ゴゴモアの荒い呼吸を聞きながら、筋肉質な力ず良い鉄拳が振り下ろされるのを今か、今かと待った…
自分は十分戦った、最後の一瞬まで銃を撃ち続けたのだ。
そう言い聞かせ目をつぶり続けた…
そしてついにその瞬間が訪れる
全身の体重と名一杯の力を込めた砲弾のごときゴゴモアの鉄拳がユークに振り下ろされる、ブワァンという空を進む拳の音、刹那
「ドガァアアン」と言う凄まじい衝撃音が迸り、「潮島」全体に音を響かせる、空気の振動が森に放たれる
それに驚く鳥たちがバサバサっと何十羽もが一斉に飛び立つ
「ユーク!」
「いゃあああ!」
「はっ!ゆゆユークさん!しっ死ぬなー」
三人の剣士がそれぞれ叫ぶのがユークにも聞こえた、ああ僕の事を心配する声がする…でももう僕は死んで…
「!?」声が聞こえるということは死んではいない?
というか自分を襲うはずの、激痛も痛みもない、骨も一本も折れてない…
何かが変だ、ユークは恐る恐るつぶっていた目を開けた…
そこには一人の男が立っていた、その男が構える盾がゴゴモアの拳を防ぎ
衝撃を抑えている、その男にユークは見覚えがあった…
白髪に鍛え上げられた歴戦の戦士のような肉体、身につけた防具は使い込まれたことがわかるほど年季の入った装備、装備している片手剣は綺麗に輝きかなり丁寧に強化と修理が施されている、この男は…
「ハインツ教官!」
そう随伴していた教官の一人であるハインツだ、ハインツ教官が駆けつけてゴゴモアの攻撃を盾で防いだのだ!
「大したもんだな、新人の坊主!ここまでやった奴は初めてだ!」
ハインツはそう答えつつも、盾を凄まじい勢いでゴゴモアの拳に押し付けそしてズガーンと衝突させるとゴゴモアの拳は逆方向に突き飛ばされる
「ガァアアア!?」
その反撃にゴゴモアは驚きを隠せない、だがそれはユークも同じだった…
ゴゴモアの拳を盾で押し返した!?
しかも片手で!?
だがそれだけでは終わらない、ハインツ教官は盾と反対側の手に持った片手剣を凄まじい速度で叩きつける
その刃が当たるたびにゴゴモアの毛を
皮膚を、そして肉を、切り、削ぎ、吹き飛ばし、目に見えぬほどの速さでゴゴモアを傷つけていく、ゴゴモアはたまらず大きく後ろに下がりハインツ教官から距離を取る
だが容赦しないぞ!と言うかのようにハインツ教官はゴゴモアに向かって突進していき今度は盾で思いっきりゴゴモアの頭をぶん殴る、
「ゴァァ!?グァアア!?」
鋼のごとく硬い盾を、凄まじい速度で叩きつけられゴゴモアも痛みを隠せず怯む、その隙を狙ってさらに片手剣の刃がゴゴモアを襲う!
「凄まじいだろ?ハインツの戦闘は」
ユークの後ろから女の声がしユークは振り返る、
「貴方は!さっきはじめにゴゴモアに突き飛ばされた!」
「ああ…そうだ、はじめに突き飛ばされた教官だ、全く新人を守る立場でありながら逆に守られるとな…」
女教官は自信なさそうにそういう
「どこか怪我はないか?」
「ええまあ、打ち身傷を何箇所か…でも骨も折れてませんし大丈夫です!」
「そうか君は運がいいな」
そしてランダガス、フリーア、ホークの3人も肩を貸し合いながらこちらに歩いてくる
「君たち三人も、ようくやった!さあすぐにベースキャンプに戻って治療を受けてくれ!」
「ででででも、ごご ゴゴモアは?」
「そうだぜ奴を倒さねーと!」
「あのままだと危ないわ!仕留めないと…」
「分かっている、だが仕留めるのは君たちではない、あとは我々教官に任せて傷を治すことに専念しろ!」
女教官は声を貼る、ランダガス、フリーア、ホークの三人は「はーい」と答えトボトボとエリアを出て行く、
しかしユークだけは動こうとしない、
「君もだぞ、新人ガンナー、歩けるだろう?早く行け」
「……です」
「はっ?」
「嫌です!」
「我がままいうな!ここは狩場だぞ!」
「だからこそです!僕が気な上にいたゴゴモアに不用意に石を投げなければこんな戦闘にならなかったはずです
自分の行動に責任を持って最後まで戦いたいんです!」
そういいながらユークな女教官の目をまっすぐに見る、その目に迷いはない
「分かった!いいだろう、しかし足手まといにはなるなよ!」
「はい!」
ハインツと一対一の攻防を続けるゴゴモアに向けて走り込み片手剣を抜刀してジャンプ斬りを仕掛ける
「ゴァアア!?」
ハインツと女教官の連携は凄まじく、ゴゴモアが反撃する暇もなく次々に攻撃が振り出される
盾と剣を巧みに使い戦う二人の姿はまさに勇敢な狩り人ハンターの鏡だ
ユークも、アルバレストの銃口をゴゴモアに向けトリガーを引く、放たれた弾丸はゴゴモアの背中に当たり着弾と同時に火が起こる、ボウガン用の弾丸の一つ火炎弾だ、通常弾のような銃弾のダメージに加え炎属性の追加ダメージを与えることができる
トリガーを引くたびに反動が体にかかりマズルフラッシュが起こる
幾つもの火炎弾を銃弾の嵐のごとくゴゴモアに撃ち出す
発射、着弾、炎上、
その攻撃動作が幾度となく繰り返され
ゴゴモアの皮膚を身体を炎で焦がし銃弾が貫く!
ゴゴモアの足元では二人の教官が激しい斬撃を舞うように浴びせ、肉を裂く
血が吹き荒れる
「ゴァアアアアアア!」
ゴゴモアは力ずよく声を張り上げて又しても後方にジャンプ、しかしその動作は先ほどに比べてかなり鈍い!
ゴゴモアは教官やユークに背を向けて森の中に駆け出そうとするだがその体はズタズタに傷つけられ血を流している
そして動かす足は地面に引きずっている
モンスターはダメージを蓄積していくと弱って行動力が落ち何かしらの行動を取る、ゴゴモアは弱ると足を引きずるのだ、足を引きずったということは!
「あと少しだ!畳み掛けるぞ!」
ハインツが声を張り上げる
女教官も攻撃速度をさらに加速させる
だがゴゴモアの移動は止まらない木によじ登り逃げようとしてを巨大樹の枝に伸ばそうとするだが…
ドガァアアン
雷に似た雷鳴が轟き、幾つもの小型の爆弾がゴゴモアの体に炸裂し激しい爆破を起こす
ガンナー用 特殊弾 レベル1拡散弾
着弾と同時に無数の小型爆弾が四方に散らばり広範囲を爆発させモンスターに直接的な大ダメージを与えられる弾丸だ、だがその威力ゆえに反動が大きくここぞという時でないと使えないのだ。
弾丸をリロードし再びの雷鳴、爆音、
小型爆弾が再びゴゴモアの体に炸裂し木に手をかけて別エリアに逃げようとしていたゴゴモアの手は木から離れ地面に叩きつけられる、教官二人が追加攻撃を仕掛けようとするが手…
「ゴァアア……」空気が抜けるような力ない鳴き声を放った後ゴゴモアは地面に両腕をつき膝をつきそして…
ドシンと鈍い音をたててその場に倒れる、しばらくかすかに痙攣していたがすぐに動かなくなる…
「勝ったのか…?」
ユークがつぶやく、ゴゴモアは起き上がる様子はない…瞬間ユークのなかで勝利感と達成感と言う二つの感情が炸裂する
「よっしゃぁぁあああ!」
ユークは大声をあげて勝利を喜ぶ、
跳緋獣《ゴゴモア》を討伐した!
しかも最後の一撃を自分が決めたのだ!
ハインツと女教官が駆け寄ってくる
「よくやったぞ坊主、上出来だ!」
「最後の追撃ナイスだったよ!」
「ありがとあございます!」
「さあ、ベースキャンプへ帰還、と言う前に剥ぎ取りタイムだ、この戦果無駄にしないためにもしっかり剥ぎ取れよ!」
ゴゴモアの亡骸に近ずくと剥ぎ取りナイフを手に持つ、改めて見るとゴゴモアの体は大きい、突然また起き上がりやしないかと警戒するが教官に、死んだふりをするモンスターはいるがゴゴモアはその心配はないぞ!と言われ安心して剥ぎ取りにかかる、
皮にナイフを入れグイッと持ち上げるように引き剥がす、ゴゴモアの素材を丁寧に一部分ずつ剥ぎ取っていく、
撮り続けること数回、もう十分だろうとその場を動こうとしたその時、
モコモコ モコモコっとゴゴモアの背中が動いている、そして
「ココァアア、コァア」
モコモコ動いていたのはゴゴモアではなくその背中に張り付いていた小さな別のモンスターだ、ゴゴモアのような赤と白の毛並みに少し尖った鉤爪、
ゴゴモアの子供《ココモア》と言われるモンスターだ
「ココァアア、コアコア」
ココモアは動かなくなってしまった親の亡骸を必死に譲って起こそうとする
だがその親であるゴゴモアは二度と起き明ることはないのだ…
「ココァアア、コアコアコア」
鳴きながらゴゴモアの身体を揺するココモアの姿は起きてよお母さん!と叫ぶ子供のようだ…
ユークはココモアをゴゴモアの亡骸から引きはがそうと近ずくがそれより前に
ハインツが片手剣を抜刀しココモアに向ける
「ハインツ教官、何を?」
「こいつは放っておけば、この親のように人を襲うゴゴモアになる、そうなる前にトドメを刺すのが得策だ」
そう言って剣を振り上げココモアを殺そうとする…だが
「待ってくださいハインツ教官、こいつは何もしていません!」
ユークはココモアをかばうようにハインツの前に立ちはだかる
「そこを退け新人ガンナー、そいつはもう死ぬ運命だ、万が一ここで殺さなくとも親を亡くしたココモアは餓死するだけだ、いま殺したほうがこいつにとっても人間にとってもいいことなんだ!」
確かにそうかもしれないたがそれはあまりにも…だったら…だったら…
「だったら僕が、僕がそのココモアを飼います、育てます」
「何を言っている?坊主モンスターは人間になれることは…」
教官の言葉はそこで止まった
そうモンスターは特に凶暴なモンスターは人になれることはないだが
それを否定するかのようにココモアはユークの背中に乗りそしてペロンペロンとユークの顔を舐め始める
「うわっこらやめろってこらこら!」
ユークは嫌がるがココモアは気にもとめず
「コァコァコァ」
ユークのあっちこっちを手で触りまくりいたずらする
「おいやめろって!うわそこわやめてよ!うわっそれはダメだって」
今度はベルトポーチからアイテムを取り出そうそする、
「こらこら、そこはダメだって銃弾が入ってるから……そうだそういえばこんがり肉が一つ入ってたかなちょっとまってね」
ユークはこんがり肉をベルトポーチから取り出しココモアに差し出す
ココモアは初めは警戒したように手をつけないが、すぐに両手でひったくるとガツガツ食べ始める
「…ありえん、モンスターが人にじゃれて、人の手からエサを…いったい?ユーク君は?」
だがそんな教官の言葉は聞いておらずユークは楽しそうにココモアと触れ合っている…
「ははっやめろってははは」
◇◇◇
ベースキャンプに戻るとすぐさま、ランダガス、フリーア、ホークの三人が
心配そうに駆け寄ってきた
なぜこんなに遅かったのか?と問われ
ゴゴモアと戦闘を続けたことを話すとホークは「えええそんなことしてたの?」と驚きゴゴモアにトドメを刺したことを話すとランダガスは「先を越されたぜー」と悔しがる
「くっそー、ユーク抜け駆けはずるいぜ!」
「ごめんごめんでも教官たちのおかげで僕はほとんど何も…」
「にっににににしても凄いよユーク、
ぼぼ僕にはできないよそんなこと」
「ねえ、ところでさ?」
「うん?」
「ユーク、あんた背中いつからそんな太ったの?」
「へっ?」
と言いつつ背中を隠そうとする
「へっ?じゃないわよ何か隠したてる?なんなのよ?」
フリーアは近ずいてきてユークの背中に手をかけようとすると…
「コアコアコア?」
ココモアがユークの背中から飛び出しフリーアの方に飛び乗る
「ぎゃあ~なになに何なの?こいつ?」
「コァ~ココモアココア?ココア?」
「まねすんじゃないわよ離れて~」
「こらこらこっちおいで」
ユークが呼ぶとココモアはユークの方に飛び乗り大人しくなる
「そそそれってココモアだよね?ゴゴモアの子供の?」
とホークがとう
「そうだけど…」
「もしかしてそれ飼うの?」
「そうだけど」
「ってことはそいつはゴゴモアみたいに大きくなるんだよな?」
「たぶんそうだけど」
「そーだけどってユーク、あんた大丈夫なの?教官に怒られたりしない?」
「あや本当はダメらしいんだけどココモアがありえないくらい僕に懐いてて人間に慣れるモンスターも珍しいから生態観察目的っていうことなら飼っていい……らしい……」
「おい、貴様何を得意げに話している、そいつのことはなるべく口外しないようにと言ったはずだが?」
不意に後ろから声がして振り返る
「ハインツ教官!これはですね…」
「さてと本来なら危険を冒してゴゴモアと戦闘しさらにギルドの重大な違反に引っかかりそうなモンスターの飼育、これ以上ことを起こす前にさっさと船に乗らんか!」
「はい~っ!」
ユーク、ランダガス、フリーア、ホークの4人はハインツ教官の怒りの鉄拳を喰らわぬようにするべく直ぐさま船に乗り込んだ
こうして初めての狩場体験は幕を閉じた
ユーク達がメゼポルタに着いたのはその日の夕方のことだった…
その日の夕食は新人ハンター歓迎会と称してパーティーが催された、豪華な食事に綺麗な星空、メゼポルタの広場には沢山のハンターが集まっている
これからもっと沢山の狩場や出会いがあることだろう、
そんな思いを胸にユークはその日の疲れを取るべく眠りについた、メゼポルタの夜は長い、ユークの部屋の外からは他のハンター達が仲間とともに酒や食事を楽しみ笑いあう声が響いていた…
なるべく定期更新できるように頑張っています
次回は6月5日金曜日夜7時の投稿予定となります
やむ終えず変更になる場合もごさいます…
次回 第5話 メゼポルタ広場
お楽しみに!