騙された気がするゼロの使い魔   作:真暇 日間

16 / 21
騙されゼロ魔12

 

 現在。過去。少なくとも俺はこの二つの時間軸において、地球上で最強であると言う自負を持っている。未来がどうなるかはわかったものじゃないが、少なくともこの世界の過去と現在において、俺に匹敵する、あるいは比肩しうる存在は居ない。世界全土に『ダモーレ』を使ってステータスを覗き見た俺が言うのだからまず間違いない。

 過去の方は微妙なところだったが、少なくとも地球に精霊のような存在は居ないことがわかったし、精霊がいないと言う事はまず間違いなく魔法系統の力を宿した生き物も存在しない。故に、推定ではあるが俺は現在と過去において最強だと言えると思う。

 

 そして、俺の力はハルケギニアに来たことで増幅された。今まで使う事の出来なかったゼロ魔世界の魔法も使えるようになったし、それなりどころではなく便利な魔法である『固定化』と『錬金』を覚えられただけでも行った価値はある。

 また、ドラクエ系の魔法には数少ない精神操作系の魔法も覚えてきたし、天井などに頭をぶつけることなく使うことのできる文字通りの瞬間移動呪文も覚えることができた。それを覚えるのにガリア王国で多少便宜を図ってもらったりもしたし、ガリアにはまあ恩がある。

 押し売りした物の代金だと言ってしまえばそれで終わりなのだが、それにしては大分色々と受け取っているからこっちとしても今更ガリアにどうこうしようとは思わない。トリステインは死ね。貴族も平民もどうでもいい。死ね。

 

 そんなこともあり、とりあえず俺はガリアから割と近い場所にあるロマリアを崩壊させることにした。あそこの国は色々と面倒なことをやっているらしいし、俺達が一度地球に帰った後にもう一度才人をこちらの世界に呼ぶ可能性があるとしたら、未だに魔法が封じられていないロマリアの腐れ坊主による『サモン・サーヴァント』か、同じく魔法の封じられていないジョゼット、ティファニアの『サモン・サーヴァント』くらいだ。

 ロマリアのはもうオッドアイの露出狂神官を召喚しているから平気かもしれないが、もしかするとそのオッドアイ神官が死んで新しく召喚されることがあったとしたら才人か俺が呼び出される可能性もある。それは許せない。

 そう言うわけなので、少なくともあの腐れ坊主と、ロマリアの息のかかった虚無の魔法使いであるジョゼットだけでも魔法を封じておかなければならない。ティファニアの場合、魔法を封じてしまうと身を守る術が無くなってしまうと言う事もあるし、そもそも本人が使い魔を召喚するようなことはしないだろうと言う事もあってスルー。流石の俺でもあんな森の奥に子供たちと一緒に暮らしている心優しいハーフエルフをどうこうしようとは思わんよ。勿論、こっちに害が来なければ、と言う前提条件があるうえでの話だけどな。

 

 どうやってロマリアを崩壊させるか。実に簡単だ。

 

 ➀ ロマリアの方角に掌を向けます。

 ② 魔力を込めて『イオナズン』と唱えます。

 ③ ロマリア崩壊。

 

 以上。三十秒で終わるロマリア落としでした。

 その後はラナリオンで雨を呼び、イオナズンで舞い上がった塵や埃を地面に落としていく。そのまま放置すると世界が氷河期に陥る可能性も無きにしも非ずだから、ここは確実にやっておく必要がある。やらなかった場合は……まあ、温暖化している世界だったらともかく、こういった中世くらいの文化形態の世界では決して喜ばれる事は無いだろう状態になる。

 ちなみに世界の大気温が数度下がると黒死病が流行る条件に合うようになるから気をつけなきゃならないことを言っておく。この世界だったら魔法でちゃっちゃと治してしまいそうだが、流石に国民はそう簡単にはいかないだろうからな。残念なことに。

 と言う感じでロマリアを滅ぼし終えた。ジョゼットの方はあのオッドアイの神官が接触しなければ外の事に触れることなく一生を終えるか、あるいは外に出たとしてもシャルルに引き取られてシャルロットの妹としてのんびり平和に暮らしていくかのどちらか。アルビオンの方はラグドリアンの湖の水が丸ごと王宮近くに配置していたレコンキスタの陣地に落ちて大変なことになっていて、それに巻き込まれないように必死に頑張っているだろうあのハーフエルフをどうこうしたいとは思わない。男として胸革命とまで言われた胸を見てみたいと思わなくもないと言う気持ちは確かにあるが、それよりも今は才人の事が大事だ。正確には才人と俺の子供の事なんだがな。

 あのハーフエルフはこちらから関わろうとしなければあちらから関わってくることはまずないと考えられる。そんな相手にまで労力を使う必要はないと思うんだよな。

 

 …………そう言えば、ティファニアと言えばあの土くれのフーケが養っているんだったか? 俺、フーケの名前でいろんな所からかなりの量の財宝を拝借して行ったんだが……まさかとは思うが、仕送りが無くて飢え死にしていたりとか、薄い本的展開になってたりとかはしないだろうな?

 もしそうなっていたら、流石に少し罪悪感がある。盗む物が無くなったせいで仕送りができなくなるとか、あの時予想もしていなかったからな。今考えていることだってあくまでも可能性の話でしかないし、実際にはちゃんとこれまでの通りに過ごして行けているのかもしれないが……どうだろうな。

 

 心配になったので遠隔でフーケ……マチルダさんだっけ? にマホリーをかけてマホトーン状態を解除しておく。少なくともこれで魔法は使えるようになったはずだが、他の奴に関してはそのまま。マホリーが単体用の呪文でよかったと思ったのは初めてかもしれない。

 これでまあ後顧の憂いは絶たれたと思っていいな。あとは俺が才人を連れて地球に帰れば大体解決する。

 もしかしたら学校の奴らに『駆け落ちはいいけどせめて子どもが産まれてからにしろよ』とか『新婚旅行は楽しかったか? 土産は?』とか色々言われるかもしれないが、それはそれでもう仕方ない。全てはあの屑ピンクのせいなんだと本当の事だけを言うとしよう。割と付き合いの長い奴らも多いし、それでなんとなく察してくれるだろう。

 一番きついのは父御殿と母御殿への説明になるかもしれないが、こっちの方も同じように乗り切ろう。俺が色々とやってきてから帰ってきたことを伝えれば、多少落ち着いて話を聞いてもらうことができるかもしれない。失敗したら暴走だろうが、そうなったらそうなったで『もう行く方法が無い』とか適当なことを言っておけば大丈夫なはず。

 父御殿や母御殿はあれで結構な激情家だし、才人に対してあの屑ピンクがやったことを聞いたら乗り込みに行くかもしれない。本人はいたって普通の一般人なのだからあまり無茶はしないでもらいたいんだが、どうもその辺りは制御できないらしい。困ったね。

 仕方がないで済ませてしまうのは危険すぎる気がしないでもないが、それでも俺にはどうしようもないし、父御殿と母御殿の精神をいじくったりしたくはないのでここはもうできるだけ平和に話を付けたと言う事にさせてもらう。召喚されたのはトリステイン王国の屑ピンクの所ではなくガリアの方と言う事にして、人間を呼び寄せるなんてことをしてしまって申し訳ない、すぐに返す方法を探すと言われて何とか帰る方法を探してもらっている間にその国の王様と仲良くなってその研究が加速してこれだけ早く帰ることができるようになった、とか言っておけばまあ一応多少は不快感が軽減されるかもしれない。望み薄だが。

 

 で、後は簡単にギガジャスティスを世界中にかけてから帰ればいい。

 ……あ、いや、ギガジャスティスだとかけてからしばらく他の物に魔法をかけられなくなるんだったか。目的は常時発動し続けている兵器召喚魔法(仮)の無効化なんだから、ギガジャスティスにする意味はない。マジャスティスで十分だ。

 と言う事で、ジョゼフ達に挨拶したらさっさと帰ろうか。日本食が恋しい。ドラクエの魔法を頼んだ時に一緒にアイテムストレージとかそんな感じのも頼んどけばよかったと心底後悔している。あれがあれば余裕がある時に作った物をいつでも出して食べることができるのに。まさかこんなことになるとは当時思っていなかったから仕方ないっちゃ仕方ないんだが。

 

 そう言えば、トリステインの貴族連中から拝借してきた金貨とかどうしよう? 日本に持って帰ったら流石にまずいよな……。

 …………寄付するか。ロマリアは消し飛んだから、知ってる奴に。

 ジョゼフとシャルロット、この二人に四割くらいずつ渡して、残った二割のうち一割五分はちょうどいいしフーケにくれてやろう。最後の五分は俺の懐だけどな。金の地金の貯金はいいぞ? 最近安くなってるから今売ったらちょっと損するだろうが。

 だが、今回の金は完全に元手ゼロ。売ったら売っただけ儲けになる、まさに笑いが止まらない状況だ。俺は別に守銭奴と言うわけじゃないからそこまででもないがな?

 

「と言う事でこれ置いて行く。あとシャルロット。これを魔法学院勤めのロングビル先生に渡しておいてくれ」

「……わかった」

「それと、ちょっと今から世界中のパッシブ系の魔法を解除する術を使うから使い魔契約その他も一回切れる。再契約の準備しといてくれ」

「少し待って。伯父にも伝えてくる」

 

 シャルロットはそう言って金貨の入った袋を受け取って……持ち上げられずに『レビテーション』の魔法を使って運んでいった。

 だが……そうか、伯父、か。ちゃんと伯父と認められるようになったか。これはいい成長だと言えるだろうな。そのまま家族仲良く暮らしていってくれや。

 

 …………家族。何か忘れてるような気がするんだが……なんだ?

 俺の家族、あるいは才人の家族の話ではないはずだし、となると俺が気にしていたのはマチルダの方かシャルロットの方。マチルダは……よく知らないし、子供達とティファニアがいるってくらいしかもともと知らない。シャルロットの方は、シャルロットとその父親と母親、伯父であるガリア王ジョゼフ……あ。

 

 イザベラ忘れてた。ついでにその母親も、今の今まで完全に蚊帳の外だった。興味ない相手にはとことん興味ないから気付くのが遅れた。しかしジョゼフも妻と子供のことくらい覚えていろよと言いたいな。

 と言う事で、イザベラ達の事に関して言えば、俺は悪くねえ!それもこれも妻と娘の事を記憶からすっぽぬかしたジョゼフの奴が悪いんだ!さすがにこのことに関しては強く言わせてもらうぞ! 俺 は 悪 く ね え !

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。