そしてタイトルに不安が……(艦娘にとって)
「司令官はどうして出撃しないの?」
この発言から全ては始まった。
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駿河鎮守府で順調に重巡洋艦の人数が増えている。
そんな彼女達に十六夜は演習を行っていた。
「おし。じゃあ早速砲撃訓練。始めるぞ」
駆逐艦が沖合いに浮かべてくれた的。それを目掛けて十六夜は小石を持って振りかぶり、投げつける。
すると小石は凄まじい勢いで流星の如く飛び、的を木っ端微塵にする。
『おー…』
と、一斉に声が上がる。
十六夜の投石は重巡洋艦の主砲と破壊力は同等とされている。
それ故か重巡洋艦娘が十六夜に一番親近感が沸くらしい。
「うし。次はお前らだ。任せたぞ」
『はい!』
とまあ十六夜は身を引き、代わりに前に出た重巡洋艦が一斉に的を砲撃する。
「提督。どうでしょうか?」
「ああ。一通りは性格も把握したからな。とりあえずもう少ししたらこいつらも含めた編制で出撃をさせるつもりだ」
「そうですか。そしたら今までよりも奥に行けますよね」
「だな」
十六夜も五月雨も楽しそうに笑っている。
と、その様子を見ていた駆逐艦の"島風"が、
「……ねえ司令官。司令官って強いんだよね?」
「ああ。当たり前だろ。俺様だぜ?」
「ふーん。じゃあ司令官はどうして出撃しないの?」
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一時間後、艦娘達が集まって会議が始まった。
議題は『十六夜提督を出撃させる方法』というどうでも良さそうで実は重大な内容である。
ちなみに「提督なんだから出撃する必要はないんじゃ……」などと言う艦娘はいない。十六夜は規格外過ぎるのだ。
「確かにせっかくあんな力があるのに戦えないっていうのは勿体ないですわね」
最上型四番艦"熊野"がそんな風に呟く。
それを聞いて同じ型の三番艦"鈴谷"も同意する。
「だよね~。直に見たことは無いけど深海棲艦相手に無双したらしいし」
「その時は駆逐艦だったらしいけど……なんか普通に戦艦クラスでも殺れそうな気がするぜ」
「摩耶。言い方悪いわよ」
高雄型三番艦の"摩耶"に対して姉の高雄が指摘する。
「ですね……でもそれほどの力があるのに何故出撃しないのですか?」
と、古鷹の疑問に対し十六夜の答えは、
「お前らみてえに海に浮けねえだけだ」
『単純な理由だった』
一斉に納得する重巡達+最近着任してきた軽巡、駆逐艦。
「まあ確かにな。俺だって派手に暴れてみてえんだが……」
「提督って戦闘狂ですよね……」
「否定はしない」
ヤハハと笑う十六夜。
「けど本当に勿体ないですよね。どうにかして提督が海に出られたらいいのに」
「けど高雄。いくら規格外でも提督は人間なんだぞ? アタシ達とは根本的に違うんだ」
「摩耶の言う通りだよね。私達にとって海に浮くことは呼吸をすることと同じくらい常識的なことだし……」
考え込む一同。と不意に天龍が、
「あ、提督なら猛スピードで海面を走れるんじゃねえか?」
と、そんな発言をする。それを聞いた隣の軽巡洋艦の"夕張"は、
「天龍……流石にそれはどうかと思うわよ。ねえ提督?」
「いや。出来るが」
『出来るのかよっ!!』
艦娘の一斉ツッコミ。
それを苦笑いで聞いた五月雨は、
「で、でもそれなら提督も出撃できるんじゃ」
「無理ですよ」
しかし不知火が一刀両断。
「確かに走り続ければ海上に居続けることは出来るでしょう。しかし戦闘の際や進路を決める際は少なからず停止する必要があります」
「あー。それじゃあ確かに提督でも沈んじゃうよねー」
球磨型の三番艦"北上"はそんなのんびりした口調で同意した。
「それにそもそも提督のスピードに着いていける艦娘がいるの? 島風でもギリギリじゃない」
五十鈴の追加意見に全員が納得し、この案は廃された。
「じゃあ……船に乗ればいいんじゃないですか? 単純に」
続けて綾波が挙手して意見を言う。
が、それを球磨型四番艦の"大井"が却下した。
「途中でその船が深海棲艦に沈められるのがオチですよ。そもそも戦いの場にわざわざ船を出してくれる人がいるかどうか……」
「あ、そうですよね……」
「提督そのものが海に出られるようにしないと……」
と、続けて暁が挙手をする。
「だったら忍者みたいに海面に浮かぶ術を使えば」
「暁……流石にそれは無いよ」
しかし響に途中でカットされてしまった。
「うぐっ」
「ヤハハ!! 忍術か!! 暁らしい意見だな!!」
「提督! 笑ってないで! 提督に関する議題なんだからな!!」
「おう。悪ぃ涼風」
「あの………川内さん!」
今度は電が声を上げた。
「ん?」
「あの……川内さんなら水蜘蛛とか持ってないですか?」
水蜘蛛というのは忍者が水面を歩く際に使っていた下駄のような靴である。
「………あのね。確かに私は忍者っぽいって言われるけど忍者そのものって訳じゃ無いんだけど」
「あっ……ご、ごめんなさいなのです」
「まああるけどさ」
『あるのかよ!!』
再び一斉にツッコミ。
しかし川内は、
「けど水蜘蛛って実際には履いても浮けないよ? あまり役にたたない道具らしいし」
「じゃあなんで持ってるんですか」
「趣味」
「(川内に夜戦以外の趣味があったのか……)」と十六夜含めた多数がそう思った。
「けど靴ってのはいい案かもしれねぇな」
「え?」
「ちょっくら妖精に"開発"を頼んでみるか。もしかしたら水面に浮ける靴が出来るかもしれねえからな」
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そして数時間後、
「出来た」
「さ、流石ですね……」
唖然とする五月雨。
十六夜が受け取ったのは船底のような形をした靴だった。
一応見てくれは本当に"履けば水面に立てる靴"だ。
「………ま、まあ妖精は気まぐれですけど技術は信頼できますから」
「………確かに艦娘の艤装も奴らが作ってんだよな」
見るよりは試し。
訓練場のプールにやって来た。
そして早速靴を履いた十六夜は水面に足を踏み入れる。
「うお……結構揺れるな」
「水面は陸上とは勝手が違いますから」
「よし……」
そのまま両足を水面に乗せる。
ユラユラと揺れる地面に自然体を保ち、垂直に立った。
「わあ……提督!! 立ってますよ!!」
「ああ。ちゃんと浮かんでるな。バランスを取るのは自分自身ってとこか。まあ要は慣れか」
「これなら出撃……出来ますかね」
「ああ。まあもう少し練習が………うおっ!?」
と、その時少し大きな波が襲い、十六夜はバランスを崩す。
そして、
バッシャーン!!
「て、提督!?」
「………………」
プカプカ浮かぶ十六夜。
体はぐしょ濡れで苦笑いである。
「……………練習が必要だな」
「頑張りましょうね。提督」
一応言っておきますがこの先それぞれの艦娘と十六夜の絡みがあります
なので今はどんな艦娘なのか分からなくても大丈夫 だと思います
次回……駿河鎮守府に最大の危機が!?
空母娘が登場です!!