そら色ワルツ   作:高槻翡翠

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後半部分。

テニスしていないんだけどテニス世界でもこんな一場面は
あるみたいな感じだったというか


柔らかい殻 後編

血の力が抜けてしまったことで自分も腑抜けになってしまったのかもしれないと、

ルシエラはベッドに寝転がりながら考えた。病室のベッドは布団が薄いがルシエラは身体を横にさえ出来れば何処でも眠ることは出来た。

これはルシエラの同胞なら共通して持っているスキルだ。

 

「大阪人ってナポリ人みたいなところがあるわね……」

 

押し切られる形でルシエラは忍足家にホームステイをすることになってしまったのだ。

日本に住むことまでは考えていたが、細かいことはまだ考えていなかったのが不味かったかも知れない。

言葉ではイタリア人と纏めることはあるがナポリやシチリアなど地方によって人間性も違ってくる。

大阪人とナポリ人の共通点としては押しが強いと言うことだ。

むしろ、イタリアではイタリア人と呼ばれることは嫌われたりもしている。

話し合いが終わってからルシエラはディオには連絡を入れておいた。白石に連絡を入れなかったのは単純な話、連絡先を知らなかったのだ。謙也に聞けば教えて貰えるだろうが、謙也は忍足家の物置となっている空き部屋を開けていた。

明日でルシエラは病院を退院するが、行き先は忍足家の空き部屋だ。

病院から徒歩三十秒ほどである。

寝ていると枕の下に置いてある携帯電話が震えた。病院では携帯電話は禁止ではあるが入院しているのはルシエラだけなので遠慮無く使っていた。ディオからの連絡でそっちが混み合っているので夜中に来るとだけ書いてあった。

日本に住むことにしたし、そうなったからディオも顔を出しづらいのかも知れない。

気配がしたのでルシエラは起き上がる。

 

「寝とったんか」

 

「蔵ノ介」

 

「謙也から連絡受けたんやけど、それとディオ君と会ったわ」

 

「デューと?」

 

白石が言うにはディオは白石に話かけてきて、二人でしばらく話していたらしい。ルシエラが出ていたので、昨日のことなどをディオは白石に聞いたのだそうだ。

謙也がルシエラが自分の家にホームステイをすることになったと、白石の携帯に連絡を入れてきた。

ディオはルシエラに渡すものの準備があるからと白石と別れていた。

 

「ディオ君がデューになるんわ。どういう理屈や」

 

「アイツの名字のドゥリンダナはデュランダルのイタリア語読みなの。そこからデュー。同じ組織にいたのよ」

 

居たとルシエラは過去形で言う。ディオがドゥリンダナを名字に使っているのはルシエラがフラガラッハを名字にしているのと同じ理由だ。名字にする言葉がなかったというのが理由の一つにあった。

デュランダルは不滅の刃の意味を持つ、フランスの叙事詩、ローランの歌に出てくる剣だ。

剣の柄には聖遺物が収まっている。不滅の刃の名の通り、岩に叩きつけようとも決して折れない。

 

「居た……過去形やな」

 

「……壊滅したのよ。私もアイツもそこに居たの。剣王って言う作品だったわ」

 

自慢するわけでもなく、忌々しいものを吐き出すかの如くルシエラは言う。

組織は『お菓子の家』と呼ばれていた。端的に言うと暗殺者養成機関であり、剣王というのは組織が最強をコンセプトに作り上げた作品であった。

 

「壊滅って警察とかが」

 

白石の言葉にルシエラは首を横に振る。

「ティル……剣王の最強が……何を思ったのか、完膚無きまでに壊したの」

 

彼はティルフィングと言う剣の名が与えられていた。剣王最強であり、数々の殺しをしてきたのだが、

ある日、組織を壊滅させた。組織に従順であったはずなのに、組織に組織に関わった者、ファミリーを悉く潰して消して殺した。殺人に次ぐ殺人を行い、そのためにマフィア界が傾きかけたとも言われている。

ルシエラは『お菓子の家』の本部が滅ぼされたときには任務で外に出ていた。

今でもティルが組織を滅ぼした理由がルシエラには分からない。ティルは組織を不満に想っているわけでもなかったし、忠実だったのだ。

 

「どんな能力やったんや。そのヒト」

 

「奇数番だったから、無いわ。能力無しで武器とかだけ使って一人でやったのよ」

 

ティルフィングは剣王では一番目であり、ルシエラは四番目、ディオは八番目だ。

偶数番は狂気の血を植え付けられて、奇数番は能力をそのまま純粋に鍛えあげている。裏社会には凄まじい人間が居るのだなと白石は想っているようだった。

 

「ジョジョ、読んどるんか」

 

ベッドに『ジョジョの奇妙な冒険』が置かれているのに気がついて白石が言う。八巻目になっていた。

 

「興味を持ったの。本は好きなのよ……蔵ノ介って四天宝寺中ってところに通っているんでしょう」

 

「通っとるな」

 

「四月から私も通うことになったわ……したと言うべきかしら」

 

忍足家との話し合いで、ルシエラは四天宝寺中学校に通うことになった。ルシエラは病弱で学校に通えなかったが、日本に来たし、せっかくだから通ってみたいと言うことにしたようだ。

学校に通うことはカモフラージュにもなるらしい。

 

「何年生で通うんや」

 

「……二年生ね。一年生とか……私は十七なのよ……デューと一緒なのよ」

 

「十七歳には見えんからな……ディオ君、十七やったんか」

 

ディオは用意したパスポートではルシエラは十三歳と言うことになっていた。拳を作ってルシエラは掛け布団を叩いている。

縮んだのが悔しいのだろう。

白石はルシエラが十七歳と言うことは聴いていたがディオも同年齢だと言うことを知り、そちらの方に気を取られた。

 

「……力は落ちるし縮むし最悪……」

 

「そのうち、ええことあるって」

 

「……そのうちっていつよ」

 

「近いうちとか、俺も補佐するから、気楽に行こうや」

 

ルシエラは一度だけ頷いた。

 

 

 

数時間後、白石は帰路に着いた。

明日にはルシエラは退院するため、退院は朝にしてからまずは四天宝寺中に行ってみることとなった。

彼女が言うには身体はほぼ回復していて問題はないらしい。

午前中は学校で過ごしてみて……テニス部を見せたりすることになりそうだが……午後にルシエラの部屋の家電や家具を揃えるために白石で謙也とルシエラと出かけることにした。

 

「問題はこれからやな……」

 

学校に通ったことがないルシエラだし、病弱で話を回してしまっているため、その芝居を続けないといけなくなったという。

狂気の血の調子が狂っただけであり、身体は健康体であるのだが、健康体とは言っても油断は出来ない。

それにルシエラの運動神経は一般の女子を軽く超えている。

まずは明日をどうするべきかと白石は考えていると、携帯電話が鳴った。出してみるとメールが入っている。

 

「……ディオ君……いつの間に俺の携帯アドレスを」

 

届いていたメールはディオからだったが白石はディオに携帯電話のメールアドレスや番号を教えていない。

それでもメールが届いている。タイトルは蔵へ、となっていて、内容は”君のメールアドレスは調べた。ついでに番号も、何かあったら連絡して、おれも気がついたら連絡する”と書かれていた。メールアドレスが書いていないが届いたメールから返信すればいいし、電話番号は下の方に書かれていた。

もう一通またメールが届く。タイトルには追伸とあった。

 

「アンが十七歳って信じられないだろうから、元のアンの写真を送って……」

 

添付ファイルが着いていたので白石は携帯電話を操作してネットに繋げてみる。ディオが使っているサーバーにアップしたものであった。

元のルシエラの写真を見た白石は硬直した。

写真に写っていたのは鮮やかな金髪を腰辺りまで伸ばした十代後半の少女だった。

身長は百六十センチほどで、頭にはヘッドドレスを着けていて、首にはペンダントをつけている。

全体のバランスを上手く取っていた。

彼女が着ている白色のゴシックロリータは白石が鞄の中に入れっぱなしの……医院で話題にし忘れていた……ものと同じであり、サイズはぴったりだった。整った顔立ちをしていて、アンティークのソファーの上に座っている。

深窓の令嬢と言う言葉がよくあっていた。表情はほんの少しだけ微笑んでいる。

 

「――美少女や」

 

白石は携帯電話に本来のルシエラの画像を保存した。しっかりフォルダに鍵をかけて隠しておく。

ディオの返事にメールは受け取ったと言うことや、写真の感想としてビフォーアフターやなと書いて送信しておいた。

 

 

【Fin】

 

第三話に続く




二話目後書き(にじファン分から転載)

新キャラのディオは誰かに雇われてますがその雇い主はリボーンの方の
キャラで彼はそのまま雇い主呼んでます。
結構こき使われていたり、彼もテニスサイドに後に関わります。

ルシエラは忍足家に居候することになりました。
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