東方流星記 ~ Imperial Fugitive.《帝国の逃亡者》   作:Exar Kun

2 / 21
Saga
第1話 From a galaxy far, far away....


           

 

 

 

 

 

 

 

 

遠い昔、遥か彼方の銀河系で・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

銀河帝国樹立より20年が経過しようとしていた

 

 

新秩序の名の下に統治が進んでいき、圧倒的な権力を保持していく中、帝国による圧政や耐え難い苦痛を感じる人々による反抗は徐々に拡大していった

 

 

この状況を是正するため銀河皇帝パルパティーンは帝国軍による鎮圧をより強化する指針を公布

 

 

反抗勢力に対する鎮圧が激しくなる中、帝国は圧倒的恐怖を与えるための超兵器デス・スターを開発、運用するに至った

 

 

デス・スター司令官に任命されたグランドモフ・ターキンは帝国に対する公然とした反抗の意思を見せ、反乱組織の源泉の一つでもある惑星オルデランを見せしめに破壊

 

 

この虐殺により多くの惑星が帝国を非難すると同時に、帝国内部でも疑問視する人々が増大していった

 

 

そんな時代の中、とある諜報員が祖国に疑問を持ち逃亡する

 

 

その逃亡が新たな人生への一歩だとは知らずに

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ワイルド・スペースニ到着シマシタ、マスター」

 

「ありがとうマグ」

 

 中心から遠く離れた銀河系の境界へハイパースペースから一隻の宇宙船が到着した。全体を漆黒で塗り上げた船体が、単なる冒険家の所有船ではないことを示している。

 

「・・・・・・」

 

 ドロイドからの報告を受けたこの船の主は、目の前に現れたリアルスペースを只々眺めていた。

 

 これからどうするか―――ハイパー・スペースでの長い航行時間、彼が思考していたのは、半ば出鱈目な座標登録による衝突への懸念と、その後どのように行動するかということだった。

 

 

「・・・・・・」

 

 ドロイドも主と同じく宇宙をじっと見つめている。

 

「マスター、コレカr」 「!」

 

 彼が主にこれからについて問おうとしたその時・・・かの主がまるでスペース・ゴーストを見たかのように目を見開いた。

 

「ブラック・ホールだ!!」― 彼の叫び声が隣に座るドロイドの聴音器に突き刺さる

 

「間に合えっっ!!」

 

 舵を大きく右へ取るが時すでに遅し

 

「― ― ― ― ― ― ―!!」

 

 操縦室の後方からアストロメク・ドロイド特有の甲高い"声"が悲鳴のように響き渡る。

 

「R2、マグ、掴まれぇぇぇっ!!」

 

 そう叫んだ瞬間―――船はブラック・ホールに飲み込まれていった・・・

 

 

 

 

 

 

 

 ガタガタガタガタ ―――

 

 

 物音が聞こえ、身体が揺れるのを感じる。尋問ドロイドに「拷問」されているのだろうか?

 

 

「――ター」

 

 

 ドロイドだけではない・・・声?・・・ISB(保安局)の要員でも立ち会っているのか?

 

 

「――スター!」

 

 

 尋問に対しての耐久訓練は何度も受けたが、実際の尋問は初めてだ・・・うまくいくだろうか・・・

 

 気怠さを感じながら思考する。尋問を耐久する上で考慮すべきは・・・

 

 

「マスターッ!!!」

 

「!?っ」 

 

 

 意識が完全に覚めた。この声は自分の相棒の声だ!そうだ、ワイルド・スペースに出てすぐにブラックホールに飲まれてそれで・・・

 

 眩しい・・・何かが目に・・・光?ブラック・ホールに光だと?― 眩しさを感じながらも目を開ける

 

「っ!惑星か?」

 

キャノピーから薄っすらと船外を覗く。不安定な視界下にも関わらず、太陽光に晒された自然の大地が遠目から知覚出来た。それと共に段々と地表に近づいていくのが分かる。

 

「マスター、コノママデハ地表ニ衝突シテシマイマス!!」

 

  どこか威圧するような声質を持つ機械音が叫びを上げるのをこの耳で聞き取る。

 

「!」

 

 その声をきいた彼は、操縦桿を思いっ切り下へ下げ、リパルサーリフトを起動しようとした・・・しかし

 

「間に合わない・・・強行着陸するしかない!!」

 

 掴まれ、まさにそう言おうとした瞬間、船はけたたましい、まるで悲鳴のような音をあげ"着陸"した・・・

 

 

 

 

 

「ううっ・・・」

 

「着陸」は何とか成功したようだ。怪我-無し 身体器官異常-無し 自己の状況を確認しつつ脚に力を入れ、立ち上がった。

 

「マグ、大丈夫か?」

 

 床に倒れた相棒を引き上げながらもその状態を確認する。

 

「問題アリマセン、マスター」

 

「良し・・・R2?」

 

「― ― ― ― ―」

 

 もう一体の相棒も無事のようだ。

 

 船自体も中部の損傷は見えない・・・さすがはKDY製だ、SFS製の船とは大違いだ・・・

 

 心の中でこの船の設計者に感謝する。思えばこの船の機能には何度も救われた。強固な装甲・シールド、0.5のハイパードライブ、整備性の良さ、そしてクローキング装置。成る程、改めて考えても自分の職務にぴったりの機能だ。すこしの間、彼はこの船と共に銀河を駆け抜けた記憶を懐かしんでいた。

 

「マスター、ココハドコデショウカ?」

 

 相棒の声で、今は追憶に浸る状況下ではないという事実へ回帰する。ここは何処だ・・・ブラックホールと結合する力場が存在でもしたというのか・・・なぜブラック・ホールが唐突に発生したんだ・・・それ以前にあれはブラック・ホールなのか。ここはワイルド・スペース領なのか?突然の状況変化による疑心により疑問が生じる。それらの解決を目指し、彼はまず船に搭載された機器を使用しての地理分析を行おうとした・・・が、

 

「・・・」

 

 機器に表示されるのは一向にエラーを示す文字のみであった。衝撃で損傷したのか・・・

 

「R2、どこか損傷しているか調べてくれ」

 

 その指示に従い、R2はすぐに取り掛かる・・・しかし、

 

「問題ない?R2もう一度しっかりと調べてくれ」

 

 だが耳にするのは先と同様の返答。

 

 そんな馬鹿な・・・故障ではないということは・・・

 

 

「ここは銀河系の外なのか?」

 

 

 突拍子の考えを浮かべながらも状況判断に努めようと思考を重ねる。

 

 いや・・・もしかしたらブラック・ホールの影響でR2でも気付かないような損傷が発生した可能性がある。そう仮定するならば、現在位置がワイルド・スペース内の惑星、あるいは他の領域である可能性も否定出来ない。ブラック・ホールは未知の存在だ・・・銀河の端から中心に送り返すような機能がないとは言い切れない。それとも本当に銀河系を超えた先なのか・・・いずれにせよ、この惑星について調査してみるしかない・・・人がいる可能性もある。船内の損傷を調べながらも彼は熟考した。

 

「R2、船の外側を修理しといてくれ。マグ、君はR2の護衛を」

 

 強行着陸が原因でリパルサーリフトに不具合が生じたらしく、船での調査が不可能となり、地上探査以外の選択肢が事実上消滅という結果に至った。貨物として搭載されたスピーダー・バイクを使用すべきかとも考えたが、状況を完全に把握していない不確実性を考慮に入れ、徒歩での探査を選択する。

 

「オ一人デヨロシイノデスカ?」

 

「ああ大丈夫だよ、それよりもR2を頼む。危険な生物が生息しているかもしれない。何かあったらすぐに連絡してくれ」

 

 本当は二体の側を離れるのは避けるべきだが状況が状況だ。船の修理を待つのは得策とは言えない・・・既に帝国の捜索範囲が追従した可能性もある・・・

 

「危険デハナイデスカ?地図モナシニ調査ヲ行ウノハ」

 

主人を心配するドロイドーーーそんな彼に向って主は、後ろを振り向きつつ、見方によれば諦めとも取れるような微笑を浮かべこう言った、

 

 

 

 フォースが導いてくれる気がするんだ・・・

 

 

 

 足を進めながらふと辺り一面に生え渡る植物を観察する。背丈は高く、すらりとしていて脆そうな、しかし触れてみると硬い・・・木と言って良いのだろうか。

 

「・・・美しい」

 

 無意識にそう呟いた。様々な惑星を訪れたつもりだが、自然を見て美しいと思ったのはこれまでなかったかもしれない。危険レベルに該当しかねない生物の姿も見えない静かな環境だ。それらの条件がより景観を洗練に仕上げている。

 

「・・・」

 

 以前の自分なら自然の美に心動かされることなんてなかっただろう、そう思いながら一直線に ― フォースの導きに従って ― 歩みを進めて行った。

 

 一時間程経過しても何ら得るものがなかった場合、船に一度戻ろうと彼は考えていた。その時は刻々と近づいている。次はスピーダーバイクで調査すべきか、はたまた、船の修理を待つか。食料は問題無い。夜間はクローキング装置を使用すべきか。その前にクローキング装置は故障していないだろうか。R2と共に修理と確認をすべきかだったのか・・・

 

「・・・」

 

 一度に考えを複雑にしてしまうのは自分の悪い癖だ。今は唯フォースに従って進むことに集中しなければ・・・

 

 

 

 

 

 

 予定していた時刻に差し掛かったところだろうか。遠目ながら家屋のような物が確認出来る。安心感が湧き上がると共に慎重に近づこうとする。

 

 近づいて見てみると、これまた一面に生える植物のように彼が一度も見たことの無いような、それでいて美しい建物が厳かに建っていた。特殊な建物には見えないが、一種の神秘性をかもし出している。このなんとも言え無い様な神秘性を、フォースが感じ取ったのだろうか。

 

 敷地内に見たことのない動物がいた。どこぞの総督の愛玩動物に瓜二つであったのは秘密である。人に慣れているのか何匹か近づいてきたので頭を撫でてみた・・・フサフサとしている。そういえばこのようにして動物に触れるのも初めてではないだろうか・・・

 

 住人を探索しようとする前にどの様な身分で話を聞こうか策を凝らす。仮に帝国領だとすると、脱走兵である事実が露見した場合、最低でも地元警察、最悪の場合、駐留帝国軍に通報される可能性がある。だかしかし、逆に惑星政府が同盟軍又は反乱組織の庇護や支援を行っているなら、彼らに突き出されるかもしれない。いや、後者なら事情を説明して投降する事ができるはずだ。自分たちは帝国から逃亡している・・・同盟軍から逃がれているわけではない・・・何より制服を着たままで来てしまった・・・帝国軍人として振る舞おう。

 

 何故か内心に靄が掛かる様な息苦しさを感じるが、それ以上に自身の現況を悪化させる可能性のある案件について思考する。

 

「・・・・・・」

 

 仮に未開拓惑星ならば言語が、いやそれならまだ良い、もし銀河系の外側だったとしたら・・・

 

「・・・今戸惑っている暇は無い」

 

 出来る限り迅速に船の下へ戻らなければ、何よりフォースがここまで導いてくれた、悪い方向へは向かない・・・はずだ・・・

 

 動物たちから離れ、建物の入り口に近づいて行く。見た所、インターフォンやセキリュティー・システムは設置されていない模様―――ノック方式だろうか?一息飲みつつ、ノックしようと手を上げる。

 

 

 コンコン ―――

 

 

 返事がない・・・外へ出ているのだろうか。

 

 

「はーい」

 

 少し遅れながらも返答が屋内から伝わる―――間違えない、銀河ベーシックだ!恐らくここは銀河系内の惑星だ。やはり搭載機器に異常があったのだ。次の懸念はどこに位置する惑星であるかということだな・・・とにかく、帝国軍人として応対しなければ・・・

 

「いらっしゃいませ。人里の方・・・ですよね? 診察ですか、それとも薬をお求めですか?」

 

 自分と比較的近いであろう歳の頃と思われる少女が目の前に現れた。桃色の長い髪を持つ少女を何故か、色事には疎く、女性に対してさほど興味を持つことがなかった自分でも可愛らしいと率直に思った。だが、最も興味深かったのは、彼女の頭部から生える耳らしき器官である。ニア=ヒューマンなのだろうか?しかし、人間と殆ど変わらない皮膚、体型そして耳を持つ。それならば、頭のあれは耳でないのだろうか。それに診察ということはここは病院なのか・・・看板も無く、病院には見えないが。

 

「いえ・・・自分は帝国情報部の者ですが・・・実は、作戦行動中に宇宙船に異常が生じまして、この惑星に緊急着陸したのですが、ポジショニング・システムに不具合が生じていまして、着陸地点も森の中ということもあってこの惑星の位置はおろか名称も不明でして・・・」

 

 作戦経路も知らないのかと思われるだろうが・・・誤魔化せるだろうか。いや、不安を表に出すな。素の感情を出さないのは諜報員の基本だ。任務だと思えばいい。

 

「えっ・・・帝国?・・・宇宙船?」

 

 この反応は、まさか知らないのか。そんな、ベーシックを話しているというのに。それとも、彼女が帝国や宇宙船を知らないという事か。そんな馬鹿な!言語だけ流通している未開拓惑星なのか。まさか同盟軍か。いや、彼女の困惑は無知からだ、フォースがそう感じる。

 

「・・・すいません、少々お待ち願いますか?他の者を呼んできますので」

 

 そう言うと彼女は玄関に彼を残したまま小走りで建物の奥へ去ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 小走りで廊下を駆ける少女は困惑していた。見慣れない格好をした男性がいきなり帝国だ宇宙船だ言うもんなので、驚いてしまった。

 

 宇宙船ということは月からの使者・・・いや。どう見ても玉兎じゃないし月人にも見えない。そもそも、仮にも地上へ逃げた者たちに対してあんなことをなぜ言う必要がある。振り返って見てみると、彼も少し困惑した表情でいる。それに帝国と言っていた・・・そんなワードは聞いたことがない・・・ともかく今は師匠に知らせなければ。そう思い彼女は速度を上げた。

 

「師匠!!師匠~!!」― 彼女は声を張り上げて呼び続ける

 

「ウドンゲ、廊下を走っては行けないと言ったでしょ」

 

 ウドンゲと呼ばれた少女が襖を開けようとした瞬間、彼女の師匠である八意永琳が先に襖を開け半ば呆れつつ、弟子へ声をかけた。

 

「すいません。でも、今、お客さん?が来ていて!」

 

「急患かしら?」

 

 弟子の慌て具合を見て彼女は急患を予測した。

 

「いえ、その・・・見慣れない恰好をした変わった人が来てるんですけど、何だかよくわからないことを仰ったんで驚いてしまって」

 

 

「よくわからないこと?具体的には?」

 

 急患でないことに安堵しつつも、弟子の言葉に耳を傾け、情報を得ようとする。

 

「帝国情報部?の人らしくて、この惑星に強行着陸したけど惑星の名称が分からないとかなんとか・・・月の者には見えないんですけど・・・少し怪しい感じがして」

 

「・・・」

 

 帝国情報部?惑星に強行着陸?どういうことか分からない。

 

 月の者ではないとしたら心の病を負った人が自分を宇宙人とでも勘違いしているのかしら。それとも、本当の、月の者とも違う宇宙人・・・まさか・・・

 

 だが、必ずしもその可能性を否定することはできない。なぜなら彼女たちも地上の民から見れば宇宙人なのだから。

 

「・・・この部屋に連れてきて頂戴、でも気は緩めないで」

 

「わっ、分かりました!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 ここは履物を脱いで上がるのか、玄関口は手動だったのか、ドロイドはいないのかと屋内を観察していると、先程の少女が再び小走りで戻ってきた。

 

「申し訳ありませんが、一度屋敷へ上がってもらってもよろしいですか?」

 

「・・・分かりました、失礼します」

 

 ブーツを脱ぎ彼女の後を付いて行く。彼女の内面は困惑から警戒へ移っていた。やはり未開拓なのだろうか、いきなり訳のわからないことを言われて怪しんでいるのだろうか・・・そう思っているうちに目的の部屋へ到着した。

 

「師匠、連れてきました」

 

 どうやらこれから面会するのは彼女の師匠らしい。緊張を見せないように努力しつつ、背筋を伸ばす。

 

「通して頂戴」

 

 凛とした女性の声が聞こえてきた。この声の主が彼女の師匠なのだろうか。若い女性に聞こえるが、本当に師匠なのだろうか。そう思いつつ、扉(手動)を少女が開けてくれたので部屋に上がることにした。

 

「失礼します」

 

 部屋で待っていたのは、やはり師匠というには若く見える女性だった。不思議なことに、先程少女を見た時と同じように彼女に対して率直に綺麗だという感想を抱いた。若く見えながらもその佇まいや雰囲気から聡明さや落ち着きというものが感じられる。かつて同僚が言っていた大人の女性というやつなのだろうか。

 

「初めまして、永遠亭の薬師を務めさせて頂いている八意永琳と申します」

 

 椅子から立ち上がり丁寧にお辞儀までして下さった。慌てて自分もお辞儀をし、挨拶をする。

 

 

「初めまして・・・帝国情報部に属します、アルファード・レッドフィールドと申します。突然お邪魔してしまい申し訳ありません」

 

 帝国については少女と同じく知らない可能性が高いが一応述べておく。

 

「レッドフィールドさん、ですね。宇宙船でこの惑星に来たとか」

 

 聞き慣れた―――銀河系公用の単語・・・もしかしたら彼女は帝国や宇宙船について知っているのだろうか。だとしたら少女が知らないだけでここは銀河系の開拓惑星だろうか。

 

「はい、作戦行動中に宇宙船に異常が発生してしまい強行着陸を余儀なくされ、着陸後もポジショニング・システムの不具合等でこの惑星についての情報が得られなかったため、人を探索する過程でこちらを・・・」

 

「ここへは一人でいらっしゃったのかしら」

 

 彼女から深い警戒心が伺える。やはり訝しんでいるのか。

 

「はい、着陸地点から一直線に」

 

「・・・・・・」

 

 無言の状態がしばらく続く。彼女も熟考しているのだろうか。先程の少女からも警戒心が感じられる・・・病院らしいが人が余り立ち寄らないのだろうか。先程目の前の女性は薬師と言っていた。病院と違い薬の調合や製造のみを行うため人が来ないという事なのか。だとしたらいきなりやってきた自分に警戒心を抱くのも不思議ではない。いや、先程少女は診察と確かに言っていた・・・

 

「どこからいらっしゃったか伺っても?」

 

「首都惑星コルサントから参りました」

 

 そういえば自分の逃亡を手助けしてくれた同僚たちは大丈夫だろうか。ISBに尋問されてはいないだろうか。もしそうだとしたら・・・

 

「レッドフィールドさん」

 

 八意さんの声が思考を中断させた。はい、と答える。

 

「申し訳ありませんが、私はコルサントという惑星は知りませんし、帝国情報部という組織名も聞いたことがありません」

 

 彼女も知らなかったのか・・・やはり未開拓惑星かそれとも・・・

 

「私の方からこの場所について説明させていただいてもいいですか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 八意さんの説明はにわかには信じ難い事実を私に突き付けた。まず、この惑星は地球と言うらしい。そしてこの惑星は太陽系というシステムに属しており唯一生命体が存在する惑星らしい。銀河系の中に存在すると言われ安心しかけたが、彼女の資料を交えての説明を聞くと、この銀河系は私たちがいた銀河系とは全く異なるということが理解できた。つまりここは私たちの銀河系の外側である可能性が高いということだ。

 

「・・・・・・」

 

 銀河の外側だって!?ワイルド・スペースを超えたのだろうか。そもそも、あのブラック・ホールはまだ存在するのか。仮に消えてしまったのなら、"我々の銀河系"に戻れないだろう・・・

 

  一体何故、どうして我々が、これもフォースの導きなのか、無計画な意思の結果がここへ誘ったと言うのか・・・様々な疑問や不安が流れ込んでくる。

 

「・・・・・・」

 

 八意さんや少女の心からも信じられないといった感情が読み取れた。それはそうだろう。聞くところによれば、この惑星の技術レベルは非常に低く、ハイパードライブ・システムも存在していないようであった。宇宙に行くだけでも非常にコストがかかり、銀河系はおろか太陽系ですら完全には探査していないらしい。また一つの惑星にも関わらず約200もの国が存在し、惑星政府が存在しないというのだ。文化的にも科学的にもかなり遅れた惑星であるということが理解できた。つまりは、独自の技術・文化を発展させてきた未開拓惑星であるのだ。つまり彼女らは原住民族である。月にまでにしか人か辿り着いたことのないと思っていたら、いきなり銀河系の外側から人がやってきたというのだから・・・驚くのも無理はない・・・

 

 そして、更に信じられないのが、この場所が幻想郷と言われる地域であり、ここには先程説明された「外」の世界と隔てられ、外の世界から消えた物、忘れ去られた物が実在する場所であり全てを受け入れるということだ。そのため、幻想郷には人間だけでなく妖怪や妖精、果ては幽霊や神まで存在するという・・・

「いきなり言われても理解できないと思うけど・・・」

 

 全くその通りである。多くの質問をしようとしたが言葉が出なかった・・・神とはあの神か・・・人々の信仰の対象であり、世界を創造したとされる超越的存在・・・全く理解出来ない・・・驚きや興味より、寧ろ恐怖感を覚える・・・

 

「あなたは作戦中に不時着したのよね?だとすれば早急に戻らなくてはならないのかしら?」

 

「・・・」

 

 伝えても良いのではないだろうか。この状況下では事情を打ち明けても特にデメリットはない筈だ。混乱している為か、意思決定力の低下が生じている。彼女らは無論帝国とも全く関係ない。正直に伝えた方が信頼が保たれるだろうか・・・後に事実を伝えるまで騙していたというのはどうも忍びない・・・

 

 

「実は―――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 まさか本当に宇宙人だったとは・・・しかも恐らくは私が知る銀河系とは異なる・・・地球はおろか月の都をもはるかに超える科学技術をもつ世界が構築された銀河系。彼が見せてくれたホログラム・プロジェクター・・・外の世界や月にも似たようなものは存在するが、こんなに小さいのにリアルタイムでの会話の使用や記録が出来るなんて・・・技術の高さが伺える。嘘はついていない。彼は本当に未知なる銀河からやって来たのだ!

 それにしても彼は人間である。彼も自分を人間という種族であると言っていた・・・人間がいるということは特段不思議ではない。この地球で発生したのなら他の惑星で発生しないとは必ずしも言えないからだ・・・それよりも人間という名称が気になる・・・種族が同じだとしても名称が同一であるなんて信じられない、いや、ありえない・・・地球もしくは月の民の誰かが偶然見つけ、子孫を繁栄した?いや、彼の説明から推察すると、太陽系が発生する以前から人間は存在していたことになる・・・それに言語は・・・文字は異なるが言語が同一・・・本当に不思議・・・そして興味深い・・・私のこれまでの知識や経験が洗い流されるような感覚に陥った。

 それにしても脱走兵だったとは、所々緊張が見え隠れしていたのはそのためね。ウドンゲもそうだったわ。

 

「・・・・・・」

 

 祖国が間違っていたということを理解し、逃亡した・・・どう行動するか具体的には決まっておらず、取り敢えず追跡を逃れるため銀河の端へ向かったらブラック・ホールに飲み込まれ、気づいたら幻想郷へ・・・彼の話を纏めるとこういうことであろうか。やはり信じられないような話ね。話を聞けば聞くほど月の都がどれだけ小さい存在なのか見えてくる。世界は広いわね・・・優曇華院も驚いてはいるが同時に好奇心が高まっているようね。輝夜もきっと興味を持つでしょう。

 

 

 

 それに、何だか放っておけないわ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「レッドフィールドさん。もしよろしければ、この幻想郷で暮らしてみるのはどうかしら?」

 

「えっ・・・」

 

「あなたは特に目的無く彷徨っていたのでしょう、追跡を逃れるためだけに。この世界はあなたから見たら不便に思えるでしょうけど、追っ手がここまで来る可能性は低いのではないかしら?最高の避難場所だと思うのだけど。それに・・・元の銀河系に戻れるのかまだはっきりしていないのよね・・・幻想郷は全てを受け入れる。せっかく言葉にも苦労しないのだから」

 

 もし行くあてがあるなら無理に誘うことはないが、彼の話を聞く限りでは無いように見える・・・彼には幼いころから国家へ尽くすという道しか存在しなかったため、どうすれば良いのか分からないのだ・・・歳もまだ17だという・・・初めて辛さというものから逃げ出したのだろう・・・その決心は彼にとって最大の勇気であったはずだ。

 

「・・・しかし、ここで流通している金銭を所持してはいませんし・・・」

 

「それならここで暮らすのはどうかしら?元の銀河系に戻れるかすら分からないのでしょう?屋敷の主人の許可が一応必要だけど、彼女も喜んで歓迎すると思うわ」

 

 そう彼に伝えると先程までとは違い、驚きを隠せないような表情をした。

 

 悩んでいるようね・・・やはりそれほど元の世界には未練は無いのかしらね。ってウドンゲも驚いているし・・・

 

「・・・まだ行動方針が決まっていないのでそれまでお世話になってもよろしいでしょうか?」

 

「勿論よ。ちょっと待っててね、この屋敷の主人に話してくるから。 ウドンゲ、彼にお茶と菓子をお出しして」

 

「すいません。先程お話したドロイド二体がまだ船に残っているのですが、彼らもここでお世話になることは出来ないでしょうか?」

 

 ドロイド―――人間と同程度か、それ以上の知性そして性格を持つロボットだったかしら、興味深いわね。

 

「良いでしょう。私も個人的に興味がありますし、そのことも伝えておくわ。」

 

「本当ですか・・・ありがとうございます。できれば今すぐ回収しておきたいのですが?」

 

「ここから一時間程の場所に船が不時着したのよね?道は分かるかしら?もしよければ誰か同行させるけど」

 

 永遠亭はかなりの幸運か例外を除いては辿り着くことはできない―――しかし

 

 

「フォースが導いてくれるので、問題ありません。」

 

 

 彼の話全てが興味深いものであったがその中でも異彩を放っていたのがフォースという能力?であった。詳しい説明は省かれたが、外の世界で言う超能力的なものであると推察できた。彼の銀河系においても誰しもが使用できるわけではないらしい。程度の能力とはまた異なるのだろうか・・・フォースというのは幸運でも授けてくれるのだろうか・・・やはり彼は興味深い・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「師匠本当に良いんですか?」

 

 彼の説明は正直信じられなかった。私たちの住む銀河系の外側に存在する銀河系?無数の惑星?無数の種族?ハイパースペース?何が何だか分からない・・・月の都よりさらに発展したそして広大な世界・・・本当の意味での宇宙人・・・師匠は質問を交えながらも理解しているように見えたが、私は只々困惑するだけだった。そして一通り議論を終えた後に師匠が言ったことは更に私を困惑させた。

 

「まだ彼は17歳よ、特殊な事情であったとはいえまだ子供、彼自身困惑しているだろうし、放っておくわけにはいかないわ。」

 

「そうはいっても身元が確定してるか定かではないですし、男性ですよ」

 

「いいじゃない。彼とても真面目で・・・詳しくはまだ聞いてないけど・・・自分の国の間違いをきちんと理解して行動できる勇気も持ち合わせる。子供なのにしっかりしているわ。私たちも今や幻想郷の住人。そして幻想郷は全てを受け入れる」

 

 大丈夫かなぁ・・・確かにすごい興味がもてる男の子だった。彼の話をもっと聞いてみたいと思った。だけど何か心配だなぁ・・・思春期だし・・・

 

「ウドンゲ、何顔赤くしているの?」

 

 いえ、何でもありません! そう言って師匠の後を付いて行く。姫様に報告するのだ。

 

 きっと退屈しのぎができるといって歓迎するだろうな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・」

 

 フォース・スピードで森を駆けながら彼は思考する。二つ返事をしてしまったがこれは好機ではないか。行くあても明確な目的も無い我々はただ帝国から逃れればよいのだから。帝国といえどこの惑星を知ることはないだろう。そもそも、ワイルド・スペースに逃げ込んだとも思いつかないはずだ。自分のオフィスにはアウター・リムを中心に帝国を撒くという虚偽の行動方針を故意に放置しておいたこともある。

 

 八意さんからは銀河系について様々な質問や疑問を多く受け、答えられる限り答えた。やはり驚いているように見えると同時に興味深く聞いていた。

 

 逆に彼女から聞いたのはこの惑星や外の世界・・・そして幻想郷にについての基礎知識を聞いたまでにしか過ぎなかった。彼女たち自身のことで知っているのは八意さんのファーストネームは永琳であるということ、つまり一般的な名前とは構成が逆だということと、少女、鈴仙さんが妖怪であるという事のみだ。この世界、いや、幻想郷では妖怪がニア=ヒューマンということなのだろうか。

 

 待て、大事なことを忘れていた。何故人間がこの惑星に原住しているんだ。人間はコルサントで発生したはずだ・・・いやしかし、学説ではコルサント以外の惑星でも発生した痕跡が見られると言っていたような・・・仮にその説が真実なら、異なる銀河系において人間が発生することも0%とは言えない・・・だが言語は、なぜベーシックを話すのだ・・・そもそも人間という名称は・・・

 

 いつもの癖が出てしまうが今となっては仕方がない・・・只々困惑するだけだ。

 

 これからどうなるかは分からないが、いまは八意さんのご厚意に甘えよう。見ず知らずの自分の話をお聞き頂き理解してくれ、さらには住居を申し出てくれたとても優しい人だ。幻想郷にいるからすぐに受け入れられたと言っていたが、彼女ならたとえ外の世界にいたとしても自分を受け入れてくれたと思う。

 

 まだ屋敷の主から許可をもらってはいないので最悪住居を借りられないかもしれないが、歓迎してくれるだろうと言ってはいたし、前向きに考えて良いだろう。

 

 とにかく彼女たちに恩返しをしなければ。私が役に立つと良いが・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 船に戻るとR2とマグがまだ修理を続けていた。R2によればリパルサーに加え離着陸装置も破損したとのことだ。つまり宇宙空間へ行くどころか惑星内で使用することもできないということだ・・・八意さんの申し出を受けておいて良かった。とにかく、私は二体にこれまでの経緯を説明した。

 

 

「ナント・・・」

 

「―― --―・・・」

 

 二体とも驚きを隠せない。ドロイドとはいえ、いきなりこんなことを言われたら驚くのは当然だ。だが、人間などとは違いすぐに受け入れた様子だった。こう見ると少しドロイドが羨ましく思える。

 

「徒歩デ行クノデスカ?」

 

「いや、スピーダーバイクで行こう。いつも通りマグが僕の後ろでR2は・・・リパルサー・カーゴの中」

 

「― ― ― ― ― ― ―!!」

 

 R2はいつもこの方法を嫌がる。狭いところが怖いのだろうか。

 

「仕方ナイダロチビ助、オマエデハスピーダーニ跨レナイノダカラ」

 

 マグが独特の機械音声で笑う。それに対しR2が反論する・・・いつもの見慣れた光景だ。

 

 

 

 生活用品を中心に入るだけカーゴに入れ早速出発する。バイカースカウトのように特殊訓練を受けていないため全速力で森を駆け巡ることはできないが徒歩より数倍マシだ。大体彼らがおかしいのだ。全速力で入り組んだ森を走るなんて正気の沙汰とは思えない。はじめて訓練を見た時は、全員フォース=センシティブではないのか、とつい思ってしまったほどだ。しかし・・・先程よりも早い・・・フォース・スピードでも30分程であったがスピーダーでは15分もかからないようだった。

 

 もう永遠亭が見えてきた。一旦止まり、マグを降ろしてから自分も降りる。白い動物 ―うさぎという名であっただろうか― が又も近づいてきた。マグとR2の傍にもやってきた。戸惑いつつもマグは私のようにうさぎを撫で始めた。やはりただの戦闘ドロイドではないなと改めて実感する。R2の方は喜んでいるような、驚いてるようなよく分からない声をあげていた。しばらくすると、鈴仙さんが玄関から出てきて、スピーダーの置き場所など教えてくれた。

 

 やはり驚いていた。特にマグとR2を見っぱなしで、マグが挨拶をすると半ば怯えたような素振りを見せながらなんとか挨拶をしていた。ドロイドを見るのは無論初めてだし、しかも戦闘用ドロイドであるマグは見た目の威圧感もある・・・もう少し考えるべきだったか・・・

 

 マグとR2はドロイドであるため靴が存在しない・・・つまりは土足であるため、外でうさぎたちと共に待っててもらうことになった。

 

 

 

 

 

 

 

「姫様・・・この屋敷の主があなたの滞在を認めたので、よろしければ挨拶のほうをお願いできますか?」

 

「わかりました。ありがとうございます」

 

 やはり我々に興味を持ってくれたのか八意さんの言う通り歓迎してくれるようだ・・・姫様と言っていたがどこぞの王族か貴族なのだろうか、あるいはかつてそうであったのか。彼女たちのことはやはり全然知らないなと思っていると角から八意さんが出てきたので早速感謝の念を伝える。永琳で構わないわよと微笑みながら返事をしてくれた。やはり綺麗な方だ、それでいてお優しい。

 

プライベートで女性をファースト・ネームで呼ぶのは初めてだ。というより女性の知り合いはアイサード長官(娘)ぐらいしか存在しなかった。任務と異なるとどうも緊張してしまう。

 

 鈴仙さんと交代するように今度は永琳さんの後を付いていく。やはり外見より広く感じる屋敷であった。庭や広い居間らしき部屋も存在し病院(薬屋)には見えない。観察しながら付いていくと、永琳さんが少し待っていてと伝えてある部屋に入っていった。ほかの部屋の扉―襖というらしい―よりも高級感溢れるような・・・明らかに違いのある部屋だと分かる。ここが「姫様」の部屋だろうか。

 

「入ってきてください」― 永琳さんの声が部屋の中から聞こえてくる

 

「失礼します」

 

 幾何の緊張を持ちながら入室する。

 

 

 

「遠い銀河からはるばるよくいらっしゃいました。わたくしがこの屋敷の主を務めさせて頂く蓬莱山輝夜でございます。ようこそ永遠亭へ」

 

 

 

 美しい人だった。只々美しい。女性としてというよりはまさに、そう、自然の美しさを醸し出す少女であった。この少女が永琳さん、鈴仙さんの主である姫様か・・・

 

「このたびは私の滞在をお許し頂き誠に感謝しております。アルファード・レッドフィールドと申します。どうぞよろしくお願いします」

 

 目の前の女性に見惚れる自分に喝をいれ挨拶をする。いままで女性と対面してもこのようなことはなかったのに・・・この惑星にき来てから少し疲れが出てきたのだろうか。

 

「うふふ、そう緊張なさらないで。畏まらなくて大丈夫よ、どうぞお座りになって」

 

 姫と称されたが意外にもフランクな方なのだろうか。堅苦しさというものがあまり感じられない。お言葉に甘え足を崩し座る。

 

「永琳から聞きました・・・正直信じられないわ・・・「他の銀河」から来たなんてね。自分もかなり特殊な存在だと自負していたつもりだけど、まだまだ分からないことだらけなのね」

 

 特殊な存在?幻想郷で暮らしているということはやはり何かしらの事情が・・・

 

 

「早速なんだけど、あなたの世界について教えてくれないかしら」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 永琳さんに伝えたことよりもさらに詳しく、総合的に自分の知識を総動員して説明をした。やはり驚いてはいたが、見たところ先程の二人よりは驚きがあまり感じられない。それよりももっと知りたいという探求心がひしひしと伝わってきた。姫というからにはこれくらいの気概があるものなのだろうか。永琳さんの質問よりもより簡明なのもあって先程よりも説明は容易かった。

 そして・・・これまでの経緯をより詳しく説明した・・・

 

 

「アル、あなたはどうしたい?」

 

 

 姫様は早速私をアルと呼ぶようになった。私をそう呼んでいた同僚を思い出し少し感慨深くなってしまった。

 

「・・・・・・分かりません」

 

「そうね、あなたの話を聞く限りあなたはどうすればわからなくて逃げ出した。まあ、帝国から逃げなきければならなかったというのはあるけれど。それならば同盟軍?にでも投降すればよかったのでは?」

 

「・・・・・・」

 

 彼女の具申に対する肯定の意が脳内を駆けまわる。帝国が間違っていると思うなら同盟軍にでも反乱組織にでも自分から投降すれば良い・・・なんでそうしなかったのだろうか・・・同僚たちに牙を向けたくなかったのだろうか・・・帝国への忠誠という形象し難いモノがまだ心の奥底に残っているのだろうか・・・

 

「・・・・・・」

 

 沈黙が続く―――どう答えたらよいのか分からない。

 

 

「別にいいじゃない」

 

 

 ふと姫様がそう呟いた。

 

 

「人というのは辛いものから逃げ出したくなるものよ。あなたはきっと・・・人生に疲れてしまったのではないかしら?間違った国に使えるしかないという人生に?」

 

 

 それを聞いた瞬間、一瞬で心のもやが消えていくような感覚がした。目の前の少女は僕とそう歳が異なるようには見えないのにまるで・・・母のようだと・・・僕は母親というものを知らないためなんとなくだが・・・そう思えた。

 

 

 

 僕は人生に疲れていたのだろうか・・・絶望していたのだろうか・・・逃げ出したかったのだろうか・・・

 

 

 

「ここで新しい人生を切り開くのがあなたの・・・フォースのお導きではなくて?」

 

 

 

 新たな人生を歩んで良いのだろうか・・・

 

 

 

 いや・・・僕は生きたい・・・新たな人生を・・・

 

 

 

「心は決まったようね」

 

 まるで私の心を見透かしたように姫様が呟いた。

 

「アル、あなたは・・・」

 

 

 

 今日から永遠亭の一員よ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。