◆◇◆◇◆◇
2日後。
薙切 えりな。
私室。
月光が入る寝室。
机の上にはトランプが並んでいる。
が、当のえりなはベッドの上での何やら本を読んでいる。
文字ではなく絵が描かれたそれを。
「娯楽の神髄、まさかその答えがこんな所にあるとは・・・」
エリナは漫画のページをめくる。
絵の中では少年達がカードを武器に闘っている。
「えぇ、ヒロインが男たちに襲われて・・・ちょっと。これ、助かるのよね・・・」
次のページを慎重にめくるえりな。
「ふぅ~よかった」
そして、次々にページをめくっていく。
真剣に読み込むえりな。
「さすが、遊戯の王という名がタイトルについてるだけありますわ」
こうして夜は更けていく
◆◇
新戸 緋沙子。
とある山奥。
絶対に負けるわけにはいかない。
私が足を引っ張るわけには。
私の敗北はえりな様の敗北。
未開の森の中を歩く緋沙子。
うっそうとおい茂草花。
緋沙子の身長を超えるような植物が空中に生えている。
それを手でかき分けながら彼女は進む。
太陽の日差しが強く、彼女の額から垂れた汗が顎にたどりつく。
確かここに・・・・
ここに生えているはず。
茂みの中を進む彼女。
すると森の中に空いた小さな空間。
緋沙子は倒木に腰をかける。
手で額の汗をぬぐう。
っと、茂みからザワザワとした音が聞こえる。
そちらを振りぬくと、茂みがゆれている。
その音と揺れが徐々に大きくなる。
そして、
木陰から現れる老人。
老人は緋沙子を見る。
「誰じゃ、お主は?」
「わ、私は・・・」
◆◇
幸平 創真。
とある湖。
トランプでの必勝法。
勝つ方法・・・
湖で泳ぎながら創真は考える。
ふと辺りを伺う。
知らず知らずの内にだいぶ沖まで来てしまったようだ。
岸がかなり遠くに見える。
ザブンと、波が頬にあたる。
湖で波?
「!」
急に沸きおごる水の流れ。
水面が揺れだす。
その流れが規則性を持ち出す。
ある一点に向かって水が移動を始める。
その点を中心に水が回転を始める。
こ、これは・・・
「渦潮!」
創真は逃れようと足掻くが、その抵抗はほとんど効果をなさない。
ふと、親父の言葉が脳裏をよぎる。
「創真、渦潮だけは注意しろよ。あれに嵌ると今のお前では逃れられない。まぁ、俺はなんとかなるがな・・・・ははは。でだ、実は渦潮には対処法があってな、それは・・・・忘れた」
糞親父。
あの時それを聞いていれば・・・
そんな思いを抱いて、創真は湖の底へ流されていく。
◆◇
田所 恵
極星寮、自室のベッドの上。
どうしよう。
考えなくちゃ
勝つ方法を。
え~と、え~と。
田所は必死に考える。
考える。
考える。
ぶはぁ~。
頭から煙が出る。
バタンとベッドに倒れる。
目に入るのは、ベッドわきに置いている故郷の写真。
友達が皆映っている。
その写真に目が奪われる。
「これだわ!」
彼女はすぐに起き上がり押し入れに向かう。
すぐに押し入れからアルバムを持ち出す。
そしてページをめくる。
中を素早く確認し、一枚の写真に目がいく。
あった!
そして、すぐに家に電話する。
◆◇◆◇◆◇
試合前日。
薙切 えりな。
私室。
ベッドの脇には様々な漫画が散らかっている。
「え、どうしよう、どうしよう。二人は出会って三日なのに。
まさかこの後・・・きゃああ」
バタンと少女漫画を閉じるえりな。
枕を抱えてベッドの上でもんもんとしている。
くるくるとベッド上で転がる。
チラリと漫画を見る。
ゆっくりと漫画に近づき・・・
再び手を伸ばす。
(確認よ確認。事実関係を確認しなきゃ)
ふと、手を止める彼女。
(あれ、そういえば最近緋沙子を見てないけど・・・)
(まぁ、明日には戻ってくるでしょ)
そうして、再び少女漫画を読みだすえりな。
◆◇
新戸 緋沙子。
とある山奥の古びた建物。
建物中には光が入らない。
松明の炎がその暗闇を照らす。
映し出されるのは老人と緋沙子。
「よくぞここまで試練を乗り越えた・・・・」
黒いローブを被り、杖をつく老人。
「お主なら・・・精霊の加護を・・・受けることができるかもしれぬ・・・」
老人は黒いローブの先から鋭い目で緋沙子を見つめる。
ボロボロの姿の緋沙子。
森に入った当初の服は既に原型をとどめていない。
だが、彼女の眼には強い光が宿っている。
「はい、お師匠様」
「うむ」
老人は、松明で奥の祠を照らす。
そこには、赤い血で魔法陣が描かれている。
複雑な記号、流れるような曲線。
それが至る所に描かれている。
「我が弟子よ、最後の試練、見事乗り越えてみせよ」
「はい!」
緋沙子は魔法陣に向けて歩みだす。
その後ろ姿を見つめる老人。
「死ぬなよ、若人よ」
◆◇
幸平 創真。
とある地底湖。
ポツポツと洞窟の天井から水滴が落ちてきている。
洞窟の至る所からクリスタルが露出しており、それが光源となっている。
湖の周囲を歩く創真。
バシャっ、湖の中から何かが弾丸のように飛び出してくる。
それは創真に向かって一直線に。
シュパン、一瞬で切り裂かれるその弾丸。
それは魚だった。
地底湖で突然変異した生物。
それを創真はクリスタルの欠片でさばく。
「おや、又魚が襲ってきたのかい?」
声と共に現れる一人の男。
学者風のその恰好。
「すぐに調理しますよ」
「はは。創真君の料理は美味しいから、つい期待してしまうよ。それで、今日出ていくんだろ?」
「はい」
「そうか・・・・さみしくなるよ」
学者風のその男は手に持っているクリスタルの結晶を頭上にかざす。
周りの壁とは明らかに違う。
そのクリスタルはただの欠片ではなく、明確な形を持っている。
「創真君。僕からの最後の頼み、聞いてくれるかな」
「なんですか?」
「実は・・・この洞窟には・・・神がすんでいるんだよ」
◆◇
田所 恵
とある高校。
「ないばってん!」
田所がガッツポーズをする。
田所の前で倒れこむ一人の少年。
その周りには既に4人の少年たちが倒れている。
それを見ていた遠巻きに見ていた少年達が驚愕に震える。
「ま、まさか・・・・全員やられるだと・・・・たった一人の少女に・・・・」
「あいつは去年の全国大会ベスト8だぞ」
「あの少女は・・・・・一体」
田所はタオルで汗を拭く。
少年たちに向き直る。
「皆様、ご協力ありがとうございます」
深々と礼をし、彼女は出口に向かっていく。
その建物を抜けると、太陽が彼女を照らす。
各キャラの能力は、料理外にも使えるはず。
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