ネプテューヌEX ~とある青年のエクスペリエンス~   作:S・TOM

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一月の間に投稿したかったけど、とっくに過ぎてしまった……


第35話 完了、そして

ハードブレイカーに設置された爆弾が炸裂する。

ルナの身のこなしに翻弄され、爆破による攻撃を受け続けた躯体。今まで蓄積されたダメージが表面に表れ、胴部にヒビが入る。

 

「……!」

 

ヒビに目を付けたルナがハードブレイカーに接近する。怯んだハードブレイカーがブレードを振るうも遅く、目の前に飛び上がっていた。

ルナのビームナイフがヒビが入った胴部を斬り、破損場所から部品が散る。

 

「……ッ!」

 

ルナは素早くハードブレイカーの後ろに回ると、背面に爆弾を設置して逃げる。

 

ドォォォォン!

 

数秒経って爆弾が起爆し、爆風がハードブレイカーを襲う。途方もない衝撃により、装甲に入ったヒビが広がり、躯体の動きがぎこちない物となった。

 

「フッ!」

 

ハードブレイカーにトドメを刺すべく動き出したアキラ。握りしめた大剣の刃が紫紺に発光し、禍々しい雰囲気を醸し出す。それはまるで、斬った者の魂を吸い取る魔剣だった。

 

「はああああっ!」

 

満身の力を込めて振り抜かれた大剣。刃から放たれた紫紺の斬撃が縦に、ハードブレイカーの真中を沿って二分に両断する。切断箇所から粒子が溢れ、躯体は残骸を残さず消えていった。

 

「よし! これでハードブレイカーは倒した! 俺達の勝ちだ!」

 

難敵を撃破し、焔が歓喜の声を上げる。

……だが、それで終わりでは無かった。

 

「ゴオオオオォォォォ…………」

 

ぞろぞろと正面から、無数の凶暴化モンスターが群れを成して現れる。そして中には、たった今倒したハードブレイカー他、危険種とされている固体も混じっていた。

 

「新手!? ヤバいな、あの数は――」

 

大群を前に狼狽える焔を傍に、突然と蒼依の身体が光に包まれた。

 

「なっ――!」

 

何だ、この光!?

焔は咄嗟に目を伏せ、蒼依から放たれる光を遮る。

 

「…………」

 

光が治まり、蒼依の姿が露わになる。だが、そこにいたのは焔が知っている蒼依とは大きく異なっていた。

青に着色された無骨なアーマーに身を包み、バイザー付きのヘッドギアを頭に装着。手に握られた大型のビームライフルが強く、そして青く発光している。

 

この姿……女神、なのか?

変化した蒼依の姿に焔は只々驚いていた。

 

 

「敵性体反応、多数確認……殲滅スル」

 

ビームライフルの砲身にパチパチと電流が流れる。蒼依はビームライフルを持ち上げ、大群に照準を合わせた。

 

「殲滅」

 

トリガーを引き、極小のビームを撃ち放った。

大群に着弾した次の瞬間、極大に膨れた爆発がモンスターを飲み込む。絶大の火力を持ったそれは危険種を問わず、モンスターの姿形を欠片も遺さず消し去った。

 

「モンスターが……一瞬で……」

 

あんなにいたモンスターは全て消え、前方には青い快空が広がっていた。

他の三人が平然としている中、焔は変身した蒼依の凄まじさに息を飲んだ。

 

「蒼依君!」

 

背後から声が聞こえた。ハッと我に返って振り向くと、四人の女神候補生がこちらに来るのが見えた。

そして名を呼ばれた蒼依は変身を解き、どことなく嬉しそうに女神候補生……主にパープルシスターとブラックシスターを見つめる。

 

「女神候補生……そっちは終わったのか?」

 

女神候補生にアキラが質問する。

 

「はい、教会の近くにいたモンスターは倒しました。何か凄い爆発音が聞こえたので来たんですが……そちらももう終わった様ですね」

 

「……僕がやった、沢山のモンスター全部」

 

誇らしそうに蒼依が言った。

 

「へぇ~凄いじゃない! 蒼依がぜーんぶ倒しちゃったなんて! 私が褒めてあげる、偉い偉い!」

 

「蒼依君、凄い……」(なでなで)

 

ホワイトシスターに頭を撫でられる蒼依。それを嬉しそうに受け入れ、パープルシスターとブラックシスターにも撫でて欲しそうに二人を見つめる。

 

「ううっ、何でアタシを見てるの?」

 

「きっとユニちゃんにも撫でて欲しいんだよ。蒼依君、ユニちゃんに懐いているみたいだし」

 

「……ネプギアにも撫でて欲しい」

 

思わぬ反応にパープルシスターはびっくりした。

 

「えっ、私!? ……うん、いいよ」

 

蒼依のお願いを快く受け入れ、パープルシスターも頭を撫でる。

三人が蒼依の頭を撫でている中、ブラックシスターは何故か疎外感を感じた。

 

「何これ、これじゃあアタシが悪者みたいになってるじゃない……。いいわよ、ネプギアに免じてアタシも撫でて上げるわ! 感謝しなさいよね!」

 

込み上げる羞恥心を堪えて、ブラックシスターも蒼依を撫でる。四人の女神候補生から頭を撫でられる蒼依は、無表情ながらも喜びの感情を露わしていた。

 

「……仲良いな。一体蒼依とどういう関係なんだ?」

 

「…………気持ち悪い」

 

ルナが小声で呟く。その辛辣な一言に焔がビクっとなるも、あえて焔は聞かなかった事にした。

他と揉め事を起こさないといいが……。

 

――――――――――――――――――――

 

「あれ、もう皆集まったのか」

 

戦いが終わり、特命隊は教会に集結する。第四班が来た時には既に、第一班から三班、五班が集まっていた他、女神候補生四人や副隊長のレイも教会の前に立っていた。

 

「あっ、デビッドさん! 皆さんもお帰りなさい!」

 

「ネプギア……おう、ただいま」

 

ネプギアに挨拶を返すデビッド。彼女の隣にユニと小さな双子を見て、ネプギアに聞いてみる。

 

「ネプギア、あの二人は?」

 

「えぇ~~っ!? 私達の事知らないの?」

 

片方のピンク服の少女が不機嫌そうに声を上げる。

 

「ルウィーの女神候補生のラムよ! それとこっちはロムちゃん! しっかり覚えてなさいよね!」

 

「…………」(こくこく)

 

「候補生……ってネプギアとユニと同じ!?」

 

「……そんな大袈裟にビックリする事?」

 

ユニが呆れた表情でデビッドを見る。

 

「全員揃ってるって事は、私達が最後って事かしら?」

 

「いいや、まだいる」

 

エリナの言葉をマシロが否定した後、元気な呼び声が響く。全員が反応し、視線が遅れてきたブラインの一点に集中した。

 

「みんなー! 待たせたね! 正義のヒーローブライン、ここに参上!」

 

「遅い! 何やってたんだよ、お前」

 

遅刻した癖にカッコつけるブラインにイラつき、マシロが咎める。マシロにしてみれば最後まで自分達と合流しなかった上、それを悪びれもしない振る舞いには怒りが湧いてくるのだった。

その理由を察したのか、ブラインが笑顔を絶やさないながらもマシロに詫びる。

 

「悪かったね、マシロ。別の場所で市民の避難に専念していて合流できなかったんだ。許してくれ」

 

「ちっ、お前なぁ……」

 

「ブラインがそう言っているし許してあげて、マシロ」

 

楓がマシロの頭を撫でて宥める。そしてブラインにも「お疲れ」と言って微笑んだ。

 

「アーマードクーラーさんがいなくても何とかなったじゃないですか。何でもかんでも噛みつくのは良くないですよ、ツンギレガールさん」

 

「代わりに眉間をぶち抜かれたいか?」

 

マシロが今度は黒斗を睨み付けた。これが普段の第二班だった。

 

「あっ、お姉ちゃん達帰ってきましたよ!」

 

ネプギアが嬉しそうに叫ぶ。見上げると宙に浮かんだ四女神が降下していく姿が見えた。

 

「そっちも終わったのね。助太刀しようとして来たけれど、その必要は無かったみたいね」

 

「お疲れ様です、女神様方。市民の避難誘導を終え、こちらのモンスターも一掃しました」

 

四女神の前に立ったレイが報告する。一見冷静な形相だが、慣れていないのか緊張が合間見えていた。

 

「そう、お疲れ。私達もルーガスを倒し終えたわ」

 

「っ……遂に倒されたのですね!」

 

ルーガスの名前に反応し、エリナが歓喜の声を上げた。エリナにとって最も蔑む相手だったため、その心境はとても清々しい物だった。

 

「ええ……皆! 今日はもう疲れたでしょう? 後の事は私に任せてゆっくり休みなさい!」

 

パープルハートの一言で特命隊は解散し、寮へ戻っていく。緊張が解けたのか他愛のない会話が聞こえ、パープルハートは微笑ましく見送った。

 

「これから忙しくなりそうだし、私達はこれで失礼するわ。行くわよユニ」

 

「う、うん! ネプギア……またね」

 

「私もルウィーへ戻らねぇとな。ロム、ラム。よく頑張ったな」

 

「ふふん、そうでしょお姉ちゃん! じゃあねネプギアー!」

 

「ネプギアちゃん、バイバイ……」

 

「せっかくネプギアちゃんに会えたのにこうなってしまうなんて……それではご機嫌様」

 

ラステイション、ルウィー、リーンボックスの女神もそれぞれが治める国へ帰り出した。

パープルハートは彼女らを見送り、変身を解いた。

 

「ネプギア、モンスター全部片付いたしだらだらしよう! ネプ子さん、今日は疲れてもうクタクタだよ~」

 

「えっ? でもこれからお仕事が……」

 

「そんなのは明日! ネプギアも今日は休みなって! 私が許可する! キリッ!」

 

「い、いーすんさんは駄目だって言いそう……」

 

和気あいあいとネプテューヌとネプギアは教会に入っていった。

こうしてプラネテューヌ全域に渡る、モンスター殲滅戦は幕を閉じた。

 

「いーすん! 私大活躍したから今日は休ませてー!」

 

「駄目です」

 

バッサリと却下されてしまった。

 

――――――――――――――――――――

 

「あっ、そこの君!」

 

寮の玄関前。ブラインは仮面の少女に声をかけられ立ち止まる。見覚えのある姿にブラインは凝視し、彼女が誰かを思い出した。

 

「ブレスト仮面……君はブレスト仮面じゃないか!」

 

ブレスト仮面。蔓延るモンスターからブラインが守っていた子供、ショウを喫茶店から救い出した少女だ。

 

「その通り! そういう君はアルドだね?」

 

そう言ってブレスト仮面は話し始める。

 

「迷子の子供を守ってくれてありがとう。君のおかげで無事に助け出す事が出来たよ。そのお礼を言いたくてここに来たんだ」

 

「何だ、その事か」

 

ふとブラインの表情が和らぐ。

 

「お礼なんていいさ。僕は当たり前の事をやっただけだ。それよりあの子はどうだった?」

 

「ショウ君の事かい? あの子なら泣きながら君の事を言ってたよ。黄色のお兄さんが守ってくれたって。それ聞いてお母さん、君にお礼言いたいだって」

 

「お母さん……無事に会えたんだね」

 

ブラインの心中に温かい物が込み上がった。良かった、本当に良かった。

 

「感謝の気持ち、受け取ったよ。ショウ君に言ってくれ、今度はお母さんとはぐれない様に、ってね。また会おう、ブレスト仮面」

 

「ちょっと待って待って!」

 

再びブレスト仮面に呼び止められたブライン。まだ何かあるんだろうか? 聞いてみよう。

 

「危うく忘れるところだった……お助け料5000クレジット! ちゃんと払うんだよ」

 

ブラインの表情が引きつった。

 

「あちゃ~、やっぱりお金請求してるわね」

 

一足遅くやってきたアイエフがそう呟く。

ブレスト仮面、もといビーシャ。彼女は明るく元気な性格である反面、お金にがめつく何かとお金を要求するのであった。だが同時に正義感も強く、ある事件で子供のため、モンスターへの恐怖心を克服しヒーローへの一歩を進んだのだ。

 

因みにブレスト仮面は元々、臆病な自分を隠すための物だったが、以降も趣味としてやっている模様。

 

「ビーシャ! アクトリアが代わりに払ってくれるって言ってたわよ、10000クレジットも!」

 

「えっ、それは本当かい!?」

 

そう言ってアイエフは駆け寄り、ビーシャの矛先を変えた。

二人と同じくヒーローを目指しているアクトリア。アイエフや教会にとって彼は、事あることに法外的な料金の請求書を送りつけてくる問題人物だった。

 

可哀想とは思わない。全部自業自得よ、あんな奴。

アイエフはそう自分に言い聞かせた。

 

――――――――――――――――――――

 

ネプテューヌ達女神がルーガスを倒し、俺達特命隊らは戦いを終えた。その後プラネテューヌの復興が始まり、何ヵ月もかかると思ったが、プラネテューヌの技術力は凄まじかった。次々と街の機能を復旧していき、一週間後には元の活気溢れる街に変わった。こっちの世界(地球)では到底不可能な事を、プラネテューヌはやってのけた。

 

ゲイムギョウ界は凄い。立て続けに起こる不可思議な光景に、俺はつくづく思い知らされたのだった。

 

「特命隊に新たな仲間が加わった」

 

襲撃の傷痕が消えて数日。俺達を集めた隊長は三人の少女と謎の生物を紹介する。金髪の一人以外は面識がある奴等だった。

 

「この三人はお前達と遜色ない実力を持っている。今後は私の判断でお前達と同行してもらう。それでは自己紹介を」

 

「天王星うずめだ。ここで起こっている事はよく分かってる、俺もお前達と一緒に戦うぜ」

 

「俺の名前は海男、うずめのパートナーだ。戦う事は出来ないが、可能な限りのサポートはしよう」

 

「私はネプテューヌ! 小さい私にそっくりだから戸惑うかもしれないけど、別に気にしなくていいよ!」

 

「セリス・S・アルカード。各地を旅してたので事情は把握している。これから特命隊の一員として、よろしく頼む」

 

天王星うずめ。海男。ネプテューヌ。そしてセリス。

俺達特命隊に新たな四人が加わった。




これで一章は終了となります。
番外話を一話挟んだ後、二章に移ります。
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