金色の娘は影の中で   作:deckstick

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おまたせ o...rz
随分と時間がかかってしまいましたが、ようやく投稿できるところまで書けました。
入れたい場面まで書いた結果、ここ最近としては長めです。そして推敲ってなに状態に。
次こそは、はや……は……⊂⌒⊃。Д。)⊃


魔法先生重羽ま編第25話 終わりに向かって

 暦は既に8月に入っている。

 つまり、あれから1月少々が過ぎた。

 麻帆良祭という意味でもそうだが、魔法公開に伴う大騒ぎという意味の方が重要な期間だ。

 ネギが姿を消してからでもあるし、もはや原作という代物が完全に意味をなさなくなってからという言い方もできるだろう。

 

 とりあえず、国の対応としては。

 幕田公国の動きが、最も早かった。というか、国王が法を公布できる権限を使って魔法の公表と同時に魔法関係の法を発令、同時に魔法協会に警察に協力する治安組織としての役目と権限を与えた。

 これに続くのが月の一族が権力を握っている中東の国で、こちらも魔法の公表に合わせて法の改定を発表していたらしい。

 更に、日本やイギリスなど魔法関係組織がしっかりしていて権力者との距離が近いが議会を無視できない国で、関連法案が次々と成立していく。野党などを説得するために限時法となってるものも多くあるが、それなりの体裁が整うのは割と早かった。

 その後、魔法組織がメガロ寄りだったり、そもそも魔法関係組織が脆弱だったり、メガロメセンブリアとかいう名前だったり、それなりに多くの国が慌てる、という結果はまあ、予想通りと言える。

 魔法との縁が弱かった国にとっては、突然現れたように見える新しい技術に大慌て。

 魔法を知りながら魔法を公開するという意味を理解していなかった国は、今まで見過ごされてきた魔法の行使、特に記憶消去が傷害罪の対象になった事に慌てている。従来からある法の範疇で新しい立証方法が出来たという扱いで、好き勝手やっていた連中(スパイ)が指名手配されたり捕まったりしているらしい。

 想像力が不足していた国や組織にとっては致命的で、メガロメセンブリアの求心力がますます低下したようだ。もはやメセンブリーナ連合という枠が崩壊し始める程に。

 

 魔法組織は、少なくとも私達が影響力を持つ組織については、基本的に治安組織に協力して魔法による犯罪の抑止力となり、同時に魔法に関する正しい知識を広める教師役となる、という予定通りに事を進めている。

 そもそも国と関係があったりするから、今まで裏でこそこそやっていたものが表に出てきただけとも言える。それが誘虫灯となって鬱陶しい連中が寄ってくるわけだが……そこも予想できていたからこそ、国と魔法組織が合同で魔法の公表を行ったわけで。

 表の連中もある程度知っている者がいる事、決して権力に反抗することを目的とする組織でない事。最初にこの2点の証拠を出したからこそ、虫がこの程度で済んでいる、と思いたい。但し、進捗や実効性に問題が無いかと言うと、お察しくださいと返したくなる状況らしい。

 

 原作関係は、もはや跡形もないと言っていいだろう。

 確認のために変態(アル)の本を見てみたが、ネギはあれ以来姿を見せず、美空はシスターでないため懺悔室と縁が無く、ネギま部なんてものができる理由もない。ヴァンからアーニャやドネットはイギリスの魔法組織で頑張っているという話を聞いている。

 

 最大の問題である、世界情勢は……まあ、1カ月程度でどうにかなるわけもなく。

 災害などの救助活動がやりやすくなった点と、既存の「魔法を使う犯罪者」を大っぴらに捕まえて裁けるようになった点が、現状での目に見える効果だと言えなくもない。

 そもそも一般人が魔法を使い始めるのは、訓練期間等の理由でまだ先だ。その間に倫理的な教育やら法的な準備やら組織的な対策やらを行う事になっているし、その頃には魔法世界との本格的な交流が始まっているはずだ。力が正義とか口走るような馬鹿は、魔法世界の化け物やらの洗礼を受けて手の平を返すだろうと楽観的に考えている。

 それ以上の馬鹿もいるだろうが……まあ、それはそれだ。

 

 そして今日は、半月以上の期間を使う、儀式魔法を開始する日だ。

 今日開始する理由は、世界樹の大発光が始まるから。魔力を溜めるというロスを避ける意味もあるが、最大の目的は幻想的な大発光のインパクトを利用する事だ。

 発動を27日にするのは、火星が地球に大接近するから。ついでに、誤差程度だが新月で私の魔力が安定しやすいのも利点か。

 魔法世界を現実世界に固定する、大規模な「幻想を現実化」する魔法は、魔法世界に残された魔力だけでは行使できない。そのため、地球で魔法を使い火星に影響を与える必要がある。

 要するに、地球にいながら火星に魔法世界を作った造物主と、似たようなことをやる必要があるわけだ。

 

「というわけで、そろそろ最終の確認をします。

 儀式魔法の開始から発動まで、エヴァ様及び行使に大きく関係する者は、外界との交流が断絶します。メイド隊を含む月の一族の方々、それに関係魔法組織の人達が護衛となります。儀式魔法と世界樹による防衛はありますが、不測の事態を避けるためにもよろしくお願いします」

 

「はい、わかっています」

 

「ええ、任せて」

 

 ここは移動中のバスの中で、話をしているのはヴァンだが、相手がゼロやクレメンティーナ達だからか、最後の確認という状況だからか。口調が丁寧になっている。

 私とヴァン、それに変態で、儀式を行う。つまり、動けなくなる私達の権限を誰かに預ける必要があり、その相手がゼロやクレメンティーナのはずだが、実際は護衛が主任務となるらしい。

 まあ、私は大雑把な方針を出した後は確認や細かい調整をする程度だったし、それでいいのだろう。

 

「儀式魔法の行使は、予定通りパターンC。エヴァ様が儀式の制御、僕が世界樹の制御、全体の補佐、の3人が中心となります。

 その他にもサポートとして、それなりの人数が付きます。なお、サポートについては最悪の事態への対処、ぶっちゃけると魔力が暴走してエヴァ様や月の魔力が断絶した際に地球を守ることも目的に含まれるので、月の一族以外の方々となっています。

 例外としてノアさんもサポートの一員ですが、エヴァ様と一緒に現地入りして某アニメと関係する印象付けが目的です。問題ありませんか?」

 

「大丈夫です!」

 

 現時点で、変態(アル)とサポート要員、それに警備担当の多くは現地入りしている。

 サポート要員は人数がそれなりにいるから事前に準備するついでに、安全の確保や妨害の予防の手助けにもなるから、らしい。

 私が単独で行使するパターンAや、私とヴァンで行使するパターンBは、予想より魔力が多かった時点で却下されている。サポート要員まで儀式内に取り込むパターンDにならなくて何よりだ。

 ノアのリリカルなアレは、置いておくが。

 

「各人、使用するデバイスの準備やメンテナンスは大丈夫ですか?

 開始まではまだ少し時間があるので、不安があるなら言ってください。遅くなれば遅くなるほどどうにもならなくなります」

 

 デバイス、か。

 私が使うのは頑丈さというか、扱える魔力量だけがウリの、今回の儀式魔法専用のもの。外見も私よりも大きい杖型で、要するに某プレシアのデバイスを模したものだ。アレの儀式の場面でも、このデザインのものを使ったらしい。

 バルディッシュは戦闘用だからとか言っていたが、これも、アニメと合わせて色々やっているのだろう。デバイスの機能に口は出したが、外見は丸投げしたし。

 

「というわけで、問題が無ければ、後は話を聞いてなさそうでちょっと聞いてるけど意識が外に向いてるエヴァ様にお祈りするだけです」

 

「……その表現はどうなんだ?」

 

 バスの窓は塞がれているが月からの視点で外を眺めていた事がバレているし、お祈りされても何も変わらないし。

 

「人事は尽くしたつもりだからね。

 女神たるアルテミスの名を持つ執行者に祈るのは自然じゃないかなー?」

 

「お前だって、儀式を行う一員だろうが」

 

「僕がするのは、蟠桃の魔力制御くらいだし。

 それにほら、テレビの生放送で、幕田家の初代で世界樹を守り続けてきたとか、色々公表するんだから、歴史的にも生物的にも注目されるのは間違いないよ?

 ついでに、神だ、とかはっちゃけるのもアリアリだー」

 

「変に注目されるのも嫌なんだがな……裏の歴史資料やらが公開されたらバレる以上、先に公開する方がマシという意見は理解できても、引き籠りたい」

 

「ま、あのアニメで最後に姿を消すのは、そっち方向に行く可能性を考えてたからだし。

 時間はいっぱいあるだろうから、ゆっくり考えればいいんじゃない?」

 

「時間がありすぎるのも、問題だが……まあ、そうだな。

 ところで、世界樹の近くに探知魔法が妨害される場所がいくつかあるんだが、いいのか?」

 

 具体的には、バスが停まる予定場所にあるバスとか、近くの民家とか。

 無理に隠す必要があるものは無いと思うんだが……

 

「あ、やっぱりバレる?

 警備の人数や人選とか、捕まえたゴミとか、情報を行動してないゴミに渡さないようにって場所がいくつかあるよ。何か隠してる事はバレてもいいから、そこまで高度なことはしないって言ってたかな?」

 

「隠している事も餌か?」

 

「みたいだねー。

 これに食いつく程度なら、さっさと処理した方が楽だろうって」

 

「Gの団子のような扱いなのか。

 雪花やイシュト、リズもこっちだが、戦力的に……まあ、大丈夫か」

 

「戦力不足よりも、集まりすぎた戦力の管理の方が大変っぽい?」

 

「それこそ、雪花やイシュトがいる方がまとまるんじゃないか?」

 

「私は、エヴァ様の護衛です」

 

「肉壁が傍にいないなどありえません」

 

「……そうか」

 

 こいつらは相変わらず、と。

 そろそろ自分の好きなことを見付けてもいいと思うんだがなぁ……

 

「というわけで、そろそろ到着だよ。

 無いと思うけど、忘れ物に注意だよー」

 

「いや、忘れるようなものは……ん?」

 

「どうかした?」

 

「いや、変態(アル)は相変わらずローブ姿だからいいとして、サポートの連中も似た服装が多いのはなぜだ? ローブの半分くらいはフードまでかぶって」

 

「いかにも魔法使い! とか、いかにも陰陽師! ってイメージを狙うらしいよ?

 フードは、顔を出したくない人は深くかぶっておいてねーって。そのせいで、顔を出したくない人は積極的にローブを着たらしいねー」

 

「それに真っ向から喧嘩を売るノアは?」

 

「いかにも魔法少女! だからいいらしいよ?」

 

「……ノア、いいのか?」

 

「是非ともこの服装で、と指示されました」

 

「そうか……」

 

 本当に納得しているかは微妙だが、本人がいいならいい、のか?

 

「それでは終点、世界樹前広場ー、世界樹前広場ー。

 お降りの際は忘れ物と足元に気を付け、慌てず騒がず押さず転ばずでお願いしますー」

 

「いや、どこのバス会社だそれは」

 

「右手をご覧ください、大量の見物客が詰めかけているさまがゴ「アウト」……言わせてよー」

 

「表に出る以上、言動には気を付けた方がいいぞ?

 それに、窓は封鎖中でここからは見えん」

 

「言いたい冗談も言えないこんな世の中っ……毒っ……圧倒的毒っ……!」

 

「どうしてそこでTシャツ姿になる必要があるんだ」

 

 こいつなりに緊張しないよう配慮しているのだろうが……方向性がおかしくないか?

 さてと、ようやく止まったし、移動の時間だ。

 

「んじゃ、先頭は雪花さんで続けて先行する護衛の人、安全確認の気が済んだらエヴァにゃんと僕とノアちゃんね。

 残りの護衛の人とサポートの人は、放送関係の撮影が落ち着いてからだよ」

 

「それでは、先に参ります」

 

「変態は人格に問題だらけだが能力は確かだから、そこまで気合を入れなくても大丈夫だぞ?」

 

「覚悟の問題です」

 

 いや、その覚悟がいらないと……行ってしまったか。

 外で待っているのは、やはり変態と数人のローブ姿サポート隊。状況報告やらで人がバタバタ動いていたり、その周囲をマスコミやらが囲んでいたりするのは、大きな儀式の現場だし仕方ない。

 

「んじゃ、そろそろ出番だよ。

 元気にいってみよー!」

 

「そういうキャラじゃない」

 

 本音で言えば、むしろ後ろを向いて全力前進したい気分なんだ。この大仕事を投げ出してまで実行する気は無いが。

 とりあえず、特に気張る必要はない。平常心、平常し……ん?

 

「お勤めご苦労様です」

 

「私は出所したヤクザか。

 それより、隣の……妙な魔力を感じる誰かは、何者だ?」

 

 感じる魔力的に、あからさまに人間でないナニカが変態の隣にいる。

 身長は、私より少し高いくらい、体格的には小学生の高学年程度か。妖や鬼神の類ではないし、亜人が無理して今こっちに来る理由は無い。フェイトやゼロのような人工的な気配とも違う。そもそもかなり強大な魔力を封印か何かで抑えているような感じがする。

 こんな魔力の持ち主に心当たりはない。ないが、どことなく知っている気配が……んんん?

 

「あ、気付いてくれました?」

 

 そう言いながらフードを脱いだのは、やはりネギ……だが……

 

「ちょ、ちょっと待て!

 その異常な魔力は何だ! いったい何をした!?」

 

「恋をしました!」

 

「そうじゃないっ! 人間を辞めてまで一体何がしたいんだ!?」

 

「愛したいんです!」

 

「だからそうじゃないっ!! どうして自ら永遠なんて逃げ場のない牢獄に入った!?」

 

 ネギから感じるのはどう考えても太陽の魔力で、私よりヤバいレベルの人外じゃないか!

 

「だから、ボクは、エヴァさんを、愛したいんです!

 言ったじゃないですか、エヴァさんと幸せになるのが目標です、って。隣を歩く最低条件のひとつは数十年程度で居なくならない事、ですよね。それに、守られるばかりの軟弱者もだめです。

 入り口で足切りされない程度には頑張ってみました!」

 

「頑張ってみました、で人間を止めるんじゃない!

 世間が思うような希望や栄光など、永遠には存在しないんだぞ!!」

 

「それくらい知っています。

 でも、その程度の覚悟も無しで、エヴァさんの隣に行けるわけないじゃないですか。ボクでもそう思うのに、イシュトさんや雪花さんたちが許してくれると思えません。

 それに、いくら言っても手遅れですよ。もうこうなっちゃってますから」

 

「……受け入れられない可能性は考えなかったのか?」

 

「それはまあ、ちらっとくらいは。

 でも、時間はいくらでもありますから、努力して何度でもチャレンジしようかなと」

 

「はぁ……まったく。ここしばらく姿を消していたのが、こんな事をするためだとはな。

 念のために聞くが、アリカやナギは知っているんだろうな?」

 

「もちろんです。特に反対もされませんでした!」

 

「積極的に勧めない時点で、問題だらけだと気付いてほしかったが……」

 

「何かしようとするときに問題がない事がありえませんし、問題なんていくらでも思い付きます。

 それでも、ボクは、エヴァさんと、いたいんです!」

 

 こいつ、下手すれば原作のネギ以上に強情だな!?

 敵対する気が皆無でこの魔力持ちを放逐するのも、悪手ではあるし……ああもう、どこまで計算してやっているんだ。

 

「とりあえず、強制排除はしないが……今からどうするつもりだ?」

 

「まずは、儀式魔法を成功させましょう。

 じゃないと、安心して先に進めません」

 

「いや、それは……まさか、参加するつもりか?」

 

「はい!

 あ、別に儀式の内容が変わるわけじゃないです」

 

「ここからは私が。というか、私は例のアレ的な形でサポートするので代役をネギちゃんに、というだけなのですが」

 

「例の、アレ?」

 

「リリカルなデバイスですね。

 ほら、ノアちゃんのデバイスは、私を模した本だったでしょう?」

 

「知らん」

 

「声も私だったのですが」

 

「知らん!

 というかいつから企んでいたんだ!?」

 

「広い意味では、1000年ほど前からでしょうか。

 ほら、私が言うのもなんですが、自律型の魔導書は浪漫でしょう?」

 

「そっちじゃないネギの方だ!」

 

 というか、わかって言っているなこの変態は!!

 

「ああ、そちらですか。検討を始めたのは600年ほど前ですね」

 

「私でやらかした頃か!?

 お前達は反省と言う言葉を知らんのか!!」

 

「反省を踏まえた結果ですよ?

 本人が望まないのであれば、人として生きる未来も選択できました。

 世俗から離れ、父の故郷で過ごす選択肢もありました。

 比較的普通に近い生き方として、王国で魔法の技術者を目指すこともできました。

 権力を求めるならば、王にだってなれたでしょう。

 立場は少々窮屈だっと思いますが、それに見合う選択肢は用意できたと思いますよ」

 

「反省したのはそれだけか!?」

 

「女性の体に男性の精神となってしまった事や、今までの生活を壊してしまった事も反省しましたよ?

 ですから、可能な限り周囲の人物、お詫びの意味も込めて特にエヴァちゃんと相性のよさそうな、我々の手で生活を壊す事のない何らかの原因で死亡する直前の人物を探したのです。

 占いなどを駆使した結果、またしても心と体の性別が食い違ってしまいましたが」

 

「まずはそこを反省しろ!」

 

「反省したんですよ? だからこそ、共に歩める人を、という目標を最初に設定しました。

 ある程度の仲間を作る可能性は考えていましたが、ここまで大きなものになるのは予想していませんでしたからね」

 

「その程度の軌道修正はしろ!

 それとも、硬直した、修正不可能な、必然的に失敗するような計画だったのか!?」

 

「性別に関しては狙ったものではなく、結果ですからね。そもそも、アリカ女王の子や男子として生まれるという制約を行っていません。近所の女の子として生まれていた可能性もある術式だったのです。

 それに、人間関係が円滑であることは重要です。この条件を外す選択肢は無かったのですよ」

 

 ああもう、こいつはいつもああ言えばこう言う……というか、ネギを狙ったものではなかった?

 

「随分と不思議そうですが、本当ですよ。

 例の予言書の内容は、ほぼ破綻したと判断していましたから。ウェスペルタティアの王家も健在ですし、王家の一員であるならば予言書とは全く違う結果になるだろうと思っていたのですから」

 

 ……こいつはこいつで、原作とは別で考えていた、という事か? それとも、この条件でもネギになるだろうという予測で動いたのか?

 変態の性格や状況を考えると、はっきりと口にしたことは明確な嘘ではない程度には真実を含んでいるはずだから、ネギに限定していないのはそうなのだろうが。

 わからん。わからんが……これも修正力やらの影響、なのか?

 

「いいじゃないですか。

 ここにいるボクは、ここにいるエヴァさんを大好きなんです。

 占いで見合い相手を選んだら大当たり、くらいに思えばいいんですよ!」

 

「いや、それとは話が……」

 

 一度殺された上で別人になるのは、その程度じゃないと思うんだが。

 

「おや、そろそろ時間的に厳しいですね。

 というわけで、問題ありませんね?」

 

「はい。儀式の内容は全部覚えて、必要な練習もしてきました。

 エヴァさん、まずは世界を救って、未来はそれからです!」

 

「……やれやれ。どうしてこうなったんだろうな……」

 

 そして、変態は本の姿になりノアと共に移動。

 ネギも、本来は変態が立つ予定だった場所に移動した。

 ……そういえば、ヴァンも全体の補佐を変態だとは言っていなかったな。あの悪戯小僧め。

 配置は……この2人以外は予定通り。世界樹も発光が強くなっているし、そろそろ頃合いか。

 

「これより、魔法世界との交流を可能にするための儀式を開始する。

 総員、用意!」

 

 思えば、ここまで長かったな。

 そして……これが成功すれば、私は目標も失うことになるのか。

 

「リク・ラク ラ・ラック ライラック!」

 

 さあ、始めよう。

 私にとっての、1つの終わりの始まりを。




次が終話となります。投稿時期はお察しください orz


2020/05/04 以下を修正
 1カ月→1月
 技術に慌て→技術に大慌て
 論理的→倫理的

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