当方小五ロリ   作:真暇 日間

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64 私はこうしてペットを褒める

 

 さて、覚えているだろうか。少し前に鬼人正邪が地底にやってきた時、一番初めにその相手をしたお燐だが、私に『沢山撫でてほしい』と言っていたことを。

 そして私はそのお願いに『後で』と返した。そして今、ちょうど私もお燐も時間が空いている。つまり……ちょうどいい時間ができている、と言うことだ。

 残念ながらお空は仕事があるため一緒にできない。だから今回は、とことんお燐を撫でて撫でて撫で回してあげようと思っている。勿論、ストレスにはならない程度にではあるのだが。

 

「そう言う訳だから……ほら、おいでなさいな」

 

 部屋に呼んだお燐を撫でるため、ベッドに座って膝をポンポンと叩く。ちなみにだが、お燐は人型の時と動物型の時とで撫でる場所を変えてあげる必要がある。人型の時は頭や顎、耳を撫でられるのが好きなのだが、動物型の時にはそれに加えて背中やお腹、お尻なども撫でられて気持ちが良いらしい。

 動物形態の無い私にはよくわからないのだけれど、恐らくそう言うものなのだろう。心を読んでみる限りでは変化できるようになったペットの殆どがそう言うものだと認識しているようだし、私もそう言うものだと思うことにしている。

 

「どうしたの? ほら、おいで」

「───っあ、そ、それじゃあ……失礼します」

 

 そうしてお燐は恐る恐ると私に近付き、私の膝に寄りかかるように頭を乗せた。

 ……人間ならば、こうして座って膝を叩くと膝枕になるか、あるいは膝の上に座る。お空は大体私と向き合う形で膝の上に座り、フランは私に背を預けるように座る。こころは私の隣に座ってちらちらと私の膝を横目で何度も見て、こいしは後ろから抱きついてくる。

 そしてお燐は、床にぺたんと崩れるように座って私の膝に頭を当てるようにするのだ。

 けれど、それでは今回の目的は達成できない……訳ではないけれど、間違いなく面倒になる。だから私は、ちょっとだけお燐の身体を操った。

 

「お燐」

「? は───」

 

 首を上げようとした瞬間、お燐の身体はぎゅるんと勢いよく横に回転し、仰向けになって私の太股に後頭部を乗せた状態で動きを止める。お燐の身体には負担をかけず、私のやり易い形にまで持ってくることができた。

 

「───い、って!」

「はい大人しくしてね」

 

 ぽん、と片手で目隠しをすると、お燐は耳を一度大きくびくりと跳ねさせ、その直後に大人しくなった。手足をばたつかせるようなことはなく、くたりと四肢から力が抜ける。これは本当は猫の反応ではないような気もするが、実際にお燐はこうなっている。不思議だ。

 まあ、今はこうして目隠しをすれば大人しくなると言うことがわかっていればそれでいい。その方が楽だし、それ以上の情報を渡されても困る。

 情報を渡されても困るので……渡されないように沢山撫でて口を封じてしまおう。

 

 片手でお燐の目を覆ったまま、もう片方の手で耳を撫でる。お燐の口から驚いたような期待しているような小さな声が上がるが、まだまだ始まったばかりなので流す。耳の先端を柔らかく包み込むように三本の指でおさえ、そのままふにふにと揉んでしまう。するとお燐の心の内側で獣としてのお燐が嬉しいと思っているのがわかる。

 まあ、実際には私に呼び出された時点で大分嬉しいと言う感情が溢れてきていたのでそれが本当に耳を揉んだからなのかはわからないのだけれども、それでも全体の感情の波は大きくなっていると言うことを考えれば十分効果は出ているのだろう。

 その効果を増幅してやれば、お燐は喜ぶ。私は少しずつその感情の波を増幅させ、同時にお燐を撫でる。耳だけでなく頭を撫でて、髪を梳き、指先で頭をマッサージしたり、目元を解したりする。

 

「お燐には、色々仕事を任せているものね。だから、たまにこうして時間ができたら沢山誉めてあげたかったの。でも、お燐は少し頑張りすぎるから……別に駄目なわけではないわ。ただ、いつも苦労を掛けてしまうからこう言う時くらいは素直に甘えてくれた方が嬉しいのよ」

 

 お燐に渡したバステトは、憑依させると本音がかなり隠しにくくなる。ついつい求めていることを口に出してしまったり、思ったことをすぐに行動に移してしまうようになったり……その効果でお燐が欲している事を知ることができたんだし、今回は本当にたくさんたくさん撫でてあげないと。

 お燐はうにゃうにゃと口篭りながらも大人しく私の手を受け入れている。どうにも私に撫でられるのは大好きだけれど、以前に撫でられた後に足腰が立たなくなってしまいしばらくの間仕事ができなくなってしまった事を気にしているらしい。

 けれど私は気にしない。そう言った後の事を考える思考を停止させ、今をひたすらに楽しむように思考を誘導させる。ぴくぴくと跳ねるお燐の耳を優しく捕まえて裏側を指の腹でこしこしと擦る。

 

「ぁ……ッ!」

 

 お燐はきゅうっと足の指先を握り締めながら自分の口をその手で塞ぐ。目を塞がれているせいで色々と敏感になってしまっているのか、それともお燐が元々敏感なのか……まあ、どちらにしろ現状は変わらない。私はお燐を沢山撫でる。それだけだ。

「我慢なんてしなくてもいいんだけど」

 

 声をあげたいならあげればいいと思うし、体勢を変えたければ変えればいいと思う。なぜそれを我慢しているのかと言うと……お燐曰く、恥ずかしいからであるそうだ。

 こうして撫でられるのが気持ち良くて声をあげてしまうのはおかしなことではない。むしろ普通のことだと思われる。やっている内容が交尾などならば恥ずかしがるのもまあわからなくもないが、妖怪としてそれなりに永く生きている私にはそれが恥ずかしいものだと言う認識がやや失われてきてしまっている。こいしの教育に良くないからと言う理由だけでかなり自重してきてはいるが、それがなければもしかしたら壊した存在を集めて酒池肉林でも楽しんでいたかもしれない。

 その場合、きっと地霊殿は今のように工房のような区画はできていなかっただろうし、お空は神の力を与えられるような事もなく、同時に私がフランやこころと出会うこともなかっただろうから……まあ、悪いことではないと思いたい。

 

「ふぁあっ!あっ!ぁあっ!!」

 

 お燐の耳を揉み解して行くと、あるところから我慢ができなくなったのか声が漏れるようになった。内心のストレスと身体の凝りを同時に解されて、どんどんとお燐の意識が形を失っていくのがわかる。目は見えていないのでわからないが恐らく焦点は結ばれておらず、同時に瞳孔は開ききっているだろう。言ってしまえば催眠状態の一種にもある忘我状態だ。

 この状態で色々と吹き込めばその通りの催眠にかけることもできるし、実際に昔お仕置きとして全身を見えない誰かにぺろぺろと舐められ続けると言う幻触をさせたことがあったけれど、本当に全身をいつまでも舐められ続けるように感じたらしく凄いことになっていた。

 今回はお仕置きではなくご褒美なのでそんなことはしないけれど、少しだけ感覚を鋭くしてみた。気持ち良いものはより気持ち良く。眠ってしまったり急用が入った時のために時間経過で切れるようにはしておいたので放置したとしても数時間後には消える。

 私がお燐を撫でる手は頭から耳へと移り、さらに身体まで移動した。疲れから来る凝りを解し、固まってカチカチになってしまった筋肉を柔らかくなるまで撫でるように揉む。

 性的な物とは違う快楽。そう言ったものも増幅されて感じているお燐はとっくに意識を失っている。全身は完全に脱力し、口からは涎と一緒に喘ぐような嬌声を溢している。

 

「はい、それじゃあ次は背中ね」

 

 ころん、と転がすと、お燐の身体は簡単に動いてくれる。服に涎がついてしまうのはあれなので、しっかりと溢れた分は拭き取っておく。

 そして、ゆっくりとお燐の頭を撫でながら身体を解していく。

 撫でるように、けして痛みを与えないように、優しく優しく───。

 

「……いつもありがとうね。お燐」

 

 私の言葉が聞こえたのかそうでないのか、私の膝の上に乗ったお燐の横顔はにへらと緩んだ笑みを浮かべた。

 


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