IS学園の教職員になりました   作:青野

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第16話 歯車

 

「えっ、中国からの転校生?」

 

 月曜日、朝礼時にそんなことを発表された。しかも、今日のことである。転校がついこの前まで審査されていたので、後から来た俺には連絡が行き届いていなかったらしい。

 まぁ、別に担任でもないし、いいか。

 

 時間になったので一時間目に赴くべく教科書を片手に歩き出す。最初はキョドっていた一年生たちも割と俺のことを受け入れて初めていたらしく、挨拶も元気に返してくれる。

 

 今回の授業はIS概論である。

 

「はい、じゃぁ、今日はISの試合における形式とポジショニングを説明する」

 

 電子黒板に次々と資料が提示されていく。

 

「基本的にISの試合はソロ、タッグ、集団戦がある。あと、バトルロイヤルもあったかな?兎に角、一番多いのはソロだな。有名な大会で言うとモンドグロッソだな。あれは第一回からずっとソロトーナメントだな」

 

 と言うと一夏が手を上げて質問してきた。

 

「先生、なんでソロが多いんですか?」

 

「それはISの絶対数が限られているのがあるな。一夏、お前のISは?」

 

「白式ですけど」

 

「お前の白式には開示されている情報だが、特殊な単一能力があるし、そもそも近接戦闘しか出来ない。逆にオルコットのIS、ブルー・ティアーズでは第三世代機のビット兵器が搭載されている」

 

「つまり?」

 

「つまり、ISってのはどこかに所属、研究されることによって一機における重要性と個々の能力が高くなるんだよ」

 

 それでも首を傾げている一夏に少し呆れつつも言い直す。

 

「簡単に言うなら量産機なら個々の装備が同じだから集団戦は出来るが、ISってのはそうじゃないだろ?」

 

 ラファールと打鉄が主流の今では全く出来ない。それに、個々が違うからこそおもしろ味があるというものだ。

 

「まぁ、今は別にここにある機体の特性を活かして集団戦を組んでいるが、モンドグロッソは各国が敵だからな」

 

「なるほど、そういう考えもあるのか」

 

「まぁな。ちなみに集団戦は一個小隊で行う。オルコット、部隊編成の数は?」

 

 俺がそう聞くとオルコットは小さく息を飲んでからいう。

 

「基本的には分隊二機、小隊が四機、中隊が十二機で、大隊が三十六機になります。ですが、今現在配備されているISの数は多いとはいえないので、大規模作戦以外には大隊で任務が行われることはありません。更に第三世代機の場合は互いの能力を考慮した上での作戦行動が要求されます」

 

「おう、正解だ。そのとおり」

 

 そう言うとオルコットは小さく息を吐いて席に座る。

 

「一夏、そういうことだ」

 

「えっ、分隊が二機で、小隊が四機で・・・・」

 

「・・・放課後に復習だ」

 

 そんな感じに特にこれといった問題が起きるわけでもなく、一時間目が終了していく。

 

 それから昼休みが始まり、ちゃっちゃと昼飯を食った俺は今回行われるクラス代表対抗戦の資料をペラペラと見ていた。

 クラス対抗代表戦。その名の通り、クラス代表がクラスの思いを背負って他のクラス代表と戦うトーナメント戦である。

 一年一組からは当然のこと一夏が参加するのであるが、このままいって勝てるかどうか怪しい。というか、多分勝てない。

 

「はぁ・・・どうにかしねーとダメだなぁ・・・けど、俺が手とり足とりともいかねーからな」

 

 だが、一夏が知識的な面で不利なことは間違いはない。自主練習はしているらしいからな、少し顔を覗いていくか。

 

「ん?悩んでいるのか?」

 

 そうしているとココアを差し入れてくれる千冬が来た。礼を言いながらココアを一口。世界が変わっても、相変わらずココアの味は変わらない。美味しい。

 

「一夏のことでな。あいつを手っ取り早く強化出来る方法があればいいかなと思ってな」

 

「そう簡単には強くなってくれないぞ?あいつは」

 

「まぁ、それはわかってることなんだが、あいつはどっちかというと感覚で戦うタイプだろ?理屈云々じゃないっていうのは分かるんだが、もしあいつは仮にどっかのラノベの主人公でも、主人公補正じゃ勝てない現実ってのもあるんだよ」

 

「と、言うと?」

 

「直感、運、本能に従うのも悪くはないと思う。昔の俺たちみたいに。だけどさ、何重にも思考して積み重ねて、対策を取ってきた相手にはどうしても限界もある。一夏は特に」

 

「そうだな。確かにその通りだ。嫌というほどそれは知っているからな」

 

 一夏のセンスは悪くない。だが、もっと考えて戦闘を構築しないとその場のみの戦闘ではいつかは折れる。

 まぁ、その為の経験なんだがな。若いうちはまだそれでも・・・。

 

「ああ、今朝言い忘れたことがあるんだが、ロシアとイギリスから護衛が来るそうだ」

 

 千冬が不意にそんなことを言い始めた。

 

「えっ?」

 

「それと、ドイツとフランスからの転校生も決まっている。はぁ、ったく来るなら入学式に一緒に来いと・・・めんどうな話だ」

 

 えっと、ロシアとイギリスから護衛。んでもってドイツとフランスから転校生か。

 

 ・・・・この時期?

 

 Yes!この時期に!

 

「はは・・・確かにめんどくせぇな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その頃

 

「はぁ、IS学園ですか」

 

「なんだね、嬉しくはないのかね?」

 

 ロシア軍の司令室に呼び出された金髪ポニーテール、エリーチカのこと、絢瀬絵里は突然IS学園に行けと言われた。

 

「いえ、別に嬉しくないわけではありませんが、どうして私なのでしょうか?」

 

 絵里がそう質問すると、司令官は言った。

 

「まぁ、委員会からの要請だな。最近、ファントムが怪しい動きを見せているのがあるし、学園に少しでも戦力を蓄えたいらしい。君は最近頑張りすぎだから、長期間の休暇&護衛任務だと思ってくれたらいい。なぁに、君だけではない。一人目の男性操縦者や、イギリスの元代表候補も出るという話もあるからな」

 

「ひ、一人目の男性操縦者ですか?」

 

 一瞬絵里の眉がピクリと動く。

 

「あ、ああ、浅乃蓮花と言ったかな?凄腕じゃないか。まぁ、護衛としては君かラトロア中佐か迷ったんだが、学園に流通している方がいいかと思ってね」

 

「そ、そうですね。私の方が適任だと思います。では、出発はいつ頃が」

 

「まぁ、そう急ぐことはない。チェルミナートルの再調整が終わり次第で構わない。それと、任務に就く上では全てが君の自己判断に任せられる。任務を阻害される全ての排除をこちらとしても許可する。しっかりと頼むよ」

 

 司令官はにっこりと笑って絵里にそう言った。

 

「了解しました」

 

 絵里は敬礼をすると、綺麗に回れ右をして司令室から出て行く。それから書類にて任務の詳細な情報を受け取るが、内容自体は粗雑なもので、細かい指示内容までは記されていなかった。

 

「護衛といっても、基本的に校内の見回りか。これなら特に問題ないわね」

 

 書類を手に絵里は自分のISの様子を見るべく格納庫へとやって来た。先客がいるようで、ロシア軍主力ISであるチェルミナートルを見ている同じ金髪ポニーテールのフィカーツィア・ラトロワ中佐がいた。絵里よりも五つは年上である。

 

「中佐、次の任務で私は日本へ渡ります」

 

「ほう、日本へか。なるほど、ブリュンヒルデの弟の護衛ということか。上も思い切ったことをするな。軍人を学び舎へ送るとは。まぁ、絵里は学園出身だからその辺を配慮したのかもな」

 

「そうみたいです。これで、最低三年はこちらに簡単には戻ることは出来ませんが、サポートの方はよろしくお願いします」

 

「ああ、分かっているさ。まぁ、クォーターと言っても生まれは日本なんだ。里帰りだと思って、気楽に行ってこい」

 

「はい、中佐」

 

「見事な敬礼だ。さっさと荷物でもまとめてこい。こいつは私が調整しておいてやる」

 

「了解しました」

 

 ラトロワ中佐との挨拶を終えた絵里は自室にて自分自身の荷物を運び出すべく、鼻歌交じりにケースに軍服とお気に入りの衣類をまとめていく。

 元より兵舎の部屋には大して私物は持ち込んでいない。

 

「うーん、久しぶりに蓮花たちに会うから何かお土産でも持っていったほうがいいかな?」

 

 なにかと色々と考え込む絵里だが最終的に何がいいのかまとまらず、別にいいやという答えで納得してしまった。

 

「ふふ、蓮花・・・再会したらどんな顔するのかしら」

 

 そう絵里は微笑みながら再び荷物をまとめるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふっ!」

 

 放たれたレーザーキャノンがラファールのSEを削りきった。地面に倒れたラファールを蹴り、そのまま前にブーストジャンプした。

 その俊敏な動きに的を絞ることが出来ない戦車は側面からのエネルギー兵器によるラッシュを受けて炎上する。

 

「・・・・・・まだいたか」

 

 ウィン・D・ファンションはテロリストグループと旧市街地にて戦闘を繰り広げており、たった今残り戦力を排除したところであった。

 だが、その中に未だ倒れていない最後のISを確認した。

 

「お前ごときに倒される私ではない!」

 

 ウィンディと相対してそこにいたのは亡国機業所属のメンバーの一人である織斑マドカであった。愛機であるサイレント・ゼフィルスのガンソードをウィンディに向けてそう言った。

 

「悪いが、亡国には色々と聞くことがあってな。ここで殺す訳にはいかないんだがな」

 

「残念だが、私はお前を殺すだけの理由と実力がある」

 

 そう言いながらマドカはウィンディに飛びかかってきた。

 基本的に冷静で確実性を重視しているウィンディは次々に攻撃を繰り出してくるマドカの攻撃を避け続けるが、頭の中では怒りが渦巻いていた。

 亡国の部隊は旧市街地を陣取っていたイギリス軍駐屯部隊を奇襲したのであった。壊滅状態に追いやられ、死亡した者の中には非戦闘員も含まれていた。

 

 無抵抗の人間を殺したことにウィンディは怒っていた。

 

「殺しすぎる、お前らは」

 

 静かにガンソードをズラし、ディアルハイレーザーをサイレント・ゼフィルスの腹部に構える、躊躇なくその引き金を引いた。

 

「がぁぁぁぁっ!」

 

 マドカは機体から煙を上げながら後退する。

 

「はぁ・・・はぁ・・・っ!」

 

「亡国、これで終わったと思うなよ?お前たちには死んでもらっては困るからな」

 

 ウィンディはニヤリと笑いながら銃を構えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




セレンさんと千冬ってなんか似てるよね

次回もおねがいします
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