当方小五ロリ   作:真暇 日間

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 連続投稿4/12です。


73 私はこうして話をつける

 

「───と、言うことです」

「なるほどねぇ……いつものちょっとした異変かと思ったら、実はめちゃくちゃ大したことある異変だったわけか」

「そうなりますね」

「解決方法は?」

「……まあ、一応ありますが、今はまだ秘密と言うことで一つ」

 

 仕方ないねぇ、すみません、と言いながら笑い合う私とにとりさん。色々と面倒なことになってしまうのは仕方無いし、お互いに嘘をつくようなことはしないだろうと信頼していて、さらにお互いに相手から信頼されていることを信じている仲だからこそできるやりとりだ。

 

 ……話は変わるけれど、私は何故か相手の色欲を擽ってしまう事が多い。そのため不思議なことに私が誰かの夢に出演してそういったことのお相手をしているところを能力で見てしまうこともそれなりにあるのだ。

 そして、その内容は実に様々だ。こいしの夢は見たことがないからわからないけれど、フランならたくさんたくさん私に甘えていることが多いし、こころも同じく。貴人聖者は…………まあ、狂信者らしいと言うか無銘祭祀書の内容と言うか、そんな内容が多く、勇儀さんは私との喧嘩を何度も何度も思い出している。お空は私に責められる夢を見ることが多くて、お燐は逆に私を責める夢が多い。

 では、にとりさんはどんな夢を見ているか。なんとも研究者らしく、そして同時に研究のために魂まで売り渡すようなこともできずに人間らしさを残したまま私を研究のために必要な素体として扱い続けている夢を見ているようだった。そして、その夢のことを私に知られたくないと自身に催眠術までかけて記憶を封印しようとする始末。……私はそのくらいでは別に怒ったり嫌ったり蔑んだりすることは無いんですけどね。実際にされるならともかく、夢に見られるだけなら慣れてますし。

 ……あんまりペットたちを厳しく叱ることはないのが問題なんですかね。そこまで気にしてはいませんがあんまり繰り返されると少し落ち込みます。

 

 まあそう言うこともあり、見当違いの罪悪感を抱いているにとりさんを相手にしての話し合いはかなり簡単に進んでいく。負い目のある相手との交渉は楽でいいですね。相手はこういった交渉はあまり上手ではないかわりにそういった内心を隠すことはそれなりに上手い。そういう相手には知らないふりをして純粋に感謝の言葉を伝えたりするのが一番です。 精神的にねじまがっているような方には逆効果にもなりますが、その時はその時で最後に『全部知っていて利用していた』と言う風に掌の上アピールをしておけばいい。ちなみに善良な方は『知っていた。けど、それでも私は貴女を信じている』とかそういう風に言っておけば何の問題もない。イイハナシダナーで終わりますしね。

 下種い? まあ、覚妖怪とはそう言うものです。力が弱い分精神的に多少強靭なのですよ。下種だのなんだのと言われようと全く気にならない程度には。

 

「……よし、わかった!さとりが嘘をつくならもっとそれらしいことを言うだろうし、こんな洒落にならない嘘をつくような奴じゃないってのは知ってるからな。協力しようじゃないか」

「ありがとうございます」

「いいっていいって。私も幻想郷に住んでいる以上どうしたって幻想郷全体のことには関係してくるわけだし、それが幻想郷の崩壊に繋がるってんなら尚更さ。まだまだ作りたいものもあるし、死にたくはない。でも私にできることはそうないんだし、できることには協力するさ」

「……では、オカルトボールを頂くために勝負を挑みます。内容は……じゃんけんでいいですか?」

「じゃんけんでとれるのかい?」

「明確に勝敗がつかないような行為でもやり取りができたのですから、できないとは思いませんけどね。できなかったらまた別の方法を試します」

「……ちなみに、その『明確に決着のつかない行為』ってのはなんだい?」

「どちらがより楽しんだか、と言うような結果が不確かなものですよ。とにかく楽しめればよかったのですがいつの間にやら決着したようで」

「あー……そりゃわからんわ。私もわからん」

 

 内容としては間違ったことは言っていませんよ。間違ってはいません。間違っては。正確かどうかは置いておきますが、間違ってはない。それに見方を変えれば正しくはある。十分条件と必要条件のようなものですね。

 Aが真ならばBも真である。それが十分条件であり、この時AとBは等号で結ばれるとは限らないため、Aが真でなかったとしてもBが真である可能性はある。つまり、AはBの十分条件であると言える。

 しかしBが真でなかった場合はAも真ではない。これはAが真であるためにはBが真である必要があると言うことを示しており、Bが既に真でなければAもまた真ではない。これが必要条件だ。

 

 今回の話において、私がにとりさんに説明した行為をA、私とこころの間にあった行為をBとすれば分かりやすい。A、つまりじゃんけんなどによる決着でもオカルトボールを取り出すことができると言う推論が真であるかどうかはいまだにわからないが、少なくともB、つまり私とこころの行為による結果としてオカルトボールが出たと言う事実は真である。これが決着がついたからと言う理由をつけられたのは、私とこころの行為が終わった直後にオカルトボールが出てきたからであり、それが決着と見なされたが故の結果なのだろうと言う推論をたてた。Bが真であるという必要条件は満たしているが、Aが真であるという確証を持つことはできない。これはそういうものだ。仕方ない。

 ただ、おそらくではあるがこちらも向こうも本気でなければいけないのだろう。だから私は本気で勝ちに行くつもりだし、にとりさんも本気で相手をしようとしてくれているようだ。手に加速装置と、思考の加速用ヘッドギア。なんともあからさまな後出し用装備ではあるけれど……まあ、結果として同時に手を出しているという前提の上で相手の手を見てから変えることができるのならばそれは合法だろう。鬼だってやっている。私だって時々やる。私の周りにこれができない妖怪はほとんどいないし、本気でやるならむしろしないほうがおかしい。私も一瞬だけなら鬼と同じくらいの速度で動くこともできるし、じゃんけんはまさにその一瞬で決着がつくものだ

 

「それじゃあ、始めましょうか」

「あ、もうちょっと待って。今起動するから」

「……」

「……よし!待っててくれてありがとね。それじゃあ……最初はグーはする?」

「しなくていいでしょう」

「そう? それじゃあ私はパーを出すから」

「覚妖怪を相手に心理戦を仕掛けようとするその心意気は買いますが、いい結果が出るとは限りませんよ?」

「やれることはやっとく主義でね」

「そうですか。では私はにとりさんと同じくパーを出しますね」

「ぐぬぬ」

「ハイハイそれでは始めましょうかそれではじゃーんけーん」

「わっわっわっわっぅわっ!」

 

 まあ、非常に慌てていて機械の力を使いこなすことのできなかったにとりさんが私に勝てるはずもなく、そして私がいつも通りににとりさんの思考を誘導しつつ自分の身体にとある鬼を憑依させて身体能力を上げながらじゃんけんに臨んでいる以上そもそもにとりさんの勝率は非常に低いと言わざるを得ないわけで。

 

「私の勝ち、ということでいいですか」

「あー、うん、いいんじゃないかな。流石にこの状態でまだ勝負ついてないとかみっともないことを言う気にはなれないし」

「私、わざとせかしていましたよ?」

「そのくらいのことは策のうちに入るだろ。私だってタイミング外すためにわざと起動を少し遅らせてたし」

「まあ、そのくらいはやりますよね」

「本気のじゃんけんならそれくらいは当然だよね」

 

 まあ、そういう認識が共通のものとして存在していてくれてよかった。全力でやるならそれこそ本当に全力やらなければ。楽しむための遊びならばそれ相応の全力があるし、命を懸けた時の全力にも同じく。

 そして、決着がついたと同時に飛び出してくるオカルトボール。これで私がもともと持っていた分と合わせて四つになった。あと三つ……最後のは博麗神社の裏にいる茨木童子から貰うことにしているから実質あと二つ……さて、とりあえず私のダイジナオトモダチに話をしに行くとしましょうか。

 


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