娯楽の上流階級「薙切 えりな」   作:夏ノ雪

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話の区切りのため、区分け


3品目 試合当日

◆◇◆◇◆◇

 

 

試合当日。

食戟専用アリーナ。

 

超満員の観客席。

東京ドーム程あろうかというアリーナ。

その観客席がすべて埋まっている。

慣習がざわめき、今か今かと待ち構えている。

観客席では、売り子の姿も見える。

 

「え、これって・・・・」

 

ステージ脇で怯える田所。

そこに現れる一人の男。

 

「いや~東スポにこの勝負の事を知られちゃってね」

「そんな・・・」

「ただの観客さ。普段通り普段通り」

「でも・・・」

「それにその格好、勝つ気できたんだろ」

「はい!」

 

田所を微笑ましく見つめる一色。

 

「おっと、僕は審査員席だから」

「え・・・・審査員席?」

「ただ不正がないか確認するだけだよ。それと解説だね」

「そうですか・・・・」

 

そうして一色が席に付き、マイクを握る。

 

「これより、第一回遊戟を始めます。種目はババ抜き。では、審査員をご紹介いたします」

 

一人一人紹介していく一色先輩。

その紹介に答えるかのように反応する観客席。

その説明が続き、

 

「な、なんで堂島さんが」

 

田所は震える。

堂島さんとは、筋肉質な体格をした坊主頭の男性で、歴代最高得点で学園の卒業試験をクリアし学園卒業生。現在は遠月リゾート総料理長兼取締役会役員という、遠月グループの幹部を務めている。

 

「へ~堂島さんきてるんだ」

 

後ろから声がする。

バスローブを羽織っている創真。

片手にはいつもの料理セットを持っている。

その格好に唖然とする田所。

いや、恰好よりもどこか逞しくなった創真に驚いているのかもしれない。

 

「早くいこうぜ」

 

そういって創真は中央の机に進み、椅子に座る。

田所も創真に続き、椅子に座る。

 

「創真君・・・・その格好・・」

 

改めて創真のかっこうをまじまじと見る田所。

全身を覆う白いバスローブ姿。

 

「田所、お前もだろ」

「う・・・うん」

 

田所は、「福島県代表 田所」と書かれたゼッケンが付いた卓球ウェアを着ている。

それに手にはラケット。

 

そして二人に近づく足音。

現れる影。

黒ローブの人影が中央によってくる。

片腕には杖?を持っている。

杖の根元には結晶?がついている。

 

「創真君、あれ誰だろ?」

「ん・・・・誰って・・・そりゃ」

 

その人影が椅子に座る。

ローブを下げ、顔が露わになる。

 

「緋沙子だ」

 

創真は興味深そうに、緋沙子を見る、

その視線を受け流す緋沙子。

 

「なんでそんな恰好してるんだ?それに魔法使いのような杖・・・」

「ふふ。知れたこと。私は勝つためにこうしてるいるのだ。すべてはえりな様のため」

 

コツコツと足音が響く。

最後に現れた影。

見慣れた姿。

薙切 えりな。

 

彼女は中央の台を見てぎょっとする。

ババ抜きをするのはずの台。

だが座っているのは・・・

 

魔法使いのような恰好をし、片手には魔法の杖?を持っている緋沙子。

バスローブに身を包んだ幸平。なぜか、すぐに近くに調理セットを置いている。

卓球のウェアを着こみ、ラケットを持っている田所。

 

だが彼女は食の魔王たる者の孫娘。

これしきで動じてはいけない。

驚きを隠し、台の席に座る。

そんな彼女を見る創真。

 

「なんだ、薙切は普通の恰好かよ・・・」

創真ががっかりした表情を浮かべる。

 

「えりな様・・・」

弱冠残念そうな緋沙子。

 

「・・・・」

何も発しない田所。

だがその表情は暗い。

 

会場もどんよりとした空気になる。

 

「えりな様は制服か・・・・」

「はぁ~~~」

「えりな様・・・・どうして・・シクシク」

 

(なんで、なんで、なんで皆落ち込んでいるのよ。今からババ抜きするんじゃないの?)

(しかも観客の一部は何故泣いてるのよ)

 

創真が顔を上げ、えりなを睨む。

 

「薙切。お前、俺達を過小評価しすぎじゃねーのか」

「えりな様。誠に申し訳にくいのですが・・・」

っと口を濁すひさこ。

 

(ちょっと、ちょっと、どういうこと?ババ抜きでしょ?)

(ふふ、でもいいわ。私だってたくさん聖書(漫画)を読んだんだから)

 

「甘いわね、私が何の考えもなしにここに来たと思っているの!」

「さすがえりな様」

「教えてあげるわ。娯楽の上流階級に属するという事が、どういう意味を持つのか」

 

その時、耳をつくような甲高いが響く。

マイクのハウリング音。

 

「さ~て全員そろいました。それではこれより第一回遊戟を始めます」

 

中央の台の脇でスタンバッていた、ちゃんこ鍋研究会の猛者共が和太鼓を激しく叩く。

 

ドンドン

 

重く、低い音が会場を包む。

和太鼓が鳴り響く。

 

 

ドンドン

 

 

ドンドン

 

 

ドンドン

 

 

高まる会場のボルテージ。

 

 

 

 

 

 

 

「―――――遊戟 開戦!――――――」

 

 

 

 

 

 

北 幸平 創真   (服装:バスローブ  装備:料理セット?)

東 新戸緋沙子  (服装:魔法使い   装備:魔法の杖?)

南 田所 恵    (服装:卓球少女   装備:卓球のラケット)

西 薙切 えりな  (服装:制服     装備:無)

 

※時計回りに進行

 

 

 

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