気付いたら増えてた!(*≧∀≦*)
エリザが生きていた頃、狩猟は貴族の嗜みだった。狩りがしやすい様に猟場を整えると言う仕事も有ったほどだ。
「待っちなさ~い!」
「鬼がやって来たわ、
「捕まったら食べられちゃうわ、
だが、どう見ても今のエリザは純粋に鬼ごっこを楽しんでいる様にしか見えない。手を繋いで逃げる二人の少女を必死に追い掛ける彼女の口元は緩み、後ろで必死に後を追う白野は忘れられている。
「それっ! 捕ま~えたっ!」
足の長さの差か元々の脚力の差かエリザは直に二人に追いつきドレス目掛けて手を伸ばす。しかし其の手は空を切り、二人の姿は遥か先の曲がり角にあった。
「ば~か、ば~か!」
「お姉ちゃんのマヌケ~」
ありすは手を筒状にしてメガホン代りに口元に当て、アリスはその場で飛び跳ねながらエリザを挑発する。
「……ふ~ん」
忽ちエリザの目の色が変わり、先程までの楽しんでいる少女の物から獰猛な竜の眼差しへと変貌した。ようやく追いついた白野は膝に手を当てて息を切らしている。
「エ、エリザ。少し待って……」
「ハクノ、本気で追うわよ」
「いや、ちょっと待て……」
「……あにね、あの子ウサギ共は私を馬鹿にしたの。狩られて毛皮を剥がされてソテーにされる獲物の分際で」
指さした先では白野達をチラチラ見ながらも距離を開けていく二人の姿。既にエリザの我慢は限界のようで指をバキバキと鳴らしていた。
「さっ!早く行くわよっ!!」
「へっ?」
エリザは白野の手を掴むと一気に加速した、あまりの速度に白野の体は浮いて上下に揺れる、舌を噛まぬように必死に堪える白野。エリザはそのような彼の状態等には気付きもせずドンドン速度を上げていく。やがて二人に追い付き、今度こそ二人を捉えた。
「あれ?」
かに思われたが、又しても二人の姿は掻き消え其の儘壁に衝突する二人。勢い余ってゴロゴロ転がりながら漸く止まった時、白野の眼前にエリザの顔があった。
「……え~と」
白野の両手はエリザの顔を挟む様に地に付いており、あと少し顔を下げればエリザと白野の唇は触れ合うだろう。本当なら直様退くべきなのだろうが緊張から頭が正常に働かず其の儘固まっている白野。エリザも混乱しているのか口元を手でそっと隠しながら顔を赤らめるばかりで蹴り飛ばそうともしない。
「ねぇ、
「これ以上は駄目よ、
「ご、誤解だからっ!?」
その姿を見ていたらしい二人の声が聞こえ漸く冷静さを取り戻した白野はエリザの上から退き、エリザも特に手を出す事なく起き上がる。
「……へたれ」
その呟きは誰の耳にも届かないでいた。
「つ、捕まえた」
それから何度も捕まえようとする度に二人の姿が掻き消え逃げられ続けた白野達だが、物陰に隠れながら回り込んだ白野がエリザが注意を引いている間に捕まえる事が出来た。ありすを掴んで持ち上げる白野。アリスはその姿を見上げながら溜息を吐いた。
「あ~あ、捕まっちゃったわね、
「じゃあ、次はあの子と遊びましょう、
ありす達は同時に手を上げると白野を巨大な影が覆う。振り返ると其処には見上げる様な巨人が立っていた。白野が驚いた隙に腕から抜け出したありすはアリスと共に巨人の背後へと回った。
「この子の名前はジャバウォック。わたし達のおともだち!」
「お兄ちゃん達もこの子と遊びましょ! 腕を千切る? 首を捥ぐ? どんな風に遊びましょうか? だいじょうぶ。後で針と糸を使ってチクチク縫ってあげるから」
「……え?」
無邪気さ故の残酷さ。先程まで可愛がっていた蝶の羽を平気でもいで殺す幼子の其れを白野が直に感じ取った時、
「なにボーっとしてるのっ! 下がってなさいっ!!」
『gaaaaaaaaaaa!!!』
もう少しの所で獲物の命を刈り取る事が出来たにも関わらず邪魔をしてきたエリザを敵と認識したジャバウォックは今度は右腕を真上から大振りに振り下ろす。エリザは横に構えた槍でそれを受け止め、衝撃が伝わり切る寸前に斜めに傾ける事で受け流し、ジャバウォックの体勢を崩す。
「っ! 結構くるわね……。でも、これで終わりっ!!」
衝撃が予想以上だったらしく、一瞬崩れそうになるエリザだが槍の石突きで床を突く事でそれを防ぎそのまま勢いを乗せた穂先を左胸に深々と突き刺し背中まで貫通させる。ジャバウォックは苦悶の声を漏らし、その場に膝をつく。エリザはジャバウォックを蹴りつけて無理やり槍を引き抜いた。
「さっ! 後は貴女達だけよ」
そのままジャバウォックの横を通り過ぎてありす達へ向おうとするエリザ。その時、ジャバウォックが立ち上がる、其の胸には傷一つなかった。
「……え?」
『Giiiiiiii!!』
エリザの矮躯はジャバウォックの一撃をモロに食らって壁に叩き付けられる。
「かはっ……」
其の儘エリザは意識を失いズリズリと床に落ちた。
「エリザ!」
「あのお姉ちゃん、もう負けちゃったね」
「そうね。もう壊しちゃいましょうか」
ジャバウォックはゆっくりとエリザへと向かっていく。一歩一歩恐怖で甚振るようにゆっくりと。そしてその巨体に見合った大きさと鋭い爪を持つ手の平がエリザへと伸ばされ、白野が抱き抱えて飛び退く事によって空を切った。
「……エリザ、君は絶対俺が守る」
意識を失ったエリザを抱えたまま白野はアリーナを駆ける。ありす達はその姿をジッと見詰めていた。
「どうする?
「ううん。今日はもう飽きちゃった」
「……そう、でもジャバウォックは出したままよ。だってそういう遊びですもの」
白野は襲い掛かるエネミー達を間を縫って出口を目指す。飛び掛ってきた鳥型のエネミーの攻撃を躱そうとするも背中に僅かに触れたのか痛みが走る。体は悲鳴を上げ今直ぐ止まってしまいたくなるのを抑えて走り続け、何とか校舎に戻った時にはどうやって戻って来たのかかさえ分からず、白野の体中は傷だらけだった。
「……早く治療ができる場所に行かないと」
自分の怪我など後回しだと言わんばかりにエリザに視線を送る白野。他のマスターがその満身創痍の姿に驚き固まる中、白野は保健室の戸を開け、その場で前のめりに倒れそうになるが、最後の体を捻る事でエリザの下敷きになるように倒れ込んだ。
「……んっ」
エリザが目を覚ますと其処は保健室のベットの中。怪我の治療は既に終わっており、ふと横を見ると手を握った状態で眠っている白野の姿があった。
「あっ、目を覚ましたんですね。……怪我が酷いって言ったのに起きるまで傍に居るって聞かないんですよ」
音で気付いたのか桜がカーテンを開けて顔を覗かせる。エリザはもう一度白野の顔を見ると握り締められた手煮込める力を強める。その口元は僅かに緩んでいた。
「有難う、桜。助かったよ」
「いえ、これが私の役目ですので」
「じゃあ、戻ろうかエリザ。……エリザ?」
目を覚ました白野は桜から小言を食らった後で保健室を後にする。一旦マイルームに戻ろうとした白野、するとエルザがそっと手を伸ばしてきた。
「……二回戦突破のご褒美。歩く時は手を繋いであげる……」
恥ずかしそうに顔を逸らすエリザ。白野はフッと笑うとその手を取り、二人は手を繋いで歩き出した。
「爆発すれば良いのに。……あっ、誤作動しちゃいました」
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今のところ 鬼灯とパンダとアサシン先生が優勢!