なにせ、今はテスト期間中ということで、月曜日にも最後二つ残っているんですよね。りゅ、留年だけはしたくありませんね・・・。
ということで、12話です。
セシリア戦です。
「一夏、一つアドバイスだ。今のお前とオルコットでははっきり言って話にならない。それに、お前がISを起動させるのはこれで二回目。つまり、経験が足りない。だから、最初は逃げ続けろ。そして、慣れたところをお前のタイミングで攻撃を仕掛けろ」
その言葉を耳に織斑一夏は只管セシリアの射撃を避けていた。一夏はIS適正がAとかなりのランクの持ち主であるが、ISに乗るのは二回目なのでその操縦はお世辞にも上手いとは言えなかった。
それでも、彼はついこの間の志を持っているのではなく、明確な強くなる目標があった。
だからこそ、下手くそながらセシリアの射撃を避け続けれたのは『執念』があるからではないだろうか。
(くそっ、俺が白式の反応速度に追いつけていない。白式はかなりの高スペックらしいが、それを操るのが俺みたいじゃ・・・ぐっ!)
とうとうセシリアはブルー・ティアーズから四基のビットが飛んで四方八方からレーザーが襲ってくる。
(っ!次は四方向から同時かよ!だけど、先生のいったとおり最初に攻撃を避け続けたおかげで操作にはある程度慣れてきた。落ち着いて動きを見れば)
四発程度体にレーザーを受けるも、一夏は上下左右に機体を動かし避け続ける。
「まだ・・・まだだ!」
それでも一夏の目には力強い闘志が宿っていた。客観的に見ればたかが子供がムキになった戦いかもしれない。
しかし、セシリア・オルコットにすれば脆弱な男に祖国を侮辱され、馬鹿にまでされたから。
されど織斑一夏から感じても祖国を馬鹿にされた挙句、男代表とされた上で馬鹿にされたのだ。
双方、身勝手な感情を振り回してぶつかりあった結果であった。だが、それでも戦う理由がなんであれ、一夏の今の志は以上に高い位置にあった。
それでも一夏自身は男とか女とか言う前に自分がセシリアよりも劣っているのは自覚していた。恐らく負けることも。
だが、それにつけあがって適当な試合をするのではなく、持てる全てを注ぎ込み、そう簡単には倒されないぞと鋭い視線を飛ばした。
(どうする・・・動きは見切れてきたが、全く攻撃出来ない)
と、一夏の動きが鈍った瞬間、セシリアはビットを全て戻してスターライトmrkⅢを構えてそのトリガーを引き絞る。
「左足!もらいましたわ!」
(今だっ!)
何故狙う場所を言うのか疑問に思いつつも一夏はセシリアの宣言通りに左足にきたレーザーを瞬時にブレードで斬る。ブレードによってレーザーが分散し、消失した瞬間、一夏はこれを好機と感じて一気にセシリアまで接近した。
一瞬の出来事に混乱したセシリアだが、一夏の声とともに瞬時に目の前のことを飲み込んで一夏の斬撃を回避すべく更に上空へと距離を作る。
「無駄なあがきを!」
更にブルー・ティアーズからビットが飛んでくるが、一夏は冷静にその射撃を避け、一瞬近づいたビットの一つを破壊した。
(今・・・破壊出来た?どうして・・・今、俺はあいつを攻撃して、その後に・・・なるほど)
一夏は射撃を避けてオルコットにいった。
「分かったぜ!この兵器は毎回お前が命令を出さないと動かない。しかも、その時お前自身は攻撃出来ない!」
更にもう一基のビットを破壊してセシリアに近づく。
「それは、制御に意識をしているからだ。そうだろ!」
その的を得た一夏の発言にセシリアは一瞬怖気づく。それを肯定と受け取った一夏はこのチャンスを逃すことはせずに一気に畳み掛ける。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
と、ビットを抜けてセシリアの正面に出た瞬間、セシリアの口がニヤリとつり上がる。
「引っかかりましたわね。ブルー・ティアーズは四基ではなくてよ!」
「なっ!」
次の瞬間、セシリアのブルー・ティアーズの後部からロケットランチャーが出現し、一夏へ向けて放たれた。
「しまった!」
一夏はそのまま後退して上下左右に動くがそれでもロケットランチャーの弾頭はしつこく一夏を追尾し、一夏は諦めとばかりに防御体制を取りながら正面から受け止める。
いくら防御したといっても残りの白式のSEを削りきるには十分だった攻撃にセシリアは勝利の笑みを浮かべる。
が、レーダーから見るに白式は健在していた。
「一体・・・これは」
曇が晴れてセシリアの前に現れたのはさっきまでの白式ではなく、一次移行を終えた白式であった。
「そんな、今まで初期設定で動いていたの」
「・・・・・・」
何が起こったのか若干分からない一夏であるが、直ぐに自分がどういった状況下におかれているのか理解し、装備を確認する。
『近接型ブレード:雪片弐型』
との文字が出て、一夏の持っているブレードが割れて青い刀身が出現する。
「この武器・・・千冬姉と同じ武器だ。俺は世界で最高の姉さんを持ったよ・・・けど、そろそろ守られるだけの関係は終わりにしなくちゃな。まぁ、先生の言うとおり今すぐは無理だけど・・・ここから、この戦いから俺は強くなる。千冬姉を、箒を、皆を守るだけ俺は強くなる!」
「あなた・・・一体何を言って・・・」
「取り敢えずは千冬姉の名前を守るさ。弟が不出来じゃ、かっこうがつかないからな」
と、一夏はセシリアに向かったそういう。
「おっ、言うじゃないか。姉としてはそこらへんどうなの?千冬さん?」
「うるさい、黙れ。ったく、私はあいつに何も期待していないさ」
蓮花が一夏の発言に対していじるような発言を千冬にするのだが、千冬は照れているのか本気でそう思っているのか、そっけなくそう答えた。
「背負うということはそれほど簡単なことではない。特に今の一夏には」
「お前も固いな。弟が頑張るって言ってんだ。それを応援しない姉がどこにいるって言うんだよ」
「それくらい分かっている。ただ、一夏にはまだ少し穏やかに生きてもらいたい。いずれ、戦うことになるのだから。せめて、その時までは」
「・・・そうだな。折角の高校生活なんだ。強くなるのもいいが、もっと大切なことがあるからな。まぁ、一夏が戦わずとも俺やハルヒ、更識がいれば問題ないさ。そうでないと、俺がなんのためにここに来たのかわからんからな」
「はは、それもそうだな。まぁ、なんだ。蓮花。よろしく頼む」
「おうよ」
場面は代わり、一夏はラッシュをかけるべくセシリアに向かって突撃する。既に混乱状態にあるセシリアは近づけさせないためにロケットランチャーを放つが全てそれを破壊されてしまう。
「なっ、こんな!」
(落ち着くのです!セシリア・オルコット。こんな男に・・・男に・・・やられる?このわたくしが?そんなこと・・ありえない。ありえないのにありえる?)
「はぁぁぁぁぁぁぁっ!」
今しがた強くなると宣言した一夏の瞳には力強い志があった。千冬や蓮花の過去を知り、如何に自分がいろんなものに守られているのか改めて理解したから。
だが、それはセシリアとて同じことだった。両親の残したもの、誇りを守るために彼女はここまできた。
許せないのは一夏ではない。今まで軽蔑していた男に負けることを許さない自分の許容範囲の小さが許せなかった。
『セシリア、もしあなたがこれから先いろんな困難にあって、くじけそうになったらこの言葉を思い出して。Up to you。全てはあなた次第よ』
「っ!インターセプター!」
目の前に一夏が接近してきた瞬間、セシリアは左手にダガーを展開して一夏の一撃を受け止めた。近接武器があることを知らなかった一夏にとっては不意の防御である。セシリアはそのまま雪片を上に切り上げ、右手に持っらスターライトmrkⅢを一夏の胸を狙う。それまでの一連の動きはスムーズかつ、一切の無駄な動きはなかった。
「勝負あり・・・だな」
誰かがそう呟いたその瞬間、セシリアはその引き金を引いた。
「意気揚々とした割には女に負けてどんな気分だ?」
俺は少し俯いている一夏にそういう。一夏もいつまでもいじけるのは無駄なことだと思ったのか、重たいため息を吐いて俺の方を見る。
「一体、何が敗因だったんですか?」
「ふむ、まぁ一つは絶対的な経験の差だな。二つ目は執念の違い。お前、最後で気抜いただろ?」
「うぐ、それは・・・」
「敵を目の前に油断するとは勝ってくださいと言っているようなもんだ。あとは、また今度説明してやるよ」
俺は一夏とそれだけ会話を交わすと背中を向けてスタスタと歩いていく。
「えっ!今度ですか!」
「別にいいだろ?それとも不服か?」
「反省は早いに越したことはないって、前に千冬姉が言っていたような」
「その姉からの反省会が別にある。それに、俺にはどうやら英国淑女という奴が話したいらしい」
そういう自身の視線の先には入口からこちらに向かって歩いてきているオルコットの姿があった。
その視線は鋭く、険しいものであった。
「先生、わたくしと模擬戦をしてもらえませんか」
その語尾に?はなく、もはや決定しているかのような言い方であった。だがまぁ、ある程度予想していたことにあまり驚きはせずに、ゆっくりとした口調で答えた。
「いいよ。まだ、時間があるみたいだしな。織斑先生、構いませんよね?」
「・・・はぁ。まぁ、それには私の責任もあるか。いいだろう。ただし、時間も時間だから、手早くな」
「あいよ。つーわけだ。十分後で頼むぜ、オルコット」
「わ、分かりました。失礼します」
ペコリとお辞儀をしてオルコットは出ていった。すると、後ろから一夏がやってくる。
「先生って、強いの?」
「その問に対しては返答しかねるな。割とブランクがあるし、機体も弄ってばかりでちゃんと乗って調整はしていない」
「ウェぇぇ!だ、大丈夫なんですか?」
「安心しろ、お前と同じ状況でも勝ってみせるさ。ここで負けちゃぁ、教師としての威厳がなくなるだろ?」
「そ、それもそうですね・・・じゃぁ、俺は見ているで」
「ああ、そうだな」
一夏は箒と一緒に観客席の方に移動していった。それと交代するかのように千冬が腕組をしながらテクテクと歩いてくる。
「私が吹っかけてしまった種だが、勝てるのか?今のお前に?」
「問題ないと思う」
ピット内にコンテナが入ってきた。それを見ながら千冬と会話を交わす。
「なんたって、うちの主任が調整してくれた機体だからな。俺とこいつの初の戦闘データが敗北だなんて、社長がすっ飛んでくるが、向こうで爆笑されるだろうよ」
「はは、それもそうだな。確かに、それじゃぁ負けられないな。世代としては何にはいるんだ?」
「んー、そうだな。イメージ・インターフェイスがないから第三世代機ではない。言うところの第二世代機だな」
「そうか、それはかなり難しいな」
「まぁな。第二世代機は特別な攻撃方法がない分、正直、パイロットの技量が全てだ。逆説的に言うと第三世代機は特別な攻撃がある分、操縦自体は大したことはない。操縦と精神。どっちにも割かないといけないからな」
「お前が負けるとは思ってはいない。まぁ、そのなんだ。久しぶりの起動なんだから慎重にいけよ」
「あいよ、織斑先生」
俺はコンテナから出てきた自分の専用機を再度確認すべく、ゆっくりと歩き出した。
次回!浅乃蓮花の専用機が現る!
12話にして主人公の専用機が出てくると・・・おせぇ・・進行速度おせぇ・・・。