Fate/EXTRA D³   作:ケツアゴ

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第三話

 決戦アリーナ以外でサーヴァントが戦う事は原則的に禁止されている。何故なら最終日の戦いを観測する事が聖杯戦争を開いた目的であり、聖杯の使用権はその為の蒔絵に過ぎないからだ。だが、それでも毎回のように戦いは起きる。時には好戦的な者同士が顔を合わせた為、もしくは相手の方法を戦いの中で手に入れたり、間違った情報を与える為などだ。校舎内での戦闘と違って一定時間が経過すれば介入が入って止められるがペナルティがなく、実質的に意味のないルールとなっている。

 

 そして今も赤い剣士と青い槍兵が剣戟の音を響かせていた。

 

「そらよっ!」

 

 全身青尽くめのランサーが赤い槍を突き出す。元々敏捷の値が高いクラスの為にまるで踏み込みと同時に放たれる突きはまる鋭い矢の様であり、切っ先は真っ直ぐセイバーの心臓へと向かう。だがセイバーは直前で身を屈め建を斜めに構えると刃の上を滑ら様にして受け流し、そのまま槍の下を滑り込むようにして

ランサーへと迫り横薙ぎに剣を振るう。

 

「此れで終いだっ!」

 

「はっ! それはどうかなっと!」

 

 だがランサーは槍を持ったまま跳んで避けると地面を突いて更に高く跳び距離をとった。

 

「どうした? 息が上がってるぜ嬢ちゃん」

 

「……ふん。減らず口を」

 

 口や表情には出さないでいるがセイバーは焦っていた、アリーナで出会ったために戦闘を仕掛けるも天秤は無効に傾いており未だムーンセルの介入は入らない。そして先程から致命傷は避けるものの細かい傷が増えているセイバーに対しランサーは未だ無傷であった。

 

「セイバー……」

 

「その様な顔をするでない奏者。安心せよ、お主は余が守る」

 

 マスターを安心させる為に笑みを向けるセイバーだが状況は芳しくない。そもそもセイバーとランサーには大きな差があった。

 

 セイバーは剣術の才能に溢れ鍛錬も受けた見事なものだ。だがランサーの槍は更に優れた指導者に鍛え上げられ数多く行った命懸けの戦いの中で育まれた物。このような戦いにおいてその差がそのまま戦闘力の差となっていた。

 

「……仕方ない。宝具を使うぞ!」

 

「ほぅ。勝負に出るか。……なら」

 

 セイバートランサーは同時に体から魔力を放ち宝具を放とうとする。だが先に放つ体勢に入ったのはランサー。セイバーは未だ発動に必要な詠唱の最中だ。

 

「……此れで終だ! 刺し穿つ(ゲイ)……ちっ!」

 

 だが放つ前にランサーは構えを解く。両者の間には宝具を持ってしても破壊不可能の障壁が出現していた。

 

「……あと少しだってのによ。まぁ良い、どうせ勝つのは俺だ」

 

 ランサーはそのままマスターと共に去っていき、セイバーは完全に姿が見えなくなったのを見届けると額に滲んだ汗を拭った。

 

「……正直助かったな。あのままでは負けていたかもしれん」

 

 もっと強くなりたい、そう強く思いながらアリーナから出ていく二人。校舎に戻った二人が重い足取りのままマイルームへ向かう中、その姿を姿を隠して伺う者達が居た。

 

 

 

 

 

 

 

 

「旦那ぁ。今が狙い目じゃね? あの子達で新しい作品作ろうぜ!」

 

「いえいえ、油断はなりません。それに次の作品の材料は既に決まっているでしょう? 初志貫徹と行こうではありませんか」

 

 龍之介とキャスターは気付かれにように言葉を交わしながらセイバー達を観察していたがやがて何処かへと去って行った。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「トリガーコードがあったよ」

 

 その少し後、アリーナを探索していた白野達は無事にトリガーコードを手に入れた。花壇の前であの様な事があった為にアリーナ内で不意打ちされないかと慎重に進んだ為に精神的に疲労しており今ではそれが狙いだったのではとさえ思っている。

 

「やっと終わったのね。早くお風呂に入りたいわ」

 

「そうだね。体中が汗だくだよ」

 

 エリザの言葉に合わせる様に心境を言っただけの白野。だがそれを聞いたエリザは何を勘違いしたのか顔中真っ赤に染めて後ずさりしていた。

 

「いいい、言っておくけど私の入浴中に部屋に居て良いってだけで、一緒に入る許可は与えてないわよ!」

 

「……? 分かってるけど?」

 

「へ? ……えっとね、今のはね、う~んとね……」

 

 なんでそのような事を言い出すのか分からないといった顔の白野を見たエリザは自爆したと気付く。その時ちょうどエネミーが現れ、先程まで置き場のなかった怒りはそのままエネミーにぶつけられる事となった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(うぅ~! 恥ずかしいわ)

 

 マイルームに戻ったエリザは白野を縛った上で目隠しを施してから入浴を始めた。薄いカーテン越しに異性がいる中で服を脱ぐのは恥ずかしく、足を滑らせて尻餅をついた拍子にカーテンの向こう側に出てしまったり服を全て脱いだ後でカーテンの隙間が気になり締めようと手を伸ばしたら前のめりに倒れそうになってカーテンの外に出てしまったり色々あったが今は無事に浴槽に入っていた。

 

「……ねぇ、ハクノ。私の真名なんだけど、貴方が戦う理由が分かったら教えるかどうか考えてあげるわ。光栄に思いなさい」

 

「うん、頑張るよ。まあ、たとえエリザがどんな英霊でもエリザには変わりないけどね」

 

「……そそそそ、そうっ!? 中々分かってるじゃない。……アリガト」

 

 エリザは恥ずかしいのか顔の半分まで潜らせブクブクと泡を立てる。少し熱めの湯なので体が少し赤く染まっていたが顔はそれ以上に赤くなっていた。。

 

「所でハクノ。ブラッドバス以外の美容法はいい加減見つかったのかしら? 早くして欲しいんだけど」

 

「ごめん、まだなんだ。でも、頑張って探すよ。……取り敢えず後で図書室にでも行って」

 

 白野はすっかり忘れていたことを思い出し、何とか誤魔化す。どうやらエリザには気取られなかったらしく期限の良さそうな鼻歌(怪音波が)が聞こえてきた。

 

 

 

 

 

 

 

(……な~んか気に入らねんえんだよな)

 

 屋上の貯水タンクの上に寝転がった緑衣のアーチャーは自分に気付かずマスターお話している青ずくめのランサーを眺める。ダンの回復後にアリーナに向かった途中で見掛けたセイバーの姿。どう見ても誰かにやられたとしか思えないしの姿を見ていると何やら心の奥から込み上げてくる物がある。

 

(馬鹿馬鹿しい。敵なんだからどうなろうと関係ねぇよ)

 

 忘れ去ろうと横を向いて寝ようとするも少しも消える気配はなくモヤモヤが募るばかり。思わず髪を掻きむしった時、決定的な言葉が聞こえてきた。

 

 

 

 

「まあ、よくあんなのが一回戦を突破したもんだぜ。あれに勝てねぇ方がおかしいぜ」

 

 ランサーは軽口を叩きながらハハハと笑う。別にセイバーを見下し嘲笑した訳ではなく自分の方が圧倒的に強いと言いたかっただけ。だが、アーチャーはその言葉に腹が立ち、気付いたらランサー目掛けて矢を放っていた。

 

 

 

「……ああん? なんのつもりだ、弓兵!」

 

「別に? いずれ当たる敵を此処で始末しようとしただけさ」

 

 ランサーは間一髪の所で矢の直撃を避け頬からを垂らしながら槍を構え、アーチャーは姿を現してヘラヘラ笑いながら次の矢を番える。

 

(……惚れた女の為に戦うとかそういう誇りある戦いなんざ俺には向かねぇけどよ。ムカついたもんはしょうがないよな? 旦那)

 

 次の瞬間、アーチャーが矢を放つと同時にランサーが跳び、貯水タンクが破壊されると同時に大量の水が屋上から溢れ出した……。

 

 

 




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