当方小五ロリ   作:真暇 日間

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67 私はこうして河童に貢ぐ

 

 貢ぐという言葉は、外の世界ではあまりいい意味に使われることがない。それは本来その言葉を使うことが多かった神や王、皇帝といった存在にあまり目を向ける存在がいなくなったせいでもある。

 自分よりも立場の高い相手に対して、自分の意思を聞いてほしいと。自分を目にかけて欲しいという頼みごとをする時に、貢ぐという言葉は使われていた。今でもそういった意味で『貢物』という言葉が使われることもあるし、幻想郷では神格が現存しているため本来の意味で使われることが多い。まあ、形を見れば女に貢いでいるようにも見えると言うかそのものではあるが、その女がかなり高位の神格を持つと言うのだから言葉として間違った使い方では無い。

 そして今回の場合、私は協力してくれた相手に対してお礼の気持ちを伝えるために相手のところにまで向かっている訳だから、貢ぐと言っても間違いではない……だろう。恐らく。

 

「別にいいのに」

「いえ、あの時は間違いなく助かりましたから」

「ん~……まあ、断るのもあれだし受け取ってはおくよ?」

「是非そうしてください」

 

 私がぺこりと頭を下げると、それを見たにとりさんは困ったように頬を掻く。にとりさんを困らせるつもりはなかったのだけれど、今まさに困ってしまっているのは……にとりさんが妖怪らしくないと言っても良いほどに心優しい存在だからだろう。心を読むことができる私ならば手を取るようにわかる。にとりさんは心優しい妖怪だ。食料の元になる人間すらも友として扱う、妖怪と言う存在からしてみれば異様とも言える存在だ。

 けれどにとりさんを筆頭とした河童達は、今では人間の里や妖怪の山では非常に高い技術を持った技術者集団だと言う見方が強い。そのため人間を盟友と呼び、人間が妖怪から身を守るための道具なんてものを作っても、八雲紫を筆頭とした大妖怪達からも排除されずに過ごし続けている。

 

 ……そもそも河童と言う妖怪は種族的に非常に強い。水辺ならばはっきり言って負ける方が難しい。勿論相手が規格外でなければと言う前提条件は必要だけれど、状況次第では鬼にすら勝つことができるスペックはある。

 しかしあくまでも幻想郷の河童達は技術者であり、戦闘者ではない。その力を自由に振るえばどんなことができるかをよく知っていると言うのに、やることは物作りばかりで戦闘には殆ど興味はない。だからこそ、八雲紫からその技術力を危険視されながらも未だに幻想郷に生きることができている。

 

 けれども、欲がないと言うわけではない。技術者であり、物作りが大好きな河童達は物作りが自由にできてかつ健康的に生活することができればそれでいいのであって、それが侵害されるような事があれば恐らく本気で反発するだろう。土蜘蛛が川に毒を流した時のように、その力を振るうことに一切の躊躇いを見せることはない。

 いくら心優しくあろうとも、それでも彼女達は妖怪なのだ。

 

 しかし、生活に彩りを加えてくれる相手に対しては、河童達は非常に寛容でもある。よほど無茶苦茶な事をしない限りは、見知らぬ相手を訝しむ事はあっても敵対的になるようなことは殆ど無い。生活を脅かしたりしなければ、大抵のことは許してくれたりする。なにしろ人間と交わって子供を産み、その子供を種族全体で当然のように育てていたりするくらいなのだから。

 勿論河童が全員そうとは限らない。人間嫌いの河童もいるし、機械弄りをしたがらない河童もいる。そういった河童は対外農業に勤しんでいたり、妖術の研究が好きだったりで大抵別の何かにはまっている。種族的に何らかの研究や研鑽というものが大好きなのだ。

 ……まあ、いろいろなことにのめりこみすぎて寝食を忘れて倒れ、それまでやっていたことが一気に駄目になってしまって絶望して自殺しようとした河童もいるくらい、河童というのは何かにのめりこむとそれに真剣に取り組もうとする種族であった。

 ちなみに先程の人間と子を作った河童はそうやって死のうとしたところを人間に救われて恋に落ち、子を作るところまで行ったらしい。その河童の恋愛話は未だに酒の席で語られ続けているのだとか。

「あっはっはっは……そうしてできた子が私の姉だったりするんだけどね」

「ほほう。それは少し興味がありますね」

「話そうか? まあ、結構前に出て行っちゃったから詳しいことは知らないんだけどさ。ちょうど酒もつまみもあることだし、話せることは話してもいいよ?」

「では、お願いします」

 

 勇儀さんのように一気に飲むお酒の量はあまり多くないけれど、河童も中々の酒豪揃い。お酒を飲むと手先が狂いやすくなると言う理由であまり頻繁に飲むことはないけれど、飲むとなればかなり飲む。

 と言うか、そもそもお酒を嫌う妖怪はそういない。虫の妖怪であろうが動物の妖怪だろうが蛇の妖怪だろうが、あるいは元々は生きていないものから生まれた妖怪だろうが関係なくお酒を好む者ばかりだ。

 お酒を飲まないのは、元々ものを食べることができないものだったり、あるいはお酒を飲むことで非常に大きな不利益を被るような者ばかり。実際に飲めるのにお酒が嫌いなのは、多分身体や舌がまだ子供な者くらいだと思う。

 

 ……つまり、フランはまだまだ子供……と。人間と違って精神によって肉体的な年齢が決まる妖怪は、何百何千何万と生きていようとも精神さえ若くあれば肉体も若いまま保たれる。愛宕山太郎坊はそのお陰であれだけ長く生きていると言うのにまだまだ若い。

 そう考えれば、この幻想郷には精神的に若い者が多い。強い者が少女であったり若い女の姿をしていたりするのは、そうして精神の若さを保つと言う理由があってのことかもしれない。私はそんなことは考えたこともなかったけれど、長く生きていくにはその方がいい。なにしろ寿命に直結するのだから。

 ……と、考え事はこの辺りにしておこう。連続して飲むのは久し振りだけれど、私は飲むのが早くないし恐らく潰れることはない。

 お酒を飲む時には、お酒に集中するべきだ。話を聞くときにそちらに集中するのと同じように。

 さて、今回は……話に集中するとしよう。中々聞くことのできない河童の身の上話だ。

 

 ……記憶を読めるから知っているとか言うつもりはない。話を聞けば、本人がその事についてどう考え、どう思っているかを理解することができる。だからこそ、知識として持っているからといって話を聞かない理由にはならない。

 それじゃあ、話を聞こう。




 
 小五エロリ練習中。読みたい方いましたら適当に上げときます。

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