒斗が呼び止めた。

 

「貴女、女神だったんですね。驚きましたよ、言ってくれれば良かったのに」

 

「そうだったか? まぁ、別に隠してた訳じゃないけどな……その、何だ。変身後の事は言うなよ?」

 

そう言って恥ずかしかるうずめ。カッコよさを求めているうずめにとって、オレンジハートの時の性格はとても恥ずかしい物だった。

 

「分かってます。ですので、これから貴女の事をゆるふわガールって呼ぶ事にします」

 

「ゆるふわガー……はぁっ!?」

 

黒斗がつけたあだ名にうずめは驚いた。

 

「おいぃ! 言ったそばからそれはないぜ! もっとこう、カッコイイあだ名はないのか?」

 

「ありませんよ。それにゆるふわガールってあだ名、面白いじゃないですか」

 

あだ名の理由が面白いからと聞き、うずめは顔を真っ赤にする。

 

「うわぁ~! 酷いよくろっち! うずめをそんな風に呼ぶなんて!」

 

「ハハハッ、くろっちのお返しですよ」

 

口調が変わり、涙目になったうずめに対し、黒斗は意地悪そうに言った。

 

「海男~! くろっちが、くろっちがうずめをいじめるよ~!」

 

うずめに泣きつかれた海男は、からかった黒斗を窘める。

 

「ごほん、くろっち。気持ちは分かるが、そこまでにしてくれないか?」

 

「あっ、すみません。うずめさんの反応が面白くてつい……いえ、すみませんでした」

 

こうしてうずめのあだ名に、ゆるふわガールが加わった。

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