Fate/EXTRA D³   作:ケツアゴ

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第十一話

「それで、いい加減イチャイチャタイムは中止して本題に入らせて貰えるかしら?」

 

「凛、何を不機嫌になっているのだ?」

 

「桜、そこの女の敵に石追加。……どうやって決戦場に入ってきたかって訊いてるの。いくら令呪があってもシールドは鉄壁なのよ」

 

「イチャイチャしてるんじゃなくって、ラブラブしてるの」

 

「違いが分からないわよっ!? それで、どうやったの?」

 

 互いの気持ちを確かめ合い手を取り合って見つめ合う白野とエリザ、そしてその光景を見せ付けられる凛とラニと凛の横のキャスター、そして算盤責め中のアーチャーと追加の石を置いていく黒……普通の状態の桜。一部を除き特に違和感のないは光景を眺めながら白野は視聴覚室でのことを思い起こした。

 

「ユリウスが怪しかったからエリザが槍を振り回しながら視聴覚室に入った途端に映像が流れて、その映像を通して入り込んだんだ」

 

「随分と端折ってますね。ですが、大体の事は把握しました。……ですが、腑に落ない事が一つ有ります」

 

 ラニが不審に思っているのはユリウスの行動。恐らく彼が二人の情報を得ようと視聴覚室の機材を使って術式を拵えたのだろうが、それならば何故直ぐに出てきたのか、という物だ。情報が十分と判断して出て行ったのなら自映像をそのままにした理由も謎だ。そして失敗して出て行ったのなら白野が見れるはずもなく、プロである彼が失敗したと誤認するのも納得いかない。

 

「……それにラニの心臓を吹き飛ばした謎の攻撃、あれは私達以外の誰かの手による物よ。……ねぇ岸波君。君って誰か協力者が居るのかしら?」

 

 凛は疑いの視線を白野に向ける。部屋に入った途端に付いた映像や助けるかのように心臓を吹き飛ばした攻撃。どれもがあまりにも白野に都合が良かった。暫く白野を見つめている凛。だが、直ぐにベットに仰向けに寝転んだ。

 

「止め止め、君って隠し事ができるってタイプじゃないし、失った記憶が戻れば分かる事か、それとも本当に何も知らないんでしょ。……それに、助けて貰った事だしね」

 

 あのままだったら例え勝っても重傷を負い、次かそのまた次で負けていただろう。そして凛の目的は聖杯そのものではなく、聖杯をハーウェイに渡さない事。それさえ叶えば問題はない。

 

「……それで貴女はこれからどうするの?」

 

 残った問題はラニの事。聖杯を手に入れられなければ丸ごと自爆するように言われていた程聖杯を手に入れようとしていた彼女の今後を聞いているのだ。二人共サーヴァントは残っているが、手の甲の令呪は消えている。救いは魔力のラインが繋がっており、勝負がつく前だったのでムーンセルによる消去を免れている事だろう。

 

「私は……」

 

「何、せっかく生き残れたんだ。これからどうすれば良いか考よう。それに、生きて帰れる可能性もある事だしな」

 

 迷いを見せるラニに対し五枚目の石版を膝に乗せられながらアーチャーはそう言って白野に視線を送る。

 

「ちょっとっ! まさか貴方、ハクノの事狙ってるんじゃないでしょうねっ!? だ…駄目よっ! 白野は私の恋人なんだから!」

 

「……アーチャー、貴方は両刀でしたか?」

 

 

「誤解だっ!? 私が言っているのは彼が優勝すれば二人を地上に帰して貰えると言っているんだ。何せ人の戦いに乱入するような無茶をやるほどだ。その位してくれる程度にはお人好しだろう?」

 

「……分かった。二人がそれを望むなら、優勝した暁には二人には地上に帰って貰う」

 

「二人には? ご主人様が生き残れそうなのは良いのですが、少し妙な言い方ですねぇ」

 

「……ああ、地上に戻るのは二人だけだ」

 

「それなら貴方はどうするんです?」

 

 キャスターの質問に対し白野はエリザの肩を抱き寄せ、真剣な瞳で迷いなく言い切った。

 

「どうにかして月に残ろうと思う。勿論、エリザと一緒に」

 

 

 

 

 

「……さて、これからの我々の方針を決めよう」

 

「そうですよねぇ。私達、参加権を剥奪されてますし? 下手に動いで運営に目を付けられるってのは避けたいですよねぇ」

 

 白野達が保健室から出て行った後、アーチャーはピリピリとして空気の中切り出す。意外なことに最初に賛同したのは先程まで戦っており、アーチャーとは性格的に相性に悪いキャスターだ。凛とラニは何やら不機嫌な様子で話にならず、二人で方針を決めていく。

 

「保健室を拠点にするとして……私とご主人様の愛の巣が失われたのは厳しいですね。ここはお邪魔虫、特に一夫多妻万歳野郎が居ますしぃ? とりあえず一日一一夫多妻去勢拳行っときますか?」

 

「馬鹿言ってんじゃないわよ。……一日三回に決まってるじゃない」

 

「酷いなっ!? ……マスター、何とかしてくれ」

 

「お二人共、流石に厳しすぎます……簀巻きにして転がしておけば大丈夫でしょう」

 

「マスター、君もかっ!?」

 

 アーチャーに危機が迫り、尊厳が潰されようとしている。果たしてアーチャーは大丈夫なのだろうか。それは彼の運次第である。なお、ここの彼の幸運のランクは輝く顔や青タイツと同等だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あのさ、ハクノ。さっきの話、本当? ずっと私の傍に居てくれるの? 私を置いて地上に帰ったりしないのね?」

 

 マイルームに戻るなり白野の手を掴んだエリザは不安そうに尋ね、白野は無言で頷く。抱き寄せられた手はう意図してか意図せずか胸元に当てられ、サイズの問題で付けていない故に布越しに柔らかさが伝わって来た。白野は意識している事を気づかれまいと平静を装っているが、エリザが抱きついて来た事で鼓動の高鳴りが伝わってしまった。

 

「……ハクノ、分かる? 私も鼓動が高鳴って収まらないの。ねぇ、私にどんな魔法をかけたのかしら? ……貴方の魂は私の物、その逆も然りよ。私の美しさを一番近くで湛え続けなさい。……目を瞑ってちょうだい」

 

 白野の頬にエリザの両手が当てられ白野は言われた通りに目を閉じる。エリザはそっと背伸びをして自分の唇を白野の唇に近づけ、ギリギリで固まった。その顔は見る見る内に紅潮して胸はバクバク高鳴って頭の中はこんがらがって軽いパニック状態だ。

 

(どどどど、どうしようっ!? 勢いで目を瞑れとか言っちゃったけど……)

 

 エリザは覚悟を決め、そのまま顔を近付ける。そのままエリザの唇が……白野の頬に触れた。そして触れるなりその場から飛び退きビシッと指先を向ける。

 

「くくく、唇にしてあげるはずないでしょっ!? ……次勝ったら何時でもしてあげるから頑張りなさい」

 

 逃げる様にシャワー室へと向かうエリザ。この場は確かに逃げ遂せる事が出来たエリザだが……自分で自分を追い詰めてしまった事にまだ気付いていない。




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ハイスクールddで清姫ヒロインの新作始めました こっちも感想待ってます
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