Fate/EXTRA D³   作:ケツアゴ

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ついにGO配信日決定! 五十万突破って事は まあ、別にどうでも良いけど

早く姉御と先生となんちゃてアイドルと緑茶と履かない王様使いたい!


第六話

 アリーナ内を進む白野とエリザ、その行く手には数多くのエネミーが立ち塞がっていた。

 

「囲まれちゃったわね……」

 

 もう何体目になるだろうか? 鳥型のエネミーを叩き落としたエリザは鋭く尖った石突で胴体を貫き消滅させる。それでも同型のエネミーは鋭い鳴き声をあげながら二人の周囲を旋回していた。緊張でエリザの頬を冷や汗が伝う。もし自分が負ければ白野は為す術もなくエネミー達の餌食となるだろう。

 

 だが、不安を紛らわせる言葉をかけようと横目で見た彼の顔の顔からは死への恐怖など微塵も感じられず反対に励ます様な顔をしていた。

 

「大丈夫。エリザの力なら絶対勝てる。それに少しはマシになって来てるんだ」

 

 そう言って買ったばかりの礼装を見せる白野の姿を見たエリザの顔からは何時の間にか緊張が消えいつもの笑顔が戻っていた。

 

「当ったり前じゃない! 強引に突っ切るから援護しなさい! ハクノ!」

 

 エリザは姿勢を低くすると槍を振り回しエネミー達を力任せに吹き飛ばしながら前進する。

 

「hack(16)!」

 

『ギィッ!?』

 

 運良く難を逃れた個体が背中に襲いかかるが白野の手から魔力の弾が放たれ動きが止まる。その隙に白野はエリザの後に続き包囲網を脱出するも生き残ったエネミーは背後から殺到し二人の耳には後ろから迫るけたたましい鳴き声が響いていた。いくら逃げても追撃の手は緩められずこのままではジリ貧といった時、白野の手がエリザの手に伸ばされた。

 

「こっちだっ!」

 

「……あっ」

 

 手を握られた事で赤面するエリザだが聞こえてきた鳴き声に我に帰り慌てて走り出す。二人はそのまま二人が並ぶのがやっとの狭い通路を突き進み、エネミー達は互いに押し合いながら追い掛ける。やがて二人の目前には行き止まりが現れた。

 

「……そういう事」

 

 絶体絶命に思える状況にも関わらず笑みを浮かべるエリザ。エネミー達は追いつめた獲物の命を刈り取ろうと詰まりそうになりながらも一固まりになって速度を上げ、振り返ったエリザは大きく息を吸い込んだ。

 

「……アンタラみたいなのがギャラリーってのは萎えるけどハクノのお願いだから仕方ないわね。とびっきりのナンバーで逝かせてア・ゲ・ル。竜鳴雷声(キレンツ・サカーニィ)!!!」

 

 エリザのケタ外れの声量は衝撃波を巻きこしエネミー達を一掃する。辺りにはエネミーを倒すことで得られるお金やドロップアイテムが散らばり、エリザは自信タップリに胸を反らした時に漸く気付く。先程から手を繋ぎっぱなしだった事に。慌てて手を離したエリザは白野に背を向けると先程まで繋いでいた手を胸に付け、伝わって来ていた体温を噛み締める。

 

「……ごめん。あの時はああするしか無いと思ったから手を握ったけど……」

 

 白野も先程までエリザの手を握っていた手を見つめ恥ずかしそうに後頭部を掻く。どうやらエリザが怒っていると思ったようで、それに気付いたエリザは慌てて振り返った。

 

「だ、大丈夫よ! ちょっと恥ずかしかっただけで……嫌じゃなかったから」

 

 恥ずかしそうにモジモジしながらも自分から視線を逸らさないその姿に安心する白野。その時、通路の向こう側から初めて聞く声と聞き覚えのある声が聞こえてきた。

 

 

「うっひゃ~。あれは厄介そうですぜ、旦那。……やっぱ得意分野で勝負しようっかな~」

 

「そう言うなアーチャー。儂はお前が漸く迷いを断ち切ってくれて嬉しいのだぞ」

 

「ダン・ブラックモア……」

 

「あっちの垂れ目のサーヴァントはアーチャーなのね。……でも、いきなり教えるような真似するなんて怪しいし嘘?」

 

 現れて早々にサーヴァントのクラスという重要情報を口にするダンを訝しげに眺めるエリザ。それを見たアーチャーは肩を竦めて溜息を吐きながらダンに視線を向けた。

 

「……疑われちまってますぜ旦那。まあ、疑うなって方が無理なんすけどね~」

 

「何、先日毒矢で狙われただろう? それはアーチャーの独断でな。外れたといっても不意打ちには変わりないからな。せめてもの侘びだと思ってくれれば良い。……君のサーヴァントのおかげでアーチャーも泥を被るのをやめてくれたしな」

 

「ほえ? 私が何かしたかしら。まあ、私みたいな美少女サーヴァントを見て心が洗われたって所でしょうけど」

 

 いきなりの感謝に面くらい、直ぐに残念な結論に至るエリザ。ダンも白野も黙らざるを得ない中、我慢できなかったのかアーチャーが叫んだ。

 

「チゲェよ、確かにオタクはまあ美少女の部類だぜ? ……でも、歌は最悪じゃねぇかっ! 何なんだよあの二人揃ったら一人を除いてマスター全滅ってっ!? 何っ!? オタクのクラス、ジャイアンな訳っ!?」

 

「失礼ねっ! 私はあんな音痴の自覚がない餓鬼大将とは違うわよ! 普段は音痴なくせにテーマ曲の替え歌を歌っていた時は傍に居たマザコンボンボンが普通にしてた様な歌唱力に落差が有るなんちゃってスターと一緒にしないで! 私のクラスはバーサーカーよ! バーサーカー! ……はっ! こ、巧妙な罠でクラスがバレたっ!? ハクノ、相手は策士よっ!」

 

 再び流れる微妙な空気。アーチャーは白野に目線で何とかしろと伝えるが白野はジェスチャーで返答した。

 

『こういう所がバ可愛いんだ』

 

「いい加減にしろよ、このなんちゃってアイドルと其のマスター! てか敵に惚気るな!」

 

 思わず叫んでしまったアーチャー。さすがにこの時ばかりはダンも口を挟まなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……すまねぇな旦那」

 

 校舎での戦闘行為を行ったアーチャー陣営へのペネルティ。それは二回戦が終了するまで宝具の真名開放の禁止と失った左腕の修復が出来なくなる、といった物だった。今は止血だけされ、弓は手にくくりつける様にして固定されている。何も言い訳をせず謝るアーチャーに対しダンはその顔をジッと見ていた。

 

 

「……良い顔をする様になったなアーチャー。あの少年にあった様な迷いがお前にもあったが、今はそれが消えている。その代償なら安い物だ」

 

「すまねぇ、旦那。……ずっと迷ってたんだ。不意打ちと毒殺しかしてこなかった俺に誇りある決闘なんざできねぇってな。だから勝つ為だって言い訳して自分の願いから目を逸らして来た。でもよ、今回の件で覚悟が決まったぜ。正々堂々戦って勝つ! ただそれだけだ!」

 

 迷いを断ち切ったアーチャーの瞳を見て静かに微笑むダン。二人の結束はこの時を持って不動の物と変わっていった……。

 

 

 

 

 

 なお、アーチャーやダンに現れたような症状で聖杯戦争に支障をきたす事を危惧したムーンセルは念入りに恐怖心などののトラウマを削除。

 

 

 

 

 だが、もう一つのペネルティとしてアーチャーとダンのみ記憶が戻っており、アーチャーは二人に感じていたものが恋心で無かった事など既に理解している。

 

 

(でもよ、感謝してるぜ。勘違いからの恋心とは言え、正々堂々戦う覚悟を決めさせてくれたんだからよ)

 

 

 

 

 

 そして二人がアリーナへと向かう途中、反対側から凛がやって来た。

 

「あっ! あの時の痴女の嬢ちゃん」

 

「誰が痴女よ! 誰が! って、その声は……ちょっと来なさい!」

 

 凛はアーチャーの手を掴むと食堂へと引きずり込む。ダンはノンビリと後を追い、凛のサーヴァントは慌てながら叫んだ。

 

 

 

 

『ご、ご主人様~!? そんな中途半端なイケメンもといイケモングリーン何かと手を繋がず、このキャスターとお手々をつないでくださいまし~!!!』

 

 残念っぷりではエリザに負けず劣らずのキャスター。ニ大残念サーヴァントが結集する日は……何時になるのだろうか?

 

 




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