二人の鬼   作:子藤貝

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夢幻の世界で語らうは、バケモノと人形。
悪を解する者は、また悪である。


第九話 悪と悪

「……降参だ」

 

先程から十分程後。そこには、片腕をもがれてボロボロになった青年、プリームムの姿があった。2対1という圧倒的不利な状況で、彼はそうとうに善戦したといえる。魔法の通じない鈴音と、神速のチャチャゼロを同時に相手して、腕一本ですんだのだ。

 

「……許さない……」

 

しかし、鈴音は無情な言葉を告げる。彼女からすれば、自分の大切な仲間であるチャチャゼロを壊すなどと言われたのだ。普段感情の起伏が乏しい彼女でも、この逆鱗に触れられれば怒りを爆発させる。未だ彼女の怒りは収まっていないのだ。しかし。

 

「マア待テ。コイツマデ殺シチマッタラ、後々オレ達ガ付ケ狙ワレカネネェ。コイツヲゴ主人ノ真ン前ニ連レテッテ、背後組織ノ事ヲ吐カセルベキダト思ウゼ?」

 

「……でも、こいつは……チャチャゼロを……」

 

チャチャゼロにそんなことを言われても、なお食い下がる鈴音。

 

「鈴音。戻レナク(・・・・)ナル(・・)ゾ」

 

「……わかった……」

 

チャチャゼロのそんな一言で、ようやく彼女も引き下がる。

 

「アア、逃ゲヨウナンテ考エンナヨ? 両足モ切断シタラ持チ運ビシナキャナンネェカラナ」

 

「……今更、逃げられるなんて思っちゃいないさ」

 

既に、プリームムは満身創痍。加えて、重要な戦力二人を瞬殺された失態と、圧倒的実力差を見せつけられて心も折れそうな有様である。逃げ出すような気力さえ沸かないが正解だろう。

 

「……マスターに、処断……してもらう……」

 

 

 

 

 

「で、私のいない間によからぬことをしようとした不逞の輩を捕えたと」

 

「……はい……」

 

日が落ちて今は夕暮れ時。家へと戻ってきたエヴァンジェリンに事情を説明し、この青年をどうするかを決めてもらおうとしていた。一応、鈴音の意見としては今すぐにでも3枚に下ろしてやりたいと言ったが、チャチャゼロが言った通り背後組織の情報を得るために生かしておくべきだと却下された。

 

「二人共、こいつは私に任せて今日はもう休め。特に鈴音、お前は少し頭を冷やせ」

 

二人にそう言って部屋から出て行くよう命じる。エヴァンジェリンにしては珍しく、鈴音を窘める言葉まで言い渡して。

 

「……チャチャゼロ……戻ろう……」

 

「ダナ。コレ以上ハオレ達モ邪魔ニナルダケダロウシナ」

 

少々きつい言われ方をしたため、項垂れながら部屋へと戻っていく鈴音。それを宥めながら、チャチャゼロも部屋を後にした。

 

「さて、私の大事なシモベに手を出した貴様は、一体何者だ? その作り物の体といい、少々異質すぎるな」

 

「……貴女も僕の正体に感づいていたのか。どうやら、君たちに手を出したのは藪をつついて蛇を出したようなものだね」

 

「フン、私は『人形遣い』だぞ? 人形のような貴様など人間と全く気配が違うわ。さあ、私達にちょっかいを出してきた報いとして、貴様の所属している組織を吐いてもらおうか」

 

彼の首に、いつの間に張り巡らせたのか細長い鋼線(こうせん)を食い込ませて脅す。しかし、プリームムは顔色一つさえ変えず、

 

「断る。僕もあのお方に造られた以上、矜持がある。自分可愛さに情報を吐くなどと思わない方が身のためだ」

 

「ほう、この私を目の前にしてよくそんなことが言えるものだ」

 

そう言うと、エヴァンジェリンは彼の頭を両手で固定し、自分の顔へと向けさせる。

 

「プリームムと言ったな。お前、私の目を見ろ」

 

「何を言って……!」

 

【イイカラ見ロ……】

 

彼女の瞳を見た瞬間。その宝石とも、暗黒とも呼べる輝きを最後に、プリームムは意識を失った。

 

 

 

 

 

「これは……幻想空間か」

 

目が覚め、周囲を確認してみれば先ほどの部屋ではなく、何故か屋外にいた。周辺からは焦げ臭さが鼻につき、家々は全て焼き払われた後であり村であったであろうその場所は、一言で言えば廃墟であった。

 

「……わざわざこんな幻覚を自分に見せて、何をするつもりだ……?」

 

そんなふうに思考してみるが、ふと地面を見れば、随分と近い気がする。

 

「そういえば……腕がないのは元々だが、何故ここまで周囲を大きく感じるんだ?」

 

とりあえず、近くに転がっていた民家のものと思しき鏡の破片を見つけて拾い上げる。そこに写っていたのは。

 

「……なんだと」

 

自分の姿が、縮んでいた。腕は先ほど失ったから違和感を抱くの仕方がないが、まるで自分自身をそのまま幼くしたかのような姿には、さすがのプリームムも動揺した。

 

「くっ! 出てこいエヴァンジェリン! 僕をこんな姿にしてどうする気だ!」

 

叫んではみたが、虚しく空気に溶け込んでいくだけ。どうやら、彼女は出てくる気はないらしい。

 

(まて、落ち着け……僕はあくまで幻覚を見せられているだけ。幻覚を解除する魔法を使えば問題ないはずだ)

 

早速、始動キーを唱えた後、その魔法の呪文を紡ぐ。だが。

 

(魔法が発現しない……!?)

 

魔力を体内で練り込むところまではできた。しかし、そこまでなのだ。彼の口からいくら魔法を唱えても、それが現出する様子はない。

 

(恐らくは彼女の仕業か……! ともすれば、この幻覚は特殊な条件で成り立っている……!その条件をクリアするまでは、現実には戻れないということか)

 

なにせ、幻術を掛けられた相手が600年を生きる大魔法使いだ。この程度の魔法はお手のものなのだろう。仕方なく、彼は徒歩で周囲を歩いて探索することにした。

 

「ここは……幻覚であるとはいえどこに相当する場所だ?」

 

仮にも、魔法世界全てを裏から操る組織の者である。場所さえわかれば、自然と対処法も分かってくるはずだ。

 

(急いで覚めなければ……術者であるエヴァンジェリンは恐らく現実世界で動けないはずだから彼女は問題ないが、あの二人に動けない状態で何かされるかもしれない……!)

 

しかし、現状では打つ手が無い以上は、目の前の問題を片付けるしか無い。幸い、旧世界では生息していない生物がいる時点で此処が魔法世界だと分かったので、まだチャンスは有る。暫く歩いていると、難民キャンプと思しきテントの集落があった。

 

(しめた……今の僕は幸か不幸か子供。大人に保護してもらえればそれでいい……。あとは魔法が使えないことを何とかしていけば……)

 

急ぎ足で、その難民キャンプへと近づいていった。

 

 

 

 

 

「スマンな坊主、もう食い物の配給は終わっちまっただ。こんぐらいしか残ってねぇ……」

 

キャンプについた後。プリームムは中年の男性に事情、といっても住んでいた村を焼かれたという嘘であったが、それを話してここのまとめ役をしている男性のところに案内された。そこでまず、ひと通りの事情を話した後、固いパンと薄いスープを出された。腕のことには触れて来なかったことから、気を遣われているのかもしれない。

 

「いえ、別に大丈夫です。それより、ここはどういった理由で?」

 

そんな質問をぶつけてみる。すると、テントの外で見張りをしていた人物が中に入ってきて、何の話をしているんだと聞かれたので話してみると。

 

「ああ、連合と一戦やらかした際に、この周辺の村々が被害を受けてな。……西の村は全滅したようだ、緊急時のためにここを避難場所として定めていたというのに誰も来やしない」

 

兜を脱ぎ、傷だらけの顔を晒すと、汗で濡れた頭と顔を拭く。その拭き布も、所々が黒く変色してボロボロだ。

 

「娘からもらったハンカチもボロボロだ……帝都に疎開させたから大丈夫だとは思うが、無事でいるか……」

 

「うちの息子は……グレート=ブリッジに左遷されたらしいだ。激戦地だかんなぁ……」

 

そんな、子供を心配する親の言葉にも、プリームムは眉一つ動かさない。

 

(どうでもいい話だ。どうせ彼らも幻覚……そもそもたかが人間に僕が同情するとでも思っているのか彼女は)

 

彼は、今の状況が自分に彼らに対する同情を抱かせて精神的に不安定になってから情報を抜き出すつもりなんのではと勘ぐったのだが、それは愚策。彼は人間に近い姿ではあるが、本質的にはむしろエヴァンジェリンら人外に近い。人間に対する情など、はなから欠片も備わってなどいないのだ。

 

(それよりも、今の僕はただの子どもと同じ。……ここにいる以上は大人が僕を守ってくれるだろうが、それではこの状況は進展しない)

 

安全をとるか、それとも危険を覚悟で戦場を横切る真似をするか。この幻覚が生死に関わるものなのかは分からないが、少なくとも精神的な死は覚悟した方がいいだろう。

 

(ままならない状況だ。ここまで厄介な事をしてくれるなんてね……)

 

 

 

 

 

保護されてから1日が経過した。相変わらず彼はこのキャンプ地に縛られていた。というのも、此処に来てから連合からの攻撃が激しくなり、動くに動けない状況なのだ。

 

(時間だけが無為に過ぎていく……歯痒いな……)

 

今の彼は非力な子供。何もできない、ただの子供でしか無い。これからどうすべきかを考えていた時。ふと、自分の服の裾を引っ張られる感覚が。

 

「なーなー、にいちゃんにいちゃん」

 

「……なんだい?」

 

無視してもよかったのだが、それで泣かれでもしたら面倒なことになる。仕方なしに、彼は返答をした。

 

「にいちゃんてどこからきたの?」

 

「…………この近くの村だよ」

 

村の名前などは当然知らないため、適当にはぐらかすかのように言う。要領を得ない返答に子供はそれでも満面の笑みを見せながら、

 

「ぼくはね! ぼくはひがしのむらからきたんだ!」

 

「そ、そうかい……」

 

子供の元気な様子を見て、思わず怯んでしまう。非力な状態になったことのないプリームムには今の状況は不安で仕方ないのだ。

 

「も、もういいかな?」

 

「えー、もっとおはなしー!」

 

「これこれ、お兄ちゃんが困っとるじゃろ」

 

駄々をこねる子供を見て、老人が間に入ってくる。老人に促され、少年は渋々老人とともに彼から離れていった。

 

「ばいばーい! またおはなししようね!」

 

 

 

 

 

その後、村ごとから出た代表者での話し合いが行われた結果、子どもたちを帝都にある孤児受け入れ施設に送ることとなった。この決定に、プリームムは内心舌打ちしてしまう。

 

(マズいな……孤児院などに入れられれば、ただの子供になっている僕では自由を奪われるのと同じようなものだ)

 

たとえ幻術でも、このまま流されてしまえば一生抜け出すことさえできないかもしれない。こんなくだらない精神世界で惰性で生きていくなんて状況など耐えられるはずがないのだ。結局、彼はこの決定に従いたくないため、危険を承知で戦場を横切ることを決意した。

 

そして、日が落ちて今は宵闇時。彼はこっそりと、キャンプを抜けだした。

 

「さて、これからどうしたものか……」

 

周囲は森林。月明かりだけを頼りに歩いてはいるが、行く宛がない。足元さえ見えない暗さであるため、ぬかるんだ地面に足を取られて転んでしまう。

 

「くそっ!」

 

魔法が使えない非力な子供に成り下がった自分に腹が立つ。これほど屈辱的な幻覚を掛けられた自分にもだ。何故あそこでレジストをしなかったのか。簡単だ、する暇さえない手際の良さで為すがままにされてしまったから。

 

「……起き上がることさえ不便な体だ……」

 

右腕は幻術を食らう前から無いが、それを失ったのはつい先程。バランスの悪い片腕では体を思うように起こすことさえできない。何度も何度もぬかるみの中でもがき、ようやく近くの木の根を掴んで体を支えながらゆっくりと起き上がる。

 

「あれは……?」

 

起き上がった後、彼は目の前に一筋の光明を見た。明かりが見えたのだ、魔法的な光かはたまた篝火(かがりび)によるものなのかはわからない。ただ、この現状を打破しうる何かがあるとプリームムは直感的に理解し、その明かりに向かって歩いて行く。

 

「……こんなところに、民家が……?」

 

見つけたのは、粗末な掘っ立て小屋。だが、頼りとした明かりである篝火があることから、ここに誰か住んでいるのだろう。

 

「……とりあえず、住人がいるようだし背に腹は変えられない……」

 

ドアをノックする。体中泥まみれになっていて気持ち悪い。せめて水浴びぐらいはしたい。しかし、開かれたドアから現れたのは。

 

「ほぅ、遅かったじゃあないか」

 

彼が今最も殺意を覚え、そして出会いたくなかった人物。エヴァンジェリンがそこにいた。

 

 

 

 

 

「ククク、面白いことになっているな。どうした、そんな泥まみれになどなって」

 

「よくも抜け抜けと……! 今すぐここから出せ!」

 

右頬が泥で汚れており、姿も子供であるため全く迫力がないプリームム。それを見て、エヴァンジェリンは実に面白そうな顔をしている。

 

「何がおかしい……!」

 

「いやな、わざわざ幻覚をかけている相手に解除しろと言われたのでな。実に滑稽だと思っただけだ。そんな声まで荒げて、怒っているのか?」

 

「怒るだと? 感情のない僕が? 巫山戯たことを言ってくれる……。大体なんだこの幻覚は。僕をバカにするためにこんな真似をしたのか」

 

エヴァンジェリンの言葉で、これ以上相手のペースに乗せられる訳にはいかないと冷静さを取り戻し、幾分落ち着いた口調となる。エヴァンジェリンはなお笑みを崩さず。

 

「言っておくがな、これは私が術をかけたのは間違いないが、この光景自体はお前自身の深層心理から再現されたものだぞ?」

 

「……なんだって?」

 

「思い出してみろ、貴様の眺めていた景色は……貴様の記憶の片隅に眠っていたものであるはずだ」

 

記憶を必死になって掘り返す。すると、徐々にその光景に対するデジャブを感じてきた。

 

(まさか……本当に?)

 

ありえないと否定したいが、それは自分はさる人物に造られた自分を否定することになる。記憶違いなどということは起き得ない。だが、あれは果たして自分が体験したことだったか。

 

(いや……あれは……)

 

あの光景は、確かに自分が体験したものだった。自分が、目的のために行った行為の数々だ。最初の焼け焦げた村は、自分が帝国に連合と争わせるために引き起こした、悪魔による襲撃の跡。次のキャンプ地は、幻影魔法で子供になって潜り込み、混乱を引き起こして更に連合への敵愾心を煽るために訪れた場所だ。

 

すると、急に景色が小屋から一変して、燃え上がる村の中へと変わる。

 

「助けてくれ! 火が! 火がああああああああああ!」

 

「ジェーン! どこにいるジェーン!? 返事をしてくれ!」

 

轟々と燃え盛る紅蓮は、人々を次々と飲み込んでいく。逃げ遅れたものから順に、まるで生きているかのように。

 

「ま、魔法だ! この炎は魔法だぞ!?」

 

「誰がこんなことを……ぐおああああああああああああ!」

 

焼け焦げていく、人、人、人。老若男女差別なく、物言わぬ炭へと姿を変えていった。それに紛れる、無数の黒い影。これら全てが、炎を吐き散らかす悪魔だった。悪魔たちは人々が燃えていくさまを見ながら、下卑た笑い声を上げながら蹂躙する。誰一人とて例外はない。

 

上空には、この光景を静観する一人の人物。それは、まさしくプリームムの姿だった。

 

「……まあ、こんなところか」

 

一言。たったそれだけを言い残し、彼は去っていった。それを見ながら、ああこんな感じだったなと、冷めた目で見ていた。更に場面は変わる。

 

「うわあああ!? 子供たちが襲ってくる!?」

 

「誰かに操られている! 早く解呪の魔法を!」

 

「ねーねー、あそんでよー」

 

「たのしーよー!」

 

恐怖の声を上げながら逃げ惑う人々。子供たちを助けようと奮起する人々。そして、操られながら無邪気に笑い、手に手に武器を持って走り寄る子供たち。足元には、地面ゆえ分かりづらいが真っ赤な斑点が散らばっている。正に地獄絵図だった。

 

「術者を探せ! 術者を倒せば子供たちの目が覚めるはずだ!」

 

「おじさん! 向こうに怪しい人達がいたよ!」

 

指揮をとっていた中年の男性に、一人の子供が近づく。それは今の自分と瓜二つの、いや正しく彼自身であろう少年。幻影で姿を変えたプリームムだ。ただひとつ違うのは、このプリームムは腕がしっかりとついていること。

 

「その人達、魔法の杖を持ってなにかしてた!」

 

「そうか! おい皆! 近くに術者の集団がいるぞ! 手分けして探せ!」

 

無論、これは彼の仕組んだ罠。実際に子供を操っているのはプリームムの仲間であり、近くにいる杖を持っている集団、即ち連合の兵士は杖のメンテナンスのために軽い魔法を唱えていただけだ。このメンテナンスをさせている兵士の長も、彼側の人間。全てがミスリードを誘うためのものだった。

 

ふと、子供たちの一人を見てみれば。そこには昼間に纏わりついてきた少年の姿があった。少年は同じく昼に見た老人の喉にナイフを突き立て、やたらめったらにナイフを動かし、苦しむ老人を見ながら無邪気に笑う。昼間に見せた、屈託のない笑顔で。

 

「クク、随分と悪趣味じゃあないか」

 

「……この方法が効率が良くて無駄がない。そう思っただけさ」

 

いつの間にか横にいたエヴァンジェリンの言葉に、しかし冷淡な言葉で返す。

 

「さて、もういいかな」

 

声に反応して振り返ってみれば、幻覚のプリームムは幻覚を解除して水の『(ゲート)』を使って転移をしているところだった。水の中に消え、後に残ったのは混乱だけ。やがて目の前の空間がぐにゃりと歪んだかと思うと、再び小屋の中へと戻っていた。

 

 

 

 

 

「覚えていないはずだ……こんなどうでもいい、記憶の片隅にさえ留めておく必要さえない光景など」

 

彼からすれば、あれらは計画に必要な下準備。いちいちそれで被害にあった人間やら亜人やらを覚えておく必要など無いのだ。

 

「ふん、確かにこれは僕の記憶らしい。だが、それがどうした。僕に罪の意識でも芽生えさせて良心に訴えかけて情報を吐かせる気か? とんだ茶番だね」

 

人造生命体であり、偽の感情を与えられただけである自分に、精神的な搦手などはなから通用しない。それを皮肉って発言したが、彼女の笑みは崩れない。

 

「そりゃそうだ。私は別にお前にそんなくだらない事をするために、この幻想空間に引きずりこんだわけじゃない」

 

そう言うと、彼女は片手を頭上に向け、パチンと指を鳴らす。すると、今までいたはずの小屋の中ではなく、プリームムには見慣れた光景が広がっていた。

 

「ここは……」

 

「お前の最近の記憶から抽出した光景だよ」

 

そこは、彼が絶対服従する主の姿と、同僚の姿があった。

 

 

 

 

 

「……随分と悪趣味だね、吐き気を覚えるよ」

 

先ほどの光景を実行した彼が言えたことではないが、彼は率直に心情を吐露した。本当なら目の前の彼女に魔法の一発でもぶち込んでやりたいが、生憎彼女はこの幻影の掌握者。攻撃などしても無意味だろう。

 

「そうか、それは光栄だな。私は自分が意地の悪い悪党だと自覚してるんでな、褒め言葉にしかならんよ」

 

目の前では、元の姿のプリームムを含めた人物3人が、話をしているところだ。

 

「アレが元の貴様だから……あの怪しい黒ローブが貴様の主か。その横にいる、魔族のような奴が同僚といった具合か?」

 

「…………」

 

彼女の問いかけに沈黙するプリームム。ここで下手に喋ってしまえば、彼女に有利な情報を与えてしまいかねない。しかし、彼の考えとは裏腹に、ドンドンと組織の秘密や目的をばらしてしまう幻覚の自分。

 

「なるほどな、貴様らの主は"造物主"などと呼ばれ、目的はアスナの能力を用いて魔法世界を分解し、この幻影世界のような場所に送り飛ばすことか」

 

(くそっ! 目の前で秘密がバレていくというのに、何もできない……!)

 

無力な自分に思わず歯噛みする。これほど屈辱的なことをされたのは、主人たる造物主に造られてから初めてだろう。

 

「ククク、秘密が筒抜けなのを目の前にして何もできんのが悔しいか? 貴様は恐らくこの造物主とやらに造られてから不自由など何一つ感じていなかっただろうからな。貴様自身のスペックから考えれば容易に想像できる」

 

だからこそ、あえてこんなやり方で情報を抜き出そうとしているということか。なんという、憎たらしくも効果的なやり口。間違い無く、このエヴァンジェリンという人物は将来的に我々の大きな壁となりうる。否、既にその障害として立ちふさがっているのだ。

 

「強大であるがゆえに、お前たちは犠牲となった存在を忘れかける。私にはそれがたまらなく許せないのだよ……」

 

「下らない……たかが計画のための必要なプロセスでしか無い」

 

「若いなぁ。認めたくないとムキになるその姿、昔の私のようだ。言っておくがな、私達のような悪党が、奪ってきたものを忘れてしまえばそれはただの逃げ(・・)だ。毒とも思える後ろめたい過去を飲み干し、平らげてこそ……一流の悪党だと私は思う」

 

「……この僕が、君たちに劣るとでも言うのか」

 

「ああ、そうとも。今のお前は少し強いだけの人形。何もかも背負う覚悟を持った私達に、お前程度が勝てると思うか?」

 

返す言葉はない。実際、彼女らには手も足も出なかったのだ。

 

「面白い……!」

 

ここまで苦戦を強いられる相手は、『赤き翼(アラルブラ)』のあの男ぐらいだった。だからこそ、この少女の皮をかぶった悪魔を乗り越えてみたいと感じている。

 

(……なんだと?)

 

そう感じていた自分にハッとし、一瞬で頭が冷える。自分が、彼女に対してまるで人間のように対抗意識を向けている?

 

(馬鹿な……)

 

たしかに今、自分は圧倒的な逆境に立たされている。幻覚で姿が子供にされ、魔法も使えず腕がないために戦闘もまともに出来ない泥まみれの姿。そして、敵に情報さえ与えてしまう体たらく。彼からすれば首を括って主人に謝罪したい状況だろう。

 

しかし、今彼はかつてない感覚を抱いていた。あの憎たらしい赤髪の少年を相手取るよりも、この少女の優位に立つことを欲している。何故、どうして。

 

「自分の感情に振り回されていては、まだまだガキだ。お前は相応の年数を生きてきたのだろうが感情が未発達であるゆえに、まるで幼子のようだ。まあ、お前の数倍は生きているだろう私からすれば当たり前のことだろうが」

 

「……その指摘は不適格だ。僕に感情なんて」

 

「では今のお前はなんだ? 初めて感じる不便さに憤りながらも、それを乗り越えようとする心が見え隠れしている。二律背反のようでその実当然の昂ぶり……。まさに感情の暴走だ」

 

自分が、感情を走らせている。その事実を、プリームムは理解できなかった。造物主に製造されて以来百と余年。ただひたすらに主人のために尽くしてきた自分は、偽の感情を与えられただけの木偶(でく)だと思っていた。それが、違っていたというのか。

 

「たとえ造られた生命であろうと、魂が宿った存在に変わりはない。お前もまた、鈴音が言うには歪だがしっかりと魂を確認できたらしいぞ? 人形であるチャチャゼロがそうであるようにな」

 

「だが、それが感情を有する証拠となるものか!」

 

「ああ、なり得んだろうな」

 

「なら……!」

 

「ならば何故、お前は必死になって否定しようとする?」

 

その言葉に、プリームムは言葉を詰まらせる。答えられないのだ、自分が何故こうも必死に否定を貫こうとしているのかが。

 

「怖いのだろう? お前は感情を否定することで冷徹に、機械のように一定で在り続けて強さを維持してきた。感情は、時として邪魔になることさえもある」

 

「……ああ、そうだ。僕には必要のないものだろう……?」

 

「だが、それだけではただの機械とどう違う? 時に感情は、我々バケモノすら凌駕するチカラを発揮させる起爆剤ともなりうる。そして、人間的思考は感情によって生まれる。お前たちの目的達成には、邪魔者とているだろう? ならば有利にも働くはずだ」

 

「そうではあるだろうが……。一つ聞きたい」

 

湧いたのは、彼女に対する疑問。

 

「感情の有る無いでは、果たしてどちらが強いんだ?」

 

プリームムからの質問に、彼女は少し思考するような仕草をして、こう答えた。

 

「さて、な。私もよくは分からんのだ。感情を捨てた者の強みもあるが、それは果たして捨てない強さを持ったものを打倒し得るのか、とな」

 

エヴァンジェリンも、かつては人間に度々裏切られてきた苦い過去がある。その度に、もう二度と同情など抱くかと思ってきた。だが、結局そうすることはできなかったのだ。かつて本当に自分を友人だといってくれた者、涙を流しながら彼女と敵対した者、彼女と戦い、誇りを胸に散った者。彼らを思い出すと、どうしても無感動ではいられなかった。

 

「感情を最も発露するのは知性ある存在、即ち人間や亜人達だろう。そんな存在と、私は今でこそ決別したが、まだ魂は未練を残している。バケモノであり、人間の近くて遠い隣人となった私でさえ、彼らと同じでなくなったことを惜しんでいるのさ」

 

彼女は紡ぐ。彼を揺さぶる言葉の数々を。それがたとえ彼女の思惑通りの作戦だとしても、プリームムは聞かずにはいられなかった。自分が感じている、この『何か』を理解したいから。

 

「見て、聞いて、そして体感したはずだ。お前自身の過去の記憶から。必死になって生きている彼らは、強者であるお前にとっては羽虫のようなものだろうが、同じ弱者である今のお前は

彼らと同じだ」

 

それを考慮して、改めてどう感じたかと、彼女は問いかける。プリームムは、やはり同情する気持ちなど抱かなかった。だが、今度はなぜか、はっきりと思い出せる。こうして体験したのだから強烈に印象に残るのは当たり前だが、記憶の彼方へと押しやった光景でもある。思い出せなかったのは、記憶に留めるに値しない存在だったからだ。

 

それはこの幻影の中でも同じ事であったはずなのに。

 

「はっきりと覚えている……? 僕にとって瑣末な存在であるはずのものをか……?」

 

「それだよ、お前はまず、鈴音との戦いで恐怖を覚え、そしてこの幻影内で無力を知った。一度だけでも弱さを知ったものは、それと同等だった存在を忘れにくくなるものだ。感情的になる奴は叩き潰されやすいが、逆に弱さを知らない相手は足元をすくわれる」

 

「……忌々しいが、彼らは確かに足掻いていたよ。無駄だとしか言えないような状況で」

 

「そう感じている事実が、お前に感情を肯定させうる証拠というわけだ」

 

黙して、考える。確かに、感情的になることで欠点も生まれるだろう。だが、自分の目の前で笑っている存在は感情なき存在か。自分たちを追い詰める『赤き翼』は無感動か。それらを総括して考えをまとめ、彼はひとつの結論を出した。

 

「……認めよう。僕は、たしかに感情を有しているらしい」

 

肯定の言葉。彼にしてみれば本来意地でも認めなかったであろうことを、口にして認めたのだ。しかし、今の彼は既に不快感はない。考えてみれば、たかがそれだけのことを拘っていた自分が滑稽に思えてくる。認めてしまえば、意固地になっていただけの自分のなんと愚かなことか。

 

「いい顔だ。ようやく一歩を踏み出したわけだ、お前という生命は」

 

「フッ、なんとも複雑な気分だよ。敵であるはずの君にこんなことを気付かされるなんて、ね」

 

しかし、悪くはない。そう感じていた。まるで好敵手といえる存在と出会えたかのような、そんな不思議な感覚。

 

「君たちはたしかに、僕らの脅威だ。だが、それを打倒してみせてこそ……あのお方に造られた存在だと誇ることができる」

 

「ククク、私たちはそう簡単にやられはせんぞ? 我々を打倒するのは、悪党を駆逐する真の英傑のみ。たかが世界最大の悪党など、捻り潰してやるさ」

 

「苦労しそうだよ、『赤き翼』と君達を同時に相手するのは。まあ、それでも最後に勝つのは僕らだろうね、たかがバケモノ相手に負ける気なんかない」

 

「ククク、いいだろう! ならば万難を排し、万全を以って我らを打倒して屈辱を与えてみせろ小僧!」

 

敵に塩を送ってみせるエヴァンジェリン。そして、初めて感じる壁に挑戦する意気を見せるプリームム。幻想の空間で、悪党と悪党の笑いが木霊(こだま)した。

 

 

 

 

 

「デ、結局情報手ニ入レタラ返シチマッタノカ」

 

「ああ。これから面白くなるぞ、きっとな」

 

まるでクリスマスプレゼントを待望する子供のように、その期待を隠しきれていない主人を見て、チャチャゼロはため息をつく。

 

「コレ以上敵増ヤシテタラ、キリガネェト思ウンダガ……」

 

「どうせいずれは世界のすべてを敵に回すんだ、気にする必要もあるまい?」

 

再度、溜息を一つ。この主人は、器と威厳の大きさは流石なのだが、悪の大ボス特有の余裕を態度で示す癖はなんとかして欲しい。なんだか油断して足元を掬われそうで胃が痛む気がする。人形の体だというのに。

 

「……次会ったら……殺す……」

 

「鈴音ハ殺ル気満々カヨ……アスナ、怪シイ奴ニハ気ヲツケロヨ?」

 

「うん、わかった」

 

最近、この二人の相手ばかりしているせいか保護者的な立ち位置になってきたチャチャゼロ。だとすれば、エヴァンジェリンは威厳のある父親か、などと考えていたが、思いの外それがよく当てはまったのでなんとも言えない気分になった。

 

(アーア、昨日ノ緊張感溢レル戦イガ遠イ昔ニ感ジルゼ……)

 

騒々しいのも嫌いではない。しかしもっとこう、戦いの余韻ぐらいは感じさせて欲しい。久々に肉体を解体したので満足はしているが。

 

「もっと修行して、早くマスターの役に立ちたいなぁ」

 

「焦る必要はない。この戦争中は少なくともお前を戦わせるわけにはいかん。いつ油断を突かれるか分からんからな」

 

「うぅー、分かりました……」

 

アスナとて自分の実力不足は自覚している。ナギとの戦いの時よりは強くなったとはいえ、まだまだ修行も基礎の段階。無理に戦闘に参加して足手まといになるよりましだ。

 

「さあ、役者は揃い始めた……。後は貴様次第だぞ、小僧」

 

 

 

 

 

『……プリームム、遅かったな』

 

『そ、その腕はどうした!? お前がそれほど深手を負うとは……』

 

『はっ、遅れまして申し訳ありません。かの人物を追っていた際にこの手傷を負わされ、惨めな逃走をしてきた次第です』

 

『その割に……随分といい顔をしているな?』

 

『ああ、今までで一番最悪で……しかし楽しい。そうか、これが楽しいというものなのか。存外悪くない……』

 

『なんと……あのプリームムが、楽しいなどと……』

 

『……感情を、発露したか……』

 

『その通りです、主よ。ですが、もう私は否定するつもりはございません。この感覚を胸に、私は更に御身のため粉骨砕身する次第です。もし、感情を得た私が不要だと思われるのならば、どうぞ主の手で処分して頂きたい』

 

『……よい、お前の働きが鈍るなど、元より思わぬ……人間のように情を抱いて機を逃すような不出来に造った覚えはないのでな……』

 

『しかし、連れて行ったセプテンデキムとアートゥルを失いました。せめて、何か処断をして頂きたく存じます』

 

『なっ!? あの二人がか! 調整はかなり上手くいっていたはずだというに』

 

『……早急に、予備の調整をするべきか……』

 

『それはこのデュナミスめにお任せを。主の手を煩わせるわけにはまいりませぬ』

 

『……プリームムよ、私はお前に信を置いている。……お前を罰するは、お前を信じて任せた私の責任となる。……故に、これは私の失態だ……お前を罰する理由はない』

 

『はっ! お心遣い感謝致します』

 

『それで、二人を倒すほどの人物……何者だ? たしかお前は、アリアドネーの才女を追っていたはずだが』

 

『ああ。しかし、彼女の足跡を追っているうちにある人物に繋がったんだ』

 

『……その人物とは』

 

『かの『闇の福音』、エヴァンジェリン・A・K・マクダウェルです』

 

『なっ!?』

 

『……そうか……彼女が……』

 

『主よ、面識があるのですか?』

 

『……少し、な……』

 

『エヴァンジェリンといえば、『黄昏の姫巫女』を奪った小憎たらしい小悪党ではないか!』

 

『デュナミス。彼女らを舐めてかからないほうがいい。正直、今の僕等ではかなりきつい相手だと言わざるを得ない』

 

『ムムム、お前や私が相手でようやくということか?』

 

『負ける気はないが何とか五分だろう。加えて、かのアリアドネーの才女の正体は『狂刃鬼』、僕達とは相性最悪な人物だ』

 

『相性最悪……どういうことだ』

 

『彼女が何者なのかは分からないが……『魔法無効化(マジック・キャンセル)』、またはそれに類似した能力を有している』

 

『なにっ!? まさかウェスペルタティア王家以外の者が……。そうか、お前のその負傷はその『狂刃鬼』によるものか!』

 

『……そうか。……しかし、その人物の能力の明確な正体が分からない以上……』

 

『狙うべきはやはり『黄昏の姫巫女』、ですか』

 

『主よ、私は至急残りのスペア達の調整を行なっておきます……』

 

『……そうか。……プリームム』

 

『はっ、ご命令ですか』

 

『……その者らには、今後も注視しておけ……』

 

『はっ。では私も、『赤き翼』の対策を考えておきます』

 

『…………因果なものだ…………』

 

 

 

 

 

「『完全なる世界』の本拠地が分かった!?」

 

部屋の中に、若い少年の声が木霊する。その声の主こそ、現在各地を転戦しながらプリームムらが所属する組織、『完全なる世界(コズモエンテレケイア)』の末端組織を潰して回っている『赤き翼』の若きリーダー、ナギ・スプリングフィールドである。

 

「ああ。彼奴らめ、とんでもないところに居を構えておったわ」

 

対照的に、冷静に返事をしているのはアリカ・アナルキア・エンテオフュシアである。ウェスペルタティア王国の王位次期継承候補であるが、彼女は今『赤き翼』とともに指名手配を受けている身だ。

 

「よもや我がウェスペルタティアの下に広がる、『墓守り人の宮殿』に潜んでおったとは、さすがの私も気づかなんだ」

 

「"灯台下暗し"ってか? しかしまあ、これでようやく奴等を根本から叩くことができるってわけだ」

 

「そうじゃの。やれやれ、ようやく戦争を止める目処が立ちそうじゃ」

 

今まで彼らもただ虱潰しに末端組織を潰しまわっていたわけではない。『完全なる世界』の考えについてゆけず、ナギ達に強力を申し出た人物との情報の共有や、ナギ達に味方する人物たちとのコンタクトを行なっていたのだ。今では、その輪は魔法世界中に広がり、『完全なる世界』の野望を阻止すべく奮闘している。

 

「アリアドネーのカットラース議員も、我々に協力してくれるとのことです」

 

「武装中立を貫くアリアドネーの精鋭、『戦乙女旅団』の協力があれば、大きな対抗戦力を得るに等しいでしょう」

 

そんな皆の表情は明るいが、一方でアリカの顔は対照的だ。

 

「どうした姫さん、そんな辛気くさい顔してさ」

 

「いや、『完全なる世界』については問題ないのだが……。むしろもう一方(・・・・)に打つ手が無いことが悔やまれてな……」

 

もう一方。『完全なる世界』とは別の意味で因縁深い一派。『闇の福音』とその一味だ。彼女らはアスナを攫い、更に彼らに宣戦布告までしてきた存在。そして、現状で『完全なる世界』の幹部クラスを凌ぐ実力者が少なくとも二人いる。未だ大きく活動をしてはいないようだが、決して無視できない存在だ。

 

「心配すんなって! アスナのことはもう、覚悟を決めた。なんであいつらについて行くって決めたのか、理由は知らねぇ。だけど、あいつはそれを自分なりに決断して、覚悟してる。だったら、俺も真正面からぶつかってやるさ!」

 

「そう、じゃの。アスナもそれを望むじゃろう」

 

「もう、負けたりなんざしねぇ……大事なもんは全部、この手で護り抜いてやる! 奪われたら、奪い返してやる! 俺は絶対に諦めねぇ……!」

 

ナギの、峻烈な覚悟。それを目の当たりにした、若き戦士たちも、心のなかで覚悟を固める。

 

(薫さん……もう僕は諦めません……!)

 

(絶対に、強くなって……貴女に届いてみせる)

 

役者は集う。最後の戦いの足音が、迫り始めていた。


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