IS学園の教職員になりました   作:青野

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第23話 同窓会

 

「いい動きするな」

 

 アリーナでコンビネーションを高めるためにさっきから模擬戦をしている一夏とディノアを見ていた。

 タッグマッチトーナメントを来週に控えた彼らにとってはとてもではないが時間が足りない。特にデュノアに限っては一夏と一緒にいる時間が少ないため、その分の二人のチームワークというものを補う時間が必要だった。

 

 男、だというのもある。更に部屋も一緒なのではじめのようなぎこちなさはないとは思う。それに見ていても分かるように、一夏の大胆な突撃に合わせるようにデュノアが後方より支援射撃をする。

 まぁ、デュノアがいるから一夏が相手の懐に飛び込むことが出来るんだろうけどな。

 

「あっ、先生も賭けますか?」

 

 いつの間にか隣にいた更識が扇子で仰ぎながらそんなことを言って来た。

 

「アホか。学生が金かけんな」

 

「えー、いいじゃないですかぁ。やっぱりデュノア君と織斑君のコンビは人気ですよ?」

 

 そんなことを言う更識の言葉を軽くあしらいながら一夏たちの動きに注目した。

 

「お前から見てどうだ?」

 

「うーん、織斑君は機体の特性上仕方ないってのがありますけど、まぁいいんじゃないんですか?今後に期待ってことで。それに比べてデュノア君は教科書通りの動きって感じですかね。織斑君の動きにデュノア君が合わせてる感じですね」

 

「まぁ、分析的には間違ってないな」

 

「何か足りないんですか?」

 

「別に模範解答だと思うぞ。一夏の単調な動きをデュノアが支援して強力な一撃にする。悪くない。だが、それは一夏がデュノアを信じているからこそ起こり得る」

 

「信じてると思いますけど」

 

「一夏の欠点はな。直ぐに人を信じることだ。共同戦線においてそれはとても大切なことだ。特にコンビネーションが試される戦いはお互いの信頼関係があってこそ成り立つ」

 

「あー、なるほど。確かに織斑君は悪い意味で人が良すぎることがありますよね。詐欺とか、直ぐ人に騙されそう」

 

「まぁ、今回のタッグマッチは別にいいが・・・それが将来的に響かないといいんだがな」

 

「大丈夫ですよ。織斑君はきっとここで女の怖さを知ることになりますから」

 

「はは、そうだといいな・・・・・うん、それがいい」

 

 俺と更識は苦笑いした。

 

 それから模擬戦が終了したので、軽く一夏にフィードバックする。小テストの点数つけとか、次回の授業の準備とか終わると外は暗くなっていた。

 

「浅乃先生、それでは」

 

 他の先生方も続々と帰っていくので俺もそれに倣って帰ろうとする。すると、丁度帰ろうとしていた絵里と遭遇する。

 

「今帰り?」

 

「ああ、絵里もか?」

 

「うん、夜は人の出入りがないから全警備をシステムに、お昼は私とウィンディ、それに蓮花が警備してるから夜勤の警備の人に任せれるし」

 

「そうか。まぁ、取り敢えず飯にでも行くか」

 

「ええ、そうしましょう。って、この時間まだやってるの?」

 

 腕時計を見ると既に時刻は二十一時を過ぎているので食堂は既に閉じている。どうしようかと思ったが、冷蔵庫の中にまだ食材があるのを思い出した。

 

「なら、今日は俺の部屋で飯食うか。俺の手料理ぐらいなら振舞うが?」

 

「いいの?」

 

「ああ、別にいいよ。明日は休みだから少し夜更かししてもいいし、ウィンディも千冬も今日は遅いから飯の準備出来てないみたいだからな」

 

「そうみたいね。なら、二人に連絡しておくわ」

 

「おう」

 

 一旦部屋に戻る絵里の背中を見送って自分の部屋に入る。軽くシャワーを浴びて汗を流すと普段着に着替えて部屋の中を片付ける。

 小奇麗になったところで二つのベットの間に机を置くと早速料理の準備に取り掛かる。

 

 冷蔵庫の中身には意外にも食材が揃っていたので四人が食べるには十分な量がある。

 

「蓮花、千冬のお酒があったから持ってきたわ」

 

 そう言いながら部屋着に着替えてきた絵里が部屋に入ってきた。その片手には日本酒が握られている。

 

「おいおい、そんなの持ってきていいのかよ。何言われても知らないぞ」

 

「えー、そこは一緒に怒られてくれるんじゃないの?。ほら、これで同罪でしょ?」

 

 そう言って日本酒を入れたグラスを差し出してきた。それを受け取りグビッと一口飲んだ俺は、「はは、そうだな」そう言って料理に取り掛かった。

 

 数十分もすると一旦風呂に入ったウィンディと千冬が酒が入った袋を片手に続々部屋に入ってくる。

 

「おーい、来たぞ。って、お前らそれは私の酒なんだがな?」

 

 そう睨む千冬の先には嬉しそうに日本酒を飲む絵里がいる。そう声をかけるのだが二ヘラと笑う絵里に怒るのを通り過ぎて呆れる。千冬はそのまま自分も飲もうと棚からグラスを取り出して酒を注ぐ。

 

「料理も来ていないのによく飲めるな。どれ、蓮花。私も手伝おう」

 

 隣にウィンディがやって来て手伝いを申し出てきた。

 

「悪いな。盛り付け頼んでいいか?」

 

「ああ、分かった」

 

 出来上がった品の盛り付けをウィンディに任せて自分は直ぐに調理を始める。チラリとウィンディの様子を見ると、やはり出来る女は違う。皿盛りも綺麗で、一つ一つの動きも丁寧である。

 

 机に料理を運んでグラスに酒を注ぐと「乾杯」と軽く言ってグラスを鳴らした。

 

「流石は蓮花だな。料理の腕も鈍っていないな。相変わらず旨い」

 

 ウィンディが料理を食べながらそう溢す。自分が作ったものを誰かに高評価されるというのはいつの時代も悪くはない。

 他の千冬と絵里も嬉しそうに酒と料理を食べているのを見て自然と頬が緩む。

 

 それからあれやこれやでワイワイとそれぞれの昔話を話したりして、大いに笑ったりしていた。久しぶりの同窓会には花が咲いた。

 

 飲んで二時間後。全員に酔いが回り、視界が少し回っているように感じる。ウィンディは千冬と一緒に部屋に酒を取りに行き、俺は酔い潰れている絵里に膝枕しながら介抱していた。

 

「ねぇ・・・蓮花」

 

「ん?どうした?」

 

 束ねた髪の毛を解いている絵里の髪の毛はきめ細かく、サラサラして手触りが酔い。知らない人から見れば変態なんじゃないかと一瞬思ってしまうのだが、ほろ酔い状態なのでそこらへんは許して欲しい。

 美少女に膝枕とか・・・いや、マジで変態だろ俺。セクハラで訴えられても文句言えないけど・・・・。

 

「ふふ、なんでもない」

 

「なんだよ」

 

 それでも、俺が守りたいと思ったのはみんなのこういう笑顔だったんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んー、別に私としてもそれには異存はないかな」

 

 亡国の秘密基地の薄暗い部屋でスコールと対峙しながら赤ワインを飲んでいるのは我らが博士、篠ノ之束であった。

 スコールはなんとか束とのコンタクトを取ることができ、今回粗雑ながらこうした場を設けることに成功した。

 

「博士、一つ考えがあるのですが」

 

「君たちが疑問に思っていることは分かっているよ。ISコアのことでしょ?」

 

「あなたがこの話に乗ってくれるのなら、博士が全てのISコアの停止を命じることができないのでしょうか?」

 

 束はワインをグラスの中でクルクルと回した後に一口飲む。

 

「んー、無理かなぁ。既存するISコアはその殆どが自律し、意思を持っている。人と一緒なんだ。ISのコアってのは。成長し、自らを高める。その全てを一から生み出した私だとしても、進化した心を干渉出来るような・・・神様みたいな力はないかな」

 

「なるほど・・・分かりました。それでは、こちらの求むものを建造していただけるということで」

 

「まぁ、いいよ。私も今の世界はいい加減ダメだとは思っている。だけど、作った元凶は私にある訳だし・・・ダルくなってきたからといって全てを0に戻すなんて魔王地味たことは出来ないかなぁ」

 

「・・・分かりました。それを聞いただけで十分です。後は、計画を実行するだけです」

 

「まぁ、中々上手くいかないとは思うけど・・・がんばってね」

 

「人事みたいですよ、博士。けど、いいんですか?これはISの存在を根底から覆す、明確な反逆行為ですよ?」

 

「はは、それくらい百の承知のうえだよ。そもそも、私だって地上開発に限局するためにISを作った訳じゃないし。宇宙開発・・・そういったことでは私と君たち亡国との理念は一致しているからね」

 

「それでも・・・」

 

「分かってるよ。自分で生み出したものをまた自分で停止させるなんてね。けど、これしかないんだよねぇ」

 

 亡国は束と協力することによって遅れていた開発を取り戻しつつあった。AFによってハワイに世界の目を注目させることによって自分たちの動きを上塗りしていた。

 着々と進む開発によって亡国の計画は進んでいく。

 

「これで、やっと次の段階に移れるな」

 

 開発されている建造物を見ながらオータムがそう言った。その隣にいるスコールは返す。

 

「博士の協力によって完成まで一気に近づくことが出来るわ。後は・・・ここに彼がいたら良かったのだけれどね」

 

「彼・・・って。蓮花のことか?あいつはただの臆病者だ」

 

「臆病者は私たちと戦う選択をしないわ。でも、全ての真実を知ったうえで彼らなどうするか・・・」

 

「・・・まぁ、あいつは強いしな。引き入れるのは問題ない」

 

 オータムの言葉にスコールはニヤリと笑った。

 

 

 

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