当方小五ロリ   作:真暇 日間

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EXステージ ラストダンス 「本当は怖い覚妖怪」 コmeイジsatoり ○

 

 これはいくつもの条件を満たした時のみ敵対する事になる特殊ボスである。

 その前提条件が非常に難しいために特殊ボスもそれに合わせて強化されており、勝利するためには神話技能が10より低くなければ難しい。

 また、このバトル中には面と水神クタアトは使えず、呪文も使えない。

 そして時間経過とともに神話技能が増えていく。

 神話技能が最大値になった場合、鬼人正邪は貴人聖者として生まれ変わり、その場でクトゥルフに食されてゲームオーバーとなる。

 

 敵対者として現れる条件は

 

 1.さとりの妹分との戦闘で、一度も時間切れでの決着をさせない。(スペルを削りきる)

 2.シーン8をクリアした時点で得た神話技能の合計が5。(アイテム『水神クタアト』を使わない)

 3.『貴人聖者』が発生していない。

 4.こころのインスマス面を全て割っている。(手に入れられる枚数の最大は4。最低0。本編では2)

 5.シーン9でさとりの手を払っている。

 

 これら全ての条件をクリアした場合のみ、この特殊シーンにて『コmeイジsatoり』と戦闘を行う。

 

 なお、この戦闘は所謂『オワタ式』と呼ばれるものに酷似しているため、心の弱い者、及び短気な者は戦闘を行うことをお勧めしない。

 また、POWの低い者は見ることを勧めない。文字通りの意味で、人間として死にかねない。発狂したり、意識を失ったりしない自信があるならばそれでもいいだろう。

 では、可能性として存在だけはしていたラストダンスIF。開始。

 

 

 

 ■■■■

 

 

 

 想起『鋭角に潜む追跡者』

 想起『毛むくじゃらの白い獣』

 想起『炎の精を率いるもの』

 想起『大いなる種族』

 想起『ユゴスからの使者』

 想起『無形にして多形の黒く泡立つ粘液』

 

 突然全周囲に異形の怪物が現れ、人間としてはありえざる速度で突貫してくる。正邪は持ち前の危機察知能力でそれを回避するが、一度回避した程度ではそれから逃げることなどできはしない。

 不意に周囲が玉虫色の粘液で覆われる。ぬるぬるとした異様な輝きがまるで鋼のように硬質化していき、いつの間にか周囲はやや歪んだ箱の形に隔離された。

 内部は正邪とその敵対者のみ。その戦闘を眺めるように内側のあらゆる場所に目が生まれ、そして壁に触れた全てを傷付けようと針山が形成された。

 

 未だ、まともな弾幕は一度も発されていない。ただ、異形の怪物がひたすらに正邪に襲い掛かる。

 能力を駆使して正邪は回避を続ける。しかしそれにも限度があり、正邪は壁に追いつめられる。針の山を背に、異形の怪物たちと向き合うその姿は、その場面だけ切り取れば映画の主人公か何かにも見えなくはない。

 ただし、現実にはそうではない。鬼人正邪は天邪鬼であり、平穏を求めるものから見れば絶対なる敵対者である。

 そんな正邪の背後。針山によって作り出された鋭角から、もやもやとした煙が上がる。突然現れた気配に正邪はそちらを振り向いてしまうが、それはそれまで向き合っていた異形の怪物たちから目をそらすということでもある。正邪が目を離した僅かな隙に白い毛むくじゃらの怪物が一瞬で接近して正邪の身体を太い腕で打ち据える。

 

「ごっ!?」

 

 正邪の身体は軽々と吹き飛ばされ、大地に叩きつけられる。唯一の幸運は硬質化した粘液の針山が地面に存在していなかったということだが、叩きつけられた正邪としてはそんなものは何の救いにもなっていない。ミシミシと全身の骨が軋み、一部の薄い骨はへし折れた感覚があった。

 しかし、そんなものは正邪にとっては日常と変わらない。痛めつけられるのにも痛いのにもすでに慣れてしまっている正邪は、即座に自身の身体の状態を一部書き換える。

 獣に殴られて折れた腕の骨と、大地に叩きつけられることで折れた肋骨の状態を反転させ、正常な状態に。同時に頭を揺らされ歪む視界も正常に。

 即座に跳ね起きると、正邪は再び空を舞う。一瞬後に正邪が倒れていた場所には轟音と共に毛むくじゃらの怪物が着地していたことも、正邪に即座に行動を決めさせた要因であったことには間違いない。

 

 だが、コmeイジsatoりがそんな甘いことで終わらせるはずもない。両の腕に鋏を持った虫のような、しかしありえない奇妙な形の菌糸の塊のような存在。それが空を飛ぶ正邪に群を成して突撃していった。

 正邪は弾幕でその群れを蹴散らしていく。人間の蹴りでも十分に殺せるような存在が、天邪鬼のような弱い存在とはいえ人外の弾幕を受けて無事でいられるはずもない。緑色の粘液のような装甲を纏っていないのならば尚更だ。

 連射される弾幕に貫かれ、どんどんと数を減らしていく菌糸の塊のような存在。しかし、後ろの方にはしっかりと装甲を纏った者もおり、正邪の弾幕では削れる数が一度に減ってしまう。

 そしてついに、正邪の腕を一つの鋏が捉えた。肌が切り裂かれ、血が溢れ出し、しかしその菌糸の塊は正邪の腕を放そうとはしない。次々に正邪の身体を捉える鋏は増えて行き、いつの間にかその全身が鋏によって切り刻まれる。

 

 一体の菌糸の塊が、腕を奇妙な形に変形させて正邪に近寄り、その腕の先端を正邪の腹部にぴたりと触れさせた。正邪はそれが何かは知らなかったが、このような冒涜的な存在を見て発狂していなければという前提条件があり、早苗あたりが見ていたらそれをこう呼んでいただろう。

 銃に似ている、と。

 

 そして、それは次の瞬間に現実のものとなる。その菌糸の塊は奇妙な形の腕から熱線を撃ち出し、正邪の腹部を貫いた。

 

「ぐあぁぁぁぁぁっ!?」

 

 痛みに体をよじらせようとする正邪だが、無数の鋏に囚われていては逃げ出すこともできない。むしろ鋏は余計に肉を抉り、多くの血を溢れさせる。

 しかし、正邪はそんなことでは諦めることはない。今度は弾幕を出現させる位置を調整し、その菌糸の塊が自身に触れさせている棒状の物の先端から弾幕を相手に向けて撃ち出した。

 正邪はそれを知らないが、それが一番の致命傷であったことは間違いない。突如起きたその武器の炸裂。火薬ではなくエネルギー系の炉を積んでいたのか、かなりの爆発が起き、正邪は至近距離からそれに巻き込まれて吹き飛ばされた。

 同時に、それは菌糸の塊の群からの解放を意味する。再び距離を離すことに成功した正邪は、能力で全身にできた傷を治しながら群を削る。初めの群と今の群では、明らかに数が違う。たとえ相手が装甲を持っていようと、弾幕の数では正邪が圧倒的に有利であった。

 

 だが、菌糸の塊が削りきられるよりも早く次の脅威が襲い来る。

 それは炎。弾丸で削ることもできない、力で抑えることもできない、炎。それが正邪の全身を包み込もうと広がってくる。

 正邪はしかし、その炎に別の物をぶつけることで相殺する。

 それは、地上に居た白い毛むくじゃらの怪物。それは炎に弱かったのか全身を炎に包まれても暴れまわることをやめない。そんなことをしても炎は消えないということが分かっている正邪にはそれが滑稽に見えたが、しかし周囲に水が存在しないこの状況であの炎に包まれるということがどれだけ危険なことなのかがわかったのは行幸だった。

 炎は恐らくあの怪物を殺すまではあそこから動かないだろうとあたりをつけ―――同時に背後からの敵意に反応して前へと一気に加速した。

 そして後ろを振り向くと、そこには奇妙な粘液に覆われた四足の怪物の姿があった。

 

「ったく……ただの天邪鬼を相手にこんな奴らをけしかけてくるかね普通」

 

 目の前の四足の怪物はそれには答えず、ただゆっくりと正邪に向けて歩み寄ってくる。

 少しずつ、確実に獲物を捕らえるために距離を縮めていく。もう少しであの怪物が一足飛びで飛び掛かってこれる距離にまで到達するが、正邪の背後には針山が並んでいる。

 

 しかし、その直前に目の前の怪物は姿を消した。それだけではなく、空をぶんぶんと飛び交っていた気味の悪い菌糸の塊のような存在も、炎の塊とそれに包まれていた白い毛むくじゃらの怪物も、そして檻となっていた玉虫色の粘液もその姿を消していた。

 

 想起『名状し難きもの』

 想起『生ける炎』

 想起『ルルイエの支配者』

 想起『這い寄る混沌』

 

 ―――そして、正邪は自身には決して届かぬものの存在を知る。そのあまりの強大さに打ちのめされ、そのあまりの強大さに正気を失い、そして同時にほんの僅かに存在していた自身の神話技能からそのうち一体の神の事を知ってしまった。

 

「あア……神よ……」

 

 その言葉は、果たしてその神に届いたのか。唯一わかることは、鬼人正邪という存在は狂気に呑まれて消滅し、そうして生まれた貴人聖者も象のような身体に蛸のような頭を持った神に食われて消えたということだけだった。

 




 
 あ、これでアマノジャク編はお終いみたいなものです。これ自体もIFですし。
 あとは後日談かな?

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