ディアボロス・サーガ   作:黄昏翠玉

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ここまで一気に放出です。書きためていたものなのでここからは亀更新になります。


クラスメイト

 

黒髪副生徒会長は名を名乗っていない。でも、何となくだけれどこの空気を知っている。たぶん俺どこかで会ってるんだよな。そう思うけれどなかなか思い出せなかった。

「君たちは契約者クラスAになります。授業はそのうち系統ごとや能力ごとに分かれていきますが、ほかの生徒たちが契約者になり次第、ということになります」

この丁寧な話し方する人、こっちも黒髪だ。でも銀髪メッシュが入っている。綺麗だなあ。

「…すごい…そっくり…」

銀髪メッシュさんに撫でられてる。あれ?俺?

「チェバリそこどいて。どけないなら替わってお願い」

『大人げないですよ!』

知り合いか。まあ、チェバリかなり生きてるんだろうし、当たり前かも。それに、この人の系統シンボルはグリフォン。つまり、傲慢。

『…お察しの通りですよ』

チェバリが俺を見て言った。そうか。じゃあ、この優しそうな人がルシフェルなんだ。

「…初めまして、ですよね」

「…うん。君に会うのは初めてだね。よろしくね、えーと…」

「あ、オオイツグヒロです。呼びやすいように呼んでいただいて構いません」

「うう…ご好意に甘えさせてもらうよ」

ルシフェルはまた俺を撫でた。するとさっきの副会長がルシフェルに言った。

「どうせそいつの記憶は戻らん。放っておけ」

「そういうこと言うから友達できないんだよ」

ルシフェルは振り返ってそう言った。副会長の系統シンボル。あれ、形が違うのが2つある。でもどっちにしろドラゴンだ。つまり、確実なのはこいつがサタンってこと。

「…マルファスからの報告通りなら彼にはマンモンの補佐役になってもらわないと」

「そんなガキに任せようってのか!?どうせ引け腰になって仕事ほっぽりだすだけだ!!」

どうやらルシフェルは強欲の補佐役しろって言ってて、サタンはこんなクソガキに任せられるかと言っているようだ。どっちもどっちだなあ。俺何もしたくないのに。つかマルファスいったいどう報告したんだろう?

俺は太一を探した。太一はすぐそこにいた。

「太一」

「! どした、亜門」

「おい、今そっちで呼ぶなって」

「あれ、ごめんツグヒロ」

「ハルファスは?」

「うん、ちょっと怪我してるけれど大丈夫」

ハルファス怪我したのか。大丈夫かな?

『相変わらずの生ぬるさだな』

「テメエの血の温度でも測ってやろうか、マルファス?」

『やめろ。お前が言うとシャレにならん魔力が放出される』

周りがかなりびっくりしていた。サタンがそっぽを向いてコホンと咳払いを一つ。ルシフェルがなんか拍手した。

「?」

「すごい魔力量。これグリモア封印した?」

「…まだだ」

銀河が答えると、サタンがまた咳払いをした。

「すごい…これウェイトグレードサタンといい勝負じゃない!?」

「俺をこいつと比べるのかっ!?」

「だってすごく重たいよ!!これでグリモア封印したら、本体が上がって来るんだよ?」

その後2人は英語ではなくよくわからない言葉で会話を続けた。

『…なあこれって何語なんだ?』

とりあえずその言葉で喋ってみたらこう返ってきた。

『『古代バビロン!』』

どうやら楔形文字のようです。

『アモン様これ喋れたんですね』

『一回聞けば大体わかる』

『さすがですね』

『でもなんかやっぱうまくいかない』

うまくいかねえよ!!今ちょっとみんなが英語わかんねえって言ってた意味が分かる気がする!!

「帰って来いもさもさ!」

もさもさって俺のことね。太一酷いよもさもさって。もさもさだけど。

「もさもさっていうなよ」

「お前すぐいろんな国の言葉話すからさあ。しかもこっちにまでそれで話しかけてくるじゃん!お前がドイツ語話してた時もうこっちは何が何だかわからなかったんだぞ!」

そういやそんなこともあったな。

「ハルファス通訳よろしく」

「はーい」

ハルファス人型だったのか。ハルファスを撫でるとマルファスが寄ってきた。ちょっと虐めすぎたかな。

「アモン!君はこれ」

ルシフェルが俺に狐のシンボルをくれた。

さっきさらっと本名呼ばれた気がしたけれどまあ気にしたら負けだな。周りもあんまり気にしてないみたいだし!このままいくか。

「…君の名前、ツグヒロじゃないの?」

気にしてる奴いた。

「あー、えっと。俺の名前、亜門って書くんだよ」

「あ、そうなんだ。てっきり偽名でも使ってるのかと思っちゃった」

「そうだとしたらなんだよ?俺がどんな名を使おうとお前にゃ関係ないだろ?それとも、お前天使派か?」

天使派がいるなら離れておきたい。嫌な思い出ばっかりフラッシュバックする。むしゃくしゃして八つ当たりしてしまいそうだ。

「…天使派だよ、家はね」

「…そうか…まあどっちにしろ俺には近づくな。忠告しとく、俺は自制効かねえからな。俺に近づいて死んでもお前が悪いんだ。俺は責任取らないぜ」

こないだ天使をぶっ飛ばした時の感覚が手に戻ってきて少しずつ怖くなってきた。人間殴ったらどうなんの?あの威力だぞ?人間なんて一瞬で消飛ぶんじゃねえの?それは怖い。俺、こないだまで普通の中学生やってたんだぜ?

「…アモン、そこまで天使派を拒絶する必要はないよ。彼の御兄弟、みんな大天使にやられてるから」

「…それでよく天使派とか…まあ、それで赤竜に来たんだな」

「…まあ、そんな感じ」

まああんまり近づいてほしくないけれど、天使に家族をやられてるなら、俺たちを教会に売ったりはしないだろう。

「…亜門って呼んでいい?」

「…別にいいぞ?お前は?」

「僕は水地豊。よろしく、亜門」

「よろしくな、豊」

 

―銀河side―

なんていうか、亜門はあまり友達ができないタイプじゃなさそうだな。暗い雰囲気を纏っても誰かが解決策を持っているというか。俺との時も天使が突破口だったし。

俺には色欲の蠍のシンボルが回ってきた。

「まさかアスモデウスがもう契約してるとは思ってなかったわぁ」

マンモンが言う。

『だってぇ、あたしが契約してやってこその彼でしょ?』

「まあ、な」

さっき亜門に絡んだステファンのシンボルは蛇。嫉妬か。だろうな。

「なんや?」

「いや。…ルシフェルさん、どうするんだ、この悪魔たちは?」

「うん、グリモアを封印してほしいな。そうすれば彼らの能力は高まる」

「…その代わり、彼らの寿命がより速く削れる」

「クソシリアスだなその話止めにしようぜ」

亜門お前ちょっとは空気読め。

「おい!」

「だって、本人たちに確認してきゃいいだろ?はい、ここでグリモア封印して戦争に巻き込まれて平気な人!」

「誰が手を上げるんだよ!!んなバカいるわけねえだろ!!」

「俺が手を上げてやったんに無下にすんなや」

ステファンの野郎手を上げてた…!

「寿命削れるけどいいのか?」

「構わへんよ。もともとまともな契約してないし…天使に報復でけるならなんでもええわ」

ステファンの目に憤怒が宿る。これは危険だな。でも。

「じゃあ、後で召喚室に来て。この部屋」

ルシフェルがさっさと地図にマークを付けた。

「じゃ、ほかのみんなは教室に移動して。マンモン、よろしくね」

「はいはい…100円!」

「はい」

「金にがめついんだよ!!まさしく天使と正反対に在るもの!!」

「うるせーこれくらいねーと魔王の力保てないんだよっ!!」

マンモンはそう言ってみんなの引率をして出ていった。

「…火炎侯爵が死んでからあんな感じになっちゃったんだ」

ルシフェルが言う。

「…仕方あるまい。あれはネロアンジェから何とか6000万まで登ったんだ。よく1から上ってきたもんだ、あれは見上げた根性だ」

サタンも認めるがめつさか。

「でもぉ、火炎侯爵アモンは8000万だよー?強欲トップのウェイトグレードのやつを失って、強欲は天使に徹底的にたたかれるようになっちゃった。強欲が欠けたら次に叩かれるのは暴食。暴食がやられたらどっちにしろ人間は食欲をなくして栄養失調で死んでくってわけ」

「…そういや、そうだったな…」

「…大分戦ってなくて忘れてたでしょ?」

「ああ。忘れてしまえる時代に生まれたかったよ」

俺がそう返すと、ベルフェゴールがうなずいて同意を示した。

「でも、ここに火炎侯爵は帰ってきた。天使に火炎侯爵はもう殺せない。神の剣は、もう動かない」

サタンが笑った。亜門は静かに皆を見回して、ぐっと手を握りしめていた。

「…俺、結構大変な役回りなんだな」

「不安は多いと思うけれど、俺たちが精いっぱい動くから。亜門は普通に生活して。きっとそっちの方がいい」

ルシフェルはそう言って、先に召喚室に亜門とステファン、フレッドを向かわせた。

そして、急にひざから崩れた。

「ルシフェル、大丈夫かよ」

「…うん…」

そう言ってるけれど、やっぱり脱力してるとはっきりわかる。どうしてなのか。その理由を俺はよく知っている。

「亜門は、どうだった?」

「…全然変わってない…。彼が死ぬなんてありえないとずっと思ってた。地獄の彼が目を覚まさないのも、ただ眠ってるだけだと信じていた。信じていたかった」

ルシフェルは、約100年間、孤独に耐えたんだよな。

「人間が友達を失って嘆いて、憤怒と妬みにまみれる理由、わかった」

「…そっか。なら、俺たちの生活をぶっ壊すのだけはやめてほしい、それはわかるよな?」

「…うん」

ルシフェルは頷いた。

「これはソロモンとしてじゃなく、銀河という人間としての願いだ」

俺は魔王たちに言った。

「俺の友達を。亜門だけじゃない。みんなを、守ってくれ」

皆は頷いてくれた。

大事な人をなくすつらさを俺たち人間はよく知っている。

そして、今。

傲慢のルシフェルが、親友だった火炎侯爵を失って、人間と同等の感情の起伏を持った。

「…これ以上の被害を食い止める。いいな?」

「おう」

俺たちは召喚室へ向かった。

 

いつか見た空の色は青かった。

今見ている空の色も青いな。

いつか見た空は赤かった。

親父が歩いた後の道は真っ赤だった。

亜門の瞳はもっとずっと美しい赤で染まっているんだ。

かつてイスラエルの王が手にした指輪よ。

今どこにいるんだ?

俺はお前がなくたって構わない。

けれどお前が手元にあったらどれだけ楽に事が運ぶことだろうか。

だから、だから、俺は望む。

ほかの強力なグリモアが出現する前に、天使たちを止める。

そのために、手元に来てほしいのだと。

 

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