ネプテューヌEX ~とある青年のエクスペリエンス~   作:S・TOM

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第4話 女神化

まず最初に攻撃を仕掛けたのはフェンリルだった。一瞬にして俺達に近づき、鋭い爪を振り下ろす。

 

「危ねぇ!」

 

俺達は鋭い爪が自身に当たる前にその場から離れる。そして俺は壁を蹴って剣を振るうが、フェンリルに爪で弾かれてしまう。

 

「隙あり!」

 

真上からネプテューヌが斬りかかり、フェンリルは反応できずに攻撃を受けた。

 

しかしたいして傷を負っておらず、ネプテューヌに飛びかかり爪を振るう。ネプテューヌはその攻撃を避けられず、もろに食らってしまった。

 

「お姉ちゃん!」

 

ネプギアはフェンリルに向かい、踊るような動きで斬りつける。

 

「よし、これなら!」

 

するとフェンリルはネプギアから離れ、姿勢を低くする。

 

「おい、避けろネプギア!」

 

フェンリルがネプギアに突進してきたが、俺の声が聞いたネプギアはとっさに避けた。

 

「そんな、効いていないなんて……」

 

愕然とするネプギアにまたもやフェンリルが突進してくる。今度は避けられず、ネプギアは突進を受けてしまった。

 

「ウソでしょ、ネプギアまで!」

 

短時間にして二人もやられてしまった。アイエフはその事に驚愕してしまう。

 

我に返るとフェンリルがアイエフに突進してくるのが見えた。

 

避けられないことを悟ったアイエフはカタールでフェンリルの突進を防ぐ。しかしすぐに押されてしまい、ついには弾かれてしまう。

 

「そんな……!」

 

弾かれて怯んでしまったアイエフを見て、フェンリルは攻撃しようとしていた。

 

俺はそれを阻止するため、剣でフェンリルの前足を斬る。予期していない攻撃だったためか、フェンリルは怯んで俺達から離れた。

 

「大丈夫か、アイエフ」

 

「ええ、だけどねぷ子達が――」

 

話す合間も許さず、フェンリルが攻撃を仕掛けてきた。それを見て俺とアイエフは二手に分かれて攻撃を避ける。

 

「天魔流星斬!」

 

アイエフは間髮を入れずに、カタールを振るって連撃を繰り出す。続けて俺もフェンリルに攻撃する。

 

さすがのフェンリルも俺達の連携攻撃でダメージを負っていた。

 

「効いてるわね、このまま行くわよ!」

 

そのままさらに攻撃を仕掛けようとした――瞬間。俺達の前に一体のチンピラキャットが襲い掛かってきた。

 

「くっ、邪魔よ!」

 

アイエフは難なくチンピラキャットを倒すが、その隙を突いたフェンリルがアイエフに向かって突進してくる。

 

隙を突かれたアイエフは避ける事ができず、突進を受けてしまった。

 

「大丈夫か、アイエ……はっ?」

 

飛ばされるアイエフを見ると、何者かがアイエフを受け止めるのが見えた。俺はその事に気を取られていて、襲ってくるフェンリルに気づけなかった。

 

そしてフェンリルの爪が俺に振りかかろうとしていた。

 

――――――――――――――――――――――

 

振り向くとフェンリルは攻撃を受け止められていた。俺ではない別の誰かに。

 

「隙だらけよカイト。私が来ていなかったら貴方はとっくにやられていたわよ」

 

俺に余裕そうに話しかけたのは紫の長い三つ編みに黒いレオタードを来た女性だった。しかし俺の記憶の中に、その女性の姿は無かった。

 

「誰なんだ、お前?」

 

「そういえば、この姿を見るのは初めてだったわね」

 

女性は防いでいたフェンリルの攻撃を弾き、そのままソードでフェンリルを斬りつける。その攻撃を受けたフェンリルは大きなダメージを負ってその場に倒れた。

 

「パープルハート。プラネテューヌを統治する守護女神よ。そしてまたの名を――」

 

ネプテューヌ。その名前を聞いた俺は耳を疑ってしまった。目の前にいる『パープルハート』はネプテューヌとは大きく異なっていた。いや、それよりも。

 

「お前がプラネテューヌの……はっ!」

 

パープルハートの背後を見ると倒れていたフェンリルが起き上がり、こちらに向かって攻撃しようとしていた。

 

「話は後よ。それよりも今は、目の前のモンスターを倒す事に集中しなさい」

 

「……分かった。倒したらお前の事、必ず話してもらうからな」

 

そう言って俺は剣を構え、パープルハートと一緒にフェンリルに突撃する。次々と振りかかってくる爪をかわし、俺は左腕を、パープルハートは右腕を斬る。その攻撃でフェンリルは動けなくなったの見て、俺達は何度も攻撃を加える。

 

なんて強いのだろうか。ネプテューヌ、いやパープルハート。彼女の攻撃を見てるとそう思ってしまう。

 

すると攻撃を受けているだけだったフェンリルが俺達の攻撃をなんとか弾き、離れて突進を仕掛けようとしていた。

 

(まずい、あれを食らったら――)

 

フェンリルが俺達に向かって突進してきた瞬間、俺とパープルハートの間にビームが通りフェンリルに当たり、ダメージを与えた。

 

振り向くと長いピンク髪に白いレオタードの少女で、剣のような武器を構えていた。

 

「今です、お姉ちゃん、カイトさん!」

 

少女の呼びかけに答え俺達は倒すためフェンリルに突撃する。フェンリルはさっきのビームで動けなくなっており、俺達の攻撃を避けられなくなっていた。

 

『これでとどめっ!』

 

そしてそのまま喰らってしまい、倒れたフェンリルは消滅した。

 

――――――――――――――――――――――

 

「お前、プラネテューヌの女神って言ったな」

 

カイトが私に質問してきた。さっき私が女神だって言ったら彼、目つきが変わったわね。何を考えているのかしら。

 

「ええ、言ったわ。それがどうかしたのかしら?」

 

そう答えると彼はゆっくりと深呼吸をした。そして間を空けた後、彼は口を開いた。

 

「くぅ~本物の女神だ! 女神の事は聞いていたが、まさか出会っちまうなんてよ!」

 

えっ? 何なのかしら突然。

 

「もう最高だぜ、最高っ! ああ、この気持ちはどうすりゃあいいんだ? ハハハッ!」

 

カイトは憧れのヒーローに出会った子供の様に喜ぶ。そんなにうれしいのかしら……?

 

「おっと失礼、うれしさのあまりつい舞い上がっちまった。ククッ」

 

「カイト、あんた一体どうしたのよ……」

 

あいちゃんが少し引いていた。わかるわ、その気持ち。

 

「よう、アイエフ。傷はどうだ?」

 

「えっ? ああ、回復薬で直したわ。とは言っても、また痛むんだけどね」

 

それを聞いたカイトは安堵する。そしてまた顔を私に向けて質問する。

 

「ネプテューヌ、お前ずいぶん変わったな。どうしてそんな風になったんだ?」

 

この姿の事について疑問に思っているのね。それもそうね、当の私でも驚くぐらい変わるのだから。

 

「女神には二つの姿を持っているの。さっきのは『人間』としての姿のネプテューヌ。そしてこの姿は、『女神』としての姿なの」

 

「姿が変わると、性格も変わるのか?」

 

「……ええ、変身すると少なからず性格も変化するわね。と言っても、私ほど変化するのは他にいないわ」

 

どうしてこうも変わるのかしら……私の頭にそんな事が浮かんて来てしまう。

 

「そうか、それでネプギアはどうなんだ? どこかの国の女神なのか?」

 

今度はネプギアに向けて質問する。ネプギアは私と違ってあまり変わらないからすぐに分かるのね。

 

「今はまだ違うんです。私の様な妹は候補生として、次の女神に相応しくなれるよう頑張っているんです」

 

私達の説明を聞いたカイトは何かを考えているかの様な仕草をしていた。

 

「ふ~ん……なるほどな、よーく分かった」

 

そう呟くとカイトはもう一度深呼吸した。

 

「ここで出会ったのも何かの縁だ。失礼だろうけど、俺と握手してくれないか?」

 

カイトは私達に手を差し出した。私は聞く様にネプギアのあいちゃんの方を振り向いた。

 

いいんじゃないかしら。あいちゃんとネプギアの表情からそう聞こえてきそうだった。

 

「いいわよ、カイト」

 

私はカイトの要求に答え、彼と握手した。

 

――――――――――――――――――――――

 

結局、凶暴化していたのはフェンリルだけだった。どうやら他のモンスターはどこかに行ったらしい、アイエフはそう答えた。

 

「ねぷ~疲れたよ~」

 

ネプテューヌとネプギアはもう変身を解いていた。長い時間変身していると疲れるらしい。

 

「強かったなぁ~あの時のネプテューヌ。惚れ惚れするような戦いぶりだったぜ」

 

「ふふ~ん、もっと惚れたまえ~!」

 

「ねぷ子、バカな事は言わないの」

 

アイエフは褒められて鼻が高くなっているネプテューヌを咎める。

 

「いや、バカな事じゃあねぇぜ。あの姿を思い出すだけで身体が震え出すんだ!」

 

「……相手の方もよっぽど変ね」

 

今度は奇異の目で俺を見ていた。おいアイエフ、俺は変わってるのか?

 

そんな風に会話しているとプラネテューヌに着いていた。

 

「それじゃあ俺はギルドに行く。また、どこかで会おうぜ」

 

「うん、じゃあね~カイト! 私、仕事サボってその辺で歩いてるかもしれないからきっと会えるよ!」

 

別れの言葉に堂々とサボり宣言するネプテューヌ。

 

「何言っているのよ、ねぷ子。そんな事させないわよ」

 

当然ながらアイエフに止められる。無念、ネプテューヌ。

 

「今日は一緒に協力してくれてありがとうございました。おかげでモンスターを倒す事ができました」

 

そう言って礼を言うネプギアに、俺は申し訳ない気持ちになった。

 

「いや、こちらこそありがとな。モンスターを倒すためとは言え、お前達を俺と付き合わせちまって」

 

「えっと、そんなの気にしてません! むしろ感謝しています」

 

「そうだよ、そうやってネガティブになっているといい事ないよ! こう私みたいにポジティブにならなきゃ!」

 

……後ろめたさを感じた俺が馬鹿だった。そうだよな、人生にはポジティブでいなきゃ駄目だよな。

 

「だからと言って、仕事をさぼってゲームしたりだらだらするのはよくないわ。さっさと帰って仕事するのよ?」

 

アイエフはそう言ってネプテューヌの腕を掴んだ。

 

「という事で、私達もこれで失礼するわ。ねぷ子にはやらなきゃいけない事があるの」

 

「あいちゃん? それどういう……ねぷーっ!?」

 

そして腕を掴んだまま、アイエフはその場を離れる。

 

「それじゃあまたね、カイト」

 

「助けてカイトー! このままじゃあ私、仕事させられちゃうよー!」

 

帰って行くネプテューヌ達を俺は暖かく見届ける。その後俺はクエストの報告をするため、ギルドに向かった。

 

「ここだな。凶暴化したモンスターを倒したんだ、報酬はたっぷりあるんだろうな」

 

ギルドに入ろうとした時、一枚のチラシが目に付く。そのチラシにはこう書かれていた。

 

 

 

『求人、戦士求む』。




これから少しの間ですが、ねぷ子達は登場しません。
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