「えっ、俺がですか?」
「ええ、こちら側としても是非とも君に来て教えてもらいたい。一応、元生徒会長な訳だし、教員免許も取得しているよね?」
高級なソファーに座り、ニッコリと笑う壮年の男性。轡木十蔵。IS学園の用務員であるが、実際は実務関係を全て取り仕切る支配者であり、懐かしき青春時代の場所を提供してくれた人物である。
「はぁ、まぁ・・・それは、上司に聞いてもらわないと」
「大丈夫、既に了承を得ている」
と、無表情で俺にいうのは長門有希。我が社の開発部門の第一責任者であり、俺の上司。普段は無口であり、淡々と仕事をこなすスーパーウーマンである。
「社長の野郎・・・」
「なら、話は速いですね」
「ていうか、なんで俺なんですか?って、大体予想つきますけど、あの・・・なんとかっていう男の面倒見ればいいんですよね?」
そう、世界で二人目のIS操縦者、織斑一夏のことである。まさか・・・俺以外に使えるものが現れるとは・・・って、織斑って苗字で犯人が誰かなのかは分かるけどな。
「まぁ、そうですね。織斑先生が担任になっているんですが、あなたにも一応来てほしいと。織斑先生から進言されましてね」
「ああ、千冬が・・・って、俺がいなくていいんですか、長門主任?」
「ええ、問題ない。あなたがいなくても研究の進行度は大して変わらない」
「冷静にそう言われると・・・はぁ、分かりました。今週中に荷物をまとめますよ。
新学期には間に合えばいいんでしょ?」
「分かりました。では、また学園で会いましょう」
そう言って轡木さんは腰を上げた。
彼が帰り、俺は会社のロビーでココアを飲んでいた。相変わらず賑やかなこの会社は俺にとってかなり居心地がよく、常に新しいものを求めていた。
社長がおかしな人物だからな。
「おや、これはこれは。開発部門の浅乃蓮花さんではありませんか」
と、爽やかなイケメン、営業部部長の古泉一樹が現れた。相変わらずのその憎たらしい笑みは今でもなれない。
「いや、ちょっとな。暫く、俺は高校の教師になってくる」
「おや、浅乃さんが教師ですか。それは初耳ですね」
「今決まったことだからな。まぁ、だからちょっと顔出せねーわ」
「それは少し寂しくなりますね」
「思ってもないことを言うんじゃない」
「バレちゃいました?」
「はいはい、社長の経営方針を知っている以上、これもその方針の一つなんだろう」
「ええ、そうですね。社長が・・・涼宮さんは常におもしろさを求めていますからね」
「ってことだ。それじゃぁな、キョンによろしくと伝えてくれ。俺は荷物をまとめないといけないから、ちょっと忙しくなる」
「分かりました。朝比奈さんにもそう話しておきますね」
「ういうい」
軽く古泉に手を振り、俺は自分の研究室に行く。
中はぐちゃぐちゃしており、片付けもなにも何処から手をつけたらいいのかサッパリ分からないという状態である。
取り敢えず、研究データを全てまとめ、大切なものは全部長門に預ける。
自身のトレンドマークである白衣を五着程度ハンガーからとってダンボール箱にしまいこむ。
そんな感じに俺は次の新しい職場に向けての準備を始めるのであった。
四月
「ということで、今日からIS機構学などを教えてもらうことになる、浅乃蓮花先生です」
校長に紹介され、俺はペコリと頭を下げた。
わかっていたことだが、職員室には男性は一人といない。高校生の頃ならばそれは当然ハーレムじゃっぁぁぁぁ!と喜んでいたかもしれないが、今の俺にとっては少しばかり肩身の狭い。
まぁ、それでもやることをしっかりとやらねば、俺は教員なのだから。
「はい、ご紹介に預かりました。IS関係の授業をもつことになります、浅乃蓮花です。世界で一番目の男性操縦者ということですが、今回の誘いに乗って教員になりました。よろしくお願いします」
とまぁ、こんな感じにしていこうと思います。