扶桑さん美しくて綺麗です
なんか……さっちゃんの次が彼女とは……
ついに、駿河鎮守府に戦艦が………、
「ああ!? 戦艦の建造時間ってこんなにかかるのかよ!!」
「まあ戦艦ですから………」
四時間後、改めて、
ついに、駿河鎮守府に初の戦艦、『扶桑』が着任した。
「よろしくお願いしますね」
「それはいいんだがなんで部屋に入ってこない」
「あの……艤装が突っかえて……」
「下ろして来い」
~~~~~~~~~~~~
「しゃらくせえ!!」
十六夜が海面からジャンプして軽巡ヘ級を叩き潰す。
たった一撃でヘ級は轟沈した。やはり十六夜はチートである。
「こんなもんかよ。ま、駆逐よりかは歯応えがある気がするけどな」
「というか提督。もう水上靴を使いこなしているんですね……」
「本当に提督って人間なのか?」
五月雨と涼風に好き勝手言われているが十六夜は気にしない。
ところで、初めて十六夜の規格外さを目の当たりにした扶桑だが、
「そう………提督は凄いお方なのね」
お? と意外そうに彼女を見る三人。
というのも今までの艦娘達は駆逐艦から空母まで全てを含め、十六夜の異常さを目の当たりにしたら唖然とするか興奮するか、どちらにしろ『驚き』の感情が出てくるのだ。
しかし彼女、そんな様子が見られない。内心がどうかは分からないが変わらず平静である。
「(珍しい艦娘だな)で、どうする扶桑? せっかく来たからには実力見せてくれよ」
「ええ。いいですよ」
丁度軽巡ト級の姿を確認できた為、扶桑は巨大な艤装の砲身をそちらに向ける。
「全砲門、撃ちます」
ズドォン!!
ドゴォオン!!!
「うわお」
逆に十六夜が驚かされた。
自身の投石の軽く倍以上の威力の砲撃。
いとも容易くト級は沈んでいった。
「………どうでしょうか」
「ヤハハ。流石だな。文句の付け所がねえな」
「ええ……火力だけは自慢ですから……」
謙遜するかのように儚げに微笑む。
そんな彼女に十六夜は何処か違和感のような何かを感じていた。
「(戦艦つったら最強の軍艦だ。なのにコイツからはその"覇気"のようなもんが感じられねえ)」
「提督~! そろそろ戻りますよ」
「ん、ああ。分かった」
五月雨に呼ばれて我に帰った十六夜は手早く鎮守府に帰還した。
その後、扶桑を休ませた彼は軍艦の本を読み漁っていた。
最初は図書館で借りていたが後々に自分で購入したのだ。
「戦艦、扶桑……お、これか」
目当てのページを開き、目を通す。
扶桑型は日本としては初めて建造された超弩級戦艦である。
その重巡洋艦をも上回る火力を持ち味として造られた。が、その火力を発揮する機会はごく僅かだった。
なぜなら、扶桑型は欠陥艦だったから。
遅い速度や薄い装甲、故に上位互換である伊勢型の方が主に使用され、最終的に最期も真っ二つに折られて轟沈。
多くの悲劇や不幸を背負った戦艦なのであった。
「なるほどな……あの性格はこれが理由か」
私情だが十六夜は過去に縛られていつまでもそのままというのが気に入らない。
ましてや艦娘はせっかく現世に甦った存在である。過去を忘れろとは言わないがせめて前くらいは向いてほしいと思っている。
「どうするかだな……」
「なんだかんだ言っても提督って優しいよなー」
「何を今更、俺の優しさに全米は涙するぜ。あと涼風いつのまに俺の肩に乗ってやがる」
「細かいことは気にしない!」
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普通、新たな艦種を建造した場合、すぐにもう一隻建造をする。
これは十六夜の「一人だけにならないように」という配慮によるものである。
が、戦艦の場合資材がそれなりに消費される為、すぐにもう一隻を作ることができなかった。
「よし、飯にすっか」
職務を終わらせた十六夜が食堂に向かう。
彼が食事をする際、艦娘と共に席につくのがそれは日によって異なる。
十六夜自身の気分で決まることもあるし艦娘が誘ってきた場合は彼女達と同じ席になる。
さて、食堂に入った十六夜。
既に多くの艦娘が食事をしている中、自分の焼き肉定食を受け取りながら何処に座ろうかと見渡す。
と、1つのテーブルでたった一人で食事をしている扶桑を発見した。
「お……やっぱりこうなってたか」
艦娘は日常的な生活は同じ種類の艦娘と共にする事が多い。
同型艦どころか戦艦すらまだ他にいない現状ではこうなるのは予想できないことではない。
念のために言うが他の艦娘が薄情な訳ではない。扶桑が謙虚過ぎるだけなのだ。
「おい。ここいいか?」
「提督? ええ、どうぞ」
了承を得た十六夜は扶桑の前に座って食事を始める。
それをしつつ彼女の様子をさりげなく見ていた。
「……つか、結構食うんだな」
「意外でしょうか?」
「まあな。お前の性格からしたら意外だな」
「そうですね………これでも戦艦なので」
「これでもってか。今の鎮守府ではお前が主力なんだからもう少し自身を持って欲しいんだがな」
「そうですよね………ふう」
「…………………」
この始末である。
やはり欠陥艦のレッテルはそう簡単に剥がれるものではないのだろうか。
「…………ねえ提督?」
「なんだ?」
「私達って………どうして生まれてきたんですかね」
突然そんなことを言ってきた扶桑に面食らう。
彼女はそんな十六夜を気にせずに続けた。
「今に限らず……昔の私達はどうして造られたのか………その理由がなんであれ、私は果たせていないままです。どうしてそんな私が生まれているのか……時々考えてしまうんです」
「………………」
「それは今も同じ……加えて私のみならず、他の艦娘や深海棲艦に関しても同じ風に思ってしまいます。理由は無くとも……考えたことでどうにもならないことが分かっていても……」
思春期かっ、とツッコミを入れたくなった十六夜だが気持ちは分からなくもない。
嘗ては十六夜も似た思いを抱いていたからだ。
圧倒的過ぎる自身の力とそれに相容れない退屈な世界。
そんな世界と自分に挑戦状を叩きつけるかのようなゲームを行ったこともある。
幼かった当時は今のようにある種の達観じみたような精神があるわけでもなく、ジレンマのようなものに悩まされていた。
「俺は一体なんなんだ?」
そんな十六夜だが"彼女"によって救われた。
生きる理由……そんな明確なものを教わったわけではない。
ただ……生き甲斐をくれた。
それだけだが、十六夜は変われた。
もっともそれでも元の世界には退屈していたわけだが、ただただ漠然とした何かを探していた幼子の時とは違い、心震わせる感動や出逢い、そういった目的があった。
「(…………チッ、まさかあのクソババァのやってた事を俺がやることになるとはな)」
だが悪い気はしない。
目の前で悩む少女に道くらいは照らしてみせよう。
「扶桑」
「なんですか?」
「お前が生まれてきた理由なんか俺が知るか」
「………そう、ですよね」
若干しょんぼりしたように見えるが十六夜は続ける。
「つーか生まれてきた理由なんか誰かに分かるもんじゃねえよ。自分自身だろうと生みの親だろうと」
「………………」
「だったらそんな答えのない問答を何時までも続けてるのは無駄だろ。違うか?」
「……はい」
「なら話は簡単だ。"何故生きているのか"じゃなくて"何をして生きていたいのか"を考えろ」
「……! 何をして…?」
ビシッと人差し指を突き付け、尊大な物言いで十六夜は告げる。
「人生1つ艦生1つ、せっかく貰った命だ。それを使えるのは手前だけだ。自分の感情に従って生きてみろよ。戦艦扶桑」
真正面から言われた扶桑はしばらく考え込む。
そして出た答えを今度は十六夜に叩きつける。
「今度こそ戦いたい。もうあんな歯痒い思いはしたくない……今度こそ……私は、この力を全力で使いたい……もう負けたくない!」
気づけば相当な時間が過ぎており、食堂に残っているのは十六夜と扶桑のみ。
そんな中、彼女の思いを受け止めた十六夜は。
「なら……お前を俺が使ってやる。その屈辱を晴らす為にな。だからお前も力を貸せよ扶桑」
「はい。改めてよろしくお願いしますね。十六夜提督」
初めて、心からの笑顔を見せた扶桑に十六夜も笑いかける。
「さ、さっさと飯食うぞ。冷めちまったけどな」
「ですね」
これ立ってますね(旗)
何故か扶桑さん優遇してしまう
しかし姉がこれで妹の方はどうなることやら
そろそろ十六夜の本格的出撃を書こうかな……
ではでは