69 私はこうして石を拾う
体内に何かが転がり込んできたのが感覚的に分かった。その何かが一体何なのか。それを知る者が居ないかを久方振りに全力捜査してみたところ、驚くべきことが発覚した。
まあ、簡単に言えば月に行った古き神々がこの現象の原因であるようで、月がとある存在に征服されてしまったが故に幻想郷に月の都ごと転移しようとしてきているらしい。それも、もともとある幻想郷を塗りつぶす形で。
月人達は地上にいる私達のことを虫のような汚らわしい存在くらいにしか思っていないのがよくわかる。確かに一部の存在にとってはそうかもしれないけれど、多くの月人たちは殺せば死ぬし十分殺せるくらいの実力しかもっていないというのに、態度ばかり大きくて嫌になってしまう。
だが、この月のパワーストーンを実際に幻想郷に送り込んできているのは、外の世界のとある時代に住む女学生。彼女は口に出した事とは逆の運命を辿らせるとある神によって弄られた運命の中で、それでも自身の欲を出しながら生きているようだ。実に人間らしくて結構結構。
けれど、幻想郷の結界を跡形もなくなるほどに壊されてしまってはとても困るのだ。私の飼っているペット達の多くは妖怪であり、博麗大結界がなくなってしまうと自身の肉体を保つことも難しくなってしまう。他者の存在を危うくしてでも自身の欲と意志を貫こうとするのなら、逆にこちらの意思によって自身が滅ぼされる覚悟くらいは決めていてもらおうか。
……ああ、それと天探女……今は稀神と言うのでしたか。貴女の望みは叶うでしょう。月の都の遷都は叶わず、そして暫くは貴女方が夢の世界から出てくることもない。もしもこの計画が成功しそうになったのならば、月の都に特大の穢れの結晶体にして化身を召還して差し上げます。地球上の全ての生命体の根源と、宇宙全ての不浄なるものの父。生命というものに触れることを極端に恐れる月の民は、それらに触れることができないでしょうからね。触れれば最後、あっという間に彼らが穢れと呼ぶ命の波動に飲み込まれて寿命に囚われてしまうことでしょう。
そうなれば、月の都の遷都など起きることもありませんね。もう何も住んでいない都を遷都させる意味などどこにも無いわけですし、ついでにそれを実行しようとする存在もいなくなるわけですから。
問題はそれに参加していない天津神も少々危険に曝されると言うことくらいですが……まあ、問題ないでしょう。私が抑えられるくらいの神格です。彼らが本気になれば抑えられないなどと言うことはないはずです。月人に対して有効なのは、あくまで相性の問題ですからね。ポ○モンで言えば地面とノーマルタイプの技しか覚えていないダグ○リオを相手に、特性浮遊のゲ○ガーが一方的に攻撃を加え続けることができるような状態。ダグ○リオに残されているのはPPを使い切ってのわるあがきだけですが、そんなにPPを使うより早く倒されてしまいますしね。
相手のポケモ○メタ読みして一方的に嬲るのは楽しい、などとは言いませんし、むしろ普段はそういうことをしないように意識して抑えていたりするのですが……やらなければいけないならやりますとも。躊躇はしません。容赦もしません。ええ、やりましょう。
……とは言うものの、基本的に私は平和主義。できる限り双方に被害が出ないよう、そして双方が納得できるように力を振るう方がいいでしょう。無駄に恨まれるのは嫌いですし、面倒ですからね。
……しかし、都市伝説ですか。またなんとも珍妙なものを持ってきましたね。こういった話からも一応妖怪などは生まれるんですよ? 結構有名な話の筈なんですが。
博麗の巫女の使う都市伝説は隙間女。あらゆる隙間に存在することができる存在で……はっきり言って八雲紫だ。間違いない。恐らく、最も自身がよく知る相手の話だと認識してその都市伝説を選んだのだろう。
白黒の魔法使いは、学校の七不思議。あれは私の知る限り種類だけで20以上は存在しているんですが、いったいどの七不思議が選ばれるんでしょうね。ただ、小分けにしたら一つ一つの出力が下がってしまうような気がしますが大丈夫でしょうか。
こいしの使う都市伝説はメリーさん。幻想郷ではそもそも電話がありませんし、はっきり言って誰にもわからないと思いますね。いいところ河童さんくらいじゃないですかね? 電話がわかるの。
こころの使う都市伝説は口裂け女。ポマードポマード唱えられると逃げていくと言う話でしたが、こころは実際には口裂け女ではないので効果なし。ポマードポマードと言いながら顔面に思いっきりポマードを叩きつけられれば逃げ出すと思いますけどね。私だって逃げます。
白蓮和尚が使う都市伝説はターボババァ。ババアを自称……まあ、確かに一時期おばあさんだったこともあるようですし、本人がいいのならばいいんですけどね。そのあたりどうなんでしょう? ……あ、いいんですか、そうですか。
尼入道が使う都市伝説は八尺さま。これって確か結構なヤンデレさんが憑いてくるっていう内容だったような気がしますけど、八尺様役の見越し入道の方はそのあたりどう考えてるんですかね。やっぱり見越し入道はヤンデレだったという解釈でいいんでしょうか。
エロミm……聖徳太子さんの使う都市伝説は赤マント青マント。どっちを選んでも殺されてしまいますね。怖い怖い。まあ聖徳太子さんだったら実際に殺しは……ああ、そう言えば時代的に人間の殺害に余り忌避感がない時代でしたね。問題なく殺すかもしれません。手を出そうとしたら千人分の話を同時に詰め込んで頭を内側から吹き飛ばしましょう。
板。番町皿屋敷。古い。以上。
茨木童子が使う都市伝説は猿の手。猿より怖い鬼が猿の手を使うって手加減でしかないような気もしますね。まあ、本人に出会ったら適当にキレられない程度にからかっておきましょう。
二ツ岩大明神の使う都市伝説はM.I.B。メン・イン・ブラック、と読むんでしたっけ。宇宙からの来訪者を捕まえて解剖して綺麗に並べて揃えて晒すお仕事と聞きました。頑張ってください。
小人族の姫君の使う都市伝説はリトルグリーンマン。ちっちゃくって緑色の人間みたいな存在ですか。緑色というところを除けば結構当たっている気もしますね。本人に言ったらぶち転がされそうですけど。
河童さんの使う都市伝説はネス湖の怪物ネッシー。……機械って、便利ですよね。ええ。
それと、本人に自覚が無いものの恐らく持っているのが藤原妹紅さん。別名焼き鳥さん。使っているのは多分人体自然発火現象か、あるいは歩く死者とかそんなところでしょう。飛行なら博麗の巫女達もそうですから。高速再生してくるゾンビ……怖いですね。
そして、今回のことを一応考えたということになっているのが、宇佐美董子使う都市伝説……と言うより、オカルトは世界七不思議。結構な超能力者のようですが、基本はPK、念動力が武器になるようです。また面倒な存在が面倒なことをしてくれたものです。
……そう言えば、私も持っているということは私にも何か都市伝説があるということなのでしょう。それがいったい何なのかはわかりませんけど、できればわかる機会なんて永遠に来ないでくれるとうれしいんですけどね。
戦いは嫌いです。ですので、できることなら皆さんはこんなところに来て戦いなんてやめてほしいんですよね。言っても無駄でしょうけど。
では、一応私も持っているオカルトの力を確認しましょうか。何かがあっては遅いのですし。
小五エロリ製作しました。