取り敢えずエクストラのサーヴァントが出て欲しい 緑茶か姐さんエリちゃんか先生
最悪、聖お兄さんか黒ひげ 兄貴はそれほど欲しくない
老アサシン先生ことランサー老師だと嬉しい
壁ドン用の壁の貯蔵は十分か……な~んちゃって
他の者が三回戦を行う中、繰越で行われた白野と龍之介の第四回戦の翌日、本来ならば四回目の殺し合いの始まりを告げる朝日も白野達からすれば本当の意味での猶予期間の始まりを告げる朝日だった。
「……ん」
この日珍しく早く起きたエリザは上半身だけ起こして暫し寝ぼけ顔で固まり、やがてベットから這い出して身嗜みを整える。時計を見るとまだ朝の五時過ぎで何時もなら寝ている時間だが、この日の彼女は目が冴えていた。
(夢の中で、また言われちゃった……)
ずっと不安だった自分の真名を知った時の白野の反応。しかし帰って来たのは予想外の言葉で、悪だと言い切った上で受け入れてくれた。その時の事を夢で見てしまったエリザは胸が高鳴り目が冴えてしまったのだ。
「ハ~クノ」
まだ寝ている彼に顔を近づけ呼び掛けるが反応は返って来ず静かな寝息が聞こえるばかり。自分が話し掛けたのだから何か反応すべき、という理不尽な感想を抱きつつも寝顔に見蕩れて暫く見つめ続けるエリザ。その顔は正しく恋する乙女の瞳だった。
「……起きなさい。起きて話をしましょ。起きてってば。……起きないのなら」
エリザは白野の両頬を手で挟むとそっと顔を近づけた。
「キス、しちゃわよ……」
徐々に近付いて行く二人の顔、エリザの鼓動は高鳴り顔は真っ赤に染まる。そして後一秒で唇が触れ合うといった時、白野の唇が動いた。
「エリザ……」
「ひゃんっ!?」
慌てて手を離して部屋の隅まで飛び退いたエリザは胸に手を当て呼吸を整える。何とか落ち着いたエリザがそっと覗き込むと白野は未だすやすや眠っており、先程のは寝言だったと気付いたエリザの顔は再び赤くなった。
「ゆ、夢でまで私の事を……きゅん」
抜き足差し足忍び足で白野に近付くと勇気を出してベットに乗り、膝の上に白野の頭を乗せる。至近距離で白野の寝顔を眺めるエリザの顔は緩むばかりだ。
「……べべべ、別に変なことする訳じゃないし」
エリザは白野の頭を枕に移すと右を向かせ、自分は左側に寝転がって左側を向く。そのまま二人は同じベットで背中合わせになっていた。
「……も、もう少しだけ。起きるまで……」
そっと白野に近付いて背中が触れるか触れないかの距離まで来ると背中で白野の存在が強く感じられ、エリザは安心感からか睡魔に襲われた。
「……大丈夫、よね? 私は一度起きてるし、さっき顔も洗ったから……すぅ」
(……あれ? どうしてこうなった……)
白野が目覚めると向かい合わせに眠るエリザが自分の胸に顔を摺り寄せながら気持ちよさそうに寝息を立っている。案の定エリザより白野が早く目覚め、その上互いに寝返りを打ったようだ。先に白野が寝返ったのかエリザは白野の腕を枕にして眠っており、長い尻尾がパタパタと白野の腰を叩く。いつも念入りに手入れしている髪の良い匂いが花をくすぐった。
「どうしよう。起きられない」
腕枕をしているので無理に起きれば起こす事になる。恐らくはエリザが何かの隆で潜り込んで来たのだろうが、絶対にパニックを起こして何かされる、具体的に言うと尻尾を使った何かを、と危ぶむ白野は冷や汗を流した。
「ん……ほへぇ?」
そしてエリザは目覚め、間近に迫った白野の顔をジッと見詰めて居た。
「お早う、エリザ……」
「うん! お早う、ハクノ。今すぐ朝ご飯にするわね」
白野が危惧したような反応はなく、それどころか鼻歌を歌いながら厨房に向かうエリザの後ろ姿を見た白野は安心する反面首を傾げた。
「……何があった?」
この時彼は気付いていなかった。エリザの料理を手伝うのを忘れていた事を。其の事に気付いたのは朝ご飯を前にした時だった。
「い、頂きます。……あれ?」
最初の殺意すら感じる不味さは無くなったとはいえ、まだ普通に食べるのはキツい味。香りの時点で目に染みるには最早慣れてしまって気にならないが、別に気になる事が一つ。箸もフォークもないのだ。
「それなら大丈夫よ。……ほら、四回戦突破のご褒美をあげる。はい、あ~んして」
エリザは真っ赤なオムレツを掬ったスプーンを白野へと近付ける。ドキドキしながらスプーンを差し出すその顔は期待と不安の狭間で揺れており、恥ずかしいからと拒否すれば泣く事は簡単に予想できる。抑も白野には拒否する気など微塵もない。躊躇無く口を開けスプーンを受け入れた。
(辛いっ! 酸っぱいっ! 塩っぱいっ! そして不味いっ!)
エリザの料理の味、それはお世辞にも美味しいとは言えない味で嫌な汗が流れ落ちる。ゴクリと飲み込めば胃が異常をきたした。
そう、エリザの料理を食べたのに被害がそれだけだったのだ。
「本当に料理が上手くなったね。最初の頃なんて比べ物にならないよ」
「……そう? 良かったわ! 私、ハクノの為に頑張ってるもの。……ねぇ、頑張ったご褒美に私にも」
口を当ててスプーンを渡すエリザが何を期待しているか直ぐに察した白野は同じようにオムレツをスプーンで掬い、そっとエリザの口に運んだ。
「……不味っ!? もう少し頑張らないといけないわね。……あれ? そのスプーンってさっきハクノが使った奴」
「あっ、間接キスだね……」
「……うん」
平然とする白野と真っ赤になって俯くエリザ。そのまま白野の口に運ぶエリザは恥ずかしそうだが幸福感に包まれた顔をしていた……。
「こうやって落ち着いて学校の中を歩くのは楽しいわね、ハクノ」
「そうだね、ディーバ」
「……出来れば名前で呼んで欲しいなぁ。でも、仕方ないから二人っきりの時に沢山呼んでね?」
白野の手を繋いだまま甘えるように顔を見詰めるエリザ。その光景は非リア充には効果的な精神攻撃となり、一部のマスターやサーヴァントは唇を噛み締め血が流れ出ていた。
「……アンタ達も相変わらずねぇ」
「あの、ご……」
「しないわよ」
キャスターの願いを願われる前に却下した凛は二人の姿を見ながら呆れ返っていた。
「……そんなに目立ってた?」
「ええ、目立ちまくりよ」
凛に連れられて購買まで移動した白野は凛の呆れ顔の理由を聞いて心底驚いた顔になっている。それを見た凛は更に呆れ返っていた。
(本っ気で気付いてなかったのか……)
「にしてもこの開放感がたまらないわね~。人が何かやらなきゃいけない時に自分達は何もしなくって良いって最高よ。例えるなら夏休みの宿題を七月中に終わらせた、的な?」
「聖杯戦争と夏休みを一緒にするなっ!」
こうして聖杯戦争四回戦の猶予期間一日目の午前は過ぎていった……。
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