ネプテューヌEX ~とある青年のエクスペリエンス~ 作:S・TOM
『戦士求む』。そのフレーズに興味を持った翌日。俺はチラシの応募先の大きな建物に来ていた。
募集のチラシには最近モンスターが凶暴化しており、人々の手に負えなくなっているという。そのため凶暴なモンスターを倒せる人材を探しているらしい。
それを見た俺は昨日出会ったアイエフの言葉を思い出す。
『ここには凶暴化したモンスター達が集まっているの。そのせいでクエストを受けた人々が被害にあっているわ』
その時に遭遇したのはフェンリルだけだったが、他にも潜んでいる可能性があり、国は対策を練っているという話だ。その一つが、このチラシなのだろう。
「……そう簡単に集まらねぇと思うんだけどな」
じゃなかったら被害は起きていない。そう思いながら俺は建物の中に入る。
入ったロビーの中には大勢とは行かないが、それなりの人数の志願者がいた。
「おいおい、ここにいる奴らは自信過剰ばかりなのか? お遊びじゃねぇんだぜ」
目の前の光景を見た俺は呆れる。
「貴方にも言える事ね」
その時、俺に向けた声が聞こえた。
「どうやら自惚れてそうだけれど、この『プラネテューヌ特命隊』というのは簡単に入れるものじゃないわ」
声が聞こえた方向を見ると、茶髪のロングヘアに紫のラインの入った白のジャケットを来た少女がいた。
「お前の名は? 何のためにここに?」
俺の言葉に答え少女は名乗り始める。
「私の名はエリナ。女神様の役に立ちたいという思いから特命隊を志願したわ。貴方は?」
「界人、高坂界人だ」
「界人ね。聞くけど、貴方はなぜ特命隊に志願したのかしら?」
『エリナ』の質問を受け、俺は少し考えた後答える。
「興味を持ったからだ。ギルドで特命隊募集のチラシを見たんでね」
俺の答えに対しエリナは呆れた様な表情をした。
「興味だけで受ける物じゃないわ、この特命隊っていうのは。今すぐに帰りなさい。貴方じゃ絶対に入れないわ」
エリナの物言いに少し腹が立ってくる。何なんだこいつ、馬鹿にしやがって。
「悪いがお断りだ。俺の行動は俺自身で決める。お前にとやかく言われる筋合いはない」
俺はそう言って挑戦的な眼を向けた。
「絶対に入ってやる……お前もせいぜい頑張りな」
挑発を受けたエリナは何食わぬ顔で踵を返す。
「貴方に言われるまでもないわ」
一言だけ言うと歩き出し、その場を去った。
――――――――――――――――――――――
受け付けを済ませた俺はロビーで順番が回るのを待った。俺より先に受けた奴らは大半が不合格になったようで、出る際の表情が曇っていた事から分かる。
「やっぱり、特命隊に入れる奴ってそうそういないよな~」
そう思っていると、一人の青年が歓喜の声を上げて出てくる。
「よっしゃ、合格だ! この瞬間をどれだけ待ちわびた事か……これで俺も一人前だ!」
その青年は黄緑の髪にゴーグルを掛けており、迷彩柄のコートを着ていた。
「ん? 俺に何か用か?」
青年が見ていた俺に気づき、こっちに寄ってくる。
「……うれしそうだな、お前」
「まぁな。特命隊に入れるんだ、これほど光栄な事はねぇ!」
そう話す青年は心底嬉しそうだった。
「おっと、忘れてたな。俺の名はデビッド、ラステイション出身だが、ちょいといざこざがあってここに来たんだ」
ラステイション……ブラックハートが治めている国だったな。
「俺は界人だ。プラネテューヌ、というかゲイムギョウ界にはまた来たばかりなんだ」
「来たばかり……って事はものすごく遠い所から来たのか?」
「……まぁ、そうだな」
『デビッド』の問いに俺は少し戸惑いながら答える。
「へぇ~、そうなのか。ところでお前、受かる自信とかあるのか?」
俺はその質問に疑問を持った。
「何なんだ? 受かる自信って」
「特命隊に入るには実技試験っつう物に合格する必要あるんだが、その相手って言うのがとても強くてな。俺は受かったけど、ほとんどの奴は試験に落ちたらしいぜ」
デビッドの説明を聞いた俺は納得する。危険なモンスターを狩るんだ、そう簡単に入れないな。
「自信はある。もうすでに凶暴化したモンスターを倒したからな」
俺のその答えにデビッドは感心した。
「お前もなのか? 界人」
「……お前『も』?」
「実は俺も倒してるんだな、これが! いやぁ、あの時は大変だったな。森で彷徨ってる時に遭遇しちまって」
こいつも倒したのか。俺はデビッドの話を聞いて嬉しい気持ちになる。
その時、受け付けの際に渡されたブザーが鳴った。とうとう俺の番か。
「悪い、俺はもう行かなくちゃならねぇ。また後でな」
「おう、祈ってるぜ!」
俺はデビッドと別れた後、試験所に向かった。
――――――――――――――――――――――
実技試験を受けるために向かった俺は、広間に来ていた。そこには何もなく、一人の青年がいるだけだった。
「貴方の名前と、受験番号をお教えください」
銀髪に紫を基調とした服を着ている青年はそう尋ねた。
「……受験番号47、高坂界人」
「高坂界人さんですね。私は試験官であり、特命隊隊長のグラウトです」
隊長の『グラウト』と名乗る青年は説明し始める。
「今から行う試験は、受験者の力を示す事を目的としています。試験に合格する条件は、貴方の力を私に認めさせる事です」
グラウトは鞘から剣を抜き、戦闘の態勢になった。なるほど、特命隊の隊長と戦うってわけか。
「制限時間は5分。さぁ、貴方の力を私に示してみせなさい」
グラウトは俺に向かって走り出し、斬撃を繰り出す。俺はすぐさま剣を具現化させて、グラウトの剣撃を防ぐ。そしてグラウトに向けて剣を振るうが、グラウトは腰を落として避けた。
「隙あり――」
攻撃の隙を突いたグラウトは剣で素早く攻撃する。俺はかわそうとするが隙を突かれたせいで遅れてしまい、グラウトの攻撃を少しばかり受けてしまう。
受けた傷から痛みを感じた。俺はその痛みを抑え込み、グラウトへ向かって走り出す。そして連撃を仕掛けるが、グラウトのしなやかな動きで全てかわされてしまった。
――特命隊に入るには実技試験っつう物に合格する必要あるんだが、その相手って言うのがとても強くてな――
デビッドの言うとおりだ。こいつは本当に強い。
するとグラウトが反撃に転じるのを直感で感じ取った。来るのか、さっきの攻撃が。
俺の直感が当たり、グラウトは反撃を仕掛けてきた。俺はそれに対応して、剣を盾代わりに防御の体勢になる。
そして互いの剣が交わった――――かと思うと。
俺達の剣から突然、爆発が起こった。
あっけにとられたグラウトはその爆発を直に受け、風圧により吹き飛ばされた。対する俺は事前に防御に移っていたため大して爆風を受けなかった。
「なんだ? 今の……爆発は?」
剣を見ると刃が紅く染まっている事に気づいた。さっきまではこんなんじゃなかったぞ……?
「まさか、今の爆発と関係が?」
いろいろ考えていると爆風を受けたグラウトが立ち上がるが、その様子を見るにかなり大きいダメージを受けていた。
「高坂界人さんと私の剣が交わった瞬間、爆発が起こった……あの時、一体何が?」
グラウトの方もさっきの現象を疑問を抱いていた。
「いえ、今はそんな事を考えるよりも界人さん、まず貴方の力を確かめる事が先決だ!」
さっきのダメージが嘘だったようにグラウトはものすごい速さで走りだすと、紫のオーラを身に纏う。とうとう本気を出してきたか。
俺は本気を出したグラウトに迎え撃ち、剣で攻撃するがすでにグラウトの姿は無かった。
「――後ろか!」
背後に気配を感じた俺は振り返って剣を振るう。そしてグラウトの剣と交わり、さっきと同じく爆発が起こる。
しかしグラウトは何とも無いかのように爆発を受け流し、そしてまた剣を振るった。爆風で身体の自由がきかない俺はグラウトの剣を受けてしまい、風圧で飛ばされてしまう。
強い。本当に強いな、隊長って奴は。
こうも強けりゃあもう一発、奴に俺の剣をお見舞いしてやるか!
俺はとっさに受身を取り、壁に張り付く。そして紅い剣を壁に刺し、そこから爆発を起こさせる。その際の爆風を利用して、グラウトの方へ飛んでいく。
グラウトは俺が攻撃を仕掛けてくると考え、迎え撃つ態勢になる。
「違ぇよ、隊長」
俺はグラウトの正面に着地すると、剣でグラウトへ向けて地面を斬り、切口から爆発を起こさせた。
「なんだと――!」
想定外の攻撃にグラウトはなすすべもなく爆発を受け、そのまま倒れた。
「……勝ったか」
戦闘が終わり、俺はその場に崩れ落ちた。
――――――――――――――――――――――
実技試験を終えた俺はロビーへと戻った。結果は当然『合格』。椅子にへたり込んでいる俺を見つけたデビッドがこっちに向かって来た。
「よう界人、試験の方はどうだった?」
結果を知りたがっているデビッドの問いに答える。
「合格だ。試験官も倒したぜ」
「倒したって……隊長を!?」
俺が面接官を倒した事を聞いたデビッドは驚いてしまう。
「まぁ、あれは不意打ちで勝ったようなもんだ。まともにやりあったら勝てなかったかもな」
「それでもすげぇよ! 合格した俺だって負けてたのに」
俺達が話しているとエリナがこっちへと歩いてきた。
「うるさいわよ、二人とも。何をそんなに騒がしくなるのかしら?」
「あっ……悪いな」
謝るデビッドを尻目にエリナは俺の方に顔を向ける。
「それで、結果はどうなったのかしら? まぁ、言うまでも無さそうだけど」
まるで落ちたと言わんばかりの言い草だな。外れてるけど。
「――合格だよ」
「やっぱりそうね。これでわかったでしょ――――えっ?」
結果を聞いたエリナは目が点になった。
「もう一度言う。合格だ。ついでに試験官も倒した」
「じょ、冗談でしょ? 貴方が合格になるなんて……」
案の定、エリナは信じられずにいた。いい気味だ。
「冗談じゃない、本当だ。ところで、お前はどうなった? 落ちたって言うのなら笑いものだぞ。大口を叩いておきながらそんな様になるなんてな」
俺の挑発を受けて、エリナは声を震わせて言った。
「馬鹿にしないで! 私だって合格したわよ! 貴方のように試験官は倒してないけれど、それでも!」
周囲の目線がこちらに向いた。大声を出したエリナは息が荒くなっていた。
「なぁ、お前、大丈夫か? せっかくの可愛い顔が台無しだぜ」
少々口説きながらもデビッドはエリナを心配していた。
「いえ、ごめんなさい。見苦しい所を見せたわね」
エリナは涙を拭きながら言う。そして真剣な目で俺を見た。
「私は思いあがっていたわ。自分の力を過信して、貴方の事を見下していた。とても恥ずかしいわ」
エリナはそういうと頭を下げた。
「ごめんなさい、界人」
それを見た俺の中から罪悪感から湧き出てきた。俺も調子のりすぎたな。
「いや、いいんだエリナ。こちらこそすまない、頭を上げてくれ」
エリナが頭を上げると、俺は間を空けてこういった。
「合格したもの同士、よろしく頼むな」
――――――――――――――――――――――
実技試験が終わり、残ったのは半分だけだった。試験官であるグラウトがロビーに来て、この場にいる全員に向かって話し始めた。
「私がプラネテューヌ特命隊隊長のグラウトだ。この特命隊は最近現れた凶暴なモンスターを討伐するために結成された物だ。それゆえ、生半可な心意気ではここには居られない。その事を心に刻みこんてほしい」
一通り話し終えた後、次にチーム編成について話し始める。
「――――を第3班とする。次に第4班は番号39、45、47、53となった」
俺は4班か。他は番号だけで誰か分からない。話が終わった後、鍵を渡された俺は鍵の番号の部屋へ向かった。
「ここだな。さてと、この部屋に誰がいるんだろうな」
そう思いドアを開けると、見覚えのある顔ぶれがいた。
「おっ、界人じゃねぇか!」
「奇遇ね。同じ班なんて」
「エリナ、それにデビッドか! 本当に奇遇だな、おい」
ジャケットを脱ぎ、赤のシャツを露出させてるエリナと、拳銃の設備をしているデビッドが、界人を見て喜ぶ。
「デビッド、お前が持っている銃。それが武器か?」
「その通り! 銃っていうのは手入れが大事でな、放っておくと錆びちまうんだ」
デビッドは銃を見せびらかしながら説明した。
「なるほど、エリナの武器は?」
「私のはこれよ」
エリナはそう言って剣を具現化させる。
「どんな物でも一刀両断。その上小回りが効くから私にぴったりなのよ」
「ほぉ~俺と同じかと思ったが、真逆なんだな」
俺がそう関心していると、ドアの空く音が聞こえた。振り向くと青いジャンパーを着た虚ろ目の青年が入ってきた。
「4班の部屋ってここか?」
青年の問いにエリナが答える。
「ええ、そうよ。貴方も4班なの?」
「そうだ。番号53番、ウェイン。これからよろしくな」
『ウェイン』と名乗った青年は何とも言えない雰囲気を出していた。
『ネプステーション!』
ネプテューヌ「さあ始まりました! Vからお馴染みのネプステーション! 司会はこの作品の主人公、ネプテューヌと!」
ネプギア「妹のネプギアがお送りします。ちなみに、この作品の主人公は残念ながらお姉ちゃんじゃなく、界人さんです」
ネプテューヌ「そうそう、ってええーっ! 私じゃないの!? 『超次元ゲイムネプテューヌ』の主役って私以外ありえないよ!」
ネプギア「えっと、ほら、これって二次創作だから。それに他にも別の人が主役になっている作品もあるから……」
ネプテューヌ「ガーン」
ネプギア「はわっ!? お姉ちゃん、落ち込んじゃった……」
ネプテューヌ「ぐぬぬぬぬ……それならいいよーだ! どうせまた私が主役になるんだし! 界人はこのコーナーに出れないんだし! 少しの間だけ、界人を主役にしてやんよー!」
ネプギア「……お姉ちゃん、やけになってる?」
ネプテューヌ「あーあー聞こえないっ! ネプギア、予告よろしく!」
ネプギア「う、うん! わかった! 試験に受かって、特命隊に入る事が出来た高坂界人さん。そしてエリナさん、デビッドさん、そしてウェインさんと一緒に凶暴なモンスターを狩り始める。しかしその裏で糸を引く人物が界人さん達に襲い掛かる……。」
ネプテューヌ「次回、『超次元ゲイムネプテューヌ とある青年のエクスペリエンス』! 章タイトルは決まってないから、そこの所よろしく! それじゃあみんな、またねー!」
オリキャラだけに話になってしまった。
なんとかしてねぷ子達も出したいです。