逆廻提督は問題児!!   作:ファルコン・Σ

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テストが終わったので久しぶりに更新です

腕鈍ってるなあ



青い少女の傷・後編

駆逐艦・五月雨の戦争、及び戦いというものへの気持ちは他の艦娘とは少し異なる。

無論、彼女は艦娘であるため、戦うこと自体を拒んでいるわけではない(そういう艦娘もいるにはいるが)。

しかし、彼女と親しい涼風曰く、『何処か身を退いた、遠慮しているような様子』ということらしい。

事実、そこまで自己主張をしない五月雨は確かに遠慮している風に見えるだろう。しかし、実際にはそれだけではない。

 

彼女が抱えているのは劣等感と不安、そして仲間への迷惑を恐れる負の感情。

 

~~~~~~~~~~~~

 

十六夜と比叡の会話から翌日。

十六夜の宣言通り、五月雨、比叡、夕張、白露、夕立での出撃となった。

最後の一人だが、戦力や相性を考慮した結果、共に出撃した経験のある金剛型の四番艦、『霧島』が選出された。

 

さて、出撃してしばらくして。

今回は十六夜は出ておらず、姉である白露や夕立に五月雨の気遣いを任せている。

 

「どうっぼい? 白露お姉ちゃん」

 

「うーん……大丈夫そうには見えるんだけどなあ……でも五月雨は記憶がないから……」

 

そこばかりは実際に戦いにならなければ分からないだろう。

一応、比叡や夕張が五月雨を気遣っており、彼女も平静なのだが。

 

「………何かあったら、私達で支えてあげようね」

 

「ぽい!!」

 

妹を思い、二人は決意を新たにする。

と、

 

「敵艦発見!!」

 

『!!』

 

霧島の声を聞いた艦隊が直ぐに正面を向く。

戦艦ル級に軽空ヌ級、雷巡チ級、軽巡ホ級に駆逐イ級が二体である。

中々に強力な艦隊である。

 

「比叡姉様。既に彼方側は此方に気づいています」

 

「だよね……。五月雨さんどうします?」

 

「……軽空ヌ級の航空機に注意しつつ、攻撃をお願いします!!」

 

『了解!!』

 

~~~~~~~~~~~~

 

「提督。お茶をどうぞ」

 

「おう。悪いな夕雲」

 

五月雨がいない間の秘書艦を任されていた夕雲はしっかりと仕事を勤めていた。

心配性で心の優しい彼女だからこそ、十六夜の不調な心情に気づいた。

 

「心配なの?」

 

「………まあな。今回の出撃は下手したら五月雨の精神に大きく傷がつくことになるかもしれない。そうでなくても何かしら影響が起きるのは確かだ」

 

「………トラウマに立ち向かわせるというのはそういうことよ」

 

「それはそうだろうよ。……俺は酷い奴か?」

 

少し自嘲するような十六夜に夕雲は手を添えて答える。

 

「大丈夫よ。提督が優しいということはちゃんと分かっているわ」

 

「……そうか?」

 

「ええ、私や『浜風』さんの心は貴方に救われましたよ」

 

かつて浦風がブラック鎮守府から駿河に移った際、浦風がどうしても助けたかった同士の艦娘、それが夕雲と陽炎型の十三番艦の『浜風』である。

特別使われていた訳でもなかったため、特に問題は無かった。

そんな二人もまた、酷く疲れきっていたのだが十六夜の優しさによって救われていた。

 

「提督の気持ちはちゃんと五月雨さんも分かっているわ。彼女を信じましょう」

 

「………ああ。そうだな」

 

~~~~~~~~~~~~

 

「そこっ!!」

 

夕張の攻撃によって駆逐イ級が沈む。

同時に夕立がもう一体のイ級を沈めた。

 

「やったっぽい!!」

 

「危ないよ夕立!!」

 

「!!」

 

水中で爆発が起き、水柱が立つ。

チ級と白露の放った魚雷がぶつかって相殺し、爆発を起こしたのだった。

 

「ありがとう!!」

 

「ん」

 

そんな雷巡チ級に五月雨は砲身を向ける。

 

「させないっ!!」

 

直後、放たれた砲撃だがチ級はそれを回避した。

そして逸れた砲弾は戦艦ル級と交戦していた比叡の近くに着弾する。

 

「あ! ごめんなさ……」

 

その瞬間、五月雨の脳裏を瞬くように光景が横切った。

 

「………! あ、あ…!」

 

「五月雨ちゃん!?」

 

「どうしたんですか!? ……! まさか!!」

 

比叡は足が震えている五月雨を見て気づいた。

五月雨は過去の記憶を思い出してしまったのだと。

 

「霧島!! 五月雨さんが!!」

 

「!! 此処で来てしまいましたか…!」

 

軽空ヌ級に砲撃を与えながら五月雨の調子を見る。

どうやらはっきりと記憶が戻ってしまったらしい。顔が青ざめてしまっている。

 

「くっ……! タイミングが……」

 

「比叡さん!! 危ないですよ!!」

 

「!! きゃあ!?」

 

ル級の砲撃が比叡に直撃。一発で中破に追い込まれた。

 

「あ……あ……」

 

それを見た五月雨の震えが大きくなる。

 

「………流石に荒療治だったんじゃ……」

 

怯えている五月雨を不安そうに夕張が見ている。

と、そんな彼女に白露が近付く。

 

「ちょっと戦いの方、よろしくね」

 

「あ……うん。分かった」

 

夕張が敵艦に突撃したのを見て、白露は五月雨の手を優しく取る。

 

「………白露、姉さん?」

 

「五月雨。大丈夫だよ。大丈夫だから」

 

そのまま、優しく抱き締める。彼女を安心させるように。

 

「今は皆いる。誰も五月雨を恨んだりはしていないから。ね、だから頑張ろう?」

 

「……姉さん……」

 

そのうち、五月雨の震えは止まっていた。

と同時に雷巡チ級が霧島の攻撃によって沈む。

 

「五月雨さん!! 私達は支えあって戦っていくんです!! だからしっかりしなさい!!」

 

「………はい!!」

 

キッと前を向き、残っているル級とヌ級をしっかりと見る。

既に中破しているヌ級はもう攻撃はできない。

そして、

 

「いっけぇ!!」

 

「とりゃああ!!」

 

「やあ!!」

 

白露、夕立と一斉に砲撃。ル級に一気にダメージを与えた。

 

「よし!! 後は任せて!!」

 

「さっきねお返しなんだから!!」

 

夕張、霧島、比叡が最後の駄目押し。

全ての敵艦を沈めたのだった。

 

「や、やりました!!」

 

~~~~~~~~~~~~

 

そして、執務室に帰ってきた五月雨は、

 

「……大丈夫か?」

 

「はい。ご心配をお掛けしました……ですがもう大丈夫です!!」

 

「そうか」

 

そう聞くと十六夜は五月雨を抱いた。

 

「ふあっ!? て、提督!?」

 

「よく頑張ったな。偉かったぞ」

 

「…………はい。ありがとうございます」

 

少しだけ涙を流しながら五月雨はそう答える。

彼女はまた、一歩進めたようだ。

 




次回は焔君の話になりそうです。多分

それでは~
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