金色の娘は影の中で   作:deckstick

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始動編第10話 戦国時代の翼

 地球は、今日も回っている。

 スペインからインディアン達との交流に成功したという連絡があったり。虐殺は漫画化した歴史の記憶よりも抑えられたようだから、人道的には良かったのだろう。

 マクダウェル家がイギリス王室と交渉し、アメリカへの入植を開始したという連絡があったり。まさか、マシューに魔改造されたマーメイド・インの海賊共が、こんなところに影響するとは思わなかった。しかも、その利権を背景にシティと優位な接触に成功したという報告も付いていたから、ジョンの腕はなかなかだと認めていいらしい。

 オスマン帝国が領地を広げる中、ペルシャ湾周囲の実効支配に成功したという連絡があったり。あいつら、こと戦闘関係に関して眷属の力を使いこなし過ぎだろう。

 中国では、儒教家やら商人やら茶の生産関係者(土地の支配者まで含む)やらを取り込み、巨大な企業じみてきたり。

 フランシスコ・ザビエルが来たが、魔法使いの同行が確認された時点で有宣達が動き、同行する人物の一部が処理されてしまったり。いや、有宣が直接動かざるを得ないほど、陰陽寮やらの力が落ちているのが問題か。

 眷属達は結果的に、順調に影響力を高めつつあるらしい。

 ……世界史に喧嘩を売っている気がするが、大丈夫なのだろうか……?

 

 魔法世界も、情報と金が回っている。

 ヘラスに教えた技術は思惑通りにメガロが盗み、ほぼそのまま魔導具化されて使われるようになった。ヘラスも対抗して同じものを量産した結果、まほネットに近いものが出来上がりつつあるが……狙い通り多くの情報が私達に筒抜けという状況で、文句は言うまい。考案者として生産を請け負ったから、表に出せる組織と、その懐が物凄いことになっているし。

 もちろん、ヘラス、オスティア、メガロの裏側担当も、勢力を伸ばしている。ヘラス付近は所謂裏社会を、オスティアは商業を、メガロは政治関係を中心に活動しているらしい。

 よく厨二病に見付からないものだと思っていたが、話を聞いてみたら、どうやら奴は船でインドに行こうと無用な労力を使っていたらしい。……今度はバスコ・ダ・ガマになっていたそうな。確かにポルトガルには行かなかったが、知っていたなら教えてくれてもいいと思うぞ、これは。

 

 有宣に麻帆良と名付けられた世界樹周辺の地は、魔改造と言っていいだろう。

 何故か私を初代とし、土御門の分家として作られた幕田家。その領地として、朝廷や周囲に認められている。私が土御門の養女になるとか有宣の孫を私の養子にするとか、色々面倒な手続きがあったらしいが、ぶっちゃけ知った事ではない。同じ屋敷に住んでいるから顔や性格はよく知っているし、色々教えている生徒。私にとってはそれで十分だ。

 その過程で、攻めてきた北条の軍勢を叩き潰したり、裏の連中も叩き潰したりもしたが。その時にゼロが大量の戦闘人形を引きつれて出撃した事は問題になるかもしれない。数の不足を補うためだったが、あれは間違いなく近代的な軍隊に近く、その行動やらを他の武家やらが真似しかねないという意味で。

 そして、私の拠点が決まった事で、ノエルとノアが日本に来た。90年ほど放置状態だった事には少々小言を言われたが……いや、その程度で済んだことをマシューに感謝すべきなのか?

 リズと共謀し、なぜかゼロやイシュトまで混じってメイド軍団を形成しつつあるのは謎だが。

 世界樹の大発光も確認。その魔力を隠すついでに利用できないかとヴァンと共謀して、とりあえず別荘に流し込んで溜め込み、維持やらに使えるようにしてみた。外の発光を抑える効果も得られたし、別荘内での魔導具作成やらにも使えそうだ。

 

 日本も、随分と廻った。

 甲賀で望月とかいう忍者の系譜らしい一族と仲良くなり、その教育レベルに驚いたり。

 ……教師役を依頼したのは確かだが、甲賀の筆頭格だとは知らなかったし、最初は眷属化までする気はなかったんだ。いつの間にか甚兵衛やらも教師役に混じっているし。

 桑名とかいう辺りで、刀工の集団を引き抜いたり。

 ……村正を作ってると知ったら、声をかけるのは仕方ないだろう。

 蝦夷がまだほとんど手付かずに近い状況だったから、アイヌ人の魔改造に着手したり。

 ……青森の豪族が手を出していたようだが、あの広大な土地を放置するのは惜しいだろう。

 

「言い訳無用っ!

 別に怒ってるわけじゃないけどさ。かなり好き放題やってるよね?」

 

「村正や甲賀忍者は確かに趣味もあったが……喜んでいたヴァンも同類だろう。

 北条は武力で奪おうとしに来たんだ。相応の対処をしたまでだ」

 

「だから、怒ってないんだって。

 でも、アメリカはどうするのさ。このままだと、前世と同じ道を歩むか微妙だよ?」

 

「改めて言わなくても、理解できている。

 どうすればいいかが分からんが、虐殺を黙って見ているのも心苦しいんだ」

 

「大問題だよねー」

 

 いや、穏便な植民地化なら、大虐殺よりはマシだと思いたいが……技術革新という1点で、間に合うかどうかが問題か。

 ヨーロッパの連中も色々頑張るはずだし、入れ知恵すれば何とかなるか……?

 

 とか考えつつ、私自身はひっそりと活動を続けていたのだが。

 

「済まんが、京へ行ってもらえんか」

 

 有宣が、また爆弾を落としてきた。

 前回は領有の話で、私自身が動く必要はなかった。今回の話は何だ?

 

「今は確か、将軍が京を追われているんだったか?

 三好ナントカが実権を握りそうなのは何かまずいのか」

 

「うむ。いや、実力が無いわけではないのだ。

 ただ、利用できるものは利用する考えが、行き過ぎておる。

 それが裏や闇の世界であっても、という点が問題だ」

 

「なるほど、それは確かにまずそうだな。

 だが、暗殺やらはしない方針だぞ?」

 

「わかっておる。

 京で行うのは、非公式だが後奈良天皇への謁見、良い関係を維持すべき家や集団への顔見世、そして京の近くの鬼神の封印及びその近くに住む協力的な(あやかし)の保護だ」

 

「……ちょっと待て。どうして天皇が出てくる?」

 

「後奈良天皇が、妖達を保護していてな。

 だが、あの方も最近は体調を崩しがちな上に、朝廷の財政も逼迫しておる。そこで、裏を取り仕切る土御門家を経由して依頼が来たのだ。

 あの方が慈悲深く清廉である事は結構なのだが、もう少し清濁併せ呑む必要が……いや、ここでぼやいても始まらん」

 

「非公式なら権威付けには弱いだろうし、天皇も老い先が短いなら、私達としての利点は妖怪たちの引き抜きくらいか?」

 

「いや、鷹司と二条、それと確実に近衛も動いておるな。

 もっとも、断絶寸前の鷹司に二条から養子を入れさせ、その妻を幕田家から出しておるのだ。陰陽寮の力も落としておる今、裕福な幕田家にこの様な依頼はあって当然であろう?」

 

「はあっ!?」

 

 二条の次男坊に嫁いだのがいるのは知っていたが、近衛も鷹司も、藤原系の摂家じゃないか!

 こ、このジジイいつの間に……

 

「世間が荒れておるせいではあるが、望月やお主に色々教えられたあの娘は、なかなかに評判が良いぞ。

 今では良豊を尻に敷いて、見事な舵取りをしておると評判だ」

 

「摂家がそれでいいのか……?」

 

「政略結婚なぞ当たり前であるし、カカア天下であろうとうまくいくのであれば、それも良かろう。

 話を戻すが、五摂家の連中も裏の事を知っておる。だからこそ、表どころか裏でも全く出てこぬお主に興味があるのだ。この辺で面通しくらいはしておくがよかろう。

 不死化に関しては、我らに対して大きな貢献や価値があれば考慮する事にしておる。煩いようであれば、適当に不可能な条件でも突き付けてやればよい」

 

「いや、相手は曲がりなりにも権力や権威の頂点近くにいる連中だぞ。

 そんな対応でいいのか?」

 

「竹取物語のようで、良いではないか」

 

「で、鬼神はどうした。手に負えんのか?」

 

「うむ。再封印にはそれなりの腕と手間が必要なのだが、嘆かわしい事に、今の陰陽寮にはどちらも不足しておる。

 武家の阿呆共が存在に気付かぬよう、何とかせねばならんのだがな」

 

「封印が弱まってきている、という認識でいいのか?

 それとも、定期的に行う措置か?」

 

「どちらかと言えば、定期的な儀式に近いであろう。

 弱まってきておるのは事実であるがな」

 

「すぐにと言う話ではないのだな。

 それなら……ふむ、試してみるか」

 

 

 ◇◆◇ ◇◆◇

 

 

 そんな話をしてから、概ね半年後。私は京にいた。

 天皇から直接の依頼を受け、ついでに摂家や神鳴流の連中と少し話をして。

 元々アヤカシを見たことのある連中だからか、外見については軽く流された。連中曰く、色が違うくらいでは驚かん、色以外は人外に見えん中途半端さの方が驚きだ、だそうだ。ゼロすら「小人のようだ」とか「金がいるなら銀がいてもいいだろう」というアバウトな反応をされたから、私の方が驚く羽目になった。

 詳しく聞いてみたら、玉藻前も色白で金毛だという話のせいで、ありえない色だとは思われなかったそうな。これはまあ、良かったと言っていいだろう。

 白面金毛九尾の狐と同じように国を乗っ取ろうとするなら容赦しない、とも言われたが。青山の師範は確かに強そうだったから、対抗手段が皆無と言うわけでもないようだし。

 

 そして御所を出て指定された山へ向かい、その奥深く。

 人里から隠れるようにある村、から少し離れた森の中にある小川の(ほとり)で、烏族の長老と話をして。

 ……ここで、烏族なのか。

 翼は出していないし、見た目は完全に人と同じだ。それでも、気配がどこか人じゃない事くらいは分かる。それに、あまりよく思われていないだろうことも。

 

「まあ、話は概ね理解した。

 ここでも結局は力なんだな」

 

「うむ。我らも決して力が無いわけではないのだが、数で人族に勝てぬ。

 我らはこの世に縛られ過ぎておるゆえに、人族との関係を完全に断つ事も難しい。

 だからこそ、朝廷とうまくやっておったのだが」

 

 要するに烏族は、朝廷の上層部、それも裏側担当者と契約して通信や偵察を担う事で、日々の生活や安全に必要なものを得ていたらしい。それが、この乱世と朝廷の権威低下で維持できなくなったが、それでも烏族の力を手放したくない天皇家と摂家が私に保護を依頼した、と。

 有宣もゼロも、その辺の事情を理解した上で受けるべきだと判断しているのだし、土着の連中を抱き込むのはアリだとは思う。思うのだが……

 

「烏族というのは、異界とやらには住めんのか?

 鬼が住むのはそっちだと聞いているが」

 

「あちらの風は合わなくてな。

 即座に落命するわけではないが、実力を出せぬのもまた事実。

 我らは、自由に空を飛びたいのだ」

 

「要するに、私に保護されるのはやむを得ないから受け入れるが、支配される気はない。

そういう事でいいんだな?」

 

「随分と短絡的な解釈をするのだな。

 極端な表現をすればそうなってしまうのやもしれぬが、そこまで排他的な態度を取る必要が無い関係でいられることを願っておるのだぞ?」

 

「最初はどうしたって、様子見からになるだろうからな。

 どんな相手なのか、多少は時間をかけて互いを見る期間は必要だろう」

 

 尤も、森の中に臨戦態勢の手勢を潜ませている事に気付いている時点で、私からの印象は悪くなっているがな。

 追い詰められた表情といい、白い髪といい、捨て駒で当て馬のつもりなのだろうが……なんて、もったいない。普通なら気付けない程度に潜む事はできているし、戦力として見ても高い能力を持っているようだしな。

 

「さてと、腹の探り合いも面倒だ。まずは、私が有象無象に負けるような雑魚でない事を確認したいのだろう?

 森に潜ませている者を呼んだらどうだ。あの程度で不意打ちされる私ではないのでな」

 

「……不意打ち、だと?」

 

 怪訝そうな表情を作りはしたが、頬が引きつったな。

 ポーカーフェイスに徹しきれていないが、こいつも長である以上、2人だけで会うという話を反故にしたとは認められんだろう。

 

「森のそう深くない場所に、誰かいるぞ。

 この辺りは烏族か認められた客人以外は入れないよう、人払いの結界があると聞いている。そこにいる以上、烏族の誰かではないのか?」

 

「結界は村から離れるほど弱くなる。それに、結界も万能ではない。

 この小川付近の強度であれば、力の強い者なら侵入も不可能ではなかろう」

 

 やはり直接の配下かどうかは断言しないか。

 まあいい、少年漫画的なお約束、戦って勝ったら仲間になるとかいう流れが一番楽そうだ。

 うまくいけばいいが。

 

「そうか。それなら────本人に話を聞いてみるとしよう。

 そこにいる誰か。いる事は分かっているんだ、そろそろ出てきたらどうだ?」

 

 ……迷っているが、どうやら戦うつもりになったか。

 武器は野太刀だし、気が多めで魔力は普通だから、戦い方も剣士系と見ていいだろう。

 なぜか凛々しい系の美女だし、何だか桜咲刹那を思い出すな。前世の日本的な意味で成人している程度に見えるから、年齢は上だろうが。

 

「……お前は、村に害をなそうとしている者か?」

 

「なぜそう思ったのか疑問だが、少なくとも私にそんなつもりはないが?

 その気なら、こんな所で悠長に喋る必要もないしな」

 

「村と直接関係なくとも、依頼などの場合もある」

 

「私は天皇に保護を依頼されたんだぞ?

 人が好さそうなお方だったし、嘘を言っている様子はなかった。これで騙されていたなら、私の目が節穴でお前達を保護していた人物が悪人だった、という事になる。

 初めて会ったから偽者だった可能性は否定しきれんし、この状況を利用しようとするアホがいる可能性も無いわけではないがな」

 

「陽動として利用されている可能性、か」

 

「まあ、もしそんなアホがいた場合は、利用された腹いせにそいつを叩き潰してやるさ。

 その程度の力は持っているぞ」

 

「……では、それを証明してほしい」

 

 ふむ、この流れで戦闘開始か。村長の様子は……困った風な表情を作りながら様子見、だな。積極的に止めない時点で責任が無いとは言えんが、下手に煽っていない事を理由に逃げる気か。介入しないなら、それでいいが。

 野太刀を脇構え……体を右斜めにして剣先を右後ろに下げたのは、カウンター狙いか? 私から仕掛ける気はあまり無いのだが。そもそも……

 

「いざ」

 

 ……正直に言って、何もしなくても怪我すらしないのだが。気合を入れてもらっているのは分かるが、逆袈裟の斬り上げが常時展開の障壁で止まっている。

 それからしばらく様子を見ていた。本当に、様子を見ていただけだ。

 

「……そろそろ、力の差を理解してもらいたいものだが」

 

 最早防御も捨てて必死に攻撃しているのを見ているのは、正直言って辛いものがある。

 ここまでされても障壁が揺るぎもしないとは思わなかったし、手出しするまでもなく相手が力尽きそうな状況と言ってもいい。

 

「だが、お前は……」

 

「うん? おかしいな、この戦いは私の力を見るためのものだったはずだ。

 少なくとも力の差は見せられて……そうか、攻撃を見せていないのが不満なのか。この付近を氷漬けにでもすれば理解してもらえるか?」

 

「……そんなことが……」

 

「できるぞ? 力を見せるという意味では見える範囲全部と言いたいところだが、それでは秘匿に無理がありすぎるからな。

 例えば、そうだな……そこの川でも凍らせてみるか」

 

 少なくとも、凍らせる力を持つ事くらいは見せた方が、納得しやすいか。小さい川だし、凍らせるだけなら無詠唱でも十分だろう。

 これくらいでいいか? えい、っと。

 

「なっ!?」

 

 ……これでもやり過ぎなのか? 目測3メートルほどの範囲を凍らせた程度だが、2人の目が点になっているぞ。

 氷系の術がある事は有宣に確認しておいたし、あいつも小川くらいなら凍らせられると言っていたのだから、そこまでぶっ飛んだ事をしたはずはないのだが。

 

「……不思議そうな顔をしているが、どれほどの事をしたのか理解しておらんのか?」

 

「陰陽師にもこれくらいの事をできる奴はいるし、そこまで突き抜けた力を使った覚えは無いが?」

 

「確かに、現象としては可能だろう。だがそれは、入念な準備や全力での行使があってこそだ。

 間違っても、落ちてきた木の葉を払うような気安さでできる事ではない」

 

「……そうなのか?」

 

 無詠唱で魔法を使う連中はそれなりにいるし、くしゃみで魔法が暴発するような世界だったはずなんだが。

 バグやチートでなくとも、拳で滝を割れるタカミチやらの例もある。烏族の情報が限定されているのか、日本全体が遅れているのか、そもそもそこまで技術が育っていないのか……

 

「まあ、あれだ。結果的にだが、私の力を見せられたという事でいいのか。

 これでお前達が納得するのであれば、だが」

 

「少なくとも、実力不足を疑う事は出来ん。

 だが、これからの話をする前に落とし前を付けねばならんか」

 

「別に何も問題はないと思うが?」

 

「いくら疑わしく思ったからだとしても、人族の長の使いを襲った事実は消せん。

 他の者が納得するだけの罰は必要なのだ」

 

「ふむ、そうなのか。

 どのような罰を考えている?」

 

「追放又は処刑が妥当だろう。

 そうでなくば、人族から追及された場合に問題となろう」

 

 集団を維持するための罰、か。

 必要ではあるのだろうし、あの者も覚悟していた様子だが……まあ、条件的に手はあるな。

 

「では、この者の身柄は私が貰おう。

 襲われた側の私が望んで手元に置くのであれば、外部からとやかく言われる事も無いだろうし、仮にあっても反論しやすいだろう。

 お前達の手元から消えるという点に変わりはないしな」

 

「……本気、なのか?」

 

「当然だ。冗談でこんな事を言える状況でもない。

 捨て駒の様に使われる立場なんだ、外見やらの問題が色々あるのだろうと予想はできる。

 だが、私自身がこの様な外見だし、白い髪や翼も綺麗でいいじゃないかとしか思えん。

 ならば、私が連れて行っても問題はない。むしろ、日常生活での問題が無くなる分、全員が幸せになれる。

 と言うわけで、お前は私のものだ。いいな?」

 

「え……あの、ええと……」

 

 うん、いい感じに混乱しているな。勢いで頷いてくれればよかったが、それは高望みしすぎか。

 後は長老がどう判断するかだが……もう少し後押ししておくか。

 

「ついでに言えば、この外見でも一応は烏族なのだろう?

 結界やらに不要な細工をする必要がないだろうし、飛べるという明らかな利点があるのだから、私から連絡する際の使者としても便利だろう。

 おまけに私の機嫌も良くなるぞ。一挙両得、誰も損をしないじゃないか」

 

「ふむ……そこまで気に入るほどの存在なのか」

 

「異端同士で気持ちが理解できると、私が勝手に思っているだけだがな」

 

「試金石としては、ありかもしれぬな。

 では、お前はこれよりこのお方に仕え、我らとの橋渡し役を申し付ける。

 よいな」

 

「……はい、わかりました」

 

 よし、とりあえず手元に来ることは確定したな。

 心を掴むのは後回しにして、とりあえずは。

 

「いつまでも名も知らんのは不便だ。

 お前の名は?」

 

「雪花、と申します」

 

 セツカ……これはあれか。

 白いせっちゃんゲットだぜ、とか言っておけばいいのか。




2016/03/11 土御門の幼女→私が土御門の養女になる に修正
2017/05/15 最も→尤も に修正
2024/09/19 心苦しんだ→心苦しいんだ
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