IS学園の教職員になりました   作:青野

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最近寒いですね。
朝布団から出られないのとこの話がくそ短いのはなんの関連性もありません。


第20話 ロシアからの訪問者

 

 

 

 

 

 フランスの転校生、自称男の娘のシャルル・ディノアが今頃教室で自己紹介をしているであろう時間、俺は校門付近にて立っていた。

 チラチラと時計を確認していると、目的の時刻になった。暫くして軍の車両が一台走って来て、目の前で停止した。

 車から一人の女が出て来た。

 

 その美しい金色の髪を束ねて垂らし、そのスタイルには似合わないであろう軍服を着て、昔見せてくれた明るい笑顔を今も見せてくれた。

 

「久しぶり」

 

「うん、久しぶり。えっと、よろしくね、蓮花」

 

「ああ、よろしく頼む。絵里」

 

 ロシア軍IS部隊第一特務小隊所属、綾瀬絵里の姿がそこにはあった。

 前から連絡を聞いていた通り、彼女は俺の他に護衛任務としてこの学園に来た訳になる。

 

「それじゃぁ、行こうか」

 

 絵里を連れて学園の敷地内へと入る。

 

「驚いた。ここは何も変わらないのね」

 

「まぁな。セキュリティ自体は前よりも数十倍バージョンアップされているが、施設内部の構造は変わりない」

 

「そうなの?それじゃぁ、学園内部のルート情報は学生時代のままで良さそうね。そう言えば、千冬は今どこなの?折角私が来たっていうのに出迎えを蓮花一人にさせるなんて」

 

「千冬は今授業中だ。今、始まったところだから部屋に荷物でも置いて来いよ。案内する」

 

 それから絵里を連れて教員寮へと行くのだが、そこであることを思い出した。

 

「あっ・・・そう言えば教員寮って一杯だったんだ」

 

「そうだったの?じゃぁ、私は何処に住めばいいの?」

 

 うえぇーい、忘れてたわ。教員寮が満室だったから俺は学生寮で住んでいるんだった。だけど、学生寮も殆ど一杯だしな。ていうか、なんでそんなことぐらい調査してなかったんだよ。

 

 え?それ俺の仕事?

 

「・・・・・・蓮花?」

 

 うう、絵里の視線が痛い。

 

「はい・・・ごめんなさい、俺の責任です」

 

「じゃぁ、どうするの?」

 

「・・・待てよ。学生寮は確か二人部屋だから、お前が千冬の部屋に一緒に住めば解決なんじゃない?」

 

 そうだ。その通りだ。

 職員寮は一人部屋だから一人で住んでいるが、学生寮は二人部屋だからな。俺も千冬も二人部屋に一人で住んでいる。なら、丁度千冬の部屋に絵里が住めばいいじゃないか。

 

「あ、そうだったの?分かったわ。なら、千冬の部屋にお邪魔しようかしら。千冬、ああ見えて部屋は結構だらしないから。久しぶりに掃除でもしてあげますか」

 

「はは、そうしてやってくれ。あいつは外見と正反対の部屋だからさ」

 

 そうこうしている内に学生寮に到達した。まだ授業は終了していないので生徒達の姿は見られない。

 そのまま移動して俺の部屋の隣にある千冬の部屋の前まで来た。山田先生に事情を話して部屋の中に絵里の荷物を置き、職員室へと移動する。

 職員室で絵里のことを紹介したところで、授業終了の鐘が鳴った。

 

「あら、もうこんな時間なのね」

 

「そうだな。お前の任務のことについては山田先生が教えてくれるはずだから。俺は今から授業あるし」

 

「うん、分かった。それじゃぁ、またお昼にでもね」

 

「おう」

 

 絵里に軽く手を振り、授業を赴くべく職員室から出て行った。今からの授業は確か二年一組のIS機構学の授業が入っている。テストも近付いているし、そろそろ考えていかないとダメみたいだな。

 今頃一夏たちは二限続きのIS実習か。一夏、ちゃんとやれているのか?

 

 そんなことを思いつつ二年一組の教室のドアをチャイムの音と共に開ける。

 

「あれ、先生なんだか疲れてませんか?」

 

 教科書を開けると、最前列にいた楯無がそんなことを言って来た。

 

 おっと、生徒たちの目から見たら俺はなんだか疲れているように見えたのか。いかんいかん、もっとしっかりせねば。

 転校生や絵里のこともそうだが、この次々と変わっていくこの状況に疲れている場合ではない。俺は教師なのだから。

 

「すまんすまん。もっとシャキッとせねばな」

 

「そうですよ、蓮花先生。生徒の前なんだからもっとシャキッとしてください」

 

「お前もな」

 

 などと俺に指摘をしてくるわりには机でだらーんとしている楯無に軽くチョップを入れる。

 

「ちょっとー、痛いじゃないんですかー。そんなに追い詰められているんですか?」

 

「いや、別に追い詰められてねーよ」

 

「嗚呼、先生、毎日私達のために授業して働いて、土日は会社に顔だして・・・分かりました。今日は私が先生の部屋でマッサージしてあげますね!」

 

「いらねーよ!むしろくだらねーよ!そんなことして千冬にでもバレてみろ!変態確実じゃねーか!・・・・ってことで、マッサージはいらん。変わりに生徒会の仕事を終わらせろ」

 

「うぇぇぇ・・・」

 

 そのまま項垂れる楯無を無視して授業を開始した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「という訳で、絵里には明日から特別講師として主に一年のIS実習に付き合ってもらうことになるのだが、構わないな?」

 

「ええ、問題ないわ。今期はどうやら専用機持ちが多くていいわね」

 

 俺と千冬と絵里は今後の絵里のことについて三人で昼飯を食べながらミーティングを行っていた。

 絵里は学園の護衛として派遣されているが、その表の動きとしては今期の一年生により実戦的な動きを感じさせるためにロシアに頼んで学園の卒業生を派遣させたということになっている為、絵里も授業を行わなくてはならない。

 

「それで、お前が襲われた、というのは?」

 

 唐突に千冬が口を開いた。

 そう、俺たちは今しがた絵里から日本への輸送中に襲撃された報告書を受けたのだ。

 

「結局相手は口は割らなかったわ。見たところ、アジア系のパイロットだったけど」

 

「なら、犯人は女性権利団体だな」

 

 俺がそう言うと千冬が「何故だ?」と聞いていきた。

 

「最近さ、あいつら妙に学園に戦力が集まるのを嫌がってる傾向があるんだよな。女性権利団体から俺に対しても結構な圧力が来てるし、委員会側でもどうやら俺が学園に来るので一悶着あったらしい。今回の護衛の件もそうだ」

 

「そうだったの?」

 

「まぁ、理事長が説き伏せてくれたがな」

 

「それでも事態は面倒なことになっている。IS委員会の委員長は女性権利団体日本支部代表の霧崎カンナ。やつは委員会を通してこちら側に干渉できないことを知って、次にどう動くか分かったものではない。今回の絵里の件は確証はないが、やつらが犯人で間違いないだろう」

 

「つまり、委員会は敵だと思っていいわけね?」

 

「全員がそうだとは思わんが、気をつけたほうがいい。何が起こるか分からん。そのために呼んだのだからな」

 

「ふふ、確かにそうね。千冬、蓮花。ここに来たからにはそれなりの働きを見せてあげるわ」

 

 絵里は今までの少しシリアスな雰囲気を壊すように笑いながらそう言った。

 

 それから午後の授業が終了して、職員室で再度絵里についての紹介があり、ミーティングが終わってやっと一日の職務が終了した。

 なんか、今日一日だけでやたら動いた気もしなくもないが、食堂の唐揚げ定食を食べれば元気になろうよ。と、思いながら食堂に行く。

 

「浅乃先生ではないですか、ご一緒してよろしいですか?」

 

 いざ一口目を食べようとすると、オルコットがサンドイッチセットを持って隣にいた。

 

「ああ、構わんぞ」

 

 軽く頷いてオルコットは隣に座る。

 

「どうだ?学園は?」

 

「先生方の教え方が上手いので、イギリスで習っていたのとはまた違った経験が出来て、楽しいですわ」

 

「そりゃ良かった。まぁ、お前みたいに外国からISを習いに来る生徒は違う国で孤独だと感じる時もあるが・・・オルコットは大丈夫みたいだな」

 

「ありがとうございます。最初はどうして日本になんか?と思ったことがありますが、今は違います。色んな人と出会うことで己がどの程度の視野で生きていたのかよく分かった気がします。男性が弱いというのは違いましたね」

 

「はは、何言ってんだよ。俺はまだまだ弱いさ」

 

「弱い?先生は十分に強いではありませんか?だから、私は自分自身の考えを改めようと・・・?」

 

 唐揚げとごはんを口に入れ、咀嚼する。フィニッシュに麦茶をごくごくと一気に飲む。隣のオルコットの頭の上には?マークが浮かんでいるが、ちょっと待って欲しい。

 ゴクリと全部飲み込んでオルコットを見た。

 

「まぁな。技術的な面から見たら俺は強いかもしれないが、まだ精神的な意味で言えば未熟な部分が多い。ある意味完璧な人間がいないのと一緒の話だけどな。強さの形はそれぞれってことだよ」

 

 その後、オルコットはこの話を熱心に聞いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ハワイ沖合 

 

 アメリカ海軍空母セオドア・ルーズベルトの艦内は混乱していた。太平洋のど真ん中に出現した反応は自分たちが乗っている空母よりも圧倒していたからである。

 

 そして、外部カメラでこちらに接近している機影を確認した。

 

 息を飲んだ。

 

 ザッと表現するなら長方形の箱だ。空母よりも機械的な箱のようなものが海を漂っていた。その箱を浮かしているのが長方形の下にあるスカート状のようなものが二つ。

 乗員たちは今までに多くの戦場で見てきた兵器を思い浮かべるが、自分たちの頭にも空母のライブラリにもデータは存在しなかった。 

 

 こちら側がその箱を確認した瞬間、箱が三つに別れる。真ん中はそのままで左右に別れたものが九十度広がった。同時にそこから何が空に射出された。

 

 その何かは空中で変形するとISより一回り程大きい人型のロボが出現した。

 

『なんだあれ・・・ISなのか?』

 

 誰かが呟いた。だが、次の瞬間そのロボが両手に備え付けられているカノンが火を噴いた。そこで、やっと自分たちが攻撃されているのに気づくが、甲板にある戦闘機は次々と破壊されていく。

 なんとか発艦した戦闘機も一度距離を取って応戦するが、その圧倒的な数によって次々と撃墜された。

 

 ロボは空母が白旗を上げても一切その手を休めることはなく、アメリカ軍空母セオドア・ルーズベルトは十五分足らずで太平洋の海に沈んでしまった。

 

 

 

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