Fate/EXTRA D³   作:ケツアゴ

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少し興味を持ったダンジョンに~のアニメが面白かった


さて、それでは自害せよランサー エリちゃん馬鹿可愛い 先生、お願いします!
(全て挨拶)


第十二話

 聖杯戦争始まって以来の最悪の事件(セイバーとエリザのライブ)は静かに収束を告げた。流石にこの様な形で優勝者が決まる事を危惧したムーンセルは犠牲になったマスター及びサーヴァントの記憶からライブに関する記憶を削除、健康管理AIである桜の懸命の手当の甲斐もあって誰一人欠ける事無く聖杯戦争一回戦は決戦日当日を迎える事が出来た。

 

 なぜ此処までの干渉をムーンセルが行ったのか? それは聖杯戦争のそもそもの目的に有り、戦いの様子を観測するのが目的であって優勝者を出すのが目的ではないからだ。故にとある大英雄は封印され、今回の白野の優勝は誰もその事実を知らぬまま無効となった。なお、今回の事件(ライブ)はルールに何ら違反しておらず、ただ単に二人の音楽センスの問題なので能力などへのペネルティは無かったのだが、今後一切のライブ活動の禁止が言い渡された。

 

 それに対し二人の反応だが、

 

「なんとっ!? 余の歌を二度と聞けぬことで暴動が起きるぞっ! ぬぅっ! 納得いかん!」

 

「まあ、仕方ないんじゃない? 真の芸術はあらゆる者を魅了する。其れこそなんの素養もない家畜共でさえもね。でも、それで聖杯戦争が滞ったら困るって事でしょ。ああ! 私の溢れ出る才能が怖いわ!」

 

 何処から沸くのか根拠のない自信たっぷりの二人。これを聞いた白野と電脳死寸前だったセイバーのマスターは視線だけで言葉を交わした。

 

(お互い大変ですね)

 

(ええ、本当に)

 

 

 

 

 

 

 

「やっぱりお風呂は良いわね。……本当はブラッドバスが一番なのだけど」

 

 白野が購入した猫脚の浴槽での泡風呂を堪能しているエリザは図書館でこっそり借りた本に目を向ける。借りたのは世界中の悪女について書かれた本、その本の中に彼女の真名が書かれているのだ。最初は気まぐれで借りただけの本だが、読み進める内にかつての自分の所業が一般常識と照らし合わせると異常な物だったのだと知る事となった。

 

(……仕方ないじゃない。私はそんな事知らなかったんだから……)

 

 彼女の行いを知った貴族達は顔を顰める事はあっても声高々に非難する事はなかった。そもそも対象となった者達は当時の貴族の価値観なら家畜扱いが当然で、全ては彼女なりの貴族の義務を全うする為の手段に過ぎなかったのだ。

 

 故に本で何れ程酷く書かれてもエリザが気にする事はない。そもそも本の著者等にどの様に思われてもどうでも良い。本から視線を外すと手で掬った泡を吹き飛ばす。宙に散った泡はショボン玉の様にフワフワ浮き、やがて浴槽の中に戻っていった。

 

 

「エリザー! もうそろそろ行かないと……」

 

「バスタイムは乙女にとって大切な時間なの! もう少し待ってなさい!」

 

 そう、白野にだけ自分がどの様な女だったかを知られなければ一向に構わないのだ。

 

「……そろそろね」

 

 グッと伸びをすると視界に入るのは竜の爪が生えた足。エリザは暫し何やら考えている様だったが直ぐに浴槽から出るとバスタオルで体を拭き、身嗜みを整えるとマイルーム前で待っていた白野と共に決戦場の入り口へと向かって行く。その道中のこと、エリザがふと思い出したかのように問いかけた。

 

 

 

「ねぇ、ハクノ。戦うに値する目的は出来たかしら?」

 

「……まだ命のやり取りをするだけの目標なんて出来ていない。でも自分が誰か分からないまま死にたくないし……何より君を死なせたくない。だから何とか頑張るよ」

 

「……ふ~ん。まっ、八十点って所ね。私の為って事は評価してあげるけど、次は自分の為の目標も決めなさい」

 

 エリザは満足げに微笑みながら白野を指差す。暫し困った顔をする白野出会ったがエリザにつられるように笑みが浮かんでいた。

 

 

「ああ、頑張るよ。だから其れまで一緒に頑張って貰えるだろうか?」

 

「当たり前でしょ。それと目的ってのは達成するものなの。本番は目標が決まってからよ。だから……さっさと前座を終わらせましょ?」

 

 決戦場へ向かうエレベータの前には言峰が立っており、エリザの顔を見るなり頭痛がしたのか頭を押さえていた。

 

「ふむ。少しはマシな顔になったかね。さて、トリガーコードはある様だな。では乗りたまえ。精々頑張って生き残る事だな」

 

 言峰に言われるがままエレベータに乗る二人。エレベーター内は透明な壁で分断されており、反対側には慎二達の姿がった。

 

「なんだよ岸波、やっぱり諦めてなかったんだ。見苦しいなぁ。なぁ、すぐに降参するなら聖杯を少しわけてやっても良いぜ?」

 

「放っときなさい、ハクノ。ワカメが伝染るわ」

 

「誰がワカメだっ! あ~も~! 絶対メタメタに叩きのめしてやるからなっ!!」

 

 やはり慎二の反応から違和感を感じる。其れはエリザも同じなのか互いに顔を見合わせた時、ライダーが深く溜息を吐いていた。

 

「ねえ、ハクノ。もしかしてこのワカメ(慎二)って……」

 

 エリザが思った事を言おうとした時エレベーターに振動が走り到着を告げるブザーが鳴り響く。今から始まるのは誇りと願いと命を賭けた殺し合い。エリザも表情を切り替え話を其処で終えるとエレベーターからゆっくりと出ていく。白野もそれに続きエリザから話の結論を聞き出そうとはしない。無駄なお喋りをする時間はとうに過ぎたと分かっているのか、あるいは話そうとした事を薄々察しており、最後まで聞くと迷いが生じると感じているのか。

 

 

「にしてもシンジィ! アンタのさっきの会話って小物丸出しだったよ。あっはっはっ! ……まっ、覚悟が出来ていない餓鬼だろうと姑息な海藻だろうと今はアンタが指揮官だ。命令には従うよ」

 

「馬鹿のお守りは苦労するわね。ハクノは色々未熟だけどマネージャーとしての見込み有るわよ。まぁ、オバサンみたいなサーヴァントには其処のワカメがお似合いね、ぷぷぅ!」

 

 エリザもライダーも話す内容はふざけているが既に臨戦態勢を取っており白野は黙ってそれを見守る。そんな中でも慎二の表情は相変わらずヘラヘラとしたものだった。

 

「それじゃあ、まぁ……とっとと死になさいっ!!」

 

 互いに睨みあい軽口を叩きながら隙を伺っていた両者だが痺れを切らしたのかエリザが先に仕掛ける。一足飛びで地面スレスレを滑るようにライダーへと迫るエリザ。ライダーはそれに対しクラッシックな二丁拳銃でエリザの手足を狙う。例え痛みを知らない様な者でも蓄積したダメージは無視できず、むしろダメージ無視で動き続ける事によって肝心な時に影響が出るだろう。

 

「gain_str(16)!」

 

 そして、それは白野も予想しエリザと共に対策を考えていた。ライダーの指が引き金に掛かり完全に引かれる其の瞬間、白野によって強化された筋力を使い床を踏み砕かんばかりの勢いで踏み締めたエリザは自分より大きいライダーの身長よりも高く跳ぶ。そして

 

「そ~れっ!」

 

 先日はギリギリ耐えきられて跳ね飛ばされた一撃。しかし今度は筋力を強化している上に攻撃した瞬間を狙っての振り下ろしなので咄嗟に防御できず、そのままライダーの頭は叩き割られ、

 

 

 

 

「甘いよっ!」

 

 ……はしなかった。体を右に回転させるようにして捻ったライダーの体は槍の軌道上から外れ、そのままエリザの槍はライダーの顔の真横を通り過ぎていく。ライダーは其の儘回転を止めずに廻し蹴りを叩き込もうと逆に勢いを増す。だが、無防備な状態のエリザに膝が叩き込まれる瞬間、空中で体を捻って無理やり軌道を変えた槍の一撃がライダーを叩き飛ばした。

 

「ぐっ!」

 

 蹴りを放とうとしていた為に堪えきる事が出来なかったライダーが辛うじて出来たのは咄嗟に飛ばされる方向に飛ぶ事で衝撃を逃す事だけ。それでも片足だけなので逃がしきれずエリザの一撃が強烈だったのも相まって彼女の受けたダメージは大きい。それでも両手の拳銃は放さず焦点も定まっている。何よりその瞳に宿る闘志は先程よりも熱く燃え上がっていた。

 

「良いねぇ良いねぇ、面白くなってたってもんだねぇっ! どうせ何時かは死ぬのなら、命も弾薬も大盤振る舞い。運以外はパーっと使い切るに限るに限るよ」

 

「何それ。財産ってのは次の世代にも残すものでしょ。自分一人で使い切ってどうするのよ」

 

 どうもライダーとエリザでは価値観に差が有り過ぎて相互理解は出来そうにもない。二人は再び会話をしながら相手の隙を伺い、エリザは距離を詰めライダーは距離をあけようとジリジリ徒歩を進めていた。その時、慎二の声が響く。

 

「何やってんだよ、ライダー! 岸波なんかのサーヴァントに何を手間取ってんだっ! さっさと決めろ愚図っ!」

 

「……ふぅ。もうちっと休んでおきたかったんだけど仕方ないね。魔力も砲弾も大盤振る舞いだっ!」

 

 叫びと共にライダーの背後に再び出現する巨大な砲門。轟音と共に放たれる砲弾をエリザは咄嗟に跳んで避けるも避けた方向に向かって再び砲門が出現して再び砲弾が撃ち込まれる。必死に避けるエリザだが砲撃の合間にも銃弾が撃ち込まれ続けた。

 

「良いぞ良いぞ! そのままぶちのめしちまえライダー!」

 

 一方的に攻めまくるライダーにいい気になって拳を振り上げる慎二。そしてライダーの砲撃がついにエリザを捉えたかに思えた瞬間、トレジャーハントの際に放ったブレスが砲弾を吹き飛ばした。

 

「……あ~、鬱陶しいっ!! やっぱ走り回るのは私の性に合わないわ。トップアイドルたる者……攻めて攻めて攻めまくり! 子豚達にはたっぷりアピールしないとねっ!」

 

 エリザは無数に撃ち込まれる弾丸やすぐ傍に着弾する砲弾を無視して突き進む。それを見たライダーの口角がつり上がった。

 

「良い覚悟じゃないのさっ! 慎二、魔力をもっと回しな。此処まで来たら惜しみなしだよっ!」

 

 ライダーは供給された魔力を脚力に集中させバックステップでエリザとの距離を開けつつ銃弾や砲弾の嵐を放つ。エリザの傷は徐々に増えて行き白野が回復させるも追い付かなくなってきた。白野の脳裏に過る鮮烈な死のイメージが過る。気付けば身体が震え出し、

 

 

 

 

「……なぁに不安そうにしてるのよ。アンタは私の勝利を信じて応援してなさいハクノ!!」

 

 イメージも震えもエリザの言葉によって一瞬の内に消え去った。エリザは浅くない傷のまま更に速度を上げ一気にライダーに迫る。跳躍と共に心臓めがけて槍を突き出すその姿はまるで矢の如し。だがその一撃はライダーが身を屈める事で避けられ、その背にライダーの銃口が向く。

 

「残念だったね、これで終わりだよ!」

 

 

 

 

 

「ええ、此れで終わりよ! ……私達の勝利でねっ!! 痛いの、行くわよっ!!!」

 

「なっ!?」

 

 エリザは股下を潜らせる様にして背後に槍を突き出しライダーの腹部に深々と突き刺した。思わず呻きとを吐き出したライダーが反撃しようとするが、エリザは着地するなり傷口に蹴りを狙って蹴り飛ばした。地面を擦るように飛んでいくライダー。エリザも少々無理が祟ったのか息を切らしている。

 

 

 

 

 

 

「エリザっ!」

 

「気を抜かないっ! ……まだ辛うじて生きてるわ」

 

 駆け寄ろうとした白野を手で制したエリザの視線の先にはギリギリ死を免れた状態のライダーが居た。

 

 

「かぁ~っ! 良いの食らっちまったねぇ。こりゃ拙いよ。……慎二っ! 宝具を使うよ!!」

 

「くそっ! 岸波なんかに使うなんて……」

 

「させないっ!」

 

 宝具、それは英霊の象徴となる切り札。使わせまいと飛びかかるエリザだが、空間を歪ませながら空に現れた船団に飛び乗る事でライダーは大きく距離を開ける。

 

「私の名前を覚えて行きなっ! 太陽を落とした女。そしてこれが私の切り札『黄金鹿と嵐の夜(ゴールデン・ワイルドハント)』だっ!!」

 

 ライダーの叫びと共に地上目掛けて撃ち込まれる無数の砲撃。舞い上がった煙によって慎二達の視界が覆われた。

 

「やったぞっ! 所詮岸波程度なんか僕の敵じゃ……」

 

 慎二は勝利を確信しライダーも先程のダメージもあってその場に膝をつく。

 

 

 

 その瞬間、白野を片手に捕まらせたエリザが竜の翼を広げて飛び出して来た。直ぐに反応して銃口を向けるライダーだが、その体が壁際まで吹き飛ばされる。彼女の脇腹にはエリザが力任せに投げた槍が刺さっていた。衝撃で先ほどの傷口からも血が止めど無く溢れ出し、それでも銃を向けたライダーだが引き金に指が掛かる前に両腕が力なく垂れ下がる。カラカラと音を立てて銃が転がり、エリザのつま先にぶつかって漸く止まった。

 

 

「……勝ったっ! 勝ったわよハクノ!」

 

「ああ、エリザの勝利だ」

 

「違うわ。私達の(・・・)勝利、でしょ?」

 

 エリザはウインクをしながら見た目の年相応の笑みを白野に向ける。その姿見た白野はエリザに見蕩れると同時に何故か回顧の念を催させられた……。

 

 

 

 

 

 




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